2012年2月16日木曜日

震災がれきの「広域処理」キャンペーン

東京新聞の2月15日の朝刊に載った「こちら特報部」の記事に、震災がれきの「広域処理」が取り上げられていた。

「広域処理」などというと意味が薄れてくるが、結局はこれは「がれきと称する放射能物質を日本全国にばらまく可能性のこと」という意味だ。今回のがれきは宮城と岩手のもの。この二県ともに、放射能汚染された場所があることは、文部科学省の汚染地図でも明らかになっている。(ちなみに、汚染の弱い仙台平野の海岸沿いのがれきは、仙台市が自分で処理することになっているので、汚染されたがれきの割合は、全国に散っていくものの方が必然的に高くなる。)宮城の汚染は牡鹿半島全域。そして岩手は牡鹿半島の付け根から北にのびる三陸海岸の南半分の沿岸地域だ。この辺りの汚染は、柏や軽井沢なみ、あるいはそれ以上の汚染がある。したがって、そのがれきや土砂などには確実にセシウム137やストロンチウム90などの放射能物質がたっぷり付着している。

テレビ等の報道では、40から50万円程度のガイガーカウンタや簡易型のシンチレータでがれきを測定している様子が映されていて、細野大臣et al.が「ああ、低いですね。これなら大丈夫だ」などと呑気なことを言っている。しかし、それは外部被曝と内部被曝の違いがわからない、今となっては「旧世界の人間」の発言であることは明らかだ。

「これからの日本人」、あるいは「新しい日本人」が気にしなくてはいけないのは、外部被曝なんかじゃない。内部被曝の脅威だ。(注意:「新しい」というのは、残念ながら今回の場合は、「幸福で、より進歩した」という意味ではない。あくまで、「原発事故以降の」というだけ意味だ。)

関東周辺の土壌検査をしてみてわかったのは、ガイガーなどで測定して0.05μSv/hが出たとしても、残念ながら、それは汚染が無視できるほど弱いということにはなっていない。以前にも報告した通り、キロあたり数百ベクレルにも汚染された土と、数ベクレル以下の汚染の弱い土とでは、ガイガーや簡易シンチレータなんかでは区別がつかないのだ。

信州佐久でもそうだったように、関東でも「知らない間に」汚染の可能性の高いがれきを持ち込んで、焼却してしまおうとしている。ずるい行政の態度に立腹した人たちは、声を上げて反対の立場をぞくぞくと表明し始めている。例えば、恵比寿と中目黒の間にある目黒区のゴミセンターで宮城、岩手のがれきをすでに焼却していることが判明したが、これに反対する集会が最近開催されたという。このゴミ処理場の近くには、江戸時代に爺々が茶屋があったという茶屋坂があり、目黒のさんまの落語で有名な場所だ。このまま行政の横暴を許すと、今年の秋のさんま祭りでは、セシウム137の煤塵を被りながら、放射能まみれの太平洋秋刀魚を味わうことになる可能性が高い。

人々がいやがることを、なぜ国は強引に推し進めるのか?そもそも、それをやっていい事があるのか?まずは、東京新聞にあった記事で紹介されていた、環境専門のシンクタンク「環境総合研究所」の池田副所長の見解をみてみよう。

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