Dynabook SS(RX2)は、超低電圧のCore 2 duo(1.4GHz)を積んだラップトップで、DVDドライブも付いているのに、ものすごく軽い。(バッテリを軽いものに換装して、もっと軽くした。)このバージョンのcore2duoはPenrynというタイプになるそうで、そのTDPは10Wしかない!その上、CPUの性能は、PPC-G5(5年程前の、アップルのPowerMacに搭載されたもの。最初の64ビットパソコンの一つで、当時の最高速マシンだった)に匹敵する。PowerMac G5は、一人で持ち上げるのは重くて大変だったのに比べると雲泥の差だ。
x86_64版のLinuxのインストールは、i5-750/i7-860を積んだデスクトップマシンで練習したので、基本的なところは問題ない、と思っていた。そのとき使ったのと同じimgファイルを転送し、DVDに焼いて試すと、驚いた事にjdkのインストールのところでエラーメッセージが出て、止まってしまった。エラーメッセージによると「ディスクが壊れている可能性ある」とのこと。同じイメージを焼き直して再度挑戦したが、やはり同じ所でエラーが出る.転送時に何か問題がおきて、ファイル自体が損傷してしまったのだろうか?Vinelinux5をダウンロードして、インストールしてみたが、こちらはうまくいく。そのまま、Vineでいこうか、と思ったが、Nautilusが不安定で、頻繁にX-windowが落ちてしまうため、Fedora12に戻すことにした。Fedora12のインストールDVDはインストーラーの起動に関しては問題ないので、途中でnetworkインストールにスイッチし、ネットワーク経由でインストールすることにした。自宅のj:comのADSLでやったのだが、これ意外に速く、風呂に入って出て来たら、インストールは終わっていた。しかし、Fedora12のインストールは、実はここからが本番である。物理研究者のノートPCにするには、fortranとpLaTeXを入れねばならないからだ。
まずは、Fortranのインストールである。Gnu g95はx86_64用のバイナリファイルが配布されているので、難なくインストールできる。問題は、Intel Fortran(ifort)である。Intel CPUを積んだマシンでは、このコンパイラがとにかく最速で、g95の2倍の性能を示す事もある。(このノートPCの場合は約1.4倍だった。)ifortの導入にはyumが使えないので、ダウンロードしたファイルに含まれるスクリプトに従って、インストールしなければならない。Linux版はfreeなので(
Intel Fortran Compiler for Linux)、物理学者の多くがifortで計算をしていると思う.実は、Vinelinux5をあきらめた理由の一つが、ifortがどうしてもインストールできなかったことだ。ifortは64ビットCPU(Intel 64)を動かすことができるが、なぜか32ビット版のライブラリーを幾つか必要とする。通常のx86_64 Linux distribtutionには含まれていないので、別途インストールが必要なのだが、vinelinuxはライブラリの依存関係が複雑で、最後までなかなか到達できない。一方、Fedoraはyumを使う事ができるので、そのインストールはあっという間だ。詳しいことは、
インテルのホームページに書いてある。
次に、pLaTeXのインストールだが、これはVinelinux5の方が簡単である。つまり、日本語化も含めて(それがVineの売りな訳だが)、オリジナルのdistributionの中ですでに完成している。しかし、Fedora12はここが難しい。pLaTeX3のファイルをまず
ここからダウンロードする。次に、Ring CTAN ftpミラーサイトなどから(例えば
ここ)、tetex-src-3.0.tar.gzおよびtetex-texmf-3.0po.tar.gzをダウンロードする。3つのtar.gzファイルを同じdirectoryに置いて、ptetex3-xxxx.tar.gzのみを展開し、展開されたdirectoryに入ったら、そこでmakeをかけるのだが、その前にやらねばならない事が3つある。
一つ目が、/usr/include/stdio.hにある、getlineに関連する行を一時的にコメントアウトしてしまうこと。これはpLaTeXのmakeが終わったら、元に戻しておくのを忘れぬように.2つ目が、ptetex3のdirecotryにあるスクリプト,7font-search.shを修正すること。sazamai fontに関連するところが135行目あたりにあるが、この記述を次のように変更する。
...../fonts/sazanami/mincho
...../fonts/sazanami/gothic
古いFedoraとdirectoryの構造が違うのが原因だそうだが、実はこのフォントがx86_64 Fedora12には含まれていない。そこで、3つ目の修正が、このフォントを上の修正で指定した場所に手で入れることである。sazanami fontは
ここからダウンロードできる。
ここまで、下準備をしてからmakeすると、長い事コンパイルしているが、最後には"conguratulations!"という文が現れて、コンパイルは無事に終了する.(ここまでくるのに、どれほど時間を浪費したことか....)ちなみに、日本語のtex文書はdvipdfmxでコンパイルする。dvipdfだと文字化けする.また、出来上がったpdf文書はevinceで見る事ができる。Adobe acroreadはまだ、x86_64に対応した製品が出ていない。
これで、Dynabookがx86_64マシンとなった訳だが、一つ問題が隠れている。それは、この後リブートしたときにWindows Vistaが起動できない、という問題である。これはいろいろな解決法があるようだが、一番簡単な方法は、grub.confの修正であろう。まずは、Fedora12のインストールが終わった直後に、rebootし、grubでwindowsを選んでみよう。するとBOOTMGR IS MISSINGと出るばかりで、Windowsが起動しなくなっているはずである。こうなるのがわかっている人は、リブート前に、/boot/grub/grub.confを修正しておくと、すぐに問題が解決される。どうも、Fedoraのgrubはwindowsのブートセクターの数字を一つ間違える傾向があるようで、自分の場合、hd0 -> hd1とすることで、windows vistaが起動できるようになった。
答えがわかるまでに、1.5日かかってしまい、答えがわかった後もインストールには4時間かかった。クタクタ也。