昨年の秋頃に発覚した事件。エントロピーの拡大は、自然法則のみならず、人間の愚行によっても加速されてしまうようだ。
東京の「コンサルティング会社」なるものが(おそらくは産廃業者、あるいはもどき?)、よりによって関西の水瓶である琵琶湖畔に5000Bq/kg程度の放射能を帯びた木材チップを不法投棄したというニュースがあちこちで流れていた。
多くのニュースサイトではこの記事を有料記事に引っ込めてしまったので、こちらのサイトがまとめたものをメモっておこう。
2014年2月28日金曜日
2014年2月26日水曜日
2014年2月25日火曜日
東御市のセシウム汚染;福島の原発事故が原因ではない可能性
では次に東御市のサンプルの再測定の結果を見てみる。上田市のサンプルと同様、今度は60分の測定を行い、検出限界を一桁にした。その結果は63.17 Bq/kgとなり、20分の測定(55.83 Bq/kg)よりも若干増加した。そして、統計量が増えたスペクトル構造も、情報量が増えたため、より正確な結論を引き出すことができるようになった。
まずはCs-137のピークから見て見よう。σ=25keVのガウシアンを重ねると、うまい具合にスペクトルをよく再現する。つまり、東御市のこの場所の土壌からは、セシウム137が検出されたということを意味する。ところが、Cs-134のピークはというと、今まで見て来たような福島原発事故由来のセシウム汚染と異なるパターンとなっている。まずCs-137のピークの右側にあるはずのCs-134の796 keVガンマ線ピークが、この測定データには存在しない。また、Cs-137ピークの左にあるはずの606 keVピーク位置や幅が微妙にずれている感じがある上に、Cs-137のピーク高よりも高くなっているように見える。Cs-137/Cs-134の比は事故直後は1:1であり、Cs-134の半減期は2年だから、事故から3年経過した現在、Cs-134のピークがCs-137のピークよりも高くなることはあり得ない。とすれば、天然核種のBi-214(609 keV)の成分などが見えているだけの可能性がある。
つまり、以上の考察から導かれる推論は、今回の測定で検出された東御市のセシウム137の主成分は、福島原発の事故によるものではなく、1960年代から90年代にかけて世界中で行われた核実験のフォールアウト、つまり「死の灰」の名残りであろう、というものだ。
ということで、東御のあの谷は高峰などの影になったため、プルームが到達しなかったのではないだろうか?、と思っている。
まずはCs-137のピークから見て見よう。σ=25keVのガウシアンを重ねると、うまい具合にスペクトルをよく再現する。つまり、東御市のこの場所の土壌からは、セシウム137が検出されたということを意味する。ところが、Cs-134のピークはというと、今まで見て来たような福島原発事故由来のセシウム汚染と異なるパターンとなっている。まずCs-137のピークの右側にあるはずのCs-134の796 keVガンマ線ピークが、この測定データには存在しない。また、Cs-137ピークの左にあるはずの606 keVピーク位置や幅が微妙にずれている感じがある上に、Cs-137のピーク高よりも高くなっているように見える。Cs-137/Cs-134の比は事故直後は1:1であり、Cs-134の半減期は2年だから、事故から3年経過した現在、Cs-134のピークがCs-137のピークよりも高くなることはあり得ない。とすれば、天然核種のBi-214(609 keV)の成分などが見えているだけの可能性がある。
つまり、以上の考察から導かれる推論は、今回の測定で検出された東御市のセシウム137の主成分は、福島原発の事故によるものではなく、1960年代から90年代にかけて世界中で行われた核実験のフォールアウト、つまり「死の灰」の名残りであろう、というものだ。
ということで、東御のあの谷は高峰などの影になったため、プルームが到達しなかったのではないだろうか?、と思っている。
2014年2月24日月曜日
上田市のセシウム汚染
先日の上田と東御のデータを更に詳しく解析するために、再度測定を行った。今回は測定時間を60分に延長し、検出限界を一桁とした。
上田市の方から見ていこう。20分の測定では65.03 Bq/kg(検出限界14.07 Bq/kg)という結果だったが、60分にすると48.80 Bq/kg(検出限界8.305 Bq/kg)と低下した。しかし、20分の測定では見えなかったセシウムピークが、60分測定では形を成して来ているのがわかった。下の図が60分で測定した時のガンマ線スペクトル。
Cs-137のピークが出るはずの位置にガウシアン(青点線)を 置いてみた。 |
50 Bq/kg程度のセシウム汚染を見つけるには60分程度の測定が必要になることが今回の測定でわかった。そして、上田はその典型例であるらしいこともわかった。つまり、上田にもわずかながら放射性プルームはやって来たのである(追記:今は「やって来た可能性が高い」程度の表現に落とすべきだと思っている)。しかし、その程度は、小諸の高峰高原や長野の善光寺周辺と比べると一桁小さいから、上田にはプルームの本体(濃い部分)は到達しなかったのではないか?(まだ断定するには測定地点が少なすぎるが。)
次に東御の再分析を見て見よう。
2014年2月23日日曜日
大雪の後:ハクセキレイ
軽井沢に大雪が降った。観測史上最高の積雪(1m)を記録したという。18号はトラックや自動車が雪に埋もれて立ち往生し、大変なことになった。
