2014年3月4日火曜日

イタリアのセシウム汚染:フィレンツェの場合

1986年に旧ソビエト(現在のウクライナ)にあったチェルノブイリ原子力発電所が爆発事故を起こし、大量かつ多様な放射性物質が地球全土に散らばった。近接するヨーロッパの汚染は当然ながらもっとも深刻で、スカンジナビア半島(ノルウェー、フィンランド、スェーデンなど)、アルプス高地(オーストリアやドイツなど)、そして黒海沿岸(トルコも)にまでその影響は広がった。

アルプスに近いイタリアの北部の汚染も深刻で、ミラノ周辺出身の友人達から牛乳の摂取制限が幼少期にあったことを聞いている。

昨年、フィレンツェを訪ねる機会があったので、果たして原発事故から30年近く経った現在、イタリア中部の土壌はチェルノブイリ原発事故の傷跡を残しているのかどうか気になり、サンプルを持ち帰って放射能測定を行ってみた。

採取したのはミケランジェロ広場近くの公園の土壌。キャンプ場らしき看板が近くにあったので、もしかしたらキャンプ場の一角なのかもしれない。微妙なピークなるだろうと予想し、測定は60分にした。結果は次の通り。
出た...見事にセシウム137の「一本ピーク」が660keVのところに屹立している。セシウム134のピークは二本とも痕跡を残していない。これがセシウム137の半減期である30年後の汚染状況なのだ、と思うと鳥肌が立った。というのは、ある意味で、このスペクトルの図は、セシウムで汚染された東日本の30年後の未来を覗き見ていることになるからだ。

鳥肌のもう一つの理由は、30年経っても傷跡が残るという点に(頭ではわかっていたがやっぱり)驚いたからだ。もう少し微妙な判定が必要なほどピークは低いだろうと予想していたのだが、クッキリとその存在を確認できるほどしっかりしたガウス分布型のスペクトルを示している!

しかも、チェルノブイリ事故から30年近くも立っているのに100Bq/kg以上であると算出されている。このスペクトルが消えていくのは、きっと私が寿命を全うしたときなんだろう。

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