2010年12月31日金曜日

イギリスの部分日食

天体写真を撮ろうと思い、昔のカメラを倉庫の奥から引っ張りだしてきた。もう5年ほど前に使ったのが最後の、フィルム式の一眼レフCanon EOS1000である。最後の一枚はイギリスの自宅で撮った日食だったはずだ。記録を調べると2005年10月3日とある。日食直前までは晴れていたのに、いざ始まってみると、天気が急変して、厚い雲の切れ目から太陽を伺いながらの観測となったのを記憶している。部分食とはいえ、食の最大時間には相当部分が欠けると予想されていたので期待していたのだが、その時間より遥かに前に空は完全に曇ってしまった。

久しぶりに写真屋さんにいって、現像をお願いした。カメラから取り出したフィルムはBoots製(イギリスの薬屋さん)の24枚取りreversal filmであった。現像は1時間でできるという。以前は数日またされたものだが、現像する客など一年に何人もいないのであろう。ど田舎の高速道路を走るようなものだ。それよりなにより、はたして5年以上も放っておいてちゃんとフィルムは生き延びているだろうか?少し心配だった。そして、その結果は、少し早めの30分後にでた。


2005年10月3日の日食(near London, UK)
一枚目の写真を撮った時、空に流れる雲の量は少なかったので、太陽はまだ赤かった。しかし、やがて黒雲が立ちこめてきて、太陽は隠れてしまった。時折雲の間に隙間が現れ、一瞬だけ欠けた太陽が覗いた。そのとき見えた太陽は、雲の量が多いせいか天然のフィルターがかかった様に、色が白かった。まさに、英国の暗い冬の到来を予期させる天気だった。

ちなみに英国の冬時間は10月最後の日曜日から始まる。そういう意味でも、冬の到来が間近に迫る頃の日食であった。



2010年12月26日日曜日

オリオン座大星雲M42の観測

口径8センチの屈折望遠鏡、Vixen POLTA AII A80Mfを信州の空に向ける夜がやってきた。本日晴天なり。澄み渡る夜空に満点の星空が輝きにけり。早速、流れ星が一つ目の前で流れた。はやる気持ちを押さえつつ、最初のターゲットに望遠鏡を向ける。今夜のガリレオ衛星は4つ全て見えた(..o.. =2O2)。そのうち、右側の一つは木星の縁ぎりぎりの所にあった。また、天王星が同じ視野に収まって見えた。口径が10センチを超えた望遠鏡になると、青い円として見えるらしいが、自分の望遠鏡だと「点」に過ぎず、はっきりとはそれが天王星だとは断定できないが、位置からそう判断した。天王星と木星の接近は来年1月6日頃が再近接となるらしい。

次にアンドロメダ星雲。ペガサスは西の空に随分傾いて、望遠鏡で観測しやすい位置にある。前回、双眼鏡で観測したときとほぼ同じ角度。東京であれほど苦労した位置探しが苦もなくできる。ファインダーの中心に合わせてから、接眼レンズで覗くと「おー」であった。とはいえ、双眼鏡で初めて見たときと同じような感じの、淡い「光の雲」であった。もちろん、大きくは見えるし、若干は明るめに見えるものの、くっきり銀河の形が見えたり、寄生する2つの楕円銀河を確認するまでには至らず。ここからは写真の導入が必要となるのであろう。

そして、オリオン座の大星雲。こちらのスポットはまったく問題無し。アンドロメダ星雲よりよく見えるし、ひとまわり大きい。「鳥の羽」の部分と「鳥の頭」の部分のクビレはよくわかる。しかし、色は「白黒」だった。よく写真でみるオリオン大星雲はピンク色をしているが、その色が無いのである。明瞭さもアンドロメダ星雲と同じ程度で、ぼわっと見えるにすぎない。どうも、赤系統の星雲の色は写真じゃないとうまく見えないようだ。ベテルギウスの近くにあるバラ星雲はその典型例らしい。(残念ながら、この日はうまくスポットできなかった。白黒の小さな淡い天体を見つけるのは結構大変。)とはいえ、トラペゾイドを包む星間ガスの広がりには感嘆した。

今回は練習のつもりで、いろいろな天体(昴とか)を次から次へと見ていったので、スケッチをしていない。次はスケッチして記録を残したいと思う。そして、できれば写真撮影をしてみたいと思う。

2010年12月22日水曜日

こぐま座流星群

昨晩の皆既月食は残念だった。天気は、曇り、小雨(このとき月の出)と移り変わり、最後は嵐のような大雨となってしまった。夕方はちょうど首都高4号線を新宿に向けて走っていたので、摩天楼の向こうに昇る月食を見ることができたはずだった。

今宵7時頃、学生たちと天体観測をしていたら、白鳥座のあたりに明るい火球が筋を引いた。大きさのわかる火球で、その明るさに斑があるのもわかった。また、斑はイルミネーションのように時間変化した。こんな流星は初めて見た。

自宅に戻り、夜10時から12時ころまで、月、木星、昴、アンドロメダ星雲などの観測をしていたら、流星が2つ流れた。これもかなり明るい流星で赤っぽい筋を引いて流れたので、とてもきれいだった。一つ目は西に傾いたペガサス座の辺り、もう一つは天頂に近い昴の近くに流れた。

実は「こぐま座流星群」が明日の夕方ころピークを迎えるそうだ。今晩見たのも、きっとこの流星群なんだろう。実のところ、先日の双子座流星群よりよく見えた。今回の流星はタットル彗星が正体なんだそうである。双子座は小惑星だったから、彗星系の流星群の方が派手な色がでるのだろうか?とにかく、今日は楽しめた。

一方、木星は10時頃に見ると随分西に傾いていた。ずっと眺めていたら、西の地平線に沈んでしまった。日の入り、月の入りは見たことあるが、「木星入り」を見たのは初めて。今日のガリレオ衛星はというと、イオが(黄道に対して)木星のすぐ右側にあり、その向こうにガニメデがあった。左には(ガニメデと同じくらい離れた所に)エウロパ、そしてそのちょっと向こうにカリストが見えた。2+2で4つ全部観測することができた。木星の下部に(黄道に対して)星が見えたが、あれは多分天王星だと思う。

月のスケッチというものを初めてやってみた。眩しくて目が眩む。ティコクレーターはよく知っているが、それ以外にコペルニクス、ケプラー、ガウスといったクレーターを確認できた。しかし、月で一番美しいのは光と影の境界付近の風景だ。今日は満月の翌日なので、危難の海辺りの影が実に素晴らしかった。地球の大気の揺らぎもよく見えた。

最後にアンドロメダ星雲探しをやってみたが、どうもうまくいかない。双眼鏡だとすぐにみつかるのだが、望遠鏡のファインダーの像が反転するのと、月明かりで明るいので暗い星が追い難いのとで、レンズに入れることができなかった。残念。

今日は冬至。そして後期の最終日。明日から冬休みだ!

2010年12月15日水曜日

双子座流星群の観測

教授会は3時間超におよび、くたくたになってしまった。その後も講義があったりして、自宅の最寄り駅に戻ってきたときは夜9時になっていた。帰りの列車はぎゅうぎゅうだったが、一つだけガラガラの車両があった。喜んで入ってみると、浮浪者らしき酔っぱらいが寝ていたのであった。床にはなにやら液体らしいものが溢れていてビチャビチャであった。下車する人も数人いた。人間の発する蒸発アルコールとはああも臭いものか?!

駅から家への途中の空き地で空をみあげると、オリオンも双子座もずいぶん高度を高くしていた。立ち止まってしばらく見てみたが、一つも飛ばない。街灯が明るく夜空を照らして、黒い空になってない。これはだめだな、と諦め気味の気持ちになった。加えて、アルコール臭の気持ち悪さと疲労から頭痛がひどくなり、流星群の観測はどうせだめだろう、とあきらめ、10時半頃早々と寝てしまった。

ふと目が覚めて、起きてみると朝の3時半だった。まだ観測には間に合う時間だったので、寝巻きのままベランダに出てみた。空はずいぶん暗くなって、東京にしては星がたくさん輝いていた。星座は随分西に傾いていて、宵頃には白鳥、織り姫、彦星ぐらいしか見えない我が家の窓外の夜空に、オリオンや御者座、そして双子座などたくさんの星座がが現れていた!北の空には北斗七星、東の空には金星が輝いていた。

ベランダに立って一分ほどたったとき、カペラの左下、つまり御者のど真ん中に、連続して2つの光の筋が引いた!さすがに、ピーク時の夜はすごい、と思った。その後、1時間ほど観測を続けたが、微かなものがオリオンの右に続いて2つ、それからアルデバランのそばで一つ流れたのみだった。きっと、空気のきれいなところでは、「微か」な流星がくっきり見えるのであろう。それにしても明るい東京の空でもこれだけ流星が見えるということは珍しいことなんだろうと思う。信州で見た流れ星の美しさには適わないけれど、観測してよかったと思う。

