2018年7月15日日曜日

玉村豊男氏の「病気自慢」を読む

文筆家であり、画家であり、ワイン醸造家であり、ヴィラデストなどのレストラン経営なども手掛ける、実業家兼芸術家の玉村豊男氏のブログをまとめた「病気自慢」を、ヴィラデストで購入した(サイン入り)。

この本はとにかく面白い。笑って楽しめる漫画みたいな本である。しかもそれが、著者本人の病気がネタだというところが、さすがに玉村さんである。他の誰にもこういう文書はかけないと思う。

先日(二週間ほど前)訪れた時、インタビューかなにかを受けるため、レストランに大勢の人と座っておられたので 、体調はよいのではないかと思う。

ちなみに、ヴィラデストの庭園は今もっとも美しい状態であり、心より感心した。

「一汁一菜でよいという提案」を読む

有名な料理研究家の土井善晴氏の著書である。2016年に出版され、今年の4月ですでに24刷であるから、相当の人気であることは確かだ。TVにおける彼の料理に対する説明や考え方には共感できるところも多く、この本になにが書いてあるかとても興味があった。

一通り読んでみると、この本は彼の思想、理論をまとめ上げたものではなく、徒然なるままに思ったこと、感じたことを書き綴った随筆であった。これには若干落胆した。やはり、彼が今までに考え抜いたこと、どうしてその考えに至ったのか、その根拠としてどのような他の仕事があるのか、などを有機的に書いて欲しかった。

とはいえ、彼の信念、思想の一端を垣間見ることはできる。たとえば、冒頭にある「日本人の料理の基本は米と味噌である」という最初の主張はいささか驚きではあったが、それなりに説得力を持つと思った。「洗い米」という、米への吸水過程の重要性を知ることができたし、味噌汁にはベーコンでもブロッコリーでもなんでも入れていい、という土井氏の発想には驚かされた(後述するように、それはあくまで「日常食として」であるが)。あさりの味噌汁にするか、しじみの味噌汁にするか、いつも迷うところであるが、それに対する明快な答えも本書には書いてある。春先から初夏までが「あさり」、真夏から冬にかけてが「しじみ」だという。これは海の貝か、川/湖の貝かと違いで決まるそうで、おそらく「貝毒」と関係あるはずだが、土井氏は伝統と直感に基づく記述を好むので、科学的な裏付けは詳しくは書いてない。

また、味噌の種類を分類してくれたのも勉強になった。日本でもっとも人気のあるのが信州味噌で、米麹を大豆に混ぜて発酵させるタイプ。材料や製法はほぼ同じだが、熟成期間が長いのが仙台味噌。名古屋などで好まれるのが八丁味噌で、こちらは米麹を使わず大豆だけで発酵させる。西京味噌は米麹タイプだが、発酵時間がものすごく短いタイプ。九州味噌は麦麹を使用する。科学的な裏付けは薄い、と上で評したが、「味噌中にO157を埋め込むと死滅するという報告があり、たしかに味噌料理で食中毒が発生したことはない」という記述は少し参考になった。本当かどうかはわからないが、そうなのかもしれないから覚えておこう。

日常食とご馳走を分けるという和食の発想も初めて知った。「切干大根やひじきの煮物を『美味しい!』と大げさに褒め称えたら、それは逆に嘘くさい」と書いてある。西京味噌は「おめかし」であり、京都では日常食の味噌汁には赤味噌(あるいは合わせ味噌)を用いるとあった。西京味噌は長持ちせず、上品な色合いだけを追求して作られたものだろうから、毎日毎日の食材としてはきっと不向きなのだ。

後半には「我々日本人は鍋料理が日常食としてよく用いられるが、我々の「祖」である縄文人はきっと土器を用いて鍋料理をしていたことだろう」との言及がある。日本に味噌がもたらされたのはきっと縄文の後で、おそらく中国から輸入したものだろうから、前半の「一汁一菜」の考え方には当てはまらない。また、日本人(特に関西系の人々)が縄文人の直系かという問題はまだまだ未解決の部分が残る。しかし、「縄文人の「味付け」はなんだったのだろう? 」という興味を喚起してくれたのは、さすがに土井氏の目のつけどころがよいからであり、考古学に「料理」の観点から切り込む視点が今まで私自身に欠けていたことを素直に反省したいと思う。

2017年10月3日火曜日

井筒八ツ橋本舗

成城石井で買った井筒八ツ橋本舗のつぶあん入り生八ツ橋には、トレハロースが入っていた。日持ちがいいし、まあ仕方ないかと妥協する。そうしょっちゅう食べるわけでもなし、ときどき楽しむ分には問題ないはず。とはいえ、できるものなら、やはり京都でトレハロースなしの生八ツ橋をいただきたいものだ。

2017年10月2日月曜日

2017年ノーベル賞(医学生理)

Twitterによる発表が一番早かった...

