2012年2月13日月曜日

二号機の温度上昇:冷温停止「状態」の根拠消滅

毎日新聞にいい記事があった

二号機の温度計の一つがついに94度を越えた。温度計には誤差が20度程あると、東電も政府も認めており、原子炉の温度が80度を切ることが「冷温停止状態」(注意:冷温停止ということではないらしい...)の定義だった。その80度を20度近くも上回り、文字通り100度付近まで原子炉の温度が上昇している現在、すでに「冷温停止状態」は維持されていないことは、いくら政府や東電(のOBKSN)の目にも明らかだろう。

そもそも「冷温停止状態」を宣言したときは、温度だけを頼りにそう言い切ったのに、逆の現象が生じたときには、前の方法論を採用しないというのはおかしい。自分の都合に合わせて定義を変えている。これはすでに「東大話法」であり、スペースシャトルを爆発させたNASAの文化と同じだ。

東電はいつもの必殺技を出して来た:この温度計は故障している。今までの嘘の繰り返しの後で、この説明は容易には受け入れられないだろう。現に、毎日新聞は返し技を開発していた。「もし温度計が故障しているのなら、そんなあてにならない機械を使って「冷温停止状態」を定義するのは科学的でなく、信用できない。」

つまり、温度計が壊れていようが、壊れていまいが、結局は「冷温停止状態」と宣言できないということだ。

(追記:2/14の東京新聞の記事に、温度が200度を振り切ったという報道が出た。東電はこの温度計が故障したと断定したという。しかし、それを証明した訳ではない。故障というならば、再現実験をやってみて、どういう状況になれば高温側に振り切れるのか示してもらいたい。少なくとも、お得意の「ストレステスト」もどきでもやって、どう壊れたか見せて欲しいものだ。東電以外の熱電対の専門家、物理学者の人に、今回の現象について是非説明してもらいたいと思う。)

4 件のコメント:

なーや さんのコメント...

今度はどうなってしまうのでしょう・・・取り返しのつかないことにならないことを切に願うばかりです・・・。

kuzzila さんのコメント...

温度がホウ酸投入に反応していないので、臨界状態には達していないと、京大原子炉の小出先生は分析していました。激しい水流に放射能物質の断片が落ちて、温度計にくっついてしまった、と推測する人もいます。だとすると、温度計はもうすぐ融けてしまうのかもしれません。この場合、東電の説明は半分正解で、半分不正解です...(壊れている、というのはあっているのですが、温度の値が高すぎるのは異常値だ、というのが誤りです。)

今回、東電は大慌てで水量を増やしたので、大量の汚染水が生じてしまいました。おそらく「今度はどうなるか」というと、実はいつもの繰り返しで、大量の汚染水が(を)太平洋に漏れた(漏らした)、というのが一番確率が高いと思います。しかし、これが太平洋の自然にとって致命的なのはご存知と通りです。

なーや さんのコメント...

融けてしまうって思いつかなかったです!
テレビの報道が当てにならないのは、もう何年も前から賢明な大衆の方々はきずいていますよね。
 とある有識者の方が冷却装置が5時間停電し続けていたら必ずメルトダウンしてると3月12日の時点で申しておりましたが、テレビ局各社(テレビ東京はドラマやってましたが)そろって原発の建設に携わった大学の教授とか原子力に詳しい誰々とかを招いて必死に「大丈夫、4重の扉で核燃料は守られている・・・」でも事実は守られているどころのレベルでは全くもってなかったってことになってますよね・・・
 アメリカのガンダーセン教授のおっしゃってること(you tube参照)に三号機は核爆発だとのことですが事実はいつもアメリカかからの逆輸入ってことが多すぎるきがします。
 食品から放たれている放射線量も測定できるということでしたので子供とお客さんと地域(飲食店を営んでおります)の安全は微力ながら守りたいと思いまして昨日CK-3なるガイガーカウンター買いました。

kuzzila さんのコメント...

CK-3による食品の測定では、バックグランドを抜く作業が大事になります。測定器は指向性が無いので、食品の方向からくる放射線だけを測ることができないからです。普通は、鉛で食品と測定器を覆ってから測定をかけます。(ただ、鉛を手に入れるのは大変です。したがって、結局はバックグランドのγ線が混入してしまうことになります。)

単純な方法は、机の上に食品を置いて測り、次はまったく同じ状況で、その食品を外して机の上を測ります(空の測定)。2回の測定の引き算の値が食品の放射能の「候補」となります。これでも、測定値は、ばらつきますので、このような測定を20回ほどやって平均値と標準偏差を出しておけば、少しはまともな測定に近づくかもしれません。

ただし、CK-3はセシウムからくるγ線なのか、カリウムからくる放射線なのか、それともラドン、ビスマス...なのか、区別することができません。ですから、汚染されているかどうかは、結論が出せないでしょう。(たとえば、バナナは天然放射能物質のカリウム40が一本につき20Bqほどあるそうですから、CK−3で測ると「放射能がある!」と間違えてしまう可能性があります。

いずれにせよ、食品測定はとても難しいのです。