2014年8月4日月曜日

「宇宙の謎:65の発見物語」

ポール・マーディン著(富永 星訳)岩波書店(2012) 4800円

原著と寸分違わぬレイアウト!写真も、ページ数も。随分苦労して翻訳したはずだ。これはすごいことだと思う。

しかし、肝心の訳の内容があまりよくない。これは「短く訳そうとしたせい」だけではないと思われる。細かい点を書くと時間がたりないので、まずはこの間違いだけ指摘しておこう。212ページにアンドロメダ銀河までの距離を「2500万光年」と訳しているが、正しくは250万光年だ。この数字は天文単位(地球と太陽の距離)に匹敵するほど重要だ。というのは、有名なシャプレーとカーティスの「島宇宙論争」で非常に重要な役割を果たしたからだ。できればなるべく早いうちに直しておくべきだろう。(ちなみに原典では正しい数字が書かれている。)

また、天文学者が訳していないので、拡張高いマーディン先生の英語の感じがうまく取り込めていない。その辺の学生が目一杯背伸びして、格好付けて、訳したような感じになっている。アカデミックに勉強したい人は、絶対に原著を手に入れるべし。

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