家の周りが雪で閉ざされ、買い出しに行った車は途中で身動きとれなくなって、渋滞をさらに悪化させる...そんな悪循環が街では起きていた。
一方で、野山に生きる動物達の餌も雪で覆われてしまった。鳥達も餌を求めて、雪の上を歩き回っていた。パン屑を投げると、ハクセキレイが寄って来た。
家の周りが雪で閉ざされ、買い出しに行った車は途中で身動きとれなくなって、渋滞をさらに悪化させる...そんな悪循環が街では起きていた。
一方で、野山に生きる動物達の餌も雪で覆われてしまった。鳥達も餌を求めて、雪の上を歩き回っていた。パン屑を投げると、ハクセキレイが寄って来た。
2014年2月20日木曜日
東御市(旧東部町)と上田市の調査
小諸の高峰、長野市の城山公園(善光寺近く)の2点を結ぶ地域に興味が出て来たわけだが、現在手持ちにあるサンプルは東御市の金原ダム手前の林の土壌と、上田城から北へ少し行った18号バイパスのちょっと下辺りの土壌の2つ。
この地域は高峰の「影」のような場所にあたる。まずは東御の結果から。
モニターのスペクトルでみる限り、セシウムの目立ったピークは見えない。一応55Bq/kgと出ているが、このスペクトルの精度では「汚染はほぼ無し」と結論してよいだろう。
ではデータの詳細を分析したらどうだろうか?LB2045が出力するスペクトルの数値データを出力すると次のようになった。
Cs-137のピークは、なんとなく在るようにも見えるが、LB2045の場合Cs-137の660keVのピークの測定効率はσ=25keVなので結構な幅のガウス分布になっているはずだ。比較の為にその幅をもったガウス関数を重ねて見ると次図のようになる。
青線で表したのが、もしセシウム137が検知されたなら、LB2045が示すはずのピーク形である。この比較からすると、実測結果はセシウム137のピークとは思えない。今回の測定精度(測定時間は20分)ではセシウム汚染は無いと結論してよかろう。加えて、Cs-134の796keVのピークはまったく見えないので、それも「汚染無し」の結論を強くサポートしていると思う。ただ、測定時間をもっと長くして、統計量を増やし精度を上げれば「ガウシアンピーク」に成長する可能性もある。東御の測定は引き続き行っていこう。(追記:この後で長時間測定を行った。その結果と分析はこちら。)
次は上田市(上田城から北へ登った国道18号バイパスの手前の神社付近の土)の測定だが、こちらはまだ分析が終わってない。が、見た感じセシウムピークはまったく見えなかった。測定値もおそらく20〜30Bq/kgではないだろうか?上田もどうやらセシウムによる汚染はかなり軽微のようだ。(追記:詳細な分析を後で行った。)
NHKで公表されたシミュレーションでは、軽井沢の碓氷峠あたりから侵入し、千曲川の谷に沿って信州のセシウム汚染は広がったという推論だったが、善光寺平と佐久平を結ぶ地点の汚染が弱いという結果(まだ暫定だが)と辻褄があわないような感じがする。もちろんまだ測定ポイントは少ないので結論を出す訳に行かない。面白いのは、標高2000m近くの高峰(小諸)にははっきりした汚染(200Bq/kgレベル)が見えるのに、その先の東御、上田の市街地近郊にはほとんど汚染が見られない点だ。これは千曲川の右岸に放射性プルームが這ったというよりは、菅平の方に抜けていったことを意味するのではないだろうか?そして松代へ回る形で善光寺平へ流れ込んだのではないだろうか?
この仮説を調べるには、菅平(旧真田町?)や松代といういわゆる「真田の裏街道」沿いの調査が必要だろう。さらには、塩田平を調べれば、千曲川の左岸をプルームが這っていったかどうかが確認できるはずだ。だとすると、小諸の布引き、そして御牧原辺りの状況が重要となるだろう。
この地域は高峰の「影」のような場所にあたる。まずは東御の結果から。
東御市(金原ダムへ行く途中の林) |
ではデータの詳細を分析したらどうだろうか?LB2045が出力するスペクトルの数値データを出力すると次のようになった。
Cs-137のピークは、なんとなく在るようにも見えるが、LB2045の場合Cs-137の660keVのピークの測定効率はσ=25keVなので結構な幅のガウス分布になっているはずだ。比較の為にその幅をもったガウス関数を重ねて見ると次図のようになる。
東御の測定値に、LB2045の精度に相当する ガウス関数を重ねて見た(σ=25keV)。 |
次は上田市(上田城から北へ登った国道18号バイパスの手前の神社付近の土)の測定だが、こちらはまだ分析が終わってない。が、見た感じセシウムピークはまったく見えなかった。測定値もおそらく20〜30Bq/kgではないだろうか?上田もどうやらセシウムによる汚染はかなり軽微のようだ。(追記:詳細な分析を後で行った。)
NHKで公表されたシミュレーションでは、軽井沢の碓氷峠あたりから侵入し、千曲川の谷に沿って信州のセシウム汚染は広がったという推論だったが、善光寺平と佐久平を結ぶ地点の汚染が弱いという結果(まだ暫定だが)と辻褄があわないような感じがする。もちろんまだ測定ポイントは少ないので結論を出す訳に行かない。面白いのは、標高2000m近くの高峰(小諸)にははっきりした汚染(200Bq/kgレベル)が見えるのに、その先の東御、上田の市街地近郊にはほとんど汚染が見られない点だ。これは千曲川の右岸に放射性プルームが這ったというよりは、菅平の方に抜けていったことを意味するのではないだろうか?そして松代へ回る形で善光寺平へ流れ込んだのではないだろうか?
