2008年9月23日火曜日

研究費申請、もういっちょ。

Royal Societyの研究費は、旅行費のみであった。ポスドクを雇ったり、学生を取るには、もういっちょ研究費申請をしなくてはならない。と、いったらよく聞こえるが、実は申請するように学部長に指示された。大学も収入が必要なのである。つまり、イギリスでは、獲得した研究費の25%程度は大学や学部にピンハネされてしまうのだ。

今回の提出先は、悪名高きSTFC(Science and Technology Facilities Council)である。ここは、昨年から今年にかけて、全部門の予算の1/4を一律カットして有名になった。これにより、素粒子の人はLHCの次期計画などから撤退したし、天文の人はハワイの天文台で観測ができなくなった。原子核も予算は大幅カットとなって、最近まで大騒ぎであった。

11月に小規模研究向けのgrant募集があることが、最近アナウンスされた。これは事実上、昨年のRolling grantで落ちた連中、余り予算が取れなかった連中が、大挙して群がってくる「敗者復活ラウンド」だ。激戦が予想される。直接的な利害が被るのはマンチェスターの理論部であろう。彼らは、高エネルギー物理にシフトしていて、実験家の評判はあまりよくないので、チャンスといえばチャンスだ。がしかし、STFCは実験家よりのカウンシルなので、理論の採択0なんてことも十分ありそうだ。而要注意である。

今回は、すぐに成功しそうな、固い内容の研究を提出せよ、とのことで、あまり難しいのはだめそうだ。ということで、超重核の寿命と回転の関係についてやる、ということにした。中性子過剰核は、超新星爆発の元素合成とかに応用できて、とても人気の高い分野だが、研究者の数も多くて競争が大変だ。超重核の理論はあまりないし、既存の理論では難しいこともありそうで、みな二の足を踏んでいる状態。簡単な模型でも、おもしろいことができるかもしれない。ただ、パリティを自発的に破んないといけないのはちょっと頭が痛い。これさえクリアーすれば、結構いい線いけるかも。

新入生歓迎

新学期は始まったものの、新入生は今日が初日だ。イギリスの大学は、たぶん大抵がこの「時間差」方式を採用しているはずだ。これは、入学試験に相当するA-levelの結果発表が入学間際にされるからだ。慌ただしく合否が決まり、慌ただしく引っ越しをして、慌ただしく大学生活が始まる。ただ、日本の仕組みに慣れきってしまったせいか、この時期に入学とかいわれても、正直言っていまひとつぴんとこない。

今日は、オリエンテーションがあって、15分のスピーチをした。まあ、大学生活の心得みたいなものをべらべらと説明するだけである。今日は、半日これで終わった。

夕方、Ludshott commonsに初めて徒歩で散歩にいってみた。45分で行って帰って来れる。日本から小包届く。きのこの山はメルトダウンして、箱の形になっていた。きっと、東京は暑かったんだろう。イギリスはもうすっかり秋で、夕方は肌寒く感じる。

2008年9月19日金曜日

研究費申請

王立協会(the Royal Society)というのは、科学振興のための財団みたいなもので、かつてはNewtonやHookeらが所属していた由緒ある団体だ。現在は、バッキンガム宮殿に通じるThe Malの一本北側に平行に走るPal Mall(なぜか、ロンドンのアクセントでは「パルマル」と読む)の通り沿いにあって、St.James Parkやピカデリーにかなり近いところにある。ピカデリーに日本食品を扱うお店があることから、ウェストミンスターの駐車場から歩いて買い物にいくとき、よくこのRoyal Societyの前を通り過ぎる。「ここが、最古の英文学術雑誌Philosophical Transactions of Royal Societyが発行され続け、17世紀から続く科学研究の中心地なんだ」、と考えると身が引き締まる思いがする。

とかなんとか、いっても私が最近興味があるのは、Royal societyが提供してくれる研究費である。最近、STFCからの研究費が終了し、一文無しになってしまった。そこで、Royal Societyの国際共同研究プロジェクト助成金を獲得するため、日英の研究者と組んで共同研究を実施することにした。私は英国側の責任者として、英文の申請書の作成を担当することになった。

英国サイドでは、申請書はすべてWebを通じて作成し、投稿(申請)する。ブログみたいな感じだ。文章をフォームに打ち込んで、保存とか、投稿とかボタンを押して文書管理する。ただ、シビアな字数制限がある点だけは、ブログと大きく異なる点だ。今日やっと書き終えて、投稿した(というか、申請した)。うまくいくことを祈るのみ。

2008年9月7日日曜日

HTMLテンプレート

BloggerのHTMLテンプレートをいじってみようと思い、若干の修正をしてみた。すると何度やってもエラーが出てうまくいかない。

特に、AccessAnalyzerで使うタグがうまく貼付けられないのが問題だった。一行一行解析していくと、どうもエラーは<img src=....の文で発生している事がわかる。ここまではよかったのだが、その後何を試してもうまくいかない。途方にくれてしまった。Google Analyticsにしようかとも思ったが、ここであきらめてはいけない、と踏むとどまる。

Googleでの検索語を色々試したあげく、最後はエラーメッセージそのものにしてみたら、やっとのことで必要な情報を含むページが見つかった。原典はここだが、日本語に訳されたものがここにある。

原因の一つは&が使えない事。CGIでは「空白」代わり、というかデータのセパレータとして&の記号を用いるが、Bloggerではこれを「&」と打たねばならない。その次に問題になるのがimgタグそのものである。HTMLというからにはすべての分は囲まれているべし、という信念があるようで、Bloggerではimgといえども囲まれていなければならないのである。</img>とか試したらうまくいってしまったが、普通は<img[空白]/>とやるとよいようだ。