まず、日本人の受賞ではないことはわかった。(受賞者3人はみなアメリカ人)

受賞対象:体内時計(24hのサイクル)が細胞のどこでチクタク動いているかを、分子レベルで解明したとか。 でも、たしか体内時計はなぜか25hサイクルになっていて、朝日を浴びてその誤差(24hとのずれ)をリセットしていると、どこかで聞いたことがある。

2017年9月18日月曜日

亜硝酸ナトリウム:ソーセージとハム

日本のソーセージとハムには必ず亜硝酸ナトリウム、NaNO2が添加されている。これは法律で定められているからだそうだが、実は発がん性が以前より疑われており、使用中止を求める科学者も少なくないらしい。実際、WHOも加工肉の発がん性について最近コメントを出し、ちょっとした話題になった。

Wikipediaによると、このWHOのコメントというのは、発がん性がある、というコメントであり、発がん性が高い、ということではないから、注意するように、とのこと。また、亜硝酸ナトリウム自体の害ではなく、肉に含まれる成分と亜硝酸ナトリウムが反応してできる化学物質が発がん性を有するのだという。)

日本の法律で、ソーセージやハムに亜硝酸ナトリウムの添加が義務付けられている主な理由は「殺菌」である。O157とかをやっつけてくれるのだという(だとしたら素晴らしい)。しかし亜硝酸ナトリウムを直接「大量に」摂取すると人間でも死んでしまうらしい。致死量は2gで(「大量」って量じゃないような)、劇物に指定されている。

また、亜硝酸ナトリウムをハムやソーセージに混ぜる生産者側の理由は、この薬品をハムやソーセージに添加すると、肉の色が綺麗になるからだという。

この化学物質のその他の用途としては、防錆材があり、コンクリートの鉄筋に塗るらしい。

正直、ここまで調べて、日本のソーセージとハムを食べる気がだんだん失せてきた。色づきのよいハムほど、この薬品がたくさん入っているのだとしたら、なんか騙されているような気がする。少なくとも、毎日の朝食にたくさん食べるのはやめることにしよう。1日1本くらいなら大丈夫だろうか?ヨーロッパから輸入した生ハムとかはどうなんだろうか?今度調べてみよう。

2017年9月17日日曜日

とらやの水羊羹

さすがに虎屋の水羊羹には変なものはまったく含まれていない。原材料は「砂糖、水飴、そして小豆」のみ。完全なる安心とはこのことだろう。

調べてみると、虎屋の創業は室町時代だそうだ!

2017年9月15日金曜日

トレハロース:C12H22O11

かかりつけの医者にあった一冊の本:「じつは怖い外食」(南清貴著)を読んだ。その影響もあって、加工食品に含まれる色々な化学物質について調べてみようと思った。今回は浅草梅園のどらやき。もともとは、あわぜんざいを江戸時代に創り出した老舗和菓子屋さんだそう。はたして、そのどらやきはどうか?

調べてみると、トレハロース、膨張剤、レシチンというのが含まれていた....まずはトレハロースから。

wikipediaによると、トレハロースはC12H22O11 という糖類(二糖)であった。19世紀に(ライ麦から)発見され、その後昆虫(ゾウムシ)の分泌物からも分離された。見た目は白色で、甘味があるという(糖ですからね)。食品、化粧品などに広く利用されるらしい。昆虫やエビなどに多く含まれるが、それは昆虫の血糖の主成分がトレハロースだから(人間の場合はグルコース、すなわちブドウ糖)。つい最近まで酵母から抽出する工業生産法が主で非常に高価であったが、デンプンを原料に合成する方法を日本企業(岡山の林原)が発明。大量生産が可能となり、安価に生産できるようになったという。食品添加物としてもっとも興味深い特性は、「上品な甘味」、「品質保持(炭水化物などの酸化を防ぐ)と食感の改善(水和力が強いので乾燥しにくくなる)」、そして「渋み、えぐみ、獣臭、レトルト臭などの抑制効果」など。鮮度の悪い食材や、まずくなった保存食などを「おいしく食べる」ための魔法の薬みたいなものか?ただし、この化学物質自体には毒性はまったくないようだから、(かなり乱暴なまとめ方なのはお許しいただくとして)トレハロースの名前が出てきたら、トレハロースには問題がないが、食材自体が「まずくて、腐る寸前」というラフな認識でよいのではないだろうか?

次にレシチン。こちらは脂質だそう(構造はかなり複雑)。大豆や卵、うなぎなどに含まれている。人間が必要な栄養素の一つで、サプリメントとして服用する人もいるという。食品添加物としては、強い乳化作用による油と水の混合作用を利用する用途だという(たとえばマヨネーズとか)。これも、毒物ではなさそうだ(というより、かなり体によさそう)。いまのところ、気にしなくてよさそうだ。

最後に膨張剤:あきらかに、どらやきのふっくらした見栄えを狙ったもの。焼き方で勝負というより、薬を混ぜて成功率をあげようということだろうか?膨張剤とは要はベーキングパウダーのことを指すことが多く、これは20世紀の初めにドイツ人が発明したもの。重曹(炭酸水素ナトリウム)をメインに、ナトリウムやカリウム、あるいはカルシウムの化合物が少量混合されている。この少量の混合物が重曹の分解する時に出るガスによって、パンやどら焼きの生地に泡を含ませてふっくらさせるというカラクリ。害はないような気がする。

ということで、浅草梅園のどらやきは「安全」と判定することにした。ただ、日持ちするようにトレハロースが入れてある、ということで、栄養の観点から減点。たしかにかじってみると、「うーむ」な味わいがしたのは気のせいだろうか? 梅園の主力、あわぜんざいはオリジナルのレシピのまま店で供されているのを期待したい。