この仮説を調べるには、菅平(旧真田町?)や松代といういわゆる「真田の裏街道」沿いの調査が必要だろう。さらには、塩田平を調べれば、千曲川の左岸をプルームが這っていったかどうかが確認できるはずだ。だとすると、小諸の布引き、そして御牧原辺りの状況が重要となるだろう。
2014年2月18日火曜日
Cs-134のピーク合わせの確認
原発事故から3年も経ってしまったので、半減期2年のセシウム134の光電ピークは随分と減衰してしまった。もちろん、汚染地帯の線量が低くなっていくという意味ではいい事なのだが、福島原発事故由来の汚染かどうか判定するのにはセシウム134のピークは必要だ。実際、信州の善光寺やら高峰高原やら、汚染の弱いところではセシウム134のピークが見え難くなってきている。NaIガンマ線スペクトロメータでは、特に606keVのピークが見難くなっている。Cs-137の660keVのピークと被ってしまうからだ。
2年経ってもセシウム134のピークがはっきり見えるものといえば、それは汚染がかなり強い場所の土壌サンプルだ。ということで、印西市の土壌サンプルを引っ張り出して来て、再度測定し、エネルギー較正データを確認してみることにした。
まずは、本日測定したデータのモニター写真から。
一年余り前に測定した時は12,632 Bq/kgだったが、Cs-134の減衰により600Bq/kgほど減少した。しかし、未だに一万ベクレル/キロを越える強い放射能を保持している。Cs-134のピークも綺麗に見える。
この測定で得た数値データをMacに落とし、gnuplotで分析してみた。
やさしおのK-40とCs-137試料から相対的に決めたCs-134のエネルギーピーク位置だが、若干ズレている感はあるが、我慢できないほどではない。しばらくはこのセッティングでいける!
2年経ってもセシウム134のピークがはっきり見えるものといえば、それは汚染がかなり強い場所の土壌サンプルだ。ということで、印西市の土壌サンプルを引っ張り出して来て、再度測定し、エネルギー較正データを確認してみることにした。
まずは、本日測定したデータのモニター写真から。
一年余り前に測定した時は12,632 Bq/kgだったが、Cs-134の減衰により600Bq/kgほど減少した。しかし、未だに一万ベクレル/キロを越える強い放射能を保持している。Cs-134のピークも綺麗に見える。
この測定で得た数値データをMacに落とし、gnuplotで分析してみた。
2014年2月17日月曜日
高峰高原のセシウム汚染:詳細な分析
高峰高原の土壌の放射能測定の結果分析に戻ろう。
LB2045が吐き出す数値データを取り込み、Cs-137とK-40によるエネルギー較正の結果を加えて、gnuplotで打ち出したのが次のスペクトル。さすがに、LB2045のモニターよりも詳しい構造がわかる。
ピークの位置は、ドンピシャでCs-137, Cs-134のものであった。つまり、標高1980mの高峰高原に、放射能プルームは到達していたのである!汚染レベルは2014年2月現在で234 Bq/kgだから、2011年には300Bq/kg以上はあったのであろう。善光寺や東京西部と似た感じだ。
ところで、軽井沢の汚染は標高1000m付近がもっとも強いという感触を、いままでの測定から感じているのだが、高峰の放射能汚染が判明したことで、浅間連峰一帯の汚染分布(高度による分布)がどのようになっているのか、俄然興味が湧いて来た。
LB2045が吐き出す数値データを取り込み、Cs-137とK-40によるエネルギー較正の結果を加えて、gnuplotで打ち出したのが次のスペクトル。さすがに、LB2045のモニターよりも詳しい構造がわかる。
ピークの位置は、ドンピシャでCs-137, Cs-134のものであった。つまり、標高1980mの高峰高原に、放射能プルームは到達していたのである!汚染レベルは2014年2月現在で234 Bq/kgだから、2011年には300Bq/kg以上はあったのであろう。善光寺や東京西部と似た感じだ。
ところで、軽井沢の汚染は標高1000m付近がもっとも強いという感触を、いままでの測定から感じているのだが、高峰の放射能汚染が判明したことで、浅間連峰一帯の汚染分布(高度による分布)がどのようになっているのか、俄然興味が湧いて来た。
セシウム137線源を使ったエネルギー較正
セシウム137線源の660 keVピークを使って、チャネル合わせを行った。昨日はカリウム40の1460 keVピークから、チャネル-エネルギーの関係を読み取ろうとしたが、660keV周辺で微妙に線形関係からずれていることが判明し、一応手で修正してみたわけだが、果たしてそれが正当化されるかどうかは、この調整で白黒がはっきりする。
Cs-137線源をLB2045にセットし、660keVのピークを記録する。こんな感じとなった。
縦線は昨日のK40を使ったエネルギー較正線(修正込みのもの)である。ぴったりと660keVのピークの位置に来ていることがわかる。つまり、これで放射性セシウムのピーク位置はしっかりとセットすることができたということだ。
それにしてもコンプトンスペクトルが綺麗に見える!後方散乱ピークもわかる!
