かかりつけの医者にあった一冊の本:「じつは怖い外食」(南清貴著)を読んだ。その影響もあって、加工食品に含まれる色々な化学物質について調べてみようと思った。今回は浅草梅園のどらやき。もともとは、あわぜんざいを江戸時代に創り出した老舗和菓子屋さんだそう。はたして、そのどらやきはどうか?
調べてみると、トレハロース、膨張剤、レシチンというのが含まれていた....まずはトレハロースから。
wikipediaによると、トレハロースはC12H22O11 という糖類(二糖)であった。19世紀に(ライ麦から)発見され、その後昆虫(ゾウムシ)の分泌物からも分離された。見た目は白色で、甘味があるという(糖ですからね)。食品、化粧品などに広く利用されるらしい。昆虫やエビなどに多く含まれるが、それは昆虫の血糖の主成分がトレハロースだから(人間の場合はグルコース、すなわちブドウ糖)。つい最近まで酵母から抽出する工業生産法が主で非常に高価であったが、デンプンを原料に合成する方法を日本企業(岡山の林原)が発明。大量生産が可能となり、安価に生産できるようになったという。食品添加物としてもっとも興味深い特性は、「上品な甘味」、「品質保持(炭水化物などの酸化を防ぐ)と食感の改善(水和力が強いので乾燥しにくくなる)」、そして「渋み、えぐみ、獣臭、レトルト臭などの抑制効果」など。鮮度の悪い食材や、まずくなった保存食などを「おいしく食べる」ための魔法の薬みたいなものか?ただし、この化学物質自体には毒性はまったくないようだから、(かなり乱暴なまとめ方なのはお許しいただくとして)トレハロースの名前が出てきたら、トレハロースには問題がないが、食材自体が「まずくて、腐る寸前」というラフな認識でよいのではないだろうか?
次にレシチン。こちらは脂質だそう(構造はかなり複雑)。大豆や卵、うなぎなどに含まれている。人間が必要な栄養素の一つで、サプリメントとして服用する人もいるという。食品添加物としては、強い乳化作用による油と水の混合作用を利用する用途だという(たとえばマヨネーズとか)。これも、毒物ではなさそうだ(というより、かなり体によさそう)。いまのところ、気にしなくてよさそうだ。
最後に膨張剤:あきらかに、どらやきのふっくらした見栄えを狙ったもの。焼き方で勝負というより、薬を混ぜて成功率をあげようということだろうか?膨張剤とは要はベーキングパウダーのことを指すことが多く、これは20世紀の初めにドイツ人が発明したもの。重曹(炭酸水素ナトリウム)をメインに、ナトリウムやカリウム、あるいはカルシウムの化合物が少量混合されている。この少量の混合物が重曹の分解する時に出るガスによって、パンやどら焼きの生地に泡を含ませてふっくらさせるというカラクリ。害はないような気がする。
ということで、浅草梅園のどらやきは「安全」と判定することにした。ただ、日持ちするようにトレハロースが入れてある、ということで、栄養の観点から減点。たしかにかじってみると、「うーむ」な味わいがしたのは気のせいだろうか? 梅園の主力、あわぜんざいはオリジナルのレシピのまま店で供されているのを期待したい。
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