以上の訂正を施したら、やっとこさエラーメッセージが消えてちゃんと動き出した。

2008年9月5日金曜日

West Beach, Littlehampton

Littlehampton(West Sussex)にいった。引き潮のいい時間帯だったし、久しぶりの夏の日差しが照ったせいで、海岸には多くの人がいた。私の狙いは、波打ち際(というか、波が引いた後の、砂と礫の境界線上)に転がるウニの化石である。ここの化石はすべてflint化していて、それが長年月波に洗われ、礫に擦られて、磨いたようになっている、独特の化石だ。日本には産出しないと思う。



Flintは火打石だ、と高校の英語で習った記憶が有る。確かにそうらしいが、日本にある火打石とちょっと見かけが違う。最初に、現地の人に、「これはフリントっていうんだよ」と教えてもらった時は、疑ってしまった。調べると、古代の生物の遺骸やその堆積物が変質したもので、酸化硅素からなる鉱物とのこと。一方、日本の火打石は水晶や石英で、これは溶岩中の鉱物として産出する。化学成分は同じなのに、その履歴がこうも異なるとは、と感心せざるをえない。南イングランドや北フランスなど、英仏海峡を囲む石灰岩の地域にごろごろ転がっているが、世界的にはこの辺りにしかあまりみられないという。南イングランドでは、家や塀の壁のブロック代わりにフリントを積み上げてつくるほど、ごろごろあるので、まさに「路傍の石」状態で最近では気にもとまらない。



しかし、それがウニの形をしているとあっては気もそぞろである。現地に着くやいなや、さっそく目をさらにして探索開始。今回はなかなか手強かったが、1時間で5つ発見、4つを採集した(一つはあまりに摩耗がひどく捨ておいた)。そのうちの3つが、Scutataと呼ばれる楕円形のもの。残りの一つが、初めて採集した丸い形のウニだった。特徴からするとEchinocorysの一種だと思われるが、その下の種名が判然としない。こういうときは仕方ないので、Echinocorys sp.と学名をつけるらしい。私もそれに従うことにした。

ウニのデータベースとしては、ロンドンのNatural History Museumが素晴らしい。ただ、量が多すぎて不便だ。このリンクをすべてたどって、ウニの種類を同定するのは至難の技、というより小学生の居残りの書き取りのように多大な苦痛をともなう。

2008年9月3日水曜日

疲れ

疲れているようだ。年を取るとはこういうことだろうか?認めたくないものである。

日本にいる間、市役所から通知が届いた。「メタボ検診」にいけ、という。地元の病院にいって、一日検査を受ける。苦しかったのは胃カメラ。最初に喉を通過するときが一番苦しく、胃でカメラがのたうち回っているときは「もう駄目だ、吐く」と思ったが、胃を抜けて十二指腸に入ると気分が落ち着いた。カメラで自分の臓器を初めて見た。血が出ているではないか!「大丈夫ですよ。ちょっとカメラで突っついただけですからー」なんだこの医者が下手なせいだったのか、と安心したような別の心配が募ったような。深刻な異常はない、との診断結果だったが、早食い癖のため食道の部分が若干荒れているとのこと。ゆっくり食べましょう、と最後の診察で言われてしまった。最後に、ビールの話になった。「ビールは飲んで吸収されると、単にプリン体になるだけです。」と教えてもらった。たしかに、日本に戻って暑い日が続いたせいか、検診の数週間前から、冷たいビールがむしょうに飲みたくなってガボガボやってしまった。痛風持ちのフランスのD教授の足の様子を見たことがある。ああなると大変だ。地元の地ビールはおいしいんだが、検診以降は飲むのを止めた。

2008年9月1日月曜日

日本より戻る

7月、8月と日本の実家で過ごした。あんまり長くいるもんだから、近所の人たちから「失業したの?」とまじめに心配されてしまった。多分今頃は村中の噂になっているに違いない。

日本の夏は暑かったと思う。少なくともここイギリスの夏よりは。BBCなどで久しぶりに記事を読むと、どうもこの8月は雨続きで、小麦の収穫がまずい状態になっているとか、この半世紀でもっとも陽のあたらなかった8月だったとか、散々な記事が目立つ。ちなみに、フランスに休暇にいった同僚から話を聞くと、南フランスの天気は良かったとか。車で行った旅行だったそうだが(ここからジョーク)、イギリスへの帰り道は絶対に迷わなかった、とのこと。なんでも、地平線の向こうにモクモク黒雲がある方角にいけばよかったからだそうだ。

確かに、イギリスに戻って来てからの一週間はほとんど雨続きだった。一日晴れた日があった。確かに太陽がでると夏だと思う。しかし、一旦雲がかかるともう秋を通り越して冬の天気だ。帰国早々暖房は焚きっぱなしである。(日本の天気も随分様変わりしたようで、実家の母も炬燵を出そうかと思っているほどだそうだ。)どこもかしこも位相がずれつつあるのだろうか?相転移は果たしてあるのだろうか?

はじめの一歩

大学のサーバーが、SSI/CGIの禁止を発令したので、今まで使って来たHTMLが使えなくなってしまった。自分でブログを開発するのは面倒なので、とりあえず日々雑感を書き綴る場所としてbloggerを利用することにした。写真は使えるだろうか?
一応使えたので、しばらくはこれでいこう。