これを使って、さっそく高峰高原の測定データを分析してみよう。
Cs-137線源をLB2045にセットし、660keVのピークを記録する。こんな感じとなった。
縦線は昨日のK40を使ったエネルギー較正線(修正込みのもの)である。ぴったりと660keVのピークの位置に来ていることがわかる。つまり、これで放射性セシウムのピーク位置はしっかりとセットすることができたということだ。
それにしてもコンプトンスペクトルが綺麗に見える!後方散乱ピークもわかる!
これを使って、さっそく高峰高原の測定データを分析してみよう。
高峰高原(小諸市)のセシウム汚染:まずは速報
高峰高原には何度も足を運んでいて、いろいろな方法で測定してきた。昨年夏はTC300Sスペクトルモニター付き線量計(ちょとした再分析をしてセシウムピークではないと結論)、その年の5月の連休にはDoseRAE2で0.05μSv/hを測定。そして最初は原発事故の年の秋にJB4020ガイガーカウンターをもって測定に入った。
浅間山の西にある高峰高原で測定すると、線量は低めに出るし、怪しいピークは見えたものの分解能や精度の低さから、汚染はほぼないと結論していた。ただ、TC300sで行った最後の測定で、ピークらしい構造が見えていたので、やはり最後は土壌採取を行ってLB2045で分析しなければ、とずっと思っていた。
そして、その測定をついに今日行うことができた。まずはいつものように、モニター画面の写真による速報から。
TC300sで見えたような鈍いスペクトルピークが分布しているのが確認できる。これが果たしてセシウムのピークに相当しているかどうかは、詳細なデータ分析をしてみればはっきりする。もしこれがセシウムのピークになっているならば、LB2045がはじき出した値で高峰は放射能(放射性セシウム)に汚染されていることになる。その値は234 Bq/kg...
はたして結果はいかに?(つづく)追記:でも、なにかこのスペクトルの形はセシウムピーク以外には見えないような...
浅間山の西にある高峰高原で測定すると、線量は低めに出るし、怪しいピークは見えたものの分解能や精度の低さから、汚染はほぼないと結論していた。ただ、TC300sで行った最後の測定で、ピークらしい構造が見えていたので、やはり最後は土壌採取を行ってLB2045で分析しなければ、とずっと思っていた。
そして、その測定をついに今日行うことができた。まずはいつものように、モニター画面の写真による速報から。
TC300sで見えたような鈍いスペクトルピークが分布しているのが確認できる。これが果たしてセシウムのピークに相当しているかどうかは、詳細なデータ分析をしてみればはっきりする。もしこれがセシウムのピークになっているならば、LB2045がはじき出した値で高峰は放射能(放射性セシウム)に汚染されていることになる。その値は234 Bq/kg...
はたして結果はいかに?(つづく)追記:でも、なにかこのスペクトルの形はセシウムピーク以外には見えないような...
長野市(城山公園)の「三ツ山」ガウシアン近似
Gaussianを3つ重ねてfittingをしてみた。高さをh,幅をa,中心位置をeと表す。それぞれの値は次の通り:
h1=0.0203226; h2=0.0290371; h3=0.00105265.
a1=0.00278608, a2=0.00492213, a3=0.000974676;
e1=305.539, e2=336.199, e3=396.93
完璧とは言わないが、まあまあのできばえ。
この三ツ山ガウシアンの積分は
と見積もれるので、上で求めた数値を代入して、Ccps=1.135を得た。
この値からベクレルを算出するときは、較正因子(=83とした)とか、容器の容量(=0.42L)とか、Cs-134/Cs-137(=0.7とした)の比だとかを掛けたり割ったりする(らしい)。まずは何も考えず、公式通り(CPS ×較正因子×(容量/質量)×(1+比))に計算してみたら、301 Bq/kgという値になった。バックグランドの分を引いてないので、LB2045が出してきた値(210 Bq/kg)より大きめの値になったのだろうか?もちろん、fittingの精度も効いている可能性は高い。大雑把な分析ではあるが、まあまあの結果となったと結論しておこう。
h1=0.0203226; h2=0.0290371; h3=0.00105265.
