iPod touchを今年の春に購入したまま、これといった使い道無く、半年ほどが過ぎてしまった.
最初に思いついたのが、NASAのpod cast, what's up for .....シリーズを、講義で使う事。最初はうまくいったのだが、次第にビデオ出力がうまく出ない教室があることが判明して、公平性の観点から止めてしまった。同様に,iPhotoで管理している写真のいくつかを講義で使う事も、次第にやりにくくなって止めた。その後iCalでスケジュール管理をしてみたが、TO DO listingが同期できないことが判明して、がっくり。やる気を無くす.(とはいえ、他に使い道がないので、妥協しつつ使い続けているが。)
その次は、iPod applications。いくつかアプリを試してみたが、残念なことに、実用に耐えうるものほとんどない。「結局、最後はWikipediaに丸投げですか」ってなものがほとんどで、ネットワークがつながらないところでは無用なアプリばかり。
さて、そうこうしているうちに、iPadが発売され、電子書籍が巷の話題をさらうようになった。これでpdf文書が読めたら論文の持ち運びがとても便利になるな、と薄々思っていた。そこで、前期が終わって時間がとれるようになったのを契機に、PDF文書のreaderのインストールを試みる事にする。ところが、OSが古すぎるとか、なんだかんだで、なかなかうまくダウンロードできず、再々度落胆する。しばらくやるき失せ,そのまま放っておいた。そもそも自分の研究室で利用可能な無線LANがなく、今から考えると、この状況ではiPod touchは「宝の持ち腐れ」でしかなかった。
最近、試験監督のため、都心にあるもう一つのキャンパスへいくことがあった。なんとか監督中の暇を有効に活用できないかと、考えているうちに、壁に張り付いている機械に気づく。アンテナが2本立ち、LEDが点滅するその白い小さなケースはどうみても、無線LANのアクセスポイント。試しにiPod touchをつないでみると、これが案外面白い.そこで、自分の研究室にも無線LANルータを導入すべく、試験終了後、さっそく秋葉原へ足を伸ばすことにした。
翌日、苦しみながらも、無線ルータの設定やOSのアップデート、諸々のアプリのダウンロードを行う。自分の部屋でiPod touchをネットワークにつなげることが、こんなにも楽しいなんて、つい数日前までは予想できなかった。楽しいこと限り無し。
いじり回しているうちに、iBooksなる電子書籍のリーダーアプリを見つけたのだが、実はこれで自作のPDFファイルを読む事も可能だということが判明する。これはすなわち、論文の持ち運び、管理、利用が劇的に改善される可能性が出てきたということである.まさか、自分の論文をiTunesで管理することになるとは夢にも思わなかった。
早速帰りの電車のなかで、論文を読んでみる。これは便利!
次の目標は、keynote文書やPDF文書を使って、プレゼンまでできるようにすること。
2010年7月23日金曜日
2010年7月16日金曜日
前期終了
前期の講義がもうすぐ終了する。試験の採点があるが、今年は採点しやすいよう工夫したので、あまり手間取らないだろう。イギリスの大学と違って、授業の進み具合を見ながら問題が作れるから、良い問題が無理無く作れる。これは日本のやりかたの長所だといってよいだろう。
そういえば、講義ノートを教科書にしないか、と出版社から誘いがあった。「仕事」である。やるからには全力を尽くそう。
これで、梅雨明けすると、もっと嬉しい。災害に巻き込まれることなく、静かに終わってほしい。梅雨が明ければ、花火大会が待っている.大学のオフィスからの眺めが、実は、絶景なのである。
そういえば、講義ノートを教科書にしないか、と出版社から誘いがあった。「仕事」である。やるからには全力を尽くそう。
これで、梅雨明けすると、もっと嬉しい。災害に巻き込まれることなく、静かに終わってほしい。梅雨が明ければ、花火大会が待っている.大学のオフィスからの眺めが、実は、絶景なのである。
Green関数の勉強
ボーズ凝縮のセミナーをしたときに基本の事柄をまとめたのだが、そのとき久しぶりにFetter-Waleckaを読んだ。この本はGreen関数法を使って物理を解説しているので、この手法の復習をすることにした。まずはフェルミオン系の場合をやることにして、希薄気体展開のところまで読む事にした。
まずは、昔のノートを読み返してみた。なかなかよいことが書いてあって、我ながら感心してしまう。これで、かなりの部分を飛ばすことができる。昔のノートで弱かったのが、物理量との関連部分。確かにここは公式だと思ってそのまま受け入れた方が時間の節約になる。が、今回は余裕があるので、ここも丁寧に読み込む事にした。
