東京の満開の桜を後にして、信州にやって来た。目的は...パンスターズ彗星の観測だ。佐久平を西向きに臨む高台(桃の果樹園が広がる丘)に登っての観測。夕映えに八ヶ岳、立科、そして槍ヶ岳、穂高などの北アルプスの連峰が一望できた。
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蓼科山と八ヶ岳連峰、そして佐久平 |
視界はあまりよくない。空は白っぽく春霞の状態。しかも、西の山なみのほとんどが晴れて居るというのに、肝心の彗星がある辺りには細い雲がたなびいていて、よくない予感が...
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北アルプス連峰
(左の矢印は穂高連峰(?)、右の矢印は槍ヶ岳) |
観測は6:30pmから始めたが、7時近くになっても彗星が発見できない。東京だと、この時間になったらあきらめなくてはならない。が、信州のこの場所では7時を過ぎても高度がかなり高いようで、かなり暗くなってからも観測できるらしい。それだけを頼りに、暗くなってしまった西の空の高感度撮影を繰り返す。望遠レンズで掃天してみたが、まったくひっかからない。気温が下がり、手がかじかんでくる。東京の春の空気とはまったく違う冬の冷たさだ。「まさか、ここまできて収穫無し?!」と焦り始める。
そこで、広角レンズに切り替えて、とにかく彗星の染みを捉える戦法に切り替えた。何度か露出時間を調整しているうちに、彗星らしい光が写っているのがわかった。
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広角のレンズで見つけたパンスターズ彗星。 |
露出時間と感度をメモり、彗星のいる辺りに今度は望遠レンズを向ける。なんどか周辺を探っていたら、「来たーっ!」と思わず叫んでしまうほど、きれいに尾を引くパンスターズ彗星が画面の右下に写った。カメラの位置を手で調整すると、ファインダーから逃げてしまう。なんどか試行錯誤してなんとか満足できる場所に収めることができた。そこからは、バシャバシャと夢中でシャッターを切るのみ。
肉眼では、空は真っ暗、彗星の形はまったくわからない。iso3200のCCDだけがその姿を見ることができるのだ。家に戻って現像、画像調整してやると、夕焼け空に、クッキリ尾をたなびかせる彗星が画面に浮かび上がった。しかし、こんな風景が肉眼で見えた訳ではない。あくまで、カメラとコンピュータに助けられて、やっと見ることができる風景だ。とはいえ、すばらしい風景であることには違いない。ちょっと大きめの望遠鏡を使えば、眼視できるのかもしれない。
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iso3200, 3.2sec(x6 with gimp) |
gimpでは、とりあえずたくさん撮った写真から6枚を選び、2枚づつをペアにして平均加算し3枚にする。次に、この3枚を単純に加算する。色合いなどの微調整を最後にやって、今回の現像とした。
それにしても、
東京で観測したときと比べると、信州で見た彗星の姿の美しさは、雲泥の差があるといっていいだろう。
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