a1=0.00278608, a2=0.00492213, a3=0.000974676;
e1=305.539, e2=336.199, e3=396.93
完璧とは言わないが、まあまあのできばえ。
この三ツ山ガウシアンの積分は
と見積もれるので、上で求めた数値を代入して、Ccps=1.135を得た。
この値からベクレルを算出するときは、較正因子(=83とした)とか、容器の容量(=0.42L)とか、Cs-134/Cs-137(=0.7とした)の比だとかを掛けたり割ったりする(らしい)。まずは何も考えず、公式通り(CPS ×較正因子×(容量/質量)×(1+比))に計算してみたら、301 Bq/kgという値になった。バックグランドの分を引いてないので、LB2045が出してきた値(210 Bq/kg)より大きめの値になったのだろうか?もちろん、fittingの精度も効いている可能性は高い。大雑把な分析ではあるが、まあまあの結果となったと結論しておこう。
2014年2月16日日曜日
「やさしお」を使ってK-40のスペクトルをGaussian fittingしてみた
LB2045にはK-40の「スピルオーバー修正」という機能がある。これはK40の1550 keVのガンマ線がコンプトン散乱してしまった場合に、Cs−134,137の光電ピークを埋めてしまったり、暈上げしてしまう効果をさっ引く機能だ。spillover correction(「漏れ出し修正」とでも訳すのだろうか?)をするには、まずK-40の光電ピークの幅とコンプトンスペクトルが必要になる。手近に手に入るK40線源として、味の素の「やさしお」を利用する人は多く、今回もやさしおを利用することにした。
測定時間を20分にして得られたスペクトル全体は次の通りとなった。
コンプトン端というのは、コンプトン散乱における光子の散乱角度が180度、つまりもっともエネルギー移行が大きい場合に相当していて、光子のエネルギー(この場合は1461 keV)をもとに計算式からコンプトン端のエネルギーを算出することができる。
コンプトン散乱で反跳した光子は電子との散乱によってエネルギーを失うが、逆に見れば散乱電子は光子からエネルギーをもらうことになる。検出器は散乱電子がつくる電流測定をもとに光子のエネルギーを算出するので、計測器に現れる「ガンマ線のエネルギー」は散乱電子が担うエネルギーに相当する。
このエネルギーが最大となる場合がコンプトン端なので、θ=180°の場合の反跳光子のエネルギーE(θ=180°)を、最初に持っていた光子のエネルギー(つまり今は1461keV)から引けばよい。K40の1461keVのガンマ線の場合、計算するとだいたいコンプトン端は1244keVとなる。つまり図のコンプトン端(compton edge)の位置はだいたい1244keVということになる。
ちなみに式で書くとコンプトン端は次式で与えられる。
ただし、Eγは光電ピークのエネルギー(つまり今は1461 keV)である。
次に、K40の1461 keVの光電ピークをGaussian fittingしてみた(gnuplot使用)。初期値は昨日の善光寺のスペクトル分析で得たK40の光電ピークのGaussian fittingのパラメータにした。結果は次の通り。
さすがに昨日のfittingより綺麗にできた。つまり717番目のチャネルが1461keVに相当するということだろう。この線形関係がすべてのエネルギー領域で成り立つと仮定すれば、Cs-137の662 keVのピークは325番チャネルに相当する。Cs-134の606 keVと796 keVのピークは、それぞれ 280番と368番チャネルに相当することとなる。
この結果を昨日の長野市のデータに重ねて見るとこうなった。
赤い縦線が、上の分析で求めたセシウムのピーク(およびカリウム40のピーク)に相当するチャネル位置である。K40のピークはうまくいっているのだが、Cs-137, Cs-134の方がずれている。どうもこの検出器のチャネルとエネルギーは単純な線形関係にはないようだ。やはりセシウム近辺のところは、セシウムのテスト線源で合わせないといけないらしい。
ちなみにセシウムの3つのピークを、その間隔は保ったまま平行移動(右に9チャネル分、つまり+9)してみた。相対エネルギーは出せるかどうかに興味があるのだが、結果はだいたい次の通り。
結構良いように見える...
