2019年1月16日水曜日

人工流れ星:ALEの挑戦

明日、1/17に鹿児島の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げ予定だったイプシロン4号機の打ち上げは、1/18の朝に打ち上げ延期となったそうだが、この三段式固体燃料ロケットは今回複数の衛星を打ち上げる予定で、その一つにALEという民間会社が製作した「人工流れ星発生衛星」が含まれている。

ALE...ビールの種類だとおもったらそうではなく、Astro Live Experiencesという会社名の省略だという。この会社は 「人工流れ星」を作り出して、花火のようなお祭り企画を売りモノにしたいと考えている。

筋金入りの天文ファンには、こういう「偽物」は非常に評判が悪いようだが、一般の人にはずいぶん好意的に受け入れられているようだ。国内外のメディアでも最近しきりに紹介されている(もちろん、これはこの会社のプロモーション部門の売り込みなんだろうが)。

ただ、技術的にはちょっと興味がある。まず、流れ星の中身は、様々な重金属を練りこんだ鉄球だと思う。花火と同じように炎色反応を応用しているはずだ。ALEによると、赤い流れ星、緑の流れ星、など様々な色をデザインできるようだ。次に、狙いの上空に流れ星を流すには、衛星の姿勢制御を精密に行う必要がある。説明によると、これは恒星の位置を観測し、それをもとに計算して角度や位置を割り出すそうである。これはなかなか面白いシステムだと思う。GPSとかは使わないのが、"Astro"っぽい感じでいい。

打ち上げはうまくいくだろうが、試練はその後にまっているはずだ。というのも、衛星から物体を打ち出す、つまり投げ捨てる わけだから、地球をすでに回っている既存の衛星、特にISSにとってみたら、とんでもない話である。したがって、国際的な協議の結果、この流れ星衛星はずいぶん軌道高度を下げて運用するように要請されているらしい。したがって、イプシロンが衛星を投入する高度は結構高いだろうから、なんらかの方法で、地球に向かって高度を下げる運転が必要となる。

昔、ザクとガンダムが地球上空で戦闘を行なった際、少佐の部下クラウンは無残にも大気との摩擦で燃え尽きた。 スペースシャトル、コロンビアも大気圏突入に失敗し、大破した。だいたい、ハヤブサだって燃え尽きた。重力とのバランスをとりながら、少しずつ高度を落とすのは意外に難しいのではないだろうか?

次の試練は姿勢制御だろう。3つほどバランスコントローラーが付いているらしいが、一つでも壊れたら運用停止するようJAXAやNASAから求められているらしい。それはそうだ。鉄球の行き先が制御できないようでは、恐ろしくておちおち寝てもいられない。広島の上空に流すつもりが、平壌や北京の上空に落としてしまったら、第三次世界大戦の火蓋を切るロケットが飛んでくる可能性だってある。ここが一番の正念場になるはずだ。

もちろん、打ち上げの衝撃で、弾丸発射装置(銃?)の故障なども考えられる。

成功を祈る。

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