グリーン関数法の面白い点は、期待値を「厳密解」で挟む点である。つまり、建前は固有値を計算するのと同じことになっているのである。これはものすごい長所だ。とはいえ、もちろん厳密解はわからない訳で、例えば、通常の対角化法ではこれを基底によって展開し、その展開係数を計算によって求めるのだが、グリーン関数法では別のやり方でこの問題を切り抜ける。そこで利用するのが「断熱点灯法」という摂動風の考えだ。これを用いると、厳密解が求まる状態(H0の固有状態 |φ0>、自由状態と呼ぶことにしよう)からの時間変化をユニタリー演算子を用いて表すことになり、状態を厳密解になるまで「引っ張って行く」という風に捉える。つまり、
|ψ> = U(0,-∞)|φ0>
とする訳である。こうすると、期待値は自由状態に対してとることになり、計算が簡単になる。(自由状態は可解である、というのが条件だから、近似は不必要。)そのかわり、摂動近似はUに対して行う、というのがGreen関数のポイントである。自由状態に対する物理量の期待値は、自由状態に対するグリーン関数と摂動部分(相互作用に対応)の積和の積分で表現できる。これが、ファインマン図に相当するということになる。つまり、自由状態のグリーン関数が細い線、相互作用が波線、となる。この二つのアイテムがつながる、というのが積の演算で、アイテムのことなる組み合わせの足し合わせが「和」になる。
まずは、昔のノートを読み返してみた。なかなかよいことが書いてあって、我ながら感心してしまう。これで、かなりの部分を飛ばすことができる。昔のノートで弱かったのが、物理量との関連部分。確かにここは公式だと思ってそのまま受け入れた方が時間の節約になる。が、今回は余裕があるので、ここも丁寧に読み込む事にした。
グリーン関数法の面白い点は、期待値を「厳密解」で挟む点である。つまり、建前は固有値を計算するのと同じことになっているのである。これはものすごい長所だ。とはいえ、もちろん厳密解はわからない訳で、例えば、通常の対角化法ではこれを基底によって展開し、その展開係数を計算によって求めるのだが、グリーン関数法では別のやり方でこの問題を切り抜ける。そこで利用するのが「断熱点灯法」という摂動風の考えだ。これを用いると、厳密解が求まる状態(H0の固有状態 |φ0>、自由状態と呼ぶことにしよう)からの時間変化をユニタリー演算子を用いて表すことになり、状態を厳密解になるまで「引っ張って行く」という風に捉える。つまり、
|ψ> = U(0,-∞)|φ0>
とする訳である。こうすると、期待値は自由状態に対してとることになり、計算が簡単になる。(自由状態は可解である、というのが条件だから、近似は不必要。)そのかわり、摂動近似はUに対して行う、というのがGreen関数のポイントである。自由状態に対する物理量の期待値は、自由状態に対するグリーン関数と摂動部分(相互作用に対応)の積和の積分で表現できる。これが、ファインマン図に相当するということになる。つまり、自由状態のグリーン関数が細い線、相互作用が波線、となる。この二つのアイテムがつながる、というのが積の演算で、アイテムのことなる組み合わせの足し合わせが「和」になる。
2010年7月8日木曜日
梅雨の最中の霧ヶ峰
霧ヶ峰へいってみた。
昨年は梅雨の直前のよく晴れた日に行ったのであった。今年は、少し行くのが遅れてしまい、梅雨の最中となってしまった。「今年のレンゲツツジはもう終わり」と聞き、慌てていくことにしたのだが、そこはやはり梅雨の最中である。いっても、土砂降りでは、花を楽しむどころではなかろう。そこで、長門牧場で昼飯を食べるだけでもよいではないか、と自分に言い聞かせ、久しぶりに高原に登ってみることにした。
登ってみると、ちょうど長門牧場の標高のところに雲がやってきていた。ついたときは、少し晴れていたのだが、やがて霧がさーっと立ちこめて、あっと言う間に本降りになってしまった。軒先のテラスで食べていた客は、皆レストランの中に退散した。私は犬連れなので、雨飛沫のかかる丸太のテーブルに独り残ることにした。
ここはピザがうまいのである。レストランの中心には、ピザの釜があり、そこで焼いたばかりのものを供してくれる。薄めのクラストはイタリア風である。マルガリータと、ソーセージオリーブがいつもの注文なのだが、この日はソーセージではなく、なぜかジャコオリーブであった。が、これもおいしかった。本来ここは牧場なので,ピザの材料のチーズ、ソーセージなどは牧場で生産した地産品を用いており、それもおいしさの理由なのだと思う。「なぜかジャコ」というのは、そういう意味である。
