広島市の公園で採取した土壌のガンマ線スペクトルを見てみると、次のようになった。
放射能レベルは96Bq/kgだから、およそ100Bq/kg。これはちょっとした「セシウム汚染」地域と同じ程度の値に見える。しかし、スペクトルをよくみると、Cs-137の662keVのピークは影も形もないし、Cs-134の796keVも同様だ。見えるのはBi-214(609keV)とCs-134(606keV)が混ざりあう辺りのピークが一つ、Pb-214の352keV、それにK-40の1460keVだ。つまり、これらの事実から演繹される結論から言うと、「この土はセシウムを含んでいない」ということになる。
広島の土壌が96keVもあると「誤判定」された原因は明らかにBi-214だ。Pb-214のピークの高さから推測するに相当量のBi-214が含まれていると思われる。その寄与をさっ引けば、Cs-134の606keVのピークは存在していないと思う。
広島市は、昨年大規模な土砂災害の被害を受けた。大雨が降ると、花崗岩が風化してできたあの赤い土は保水できず崩れてしまうかららしい。古い地塊が広がる西日本の岩盤は花崗岩でできているところが多く、天然の放射性鉱物を多く含む。U-238系列であるBi-214やPb-214のピークが強く観測されるのは、このせいだろう。
とすれば、セシウム汚染がない状態で、広島地域のBi-214の放射能レベルは常時100Bq/kg程度はあるということだ。外部被曝だけを気にするならば、この程度の放射線を浴び続けても大きな問題はないということなのかもしれない。
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