英国の大学でパーマネントのlecturerになって7年ほど。長いようでいて、短かったというべきか。毎日、その日暮らしでなんとか乗り切ってきて、気がついたらそれだけの年月が経っていた、というのが正直な感想。英国の永住許可証をとってしまったりしたが、この国で墓に入る気にはちょっとなれない。理由はいろいろあるが、やはり文化の違いが大きい。(といっても、長い歴史や、文芸などに裏打ちされた、狭義の「文化」には共感できる点もあるが。)
メルギブソンの映画で、ずる賢いイングランド人、というシーンがあるが、ちょっと苦笑いしてしまうイギリス人はいるのではないだろうか?もちろん、イングランド人だって、なかには情深く、おもいやりのある人もいる。しかし、気になるのは、年配のイギリス人が口をそろえて指摘する、最近の「合理化」や「拝金主義」が英国人の精神を駄目にしてしまった、という言葉だ。これは、間接的にマギーサッチャーによってイギリスは壊れた、ということだ。この駄目になった後の世代と関わると、とても不愉快に感じることが多い。
しかし、同じ資本主義の下、日本だって、競争原理を無用に当てはめすぎて、よくない方向に進みつつあるのかもしれないことは否定できないだろう。(実は、この「競争原理」と呼ばれているものは、その昔(100−200年ほど前?)に流行った「進化論の曲解」に他ならないが。)とはいえ、日本の大学に限れば、まだ英国の現況ほどは悪化していないと思う。「アカデミア」はまだ死んでいないと思うし、崩れていても復活は可能な範囲だと思う。英国にもかつてあっただろうが、現在は捨てられてしまって、それでいてまだ日本に残っているのであれば、そこに行ってみたいと、まともな学者ならぜったいに感じるはずだ。
4月1日といえば、最近は東京で桜の散る頃なんだろうか? 先日、東京の某大学より准教授のポジションのオファーが来た。英国に比べれば多少なりともアカデミックな雰囲気の残る日本の大学で働けることになるのはとても嬉しいことだ。(よく考えると、日本で定職について働くのは初めのことで、いろいろ戸惑うこともある。例えば、90分の講義も今はまだ長く感じる。)
それでも、ヨーロッパでやりたい事はまだまだたくさんあるのは確かだ。これからは、共同研究の形で「訪問者」として英国と関わることになろう。特に、この国の夏は本当にすばらしい!(とはいえ、気候の変化があまりないので、ひと月もいたら飽きるけれど。)
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