2019年1月13日日曜日

チバニアンの問題

チバニアンとはなんだろうか?ジュラ紀とか白亜紀とかと同じような地質年代を表す時代名らしいのだが、詳しいことを知らなかったので、調べてみることにした。

まずは基本事項から始めよう。地質の年代は大雑把な分類から次第に細分化されていく。まず一番大きな枠組みが「代」、eraと呼ばれる単位だ(注:正確には代の上の枠組みとして「累代」、aeonというのがあるが、あまり使わない気がする...もちろん、とあるスーパーの名前は別にして。)。代(era)は、古生代、中生代、新生代の3つからなる。チバニアンが属するのは新生代だ。

次の年代が、紀、すなわちperiod/epoch(英語の用語の違いがいまひとつわからないが)。 有名なものに、中生代に属するジュラ紀とか白亜紀とかがあるが、新生代の場合は、第三紀と第四紀からなる。チバニアンは第四紀に属する。

第四紀というのは大雑把に言って人類が誕生してからの時代である。アウストラロピテクスが生きていた時代が400万-300万年前で、第四紀はこの辺りから始まる。

第四紀は更新世と完新世に別れるが、結局後者は「人の時代」つまり有史以降の現代ということだ。

更新世にはカラブリアン(カラブリア期)とかジェラシアン(ジェラシア期)いう名前がついた「期」、すなわちage、があるが、それ以降の時代には名前がついていない。カラブリアンというのは、最近、霧ヶ峰とか、上田の砥石城の前にある虚空蔵山だとか、そういう山塊を形成する安山岩溶岩がカラブリアンであることを知ったばかりだ。

第四紀の中で名前がついていない77万年前から12万年前の地質時代をチバニアン、すなわち「チバ期」 と呼ぼうというのが、2017年6月に日本の地質学者が国際地学会IUGSに提案した内容だという。この時代に何が起きたかというと、最後の地磁気反転が発生した時代なのである。おそらく、地層中の金属鉱物の磁化方向が反転していることを利用して、この時代を特徴付けるのであろう。

同時期に、イタリアの地学会から「イオニアン」が提案されたようだが、2017年11月の予備審査でチバニアンに軍配が上がり、日本の報道機関などで「チバ期」誕生か?と大きく盛り上がったのは記憶に新しい。

しかし、この後、チバニアンという地質年代名の認定に関しては、予想しなかった事態が発生し、審査が凍結されてしまった。2018年5月、「チバニアン」という名称をIUGSに提出した国内のグループが2つに分裂し、片方が片方を「嘘つき」と糾弾したのである。つまり、磁気反転のデータを捏造したと異議を唱えた。日本国内でもめている状態では、これ以上の国際的な議論は無駄になりかねない、と感じたIUGSは審査を凍結してしまった。「チバニアン」の夢が遠ざかったように感じた人も多かったのではないだろうか?

一体全体、この「内輪もめ」とはなんなのか、調べてみることにした

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