さて肝心のspillover correctionだが、ROI(region of interest、要は積分範囲)をCs-134,137、そしてK-40のピーク、およびそれらのtailが含まれるように設定し、一度20分の測定にかける。出て来たCPSの積分値の比をみると1.187389となった(つまりコンプトン散乱が起きる確率の方がちょっとだけ大きいということ)。これをもとにLB2045を設定すると、K40の光電ピークの面積を基に、ROI中に含まれるK40のコンプトン散乱スペクトルをさっ引いてくれる。昨日得たベクレル値(210Bq/kg)も、spillover correctionを適用して求めた値である。
測定時間を20分にして得られたスペクトル全体は次の通りとなった。
コンプトン散乱で反跳した光子は電子との散乱によってエネルギーを失うが、逆に見れば散乱電子は光子からエネルギーをもらうことになる。検出器は散乱電子がつくる電流測定をもとに光子のエネルギーを算出するので、計測器に現れる「ガンマ線のエネルギー」は散乱電子が担うエネルギーに相当する。
このエネルギーが最大となる場合がコンプトン端なので、θ=180°の場合の反跳光子のエネルギーE(θ=180°)を、最初に持っていた光子のエネルギー(つまり今は1461keV)から引けばよい。K40の1461keVのガンマ線の場合、計算するとだいたいコンプトン端は1244keVとなる。つまり図のコンプトン端(compton edge)の位置はだいたい1244keVということになる。
ちなみに式で書くとコンプトン端は次式で与えられる。
ただし、Eγは光電ピークのエネルギー(つまり今は1461 keV)である。
次に、K40の1461 keVの光電ピークをGaussian fittingしてみた(gnuplot使用)。初期値は昨日の善光寺のスペクトル分析で得たK40の光電ピークのGaussian fittingのパラメータにした。結果は次の通り。
さすがに昨日のfittingより綺麗にできた。つまり717番目のチャネルが1461keVに相当するということだろう。この線形関係がすべてのエネルギー領域で成り立つと仮定すれば、Cs-137の662 keVのピークは325番チャネルに相当する。Cs-134の606 keVと796 keVのピークは、それぞれ 280番と368番チャネルに相当することとなる。
この結果を昨日の長野市のデータに重ねて見るとこうなった。
ちなみにセシウムの3つのピークを、その間隔は保ったまま平行移動(右に9チャネル分、つまり+9)してみた。相対エネルギーは出せるかどうかに興味があるのだが、結果はだいたい次の通り。
さて肝心のspillover correctionだが、ROI(region of interest、要は積分範囲)をCs-134,137、そしてK-40のピーク、およびそれらのtailが含まれるように設定し、一度20分の測定にかける。出て来たCPSの積分値の比をみると1.187389となった(つまりコンプトン散乱が起きる確率の方がちょっとだけ大きいということ)。これをもとにLB2045を設定すると、K40の光電ピークの面積を基に、ROI中に含まれるK40のコンプトン散乱スペクトルをさっ引いてくれる。昨日得たベクレル値(210Bq/kg)も、spillover correctionを適用して求めた値である。
追記:以前、LB2045のパンフレットを用いて、LB2045のスペックについて検討したことがあった。半値幅つまりσについての情報もそこで議論したのだが、果たしてその通りの性能が出ているかどうか、今回の実験で確かめることができる。パンフレットには「Cs-137の660keVピークで7.5%(FWHM)」とある。これは、半値幅は660keVの7.5%だ、という意味だから、σ=25keVという意味だ。今回得られたK-40(1460keV)のGaussian fittingではσ=14.3(チャネル幅)なので、チャネルの単位をkeVに変換すると(これは1460keVのピークが717番目のチャネルに来たということを利用する。つまり 14.3 * (1460/717) =29keV)、σ=29 keVに相当する。仕様に近い値となっている。おそらくCs-137試料でやったら仕様通りの値になるのではないだろうか?(時間がないので今は後回しにします...)
gnuplotのGaussian fitting : K-40の1460keVピークの場合
ガンマ線スペクトルの生データが使えるようになったので、さっそくGaussian fittingを試してみた。まずはgnuplotを使った「あんちょこ」なものから。(このページを参考にした。)
gnuplotに入り、
これを昨日の善光寺のデータのK-40(カリウム40)の1460 keVのピークに適用してみたら次のようになった。
精度はそれほど高くないが、最初の一歩としては十分だろう。精度が足りないのはやはり統計量が足りないからだと思う。20分以上の測定が必要なんだろう。今度やってみよう。
得られたガウシアンの幅(σ)を一応計算してみた。するとσ=20.1となった。3σ=60.3だから、相対誤差はだいたい60.3/717 = 0.084...つまり8.4%程度か?
追記:実は以前にLB2045の性能(仕様)について考察したことがあった。半値幅(つまりσのこと)についても検討している。あとでもう一度まとめておこう。
gnuplotに入り、
f(x) = n * exp(a*(x-b)**2)
n=.01; a=1/20.;b=717
fit [x1,x2] f(x) "data.dat" via n,a,bなどといった感じでコマンドを打ち込むと、簡易なfittingをやってくれる。x1とx2はfittingしたいxの範囲で、n,a,bといった係数の初期値は生データをぐっと睨んで適当な値に選ぶ(この辺りは高校の数学、あるいは大学初年度レベルの数学のトレーニングが必要だろう....初期値が悪いと、結果も悪くなることが多い)。これは関数系を自分で指定できるので、Lorenzianや放物線にしたりなど、状況に応じて変更することができる。最後はplot f(x) w lとすればグラフに出せる。
これを昨日の善光寺のデータのK-40(カリウム40)の1460 keVのピークに適用してみたら次のようになった。
パラメータの収束値は上の数字ようになった。 |
得られたガウシアンの幅(σ)を一応計算してみた。するとσ=20.1となった。3σ=60.3だから、相対誤差はだいたい60.3/717 = 0.084...つまり8.4%程度か?
追記:実は以前にLB2045の性能(仕様)について考察したことがあった。半値幅(つまりσのこと)についても検討している。あとでもう一度まとめておこう。
2014年2月15日土曜日
久しぶりの放射能測定:長野市の善光寺の裏(城山公園)
株式会社ベクレルセンター(通称ベクミル)の協力を得て、久しぶりに土壌の放射能汚染の測定をすることができた。今回は長野市の城山公園の土。城山公園というのは、善光寺の東側にある公園で、東山魁夷の美術館があったり、花時計があったり、色々な文化施設が集まっている場所だ。長野市民の多くが子供の頃から愛着をもっている公園の一つではないだろうか?
