当然セシウム以外の放射能汚染もあるとは思うが、簡便に測定できるということで放射性セシウムによる汚染が今の所議論の俎上に登ることが多いので、あえてその流れに乗って議論してみる。(とはいえ、汚染水が漏れ続ける福島原発からは、多種多様な「死の灰」が放出されていることは忘れるべからず。)
これまでに、何回か福島原発の専用港に住む魚の放射能汚染についての報道があったので、ここでいったんまとめておこう。
一番最近のものは、
3月16日に報道されたアイナメの汚染で、740,000 Bq/kg(74万ベクレル/キロ)。今までに測定したもっとも汚染のひどい土壌が
13,000 Bq/kg(1万3千ベクレル/キロ)だった(千葉県印西市)から、原発前の海の汚染のひどさは桁違いであり、群を抜いている。
時系列を遡る形で、今までの報道をまとめてみよう。
1) Mar. 16, 2013, 福島原発港湾内, アイナメ, 740,000 Bq/kg
2) Mar. 1, 2013, 福島原発港湾内, アイナメ, 510,000 Bq/kg
3) Mar. 1, 2013, 福島原発港湾内, ムラソイ, 277,000 Bq/kg
4) Dec. 18, 2012, 福島原発港湾内, ムラソイ, 254,000 Bq/kg
5) Dec. 18, 2012, 福島原発港湾内, ムラソイ, 140,000 Bq/kg
6) Dec. 18, 2012, 福島原発港湾内, タケノコメバル, 101,000 Bq/kg
7) Nov., 2012, 福島沖, マコガレイ, 1300 Bq/kg
8) Nov., 2012, 福島沖, シロメバル, 1700 Bq/kg
9) Aug., 2012 福島県南相馬沖20km, アイナメ, 25,800 Bq/kg
10) Aug., 2012, 福島沖, アイナメ, 25,800 Bq/kg
11) July 2012, 宮城沖, クロダイ, 3300 Bq/kg
12) May 2012, 福島沖, ウスメバル, 1500 Bq/kg
注:1)-6)の調査は東京電力、7)-12)の調査は水産庁によるもの。
(データは、東京新聞より。)
だんだん、日が経つにつれて魚の汚染はひどくなっているように見える。東電の担当者はいい加減な説明をしているようだが、生物濃縮の可能性がかなり高いと思う。海水の汚染が軽減しつつあるのは、環境中に拡散しながらも生物には濃縮しているからと考えるのはごく自然だと思う。はっきりさせるためには、科学的な調査、分析が必要だ。