平成24年9月1日の信濃毎日新聞より。 採集されたキノコは浅間山麓で採集されたものか、 それとも森泉山/八風山の地域で採集されたものか、明記されていない。 いずれにせよ、御代田の山間地のセシウム汚染には注意が必要だ。 |
森泉山のような限られた別荘地の汚染に留まらず、御代田や軽井沢周辺の山々が広範囲にセシウムで汚染されている可能性を示唆している。私の測定では、御代田にある森泉山の森林における土壌の汚染は(頂上付近のホットスポット周辺の1万ベクレル/キロを除けば)だいたい400ベクレル/キロで、東京の平均的な汚染レベル(私が勝手に「レベルC」と呼んでいる)に近い放射能汚染の程度だ。
森泉山の山頂よりちょっと下の森(この地図のB地点)で採集した土の汚染スペクトル |
今回測定された御代田の野生キノコは630ベクレル/キロを示したというから、御代田の森に染み込んだセシウムを生物濃縮している可能性がある。こういうキノコを食べるということは、死の灰で汚染された森の土をそのまま食べるのと同じことになってしまうから、地域の住民は注意しなくてはならない。
しかし、よく考えれば、東京のほとんどはレベルC(300から500Bq/kg)以上だから、そういう場所でつくられる農作物を気持ちよく食べることは可能だろうか?もちろん、吸収係数が低ければ「問題は小さい」だろうが、「死の灰」を摂取していると思うだけで吐き気をもよおす人は少なくないだろう。また、securitytokyo.comが報告しているように、柑橘類やお茶などは結構セシウムを土壌からよく吸い込む性質があるような気がする。御代田の問題は、東京の問題と同じではないだろうか?
ちなみに、御代田から佐久平に下ると急速にセシウム汚染は軽減する。少なくとも、私が行った森泉山の麓の畑の土の測定では、そういう結果になった。(そういえば、この場所のスペクトルをまだ発表していなかったので、ここに貼っておこう。)
御代田の森泉山の麓の畑の土壌(この地図のA地点) セシウムのピークは見えるが非常に低い。 |
とにかく、「死の灰」の処分に困っている汚染地域の自治体は、「死の灰の輸出」にやっきになっているから、いったん処分を受け入れれば次から次へと絶え間なく「死の灰」を送りつけてくる。どんなに広い処分場でも、1年以上も経てば、信州の埋め立て地も一杯となってくる。その関連で、最近悪い噂を聞いた:どうも、小諸市は、一杯になった「埋め立て地」を、「埋め上げ地」に変更する許可を出すことを検討しているというのだ!
これは、周辺の土地を買い上げて埋め立て地に用途変更するのが難しいと感じた業者と自治体が、一杯になった埋め立て地を盛り上げて、さらに「死の灰」を引き受け、儲けようと考えていることを意味している。その高さは、なんと7メートル! いっそのこと、死の灰で作るピラミッドかなにかにして、佐久平の観光名所にでもしたらいいだろう。というのは皮肉だが、そんな「埋め上げ」なぞ前代未聞の放射能物質の処理方法だ。科学的にも危険きわまりないし、法律だってそれは認めてないだろう。無知な小諸/佐久の自治体に、地元の住民は健康を害され、殺されないないよう、今のうちに反対しておく必要があろう。
2 件のコメント:
kuzzila先生
以前、山の放射能汚染の件で、
非公開希望のメッセージを書き込んだ者です。
あれから八ヶ岳南部、北アルプス雲ノ平周辺の
空間放射線量を測ってきました。
(使用機器:アメリカ・ポリマスター社製シンチレーション方式)
八ヶ岳に関しては南部のみですが
美濃戸口-赤岳頂上-硫黄岳-天狗岳-中山峠-渋ノ湯
というルート全体を通じて0.04-0.05μsv/hと
大変低い空間放射線量でした。
しかし北アルプスの雲ノ平周辺は、
太郎平・北ノ俣岳・黒部五郎岳・三俣蓮華岳などの稜線
・
雲ノ平のような台地は0.04-0.07程度だったのに対し、
薬師沢から大東新道の川沿い・高天原温泉周辺・
鷲羽岳西の黒部源流・黒部五郎岳のカールなど
川沿いや窪んでいる地形の場所は
おしなべて
0.12-0.23といった高い線量でした。
これは上高地・中房温泉の線量が高く、
燕岳・槍ヶ岳の稜線に上がるにつれ線量が下がった
昨年の結果とも同じ傾向で、自然な土壌の影響か、
福島の影響なのかが
大変気になっております。
北アルプス一帯の地質学的な組成が、
標高の低いところほど自然放射線量の高い岩石で、
標高の高いところほど自然放射線量の低い岩石で構成されている
という可能性はあるのでしょうか。
または、福島由来の汚染なのか・・・。
先生のご意見を伺えれば幸いです。
日本の土壌の組成が詳しく載っているサイトを見つけましたので、
念のためリンクを貼らせていただきます。
http://riodb02.ibase.aist.go.jp/db084/maps.html
どうぞ、よろしくお願いいたします。
taroさん、
情報ありがとうございます。
北アルプスの岩盤は、古い時代のものが多いと言われています。それは、関西と同じ性質のものなので、自然線量は高めにでる場合があります。
今年はアルプスには登ることはできませんでしたが、糸井川(新潟)と恵那山(岐阜)で線量が高くなるのを確認しました。トンネルの中でも0.15μSv/h程度の線量が確認できます。また、多治見(岐阜)やその隣りの名古屋、さらには京都の比叡山も同じような高い値がでます。これらの地域には花崗岩が分布しているらしく、天然の放射性元素を多く含むそうです。北アルプスの放射能汚染を調べるには、やはり土などを測定してγ線スペクトルを調べる必要があります。
一方、八ヶ岳は火山ですから溶岩が岩盤にあります。形成時期も北アルプスよりずっと新しいです。八ヶ岳はフォッサマグナの上に乗っかっている形になっていて、天然の放射性元素の量は圧倒的に少ないです。野辺山、蓼科、清里、小淵沢など八ヶ岳周辺地域での測定は、taroさんと同じような値になりました。土壌調査をしても、これらの場所でセシウムのピークはありません(正確に言えば、測定限界の遥かに下)。先日、編笠の手前まで登って土を採集してきたので、南八ヶ岳の汚染についてはもう少しで詳しいことが判明します。お待ちください。
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