2012年3月17日土曜日

DorsetのJurassic coastへ行く

昨年の旅行では、化石採集のためEast sussexのSeven sistersへ行った。Londonの南側にあたるその場所は、真っ白のチョーク(柔らかい石灰岩)の崖が海岸線を成していた。

今回は、その遥か西にあるDorsetのJurassic coastに採集に行く事にした。この海岸線は黒い。Seven sistersは南洋の海の珊瑚礁の名残だが、ここは深い海に沈んだ有機物を豊富に含む泥の名残だ。つまり、大陸の沖合に相当する場所だ。

この海岸線は世界遺産の一つに登録されており、ジュラ紀から白亜紀にかけての化石が豊富に産出する。恐竜、魚竜も時々でるし、アンモナイトはざくざくとれる。(といっても、こればっかりは運に左右されるけれど。)そもそも、化石による古代生物の研究はこの地より始まったので、地質の資料や化石の標本などは、この地のものを標準に組み立てられている。したがって、自分が採集した標本の同定がやり易いため、初心者にはもってこいの場所だ。

Jurassic coastの黒い崖。このあたりの年代は約1.9億年前。
化石がたくさんとれるかどうかは、崖の崩落が進み、それが海に洗われているかにかかっている。したがって、冬の間に嵐がたくさんくると、よい化石がたくさん採集できる。残念ながら、今年の英国の冬は非常に穏やかだったようで、海岸は大量の砂に覆われてしまっていた。通常のビーチなら「きれいな浜辺」と喜ばれるところなのだが、化石ハンターにとっては「最悪の状態」だ。

実際このあたりにはプロの化石ハンターがたくさんいる。今回も一人、大きなシャベルとザックを背負って崖を登っていった。彼らが狙う大物は、飛行機に乗せて持ち帰れないから、真似して後はついていかない(負け惜しみ?)。彼らの(そして彼らの祖先の)獲物は大英博物館の分館である自然科学博物館(The Natural Hisotry Museum)に展示してある。イクチオサウルスやプレシオサウルスなどが最初に発見されたのはこの海岸だ。

写真に写っている崖はBelemnite Marlという名前がついた地層で、Belemniteというイカに似た生物がたくさん埋まっている。いつもは吐いて捨てるほど取れるBelmniteは今回あまり見られなかった。やはり砂の下に埋まっているのだろう。この地層の下部にあるBlack Ven Marlからは、黄鉄鉱化したアンモナイトが泥の中から採取できる。海がよく荒れたときは泥が洗い流されて、綺麗に輝く化石だけが浜辺に打ち上げられていたりする。それを見つけたときの感動は「あ+感嘆符」のみでしか表現できない。残念ながら、そういうのは今回なかった。

ということで、今回の採集は黒い泥を覗き込んでアンモナイトをほじくり出すタイプの採集となった。こういう採集はなかなか実りがなく、いい標本はなかなか取れない。ということで、きれいな春の日ではあったが残念な結果となった。それでも久しぶりの海だったし、化石採集だったし、楽しかったんだから満足。

今回採集できた、黄鉄鉱化したPromicrocerasの化石。

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