2012年3月11日日曜日

Royal Observatory Greenwichに行く

英国の大学でセミナー発表することになり、その合間にグリニッジ天文台を訪ねた。

VauxhaulのCorsaの新型を空港のレンタカー屋で借り、ロンドン中心部を抜けて走ること1時間程。行きはテムズの南岸を走った。その途中車から見ただけでも、グリニッジ手前の周辺地帯(例えばPeckham)はシャッターがしまった店ばかりで、かなり荒んだ感じなのがわかる。この間の暴動では焼き討ちなどもあったのかもしれない。渋滞もひどかった。しかし天文台の近くは道も広くなり、駐車場も意外に多く、車の置き場には困らない。今回はEnglish Heritageの駐車場に停めた。土日は無料というのも嬉しい。

芝生が広がる丘をしばらく歩く。Heritageの敷地に沿ってフリントの塀があり、その脇にfootpathがあった。この塀はやがて大金持ちの屋敷の塀と合流し、細い通路のようになっていく。そこを通り過ぎると塀に穴が空いていた。恐る恐るそこをくぐったら、さらに広大な芝生の公園が目の前に広がった。この丘の縁に天文台の建物が建っているのが見えたのでほっとする。途中、「事前に地図は確認しておくべきだった」と一瞬後悔したが、見つけてしまえばこっちのものだ。

グリニッジ天文台の建物群。
赤玉のある建物(Flamsteed House)のところに子午線がある。
午前中は結構寒かったのだが、博物館の展示に熱中しているうちに天気になった。お昼近くには16度近くまで気温は上昇。春の到来初日といった感じ。

£7払って博物館に入ると、まず出迎えてくれたのがハーシェルが製作した40フィートの大型反射望遠鏡。18世紀当時の世界最大の望遠鏡だったという説明があった。しかし、天王星の発見はもっと小さな反射望遠鏡を使って成し遂げたらしい。どうも大きすぎて使い難く、毎日の観測には使えなかったようだ。
ハーシェルの40フィート反射望遠鏡。
肉眼観測時代に利用した四分儀などの観測道具や、種々の望遠鏡、そして地動説、天動説の模型、無数の古い時計など、面白いものばかり。2時間程楽しんでしまった。
Framsteed House(肉眼観測のための天文台)
赤玉は、テムズを航行する船に時間を伝える時計だったとか。

子午線。
この後、「川底トンネル」を通ってテムズを渡り、ロンドンの中心部に入る。シティに近づくにつれ渋滞が始まる。交差点で立ち往生すると罰金になるので、強引に割り込みを繰り返しつつテムズ沿いの道を目指す。スピードカメラが林立し、非常に走り難い。知らないうちにThe monumentやTower of Londonの目の前に抜けてしまったりもしたが、それもまた一興。

Westminsterにたどり着くと、歩道は観光客で溢れていて驚いた。今日はなにか祭りでもあるのかと街行く人に聞いてみたが、「なに、天気がいいってだけのことだよ」との返答。南ヨーロッパの学校が多分春休みに入ったのが原因だと思う。

車をいつもの場所に路駐して、タクシーでFortnum and Masonに向かおうしたが、Black Cabの運転手に「ピカデリーまでが凄く混雑しているから、歩いていった方が早いぞ」といわれる。腹ぺこ状態で、とぼとぼなんとかSt.James Parkまで歩き、そこで捕まえたBlack cabはピカデリーまで乗せてくれた。(そんなに混んでなかったぞ!)F&Mのレストランでは「予約なしではちょっと...」と断られる。タクシーにせよ、F&Mにせよ、本当は服装を見て差別されたかも。(ロンドンには少なくともジャケットを着て来るべきだったと反省。)しかたなく、お茶席の方へ回る。料理はちょっと塩っぱくて今ひとつだったが、落ち着いて食べられるのがここのいい所。お腹いっぱいになって満足。さすがに紅茶とティラミスの組み合わせは絶品。

お茶席の階段を下りて、客で埋め尽くされた売り場へ飛び込む。手作りチョコのコーナーで、長いガラスケースの中に溢れる、様々な一口チョコを、ひとつひとつ迷いながら選んでいくプロセスは、ヨーロッパだけの楽しみなり。

Piccadilly circusにあったジャパンセンターが入っていた建物が壊されていて驚いた。Fortnum and Masonが混んでいたら、寿司でも食べようかと思っていたので冷や汗。ジャパンセンター、フロアを広くしたばかりだったのに...いったい、どこにいってしまったのだろう?

追記:後でPeckhamのことを調べてみると、イギリスで最も危ない地域だということが判明。犯罪率は高く、ギャングが蔓延っていて、貧しい人が多いとか。ロンドンの暴動の時も、案の定ひどかったらしい。Peckhamを見た後、PiccadillyのFortnum and Masonという対極の世界へ行ったのは、ある意味衝撃的なことだった。資本主義の最大の問題点「貧富の差」というものを、わずかに1時間ほどしか離れていない場所(同じ町の真ん中とその外れ)で見ることになった。貧富の差が開きつつある日本とはいえ、まだここまではひどくないと思った。絶対にこちらにむかって落ちてきてはいけない。

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