しかし、面倒なのは、一般の人や大学事務が好むMS wordやエクセルで作ったファイルの扱いだ。macはマイクロソフトのアプリケーションがデフォルトではインストールされていないので、windows系の書類を扱うのが苦手だ。
とはいえ、最近はpdfによる文書作成が普及したこともあり、議事録などがdocファイルだけで直接 配布されるようなことは少なくなってきた。内容を確認するだけなら、pagesを使ってdocファイル、Numbersを使ってエクセルファイルを閲覧することはできる。
また、学会発表もpowerpointではなく、keynoteやpostscript言語によって作った図形をpdfに落としてプレゼンファイルをつくるようにしている。
そんなこんなで、2011年にMS office 2011 for macを購入して以来、 MS Office製品はアップデートも新規購入もしないまま済ませてきた。どうしても必要な時は、古いmacbook airを引っ張り出してきて、そこにインストールしてあるMS office 2011 for macでワード文書やエクセルファイルを処理していた。
しかし、新しいmacbook proを購入し、macOSもmojaveにアップデートし、その使い勝手の良さに慣れてくると、次第に古いmacbook airを引っ張り出してくるのが億劫になってきた。
そこで、とうとう、新しいmacbook proにMS officeをインストールしてみようと思い立ったというわけだ。しかし、八年のブランクは予想以上に大きく、様子がわからずに随分手間取った。その一部始終をメモしておこう。
まず思いついたのが、app store で購入し、ダウンロードする方法だ。しかし、検索しても検索してもなかなかマイクロソフトの製品にたどり着かない。もしかすると、「出店」してないのかも...と、30分ほど粘った後に結論せざるを得なかった。
マイクロソフトのホームページは実に見難い。が、なんとかオフィスのページを探し当てることができた。どうやら、MS office 2011 for macの後継はまだ販売されているようだ。現行製品はMS office 2016 for macというらしい。色々なバージョンがあって、Home & Businessというスタンダードなものは3万3千円、Home & Studentは2万2千円で、両者ともにダウンロード版のみの販売らしい。インストールできるマシンの台数は2台のみ。ただし「永続的」に使用できる。一方、academic版は1万6千円 と随分安くなるが、ダウンロード版はなく、指定された店舗、たとえば大学生協で購入することになるようだ。
新しい製品としては、office 365 soloというパッケージを見つけた。ダウンロード版のみで、windowsとmacの区別はないらしい。値段は1万1千円と格安である。しかし、使用期限が一年間だけである。つまり、毎年1万円ちょっとを払い続ける必要があるわけで、長い目でみれば随分損である。
「オフィスの無料版がネットで使えるらしい」という情報を掴んだが、ぬか喜びであった。調べてみると、この製品はOffice Onlineというらしく、ネットにつないだ状態で利用するらしい。だが、この製品(というよりはネットサービス)はマイクロソフトアカウントというメンバーシップを保有するひとだけが使えるサービスらしい。このアカウント自体は無料で作成できるが、まずメンバーになる気がしないし、なにより、このサービスはwindowsだけからしか利用できないというオチがあってがっくりである。
ここまで調べた結果で最適な解は「academic版を生協に買いに行く」ということになるのだろうが、きっと「入荷までに何日かかります」とか言われてしまい、どうせすぐには買えないのであろう。 面倒だ。
最初にやったのは、古いmacbook air のMS office関連のディレクトリをそっくりUSBメモリにコピーして、新しいmacbook proのアプリケーションフォルダーに移植することである。アプリを起動することはできる。しかし、インストールの認証ファイルに不備がある、というメッセージが出てきた。とはいえ、エラーメッセージを消してやると、古いファイルを閲覧することだけならできるようだ。しめしめ。しかし間も無くして、大きな問題があるのがわかった。新規ファイルの作成が禁止されていたのである。これでは、予算申請書を作成したり、事務から送られてくる書類を修正して送り返す、という作業ができない。
