2015年4月16日木曜日

「科学4月号」の甲状腺癌の記事

岩波書店の「科学」4月号に甲状腺癌検査についての分析記事があった。

津田敏秀さん(岡山大学)の記事。発生率は、100万人あたり3人と言われているが、福島県の中通り中部では100万人あたり6人強という数字が出ていて、「原発事故が原因と言わざるを得ない」と述べている。この雑誌にある別の記事(牧野さん)でも「この結果をみると、原発事故と因果関係がないとは言い切れない」とある。

また、小豆川さん(東京大学)の記事も興味深いものがあった。群馬県や山梨県にある「道の駅」(国道沿いにある地域の物産店)で昨年秋(2014年)に購入した舞茸の放射能レベルを測定してみたところ、150-180 Bq/kgという結果となった、という記事だ。政府の出した基準(100 Bq/kg)に従えば、この商品の販売は禁止すべきなのだが、お店で売っている地元の人々に「まずいものを売っている」という気持ちは見受けられないという。つまり、放射能汚染のことを完全に忘れてしまっていて、平然と放射能汚染されたキノコをお土産用に売りさばいているのだという。

個々の事例としては大きな問題ではないだろうが、こういうことが重なりながら、体内に放射能物質は蓄積し、30年とか経った後に、突如として牙をむくのであろう。とりあえず、福島地域の甲状腺癌の発症リスクが問題レベルに達しつつあるのは、警戒の必要があると思う。チェルノブイリのケースと比較すれば、あと1、2年もすれば、100万人に20人とか、60人とか、現在の10倍以上の発生率に跳ね上がる可能性が高いはずだから。


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