食事が終わっても,霧が晴れない。大雨の中、白樺湖まで登ってみる事にした。すると、驚いた事に、車山の東斜面は晴れているではないか!おまけに、眼下の茅野市街には陽射しが差し込んでいる様子まで見える。八ヶ岳も見えた。驚きの、山の天気である。ところが、車山を回り込んでみると、再び大雨となる。レンゲツツジは無理かと思われた。さすがにここは「霧ヶ峰」である。
しばらく、駐車場で待つ事15分ほど。うれしいことに、霧が流れ始める。雨は激しくなったり、小やみになったり、揺れ動いたものの、最後はついに晴れ間が広がった。
散策路を駆け下り、車山湿原に降りた。レンゲツツジの最後の盛り上がりになんとか間に合った。
季節は、ニッコウキスゲへと移ろいつつある。梅雨明け直後はきっと黄色い絨毯であろう。
昨年は梅雨の直前のよく晴れた日に行ったのであった。今年は、少し行くのが遅れてしまい、梅雨の最中となってしまった。「今年のレンゲツツジはもう終わり」と聞き、慌てていくことにしたのだが、そこはやはり梅雨の最中である。いっても、土砂降りでは、花を楽しむどころではなかろう。そこで、長門牧場で昼飯を食べるだけでもよいではないか、と自分に言い聞かせ、久しぶりに高原に登ってみることにした。
登ってみると、ちょうど長門牧場の標高のところに雲がやってきていた。ついたときは、少し晴れていたのだが、やがて霧がさーっと立ちこめて、あっと言う間に本降りになってしまった。軒先のテラスで食べていた客は、皆レストランの中に退散した。私は犬連れなので、雨飛沫のかかる丸太のテーブルに独り残ることにした。
ここはピザがうまいのである。レストランの中心には、ピザの釜があり、そこで焼いたばかりのものを供してくれる。薄めのクラストはイタリア風である。マルガリータと、ソーセージオリーブがいつもの注文なのだが、この日はソーセージではなく、なぜかジャコオリーブであった。が、これもおいしかった。本来ここは牧場なので,ピザの材料のチーズ、ソーセージなどは牧場で生産した地産品を用いており、それもおいしさの理由なのだと思う。「なぜかジャコ」というのは、そういう意味である。
食事が終わっても,霧が晴れない。大雨の中、白樺湖まで登ってみる事にした。すると、驚いた事に、車山の東斜面は晴れているではないか!おまけに、眼下の茅野市街には陽射しが差し込んでいる様子まで見える。八ヶ岳も見えた。驚きの、山の天気である。ところが、車山を回り込んでみると、再び大雨となる。レンゲツツジは無理かと思われた。さすがにここは「霧ヶ峰」である。
しばらく、駐車場で待つ事15分ほど。うれしいことに、霧が流れ始める。雨は激しくなったり、小やみになったり、揺れ動いたものの、最後はついに晴れ間が広がった。
散策路を駆け下り、車山湿原に降りた。レンゲツツジの最後の盛り上がりになんとか間に合った。
季節は、ニッコウキスゲへと移ろいつつある。梅雨明け直後はきっと黄色い絨毯であろう。
2010年7月7日水曜日
七夕:新しい論文を書き始める
4月に学会で発表し,5月に結論の出るた手法について、そろそろ論文にまとめようと思い、筆をとることにした。まずは、イントロに基礎的な部分をまとめて書く事にした。果たして7月一杯でメドがつくかどうか? 頑張らねば。
今日は七夕だが、どうも曇り空のまま夜になりそうな気配。そもそも東京では天の川が見えないから、無用の心配といえばそれまで。東北のように、旧暦に対応する8月7日に祝うのが一番良いとずっと思っている。
芭蕉の
荒海や 佐渡に横たふ あまのがわ
は、8月7日によく合うかもしれない。
今日は七夕だが、どうも曇り空のまま夜になりそうな気配。そもそも東京では天の川が見えないから、無用の心配といえばそれまで。東北のように、旧暦に対応する8月7日に祝うのが一番良いとずっと思っている。
芭蕉の
荒海や 佐渡に横たふ あまのがわ
は、8月7日によく合うかもしれない。
Bose-Einstein凝縮の基礎
東大でセミナーをやった。大学院生の人にも分かりやすい様に、という要望に応えるため、BECの基礎をおさらいしておくことにした。実は、時間をかけてGP方程式までの基礎をきちんとまとめたのは初めて。いろいろ勉強になった。Leggettの論文がまったくのオリジナルではなく、いわゆるLadder近似という摂動論を踏まえてのものだということがわかった。HFB近似が、希薄気体展開の一次近似に対応している、というのは、それにしても魔法のような感じがする。
せっかくFetter-Walleckaをもっているのだから、Ladder近似を勉強してみようと思う.まずはそのまえに、グリーン関数を用いた摂動論の復習をしなくてはなるまい。2週間ほどで片付けるつもり。
せっかくFetter-Walleckaをもっているのだから、Ladder近似を勉強してみようと思う.まずはそのまえに、グリーン関数を用いた摂動論の復習をしなくてはなるまい。2週間ほどで片付けるつもり。
登録:
投稿 (Atom)