2013年4月16日火曜日

広島を訪ねる(2)

広島大学の東広島キャンパスは、とにかく「ばかでかい」。一つの会場から別の会場に移動するだけで15分はかかってしまうのではないか?キャンパスの真ん中にはこの地域特有の溜め池があって、漱石の草枕に出て来た山間の桜の場面を思い出させてくれた。このとき、広島は桜の始めだった。
広島大学の「ぶどう池」
キャンパスは自然がよく残っていて、山の斜面をそのまま土がむき出しのままにしてある。地学の先生からのアドバイスなんだろうか?不整合面が観察できる露頭が残されていて、説明板が設置されていた。とても勉強になる。

それによると、この地域は花崗岩の母岩に、堆積層が乗っかっているのだそうだ。たしかに、この周辺の丘のような山々の所々には花崗岩の露頭があった。広島の自然放射線量が高いのこの母岩のせいだ。花崗岩は風化すると鉄分が出てきて、土を赤っぽく染めるようで、大学内の崖は赤い色をしている場所が多かったのが印象的だった。大学の中にはこのような崖があちこちに残っていて、調査がやりやすかった。
キャンパス内にある断層の露頭とその説明板
土壌サンプリングと線量を測定した場所も同じような場所で、赤い土が特徴的だ。実は、東広島の民家の屋根瓦を見ると、ほとんどが赤というかオレンジ色をしている。これもこの土地の土を使って焼いた瓦だからだろう。この赤い屋根瓦は西条瓦というそうで、明治の頃より普及しているとか。

調査地点の様子
DoseRAE2は0.15μSv/hを示した。
この日はしとしと雨が終日降っていた。もしかするとビスマス214の影響があったのかもしれないが、それでも0.15μSv/hというのは結構高い線量だ。これは原爆の影響が残っているからでもないし、福島原発の放射性プルームがここまで到達したのでもない。大地の持つ自然放射能の影響のはずだ。結論はベクミルでγ線のスペクトルをみてみれば出る。

ちなみに、福島原発からの放射性セシウムによって土壌が汚染された東大本郷キャンパスでは0.13μSv/h、同じく汚染の強い渋谷の代々木公園が0.12μSv/hなどという測定結果がこれまでに出ている。(東大はほぼ2000Bq/kg、代々木公園は1600Bq/kgの放射能が土壌から検出された。)

広島市の中心部は、東広島キャンパスからは結構離れていて、残念ながらなかなか気軽にいくことができなかった。そこで、広島のホテルに滞在した同僚に調査測定を依頼し、代わりにやってもらうことにした。この日と打って変わり、汗ばむような春の一日となった晴天の下での調査となったらしい。

私はというと、広島見物は、雨の降る中、車で中心部を駆け抜けただけとなった。原爆ドームや広島城も車内から見ることはできたが、広島の中心街は駐車場を見つけるのが大変で、車を止めてゆっくり歩き回ることができなかった。(駐車場は大きいのがあるのだが、平和公園からは結構歩く距離にある。雨降りの日にはちょっとキツいものがあった...)また、広島の「右折レーン」という独特のローカルルールに少し戸惑ったのもある。路面電車も走っていて、ちょっとパニック状態となった場面もあったかもしれない。それにしても、右レーンをがら空きにして、左レーンにぎっしりと車が並ぶというのは、いったいなんなんだろう?

広島市の調査へ続く

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