2012年6月28日木曜日

旅行メモ:(3)ジュネーブのトラムにて

ジュネーブには路面電車(トラム)が走っている。研究所の前にも駅があって、ここから都心に出る事ができる。日曜日、やることがないのでジュネーブの中心地の博物館にいってみる事にした。

トラムの駅は無人駅だ。そして、券売機のみが切符を買う手段となっている。日本やイギリスのように、車掌や運転手が切符を発行してくれるということはない。

この日、2台あった研究所前の券売機は見事に両方壊れていた。この状況で、どうやって都心までトラムに乗っていけばいいというのか?私の他に、スペイン人の老夫婦、そして国籍不明の手品師みたいな格好をした男、そしてやんちゃ坊主の兄弟をつれた太めのお父さんがホームにいた。だれもフランス語を喋れないのが大問題だった。

トラムの運転手は英語を喋れない。困った我々は、まずは自分の言葉で相手に話しかける。スペイン語で日本人に。英語でスペイン人に。と言った具合だ。もちろん通じない。そこで、身振り手振りを交えたジェスチャーでコミュニケーションが始まる。おもしろいことに、これが結構通じる。運転手に金をちらつかせ、切符が欲しいとジェスチャー。「駄目」とバッテン印を手でつくる運転手。お願いお願いお願い、と両手で拝んでみる。「駄目」と運転手。日本人が失敗したので、今度はスペイン人がチャレンジする。撃退された。次の手品師....などとやっているうちに、研究所の研究者がやってきて、「隣りの駅は歩いて2、3分だ。歩いていって、そこから乗ればいい。あ、お札は使えないから、そこのガソリンスタンドで両替してからいったらいい」と英語でアドバイスをもらった。英語が喋れない「仲間達」に伝えようとしたが、なかなか伝わらない。何度か意味のわからない会話を互いに繰り返した後、自然とそれぞれの方法で乗り切ることとなり、皆いろいろな方角へと散っていった。

私はガソリンスタンドにいって両替し、次の駅まで歩く気持ちでいた。駅に戻ってみると、スペイン人夫婦がなぜかトラムの乗り込んでいる。慌てて中に入って、「どうしたのか?」とジェスチャーで聞いてみると、どうも誰かが運転手と交渉して、次の駅まで無料で連れて行ってくれることになったようだ。そこで切符を買えというわけだ。スペイン人の手招きで彼らの横に座ったとき、トラムが動き出した。他の「仲間」も慌てて走りよって来て、みなトラムに乗り込んだ。

次の駅では、なぜかだれも下車しなかった。次の駅の機械も壊れているということを、事前に皆掴んでいたようだった。私もかれらの一挙一動をよく観察して、不思議とそれを見抜いた。

次の次の駅でトラムは停車した。切符を持たない私たちは、なんの説明もなかったが、自然とホームに下りて券売機で切符を買った。「手品師」だけが、札ビラで切符を買おうとして困ってしまったが、それを子連れのお父さんが助けた。うまい具合に両替してあげたのようだ(もしかしたら、ちょっと足りなかったかも)。この間、列車はずーっと止まっていたが、乗客は辛抱強く待ってくれて、誰も文句をいわなかった。ヨーロッパではこういうことは日常茶飯事なのかもしれない。

ジュネーブの駅で券売機が壊れていたらどうするか?隣りの駅まで歩いていってそこで買え、である。平均的に、駅と駅の間は結構近いようだ。ジュネーブは国際都市だが、結構こじんまりしていて歩きやすいのだ!それからもうひとつ。「フランス語は勉強しておくべし」である。困った時、いつでもジェスチャーだけで乗り切れるとは限らない。少なくとも運転手に「券売機壊れてるよ。次の駅まで乗せて」くらいは言えるようにしておきたい。(ちなみに、今私はこれを喋ることができない...深い反省。)

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