次に思いついたのは、古いMS Office 2011 for macのインストールCDを、物置から探し出すことである。あの時は製品をCDで購入したので、きっと「永続使用」が可能なはずである。本棚をガサガサやって探してみると、インストールCDが見つかった。プロダクトキーも袋に貼り付けてあった。さっそくインストールアプリを起動してみた。インストール自体はまったく問題なく進み、最後のところでプロダクトキーの入力が要求された。慎重に入力し、ネットで認証されれば 一件落着である。ところが、エラーメッセージが出たのである:ネットに繋がっていません、だと?そんなばかな。
ネットには確かにつながっている。念の為、複数のネットワークで試してみたが、当然まったく同じ症状となる。しかし「インストール自体は成功しているので、とりあえず今日のところは読み書きはできるよ」とのことである。ただし、二週間以内に認証に成功しないと取り消しになるよ、という「脅しのメッセージ」も出たのだ。
これはいずれ困ることになる。そうならば、今日中に解決したい。メッセージを調べると、認証は電話でもできる、とある。ボタンをクリックしてみたら、電話番号(フリーダイヤルもあった)が表示された。とはいえ、このソフトはもう十年近く前に購入したものだから、「たぶん、おかけになった電話番号は...とかなるんだろうな」と心配しつつ電話してみた。すると、意外にもマイクロソフトの認証センターにつながったのである。ほっと一息。
電話番号と一緒にmacに表示された長ったらしい整数を6桁ごとに8グループほどに分けて(つまり48桁の整数!)電話のキーを使って入力していく。ちなみに、電話での対応は、人間のオペレーターではなく、AIである...10分ほどかけて、慎重に数字を打ち込み、やっと最後の入力が終わり、認証終了かと思われた矢先、このAIは「申し訳ありませんが認証できませんでした。新しいソフトウェアを購入するか、もう一度...」ここで電話を切ったのである。
さてどうしようか?もう打つ手はないのだろうか?念の為、もう一度ネットで調べてみると、こんな記事が見つかった。不具合を修正するためのパッチ、あるいはパッチが当てられたバージョンの(マイクロソフトの)ダウンロードサイトである。ダウンロードするためには、プロダクトキーが必要だというので、このサイトにある入力欄にキーを丁寧に入力し、ダウンロードボタンを押してみた。すると、うまくダウンロードが始まったのである。
少し長めのファイルはdmgファイルになっているので、クリックしてマウントする。そこには、インストールアプリが入っていて、これをクリックすると、再度インストール作業が始まった。これでうまくいくかと思われたが、またプロダクトキーの認証で失敗した。今度は、「マイクロソフトの認証サーバーが現在ダウンしており、認証が行えません」とかなんとかいう内容のエラーメッセージだった。そんなわけないだろ!と思いつつも、仕方ないので他の方法、つまり電話による認証を再度試みることにした。
さっきと同じように、表示された電話番号 に電話をつなぎ、言われた通りに長ったらしい整数を順番に電話に打ち込んでいく。すると...うまく認証ができたらしい。が、作業はここで終わらない。AIが、「これからお伝えする長ったらしい整数値をあなたのmacに表示されている認証windowに打ち込んでください」とかなんとかおっしゃるので、日本語会話の聞き取り試験じゃないが、AIが伝えてくる50桁近い整数を必死に紙にメモしつつ、認証windowの入力箇所に慎重に打ち込んでいく。この作業も10分ほどかかったと思う。そして、最後の数字を打ち込んだ瞬間、「認証終了」の表示が我がmacにやっと現れたのである。
電話でもAIが最後の質問を投げかけてきた:「認証エラーのメッセージが出た場合は1、そうではない場合は2を、その他の場合は3を押してください。」日本語の表現がちょっと不自然だったので、最初「3」を押してしまい、はまりそうになって焦ったが、やり直しのモードになったので、「2」を押して、無事電話の方でも認証終了のお墨付きをいただいのである。
こうして、散々苦労した挙句、ようやくMS Office 2011 for macを2019の正月にインストールすることができた。これでやっと研究費の申請書が作成できる。やれやれ。
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