2018年9月6日木曜日

北海道の大停電に伴う泊原発の状態

今朝未明(2018年9月6日午前3時ごろ)に、北海道で起きた大地震により、現在北海道全域が停電している。大停電、いわゆる「ブラックアウト」状態である。

これにより、北海道の岩内(ニセコの近く)に近い場所にある泊原発の電源が喪失となった。福島原発が爆発した時を思い起こさせる嫌な展開である。ただ、現在は非常用のディーゼル発電機が作動し、それを電源として使用済み燃料のための冷却システムを稼働している。

使用済み燃料というのは、使用前の核燃料に比べて、圧倒的な放射能強度を持ち、そこから出てくる崩壊熱はたいていの金属を溶かしてしまうような高温(数千度)を発生するため、冷却する必要があるのだ。日本の主な原発は水冷式を採用している。水は100度(ただし、1気圧の場合。もし台風が近づいているならもう少し低い沸点になるはず)で沸騰してしまうので、水を循環させて常に冷たい水を供給する必要がある。

したがって、電源喪失というのは、使用済み燃料の安全管理の観点からすると、最大の問題であるといえる。もし、非常用電源の燃料が尽きてしまえば、冷却用の水はみるみる沸騰して干上がり、灼熱の放射能物質は遮蔽壁を溶かすことになるだろう。そこから染み出す使用済み燃料の中には、揮発性の放射性物質、例えばヨウ素131とか、セシウム137とか...嫌な名前が再登場することになる。こうなると、付近の放射能汚染が発生する。特にヨウ素131は空気や水(川、海、雨)に溶け込んで、子供達の体に入り込むと、深刻な内部被曝を引き起こし、甲状腺癌の発生リスクが上昇する。また北海道以外に住む人にも影響は発生するだろう。それは、北海道の農産物(牛乳、チーズ、ヨーグルト、牛肉、羊肉、鶏肉、それに野菜など)に対する放射能汚染が広がり、「風評被害」も発生したりして、食生活が混乱する可能性は大いにある。

多くの人が気になるのは、この発電機があと何時間もつのか?そして、北海道電力による電気の復旧は間に合うのか?ということであろう。北海道電力の状況を知ることは、現場の担当者でもはっきりしたことは言えないだろうから、そちらを調べるのは後にして、まずは非常用ディーゼル発電機の稼働限界時間について調べてみることにした。

まだ直接の情報は見つかっていないが、東海原発を管理する「げんでん」(日本原子力発電株式会社)の説明文が見つかったので、ここに引用しておこう。

この文書によると、東海原発の非常用電源一機につき八時間の連続運転が可能であるという。一つの発電機で、東海原発の冷却システムのすべてを作動させることができるという。電源は全部で3機あるので、二十四時間、すなわち1日は連続運転させることが可能だという。また、施設内の貯蔵タンクからの補給が可能であれば、一週間以上の連続運転が可能だと説明されている(福島のケースで考えると、このあたりが実際には問題となるはずで、現実にはホースが破れたとか、つなぎ目が変形して入らないとか、タンクにヒビが入って貯蔵タンクは空になったとか、いろいろな問題が起きる可能性はあろう)。毎日新聞の報道でも「一週間程度」という数字は出ているし、世耕経産省大臣のtwitterにも(根拠は薄弱だが)「一週間分は確保している」と書いてある。(追記:毎日新聞は、さきほど非常用電源の継続時間を「10日間」に変更した。)

この文章を書いている最中に、世耕大臣による新たなtweetがあり、「苫東厚真火力発電所に損壊が発見された」ということである。北海道電力による電源の復旧はまだ先になりそうで、こちらはかなり心配である。

泊原発のスペックに関する調査は引き続き行うことにして、とりあえずはここまでわかったことをまとめてみた。



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