測定は2014年2月。放射能物質が原子炉から飛び出して、ほぼ3年が経過した段階での汚染データだ。半減期2年のセシウム−134の減衰に伴い、随分と放射能レベルは軽減していると思っていた。ましてや長野市、きな臭い話はあったものの、それほど今まで注目してこなかった。ただ、志賀高原を越えた向こうには、強い汚染が疑われる草津や尾瀬がある。長野市周辺の焼却灰は結構放射能汚染が強いという報道もあった。油断はできない。
今回より、NaIガンマ線スペクトロメータLB2045のモニターの写真ではなく、機械が処理する生データ(CPS)にアクセスできるようになった。ガンマ線スペクトルの図は、このデータをもとにgnuplotで表示することにする。生データが得られたことで、様々な数値分析することができるようなった。ベクミルの厚意に感謝申し上げたい。
測定結果は次の通り。
測定は2014年2月。放射能物質が原子炉から飛び出して、ほぼ3年が経過した段階での汚染データだ。半減期2年のセシウム−134の減衰に伴い、随分と放射能レベルは軽減していると思っていた。ましてや長野市、きな臭い話はあったものの、それほど今まで注目してこなかった。ただ、志賀高原を越えた向こうには、強い汚染が疑われる草津や尾瀬がある。長野市周辺の焼却灰は結構放射能汚染が強いという報道もあった。油断はできない。
今回より、NaIガンマ線スペクトロメータLB2045のモニターの写真ではなく、機械が処理する生データ(CPS)にアクセスできるようになった。ガンマ線スペクトルの図は、このデータをもとにgnuplotで表示することにする。生データが得られたことで、様々な数値分析することができるようなった。ベクミルの厚意に感謝申し上げたい。
測定結果は次の通り。
城山公園(長野市)の放射能汚染(土壌)は およそ210Bq/kgとなった(Feb.2014現在) |
放射性セシウムの3つのピークが綺麗に立った!これほどとは予想しなかったので、ちょっと驚いてしまった。これで、善光寺やオリンピックスタジアムのある長野市には、セシウムのプルームは到達していたことが確認できた。汚染の程度は事故から3年経っておよそ210 Bq/kgだから、東京の西側(世田谷あたり)と同じ程度の汚染があったのではないだろうか?
2014年2月6日木曜日
2014年2月5日水曜日
通話を録音したい時
度重なる矛盾する説明、言った言わないの応酬など、「あの時の通話が録音されていたら」と何度思ったことか。しかし、持っているのは安くて古い(固定)電話ゆえに、無理な話と、今まで諦めていた。(注:携帯電話はもうすぐ無くなると信じているので、その方面での機能探求は行わないことにしている。)
あることがきっかけで、どうしても録音する必要が生じ、仕方なく本腰入れて調べてみることにした。まず考えたのは、ICレコーダを買って来てそれを受話器に押しあてる方法。これは自分の声ばかりやたらに大きくなって実用に供さない。
そこで、ICレコーダを使って通話内容を録音したいんだけれど、何かいい方法はないか?とヨドバシカメラの店員に相談してみることにした。すると間髪入れずに「これをお勧めします」とこの商品を教えてもらった。
この段階では「ヨドバシカメラ、すごい!」と尊敬の念を抱いていたのだが、これもうまくいかないことがやがて判明する。喜び勇んで家に帰りさっそく試してみると、なんだか最初に試した「あほらしい」方法と大差ない...通話相手の声が非常に小さくほとんど聞き取れない。欠陥品ではないかと思い、交換しようかと思ったが、説明書きをよく読むとなんと「モノラル方式のICレコーダのみに使用できる」と書いてある。買ってきたばかりの自分のICレコーダをみるとステレオ録音方式...これが原因かと落胆する。
返品して録音するのを諦めるか、それとも録音機能をもつ「素晴らしい」電話器に買い替えるか、それともモノラルのICレコーダに買い替えるか、この3択問題に悩みつつ、再度ヨドバシカメラを訪れる。
まずはモノラルのICレコーダを探してみた。たしかにそういう機種はあるのだが、録音記録が機械の中で閉じていて外に持ち出せない!
