2012年12月29日土曜日

取手市の子供たちの心臓異常のデータの簡単な解析

取手の子供たちの心臓に異常が見つかるケースが急増している、という報道が最近あった。この報道にはデータが載ってなかったので、その実態がよくわからなかったのだが、この方のブログにデータが載っていたのでさっそく分析してみた。また、「異常」というのは、心電図の波形異常のことだという。

原発事故の前のデータが3年分載っていた。これは重要だ。それによると、毎年10人ほどが「異常」を示していたという。(なるべく古い過去のデータをたくさん集めて、その平均値やその揺らぎを割り出しておく必要があろう。)この3年間のデータの平均値を基準にして、2011年以降どれだけ「異常」が増えたかみてみると、確かに2011年に大きなジャンプがあり、その傾向が2012年にも継続しているのがわかる。しかし、定期検診は毎年5月頃に行うというから、2011年の「ジャンプ」は原発事故からわずか2ヶ月後に生じたことになる。いくらなんでも、これはちょっと早すぎるような気がする。

取手のデータは心電図波形の異常の割合。
チェルノブイリのデータは、甲状腺癌の発生の割合。
(どちらのデータサンプルも小中学生の年齢層に限られている。)
チェルノブイリのデータは、事故後の最初の3年間の平均値を基準にしてある。
取手の方は、事故前の3年間の平均値を基準にした。

チェルノブイリの甲状腺癌の発生の様子を同じ年齢層の場合に限って比較してみる。よく知られているように、この甲状腺癌はヨウ素131(半減期8日)という放射性物質が原因で起きる。ヨウ素131は半減期が、セシウム134(半減期2年)よりも短いので、その放射能は圧倒的に強い。にもかかわらず、最初の甲状腺癌の増加が認められたのは、原発事故から3年後の事だ。

甲状腺癌と心電図の異常という異なる「病気」の比較だから、本来は科学的なデータではないかもしれない。しかし、それにしても、立ち上がりの早さ、ジャンプの位置などを見れば、なんとなく「これは違うな」という直感を得る人は多いのではないだろうか?

普通はこのデータをみて、「取手のジャンプは2011年よりも前に起きた、何か別の事柄が主たる原因となっているのではないか?」と結論するだろう(もちろん、複数の要因が絡み合っている可能性はあるが)。

ただ、今後の推移には注意を払わなければならないだろうし、柏や松戸など周辺にも調査を広げて、より多くのデータサンプルを集めるべきだと思う。

追記:最近、子供の肥満が問題になっているというが、これが心臓疾患とどう関係があるか、慎重に吟味する必要があるように思える。汚染されたグランドで運動させないようにした結果、福島では子供の肥満が目立つようになったとも言われる。放射能の直接、間接的な影響、またそれ以外の影響など、この問題は意外に複雑だと思った。

0 件のコメント: