2012年4月7日土曜日

御代田町の森泉山にて線量測定:間違いなくホットスポット

以前enniethebearさんからお寄せ頂いた情報(リンク先のコメント欄を参照のこと)にもとづき、御代田町の森泉山周辺の別荘地の線量測定を行った。

まずは文科省の線量地図から見てみよう。細かい精度はないが、大ざっぱな分布を知りたいときは、この地図でだいたいのことはわかる。
文科省による線量地図。
本日の測定地点は御代田町の森泉山周辺にあるA,B,Cの三カ所。
左の紫色の地域は0.1μSv/h以下の、いわゆる「非汚染地帯」だと皆が思っている場所。(実際には軽微な汚染やホットスポットもないわけではない。)右側の水色は、0.1から0.2μSv/hの地帯で(実際の線量はこれより高い場合もあるが)、軽井沢の汚染地域におおよそ相当する。政府の発表したこの地図をみただけでも、森泉山の汚染は軽井沢と同程度あることは予想がつく。軽井沢での測定の経験から、それはだいたい0.2μSv/h前後だろうと思われた。

さて、まずは地点Aの線量を測ってみた。ここは「安全地帯」にちゃんとなっているか確認しておく必要がある。ガイガーカウンターの正確さもある程度確認できる。

地点A。
平尾山を望む。畑地が広がっているが、
このすぐ左はゴルフ場になっている。
測定地点は畑脇の雑木林。
まずはJB4020で測定した結果をRAMIで解析したものをみてみよう。
赤線がRAMI、枯れ草色が30秒おきの表示値。
収束は若干悪いが、寒くて20回も測定する気力が途中で失せてしまった。許されたい。収束値を0.1μSv/hとするならば、補正値は0.05μSv/hということになる。

同じ場所でAir Counter Sによって三度測定した。結果は0.06, 0.07, 0.07で、平均値は0.07μSv/h。だいたい上の結果と同じ値だ。

いずれにせよ、A地点での結果は文科省の結果と一致しており、汚染は軽微/無しの場所と言ってよいだろう。(最終的な判断は土壌のγ線スペクトル検査に持ち越されるが、これは近日中に行う予定。)

次に地点Bの結果を見てみる。ここは、森泉山の尾根の一つ。カモシカか鹿の糞が、森の中に散乱していた。ここに至る道は荒れ果てていた。人の頭の数倍もあるような落石がゴロゴロ道に散乱していた。いつ落ちてくるかと思うと、恐ろしい気分になる。大小の枯れ枝も道を塞いでいて、時折車を下りて手でどかさなければならない事もあった。ここはなにもかもが「散乱」しているかのようだ。落石からもわかるように、この辺りの山の斜面はキツく、別荘の痕跡はまったくない。この部分で土地を購入した人は誰もいないようだ。
地点B。
尾根の一つ。森の中で見晴らしはあまりきかない。
斜面はガチガチに凍り付いていて、時折足を滑らせたほど。
文科省の地図によれば、この辺りは0.2μSv/h以下程度となるはず。

水色がRAMI、紫が30秒おきの表示値。
収束は弱いが、0.19μSv/hを採取結果とする。
収束は弱いがRAMIの値は0.19μSv/hとしてよいだろう。補正すると0.14μSv/h程度。Air Counter Sの測定は3回行った(確定値を三回出した):0.19, 0.22, 0.22、つまり平均値を取ると0.21μSv/h。両者の結果に若干の差異はあるものの、だいたい文科省の結果通りとなった。

地点A,Bの結果が政府の値とほぼ一致したことを確かめ、いよいよ問題の地点Cへと向かう。

地点Cへの道は、山頂を周回する道へ接続するまでは、かなりの急坂となっている。北側の斜面からは、浅間山の見事な雪景色を見る事ができた。天空に浮かぶラピュタのように、誰にも邪魔されず静寂を楽しむことができる素晴らしい別荘地だと思った。しかし、東電の原発事故によって一瞬でその素晴らしさが半減、もしくはそれ以下になってしまった。非常に残念な気持ちになった。4月とはいえ、雪が舞う寒さの中、結構な数の住人が訪れていたのは、この風景と静寂の素晴らしさの故であろう。よくわかる。
森泉山より見た浅間。右側の岩山はギッパ岩というらしい。
散策路があって、景色を楽しむことができるらしい。
森泉山の標高は1136m。放射性プルームがもっとも軽井沢地域を汚染した標高にほぼ一致する。面白いと思ったのは、これほど急峻な斜面をそんなに高いところまで登ったところで、小さな池が現れるということ。にわかには信じ難い。しかし、頂上の周回路に近づくと傾斜は緩やかとなり、山頂部はかなり広い台地状になっていることがわかった。ここに湧き水が溜まった綺麗な池があった。

頂上の台地にすり鉢状の地形を作っていて、それは東の方角に開けている。先ほどの地点Bは西斜面に属していて、関東平野から見ると山の「裏側」にある。放射性プルームは関東平野から流れて来たから、東側の方が汚染がひどいことは想像できた。しかし、これほどまでとは予想だにしなかった....

森泉山の頂上付近にある弁天池。手前と奥の2つに
分かれていて、奥の方がメインの池だと思われる。
手前の池の真ん中に祠がある。写真右手の方から湧き水の
川が流れ込んでいる。白いのは雪。
高線量が出たという情報を聞いた場所は、道の行き止まりにある駐車場から弁天池の方へ降りる緩やかな斜面。クマザサがある場所という詳細な描写に、ピンポイントで測定場所が決まる。半信半疑でJB4020とAir counter Sのスイッチを入れる...

測定地点の様子。クマザサが茂る斜面。
地面は凍りついていて、土壌採集は難航した。
0.57, 0.60, 0.62, ....見た事も無いような高い線量が画面に現れた。Air counter Sも0.69, 0.74...と、もの凄い値が表示されていた。地点Bと比べても3倍も高い!間違いなくここはホットスポットだ。

赤い線がRAMI、青い線が30秒おきの表示値。
まずはJB4020の結果から。これも収束はちょっと弱いが、だいたい0.52〜0.53μSv/h程度の収束値と見てよいだろう(生データ)。ここは揺らぎが少ない。瞬間値を見ても、0.3μSv/hを下らないから凄い。補正値にすると、およそ0.43μSv/h。今まで測定して来た中で最高記録が出てしまった。Air counter Sは4回確定値を測定。0.54, 0.69, 0.61, 0.74を得る。平均値は0.65μSv/h。

御代田町は、この結果の意味をよく考えるべきだろう。(まずは、結果を確認し、公開すべき。そして東電に賠償を請求し、困難を極めるとは思うが、除染を試みるべきだろう。なにしろ、この池のすぐ目の前には立派な別荘が幾つか立っているのだから。)

0.6μSv/h以上の瞬間値を表示するJB4020と、
確定値0.69を表示するAir Counter S。

山を下りながら、とても悲しい気持ちになった。東電と原子力政策を推進してきた政府は、この悲劇の責任をどう取ってくれるのか!

2 件のコメント:

なーや さんのコメント...

いつもありがとうございます。山頂まで迷わず行けましたでしょうか?弁天池付近は子供のころよく父親に連れて行ってもらった「心のホットスポット」です・・・あの辺りは1970年代に一帯をリゾート開発して売り出しており、そのフィッシングレイクとして作られた人造湖が弁天池なんですよ。今の時期はおたまじゃくしがたくさん生まれカワセミが水場にする場所なのに本当に残念で、とても悲しくなりました

kuzzila さんのコメント...

山頂に池があるのは不自然だと思いましたが、やっぱり人造だったんですね。開発から40年ほど経過した現在、自然に馴染んでいい池になっていると思いました。あんな山の上でカワセミを見つけたら、ほんとうに素晴らしい。ラピュタと書きましたが、本当にそんな感じの場所だと思いました。

汚染されやすい地形が見えて来たような気がします。まだ仮説段階なので、公表はしませんが、これからはそれを確認すべく調査地域を広げていこうと思います。

なお、御代田の里に関しては、線量はかなり低く佐久平と同じ程度でした。土壌検査はまだですが、分かり次第お知らせしていこうと思っています。