実は、今回ステレオICレコーダを買ってみてすごく感心したのが音声データの扱いだ。USBメモリのようにICレコーダをPC(のUSB端子)に刺し込み、MP3ファイルとして自由に管理できる。これなら、音声ファイルの整理をPC側で行うことも容易で、ネットにアップしたり、メールで送ったり、バックアップを取ったりと、使い勝手がよい。
ところが、不思議なことに、モノラル録音のICレコーダは、どの会社のどの機種も、音声データを機械の外に「持ち出せない」仕様になっている。つまりデータはレコーダの中に永遠に閉じ込められたままで、PCへ読み出すことができない。ステレオ機種とモノラル機種でどうしてこんな差がつけられているのかまったく理解できない。が、今はそんなことで悩んでいる暇はない。このオプションは諦める。
次に録音機能付きの電話に買い替えできるか、商品ラインアップをざっと見てみたが、余計な機能ばかりが目立って、シンプル電話+録音という構成のものがない。だいたい録音できても、先ほどのモノラルICレコーダと同じで、PCにデータ転送できないので、この選択肢もボツ。
最後に残ったのが「返品して諦める」だったが、諦める前にヨドバシを離れ、秋葉原の電気街に店を構える「プロ」の店で相談してみることにした。すると、「山一電気で、モノラル信号をステレオの左右チャネルに分離するプラグを買えばいい」の一言!山一電気に行って事情を説明すると、「それならこれ。」で決まり。(値段は忘れたが、わずか数百円だったと思う。)
ヨドバシカメラの店員は商品の種類などには精通していても、その使い方までは知らないようで、やはり機器の細かい構造まで理解している人に売ってもらうのが一番安心だ。
それにしても、日本の電気機器メーカーは消費者の立場に立って、どんな製品が求められているのかよく調べてから、製品開発するべきだろう。
ということで、電話機に録音機能がないがために、我が家の生まれかわった録音可能電話機は次のような姿となった。
しかし、電話機を開発しているメーカーが、最初からSDカードかなにかに録音データを保存するような電話機を最初から作ってくれていたら、こんなことにはならなかったのだ!そんな商品、ちょっとしたエンジニアなら簡単につくれるだろうに!(自分で作ってみようか?)それとも、法律か規制かなにかで作りたくてもつくれないのだろうか?あるいは、とある団体から作るなと圧力でも受けているのだろうか?
あることがきっかけで、どうしても録音する必要が生じ、仕方なく本腰入れて調べてみることにした。まず考えたのは、ICレコーダを買って来てそれを受話器に押しあてる方法。これは自分の声ばかりやたらに大きくなって実用に供さない。
そこで、ICレコーダを使って通話内容を録音したいんだけれど、何かいい方法はないか?とヨドバシカメラの店員に相談してみることにした。すると間髪入れずに「これをお勧めします」とこの商品を教えてもらった。
この段階では「ヨドバシカメラ、すごい!」と尊敬の念を抱いていたのだが、これもうまくいかないことがやがて判明する。喜び勇んで家に帰りさっそく試してみると、なんだか最初に試した「あほらしい」方法と大差ない...通話相手の声が非常に小さくほとんど聞き取れない。欠陥品ではないかと思い、交換しようかと思ったが、説明書きをよく読むとなんと「モノラル方式のICレコーダのみに使用できる」と書いてある。買ってきたばかりの自分のICレコーダをみるとステレオ録音方式...これが原因かと落胆する。
返品して録音するのを諦めるか、それとも録音機能をもつ「素晴らしい」電話器に買い替えるか、それともモノラルのICレコーダに買い替えるか、この3択問題に悩みつつ、再度ヨドバシカメラを訪れる。
まずはモノラルのICレコーダを探してみた。たしかにそういう機種はあるのだが、録音記録が機械の中で閉じていて外に持ち出せない!
実は、今回ステレオICレコーダを買ってみてすごく感心したのが音声データの扱いだ。USBメモリのようにICレコーダをPC(のUSB端子)に刺し込み、MP3ファイルとして自由に管理できる。これなら、音声ファイルの整理をPC側で行うことも容易で、ネットにアップしたり、メールで送ったり、バックアップを取ったりと、使い勝手がよい。
ところが、不思議なことに、モノラル録音のICレコーダは、どの会社のどの機種も、音声データを機械の外に「持ち出せない」仕様になっている。つまりデータはレコーダの中に永遠に閉じ込められたままで、PCへ読み出すことができない。ステレオ機種とモノラル機種でどうしてこんな差がつけられているのかまったく理解できない。が、今はそんなことで悩んでいる暇はない。このオプションは諦める。
次に録音機能付きの電話に買い替えできるか、商品ラインアップをざっと見てみたが、余計な機能ばかりが目立って、シンプル電話+録音という構成のものがない。だいたい録音できても、先ほどのモノラルICレコーダと同じで、PCにデータ転送できないので、この選択肢もボツ。
最後に残ったのが「返品して諦める」だったが、諦める前にヨドバシを離れ、秋葉原の電気街に店を構える「プロ」の店で相談してみることにした。すると、「山一電気で、モノラル信号をステレオの左右チャネルに分離するプラグを買えばいい」の一言!山一電気に行って事情を説明すると、「それならこれ。」で決まり。(値段は忘れたが、わずか数百円だったと思う。)
誇らしげにJAPANの刻印が打ってある。 こんな綺麗な部品が、八百屋の野菜のように無造作に、 店頭にたくさん積み上げられて叩き売られているのである。 |
それにしても、日本の電気機器メーカーは消費者の立場に立って、どんな製品が求められているのかよく調べてから、製品開発するべきだろう。
ということで、電話機に録音機能がないがために、我が家の生まれかわった録音可能電話機は次のような姿となった。
しかし、電話機を開発しているメーカーが、最初からSDカードかなにかに録音データを保存するような電話機を最初から作ってくれていたら、こんなことにはならなかったのだ!そんな商品、ちょっとしたエンジニアなら簡単につくれるだろうに!(自分で作ってみようか?)それとも、法律か規制かなにかで作りたくてもつくれないのだろうか?あるいは、とある団体から作るなと圧力でも受けているのだろうか?
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