2015年10月1日木曜日

地方大学の力:最近のノーベル賞

前に書いたものの中に、「大学教員の研究時間が文科省のせいで激減している」ということを書いた。日本の大学の評価が最近発表されたが、案の定、Times Higher Educationによる順位リストで大幅に位置が下がったという報道が最近あった。

東大はアジア首位の地位を奪われ、43位にまで後退。北京大学(42位)にも抜かれてしまった。京都大学が88位。東工大、阪大、東北大は200位にも入れなかった。

文科省は、10年以内にtop100に10校が入るように、「スーパーグローバル大学」とかいう補助金システムを昨年こしらえたが、見事に滑ってしまった形。こういう「官製アイデア」でうまく行った例はほとんどないと思う。昨年のノーベル物理学賞を受賞した中村さんは、徳島大学出身であることを、文科省は肝に銘じるべきであろう。(追記:今年のノーベル賞も、山梨大学、埼玉大学の出身者だったし、医学賞の受賞者の先生は研究も梨大から北里大と、世界のtop100に到底入りそうもない大学で行ったということ。この先生はしかも定時校の教員から研究者に転身したという素晴らしい経歴の持ち主で、賞賛に値する!中高の教員を絞め上げる、今の文科省のやり方では、教員出身の研究者なんて夢のまた夢ではないだろうか?)

政府のいまのやり方が続けば、中国に抜かれるのは時間の問題だろう。それを防ぐには、文科省の牙を抜いて、大学と中高校に自由を復活させるしかない。夏休みを増やし、教員の帰宅時間を早くし、残業や会議を激減させて、のんびり研究の片手間に教育をする先生を許す雰囲気を復活させるのが、「研究大国」への第一歩となる。

また、巨額な研究資金を、「スーバー大学」や「スーパー高校」だけに配分する今のやり方は、ノーベル賞を「1つだけとる」には役立つかもしれないが、微生物から作る薬や、光るイカの蛍光物質の発見とか、資金をそれほど必要としない、卓越した個の力で取るタイプのノーベル賞の方が沢山取れるんだということを、文科省は知るべきだ。

結局「民主主義」(多様性)が一番強いのである!(エリート主義とか、画一的な全体主義が長持ちしないことは、人間の歴史、科学の歴史、さらには地球の歴史が証明している。)

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