ちなみに、双子座のすぐ近くで飛んだ流星は皆無であった。意外に広範囲に飛ぶもので、視野を広くとっておかないと見つけにくい、ということがわかったのは収穫だった。
ちなみに、今晩も7時頃にかなり飛ぶらしい。大学からみてみようと思う。

2010年12月14日火曜日

アンドロメダ星雲の観測

信州の冬の夜空は素晴らしい。星図に描いてある星がほとんどすべて見える!まずは流星群がじきに見えるはずの双子座を確認。足の部分までちゃんとわかる。東京だと頭の部分にあるカストルとポルックスしか見えない。夜9時をすぎると白鳥座が北の山並みに沈み始める。ペガサスが高度を下げて降りて来ていた。アンドロメダ星雲を観測するのに絶好のチャンスと思い、星図を持ち出して、丁寧に探してみることにした。

いままでの探し方は、カシオペアとペガサスの中間あたりを何となく探しまわるやり方で、なかなか見つからなかった。大学でチャレンジしたときも、ペガサスとカシオペアはわかったのに、アンドロメダ星雲を探し当てることはできなかった。今回は空気がきれいなところで観測したので、細かい星まですべて見えたのが役にたった。ペガサスの前足にあたる小さな三角形から初めて、後ろ足の方向に線を辿っていくと、念願のアンドロメダ星雲が双眼鏡の視界いっぱいに広がった。とにかく大きい!

見つかった場所は、いつも見ている領域からちょっとずれた場所にあった。カシオペアとペガサスの真ん中よりちょっと「上」(白鳥座と反対方向にずれる、という意味)を見る感じだと発見できる。双眼鏡だとコントラストが弱いので、はやくVixenの屈折望遠鏡でその姿をくっきりと見てみたい。

この夜、双子座の流星群を見ようと思ってオリオンの方を見ていたら、シリウスの右上から左下に向けて一つ流れ星が光の筋を引いた。おおよそ、30分で一つ程度の頻度ということになろうか?極大となる今度の火曜(水曜の未明?)が楽しみだ。

2010年12月3日金曜日

iMac G5のHDDサルベージ

ホームセンターでT-6, T-10のドライバーを入手して(これが結構高い)、先の分解工程へと進む。液晶の取り外しに成功し、次いでHDDの取り外しにも成功する。掃除機で埃を吸いながら作業を行う。驚いた事に、iMac G5のHDDはSATAであった。(実は、ここまでの作業ならT-10は必要なかった。)

これをLinuxマシン(core i7-860)につなぎマウントする。このとき、つながったiMac G5のHDDの識別番号の調査は次のように行う.
/sbin/parted
 GNU Parted 1.9.0
 /dev/sda を使用
 GNU Parted へようこそ! コマンド一覧を見るには 'help' と入力してください。


 parted> print devices

 /dev/sda (300GB)
 /dev/sdb (250GB)
 /dev/sdc (1000GB)


 parted>select /dev/sdb
 /dev/sdb を使用
 parted>print

 モデル: ATA WDC WD2500JS-40M (scsi)
 ディスク /dev/sdb: 250GB
 セクタサイズ (論理/物理): 512B/512B
 パーティションテーブル: mac

 番号  開始   終了    サイズ  ファイルシステム  名前   フラグ
  1    512B   32.8kB  32.3kB                    Apple
  3    134MB  250GB   250GB   hfs+

調査が終わったら、そのデバイス(つまり/dev/sdb3)をマウントする。OS Xのファイルシステムはhfplus。つまり、
mount -t hfplus /dev/sdb3  /mnt/mac_osx
以上の手順により、iTunesの音楽データ、そしてiPhotoのデジカメデータを全てサルベージすることができた!これでひと安心....


次は、埃をよく取った後に再度組み立てて、iMac G5が起動するかどうか


2010年12月1日水曜日

金魚

イギリスでの最後の夏休みに、里帰りして、とある夏祭りに行った。その時すくった金魚が家の池で大きく育っているのを先日見つけた。

その夏休みの間は水槽に入れて飼っていたのだが、イギリスに戻る時仕方なく池に放流したのだった。村を流れる小川から直接水を取り入れるこの池は自然の環境に近く、到底長くは生きられないだろうとその時は思った。それだけに驚いたし、なにより嬉しかった。

この池ではオイカワの稚魚が毎年無数に生まれる。その群れに混じって、見覚えあるオレンジ色の模様をした金魚が悠然と泳ぐのを見て、畏敬の念を禁じ得なかった。

夜祭りを映して泳ぐ朱文金