セシウムを纏った震災の瓦礫焼却や、高い放射能を持つ焼却灰の埋め立ては、放射能物質を拡散させて、放射能汚染を広げてしまう。にもかかわらず、それを必死でやろうとする政府や自治体に対する「うさん臭さ」を多くの人が感じている。瓦礫処理の「本当の理由」を巡る裏話は、すでにあっちにもこっちにも広まっている。
この愚策を行う政府や自治体でも、「風評被害」だけは気になるようだ。瓦礫処理や放射能物質埋め立ての「安全性」について必死に口裏合わせを行っているように見える。しかし、「放射能物質の粗雑な処理」というone phraseが人々に与える不安感は、役人たちの、長ったらしい「安全性」の説明が、丁寧で長くなればなるほど倍増する。いうなれば、「風評被害」をもっとも恐れる役人たち自身が、「風評被害」を生み出している張本人だ。
長野県の「風評被害」課(産業廃棄物課?)に問い合わせてみた。すると「風評被害は無い」とおっしゃる。
このタイミングを狙ったかどうかはともかく、3月5日の信濃毎日新聞(信毎)の朝刊に「続く食品輸入規制」という記事が載った。世界の47の国が日本からの農産物の輸入を、放射能汚染を理由に、ストップしているという。
特に問題となるのは、中国の輸入規制だろう。日本からの輸入はまったく禁止というわけではなく、たとえば京都からの野菜の輸入は「放射能検査証明」があれば可能だ。しかし、次の10都県は例外で、何をいっても取り扱いしてくれない。完全な輸入禁止である。その10都県とは、福島と宮城の東北二県。次に栃木、茨城、群馬、埼玉、千葉、東京の関東全県。最後に、新潟と長野の信越二県である。
つまり、長野は、福島や関東と同レベルの放射能汚染があると、中国には思われているのである。確かに、軽井沢や佐久市の県境付近の汚染は、関東のホットスポット並みの汚染がある。しかし、佐久市から西の地域の土壌汚染を調べると、そのレベルは関東に比べて遥かに低い。(しかし長野県の東北信の汚染は皆無とまではいかず、「軽微の汚染」ということは認めないといけないが。)例えば、安曇野の蕎麦を中国に輸出することは、「放射能汚染」のため不可能であり、小布施の栗菓子も「セシウム汚染」のため中国には持ち込めないのである。
「風評被害」がないとする長野県の役人は、これをどう説明するのか?
小布施の栗菓子も、伊那の市田柿も、いまや、中国の農薬入り餃子と同じレベルの扱いになっている。すでに「風評被害」があるというのに、さらに高い放射能をもつ廃棄物や瓦礫を、関東や東北から長野県内に持ち込もうというのだから、長野県の役人たちは「風評被害」の熟成、醸造のプロとして、「いい仕事」してる。
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