森泉山の地点A,Bの汚染レベルの比較。 |
面白いことがここに一つある。それは、地点Bの放射線量は0.2μSv/hほどあるのに、関東の2地点は0.1μSv/h強程度しかないということだ。具体的な値は次のようになる。
場所 | 線量(μSv/h) | 放射能(Bq/kg) |
森泉山(地点B) | 0.19 | 400 |
皇居北の丸 | 0.12 | 560 |
川崎 | 0.12 | 310 |
線量だけみれば、森泉山西側斜面(地点B)の汚染は、関東の倍のひどさがあるように見える。しかし、その放射能の数字を見ると同程度あるいは、それより弱い汚染となっている。この傾向は、スペクトルのグラフを見ればもっと明瞭だ。スペクトルのピークを見ると、関東の2地点はどちらも森泉山西側斜面を上回っている。これが意味するのは、土壌の放射能は関東の2地点の方が森泉山中腹よりも強いということだ。つまり、線量の低い関東の土壌の方が、森泉山西側斜面よりもセシウム汚染がひどいことになる。
前に考察したように、山林の汚染は森全体に渡るため土壌だけにセシウムが沈着するわけではない。つまり、土壌汚染が関東より軽いからといって、これは嬉しいニュースとはならないと思う。山や森林の除染は、土壌の剥ぎ取りだけでは済まないだろう。木を切り倒し、岩を撤去し、その上に腐葉土や砂礫を除去しなくては、線量は落ちないということだ。
一方、都市部の汚染は線量だけみれば低いように見えるが、それはセシウムの沈着が主に土壌にのみ形成されているからだろう。森全体が引き受けるはずだったセシウム汚染は、コンクリートやアスファルトの表面を流れ、下水や川に流れ込み、最後は海へと行ってしまった。つまり、東京を含む関東平野だって0.2μSv/h以上の汚染があってもおかしくなかったが、都市化によって汚染は定着せず、海へとその責任をなすりつけた形になったと思われる。東京で土のある所を探すのは難しいが、公園や校庭、神社、数少なくなった畑地など、限られた場所にはある。それだけに、こういう場所には付近から流れ込んだセシウムが溜まり、放射能(つまりベクレル)が高くなってしまう傾向があるのではないだろうか?都市部のセシウム汚染は一カ所にかたまり、局所的なホットスポットを作りやすいと思われる。実際、多摩川の河原ではそういう場所が数地点報告され、現在は立ち入り禁止となっている。その線量は1μSv/hに及ぶような高い線量を示しているという。外部被曝の観点からしても、これは要注意だ。しかし、なによりも関東の人間が気をつけなくてはいけないのは、強く汚染された土や砂が舞い上がり、それを吸入してしまうことだ。いわゆる内部被曝だ。公園に遊びにいったり、校庭でスポーツをしたりするときは注意すべきだろう。
そして、これから最大の問題となるはずなのは、東京湾の海産物だ。これを食べるときは、よく考える必要がある。東京の海には、森泉山が引き受けてくれた放射能物質の大半が流れ込んでいると思うと背筋が凍る。
0 件のコメント:
コメントを投稿