2012年4月16日月曜日

明日は土星が衝

天文年鑑(誠文堂新光社)の「毎月の空」というカレンダーセクションがある。ここにはその日の天文イベントが記されているが、今まで「衝」とか「内合」とか「矩」だとか、わけのわからないイベントは全部無視して、「皆既月食」とか「日食」とかそういう派手なものばかり注目していた。

今日読んだ天文学史の古い教科書に、外惑星の軌道半径の測定についての記述があって、なるほどと思った。例えば、土星の公転軌道半径を決めるには、土星の公転周期と、衝から矩までの時間間隔を測定すればよいという。衝というのは惑星が地球に最も接近したとき、また矩というのは太陽と惑星の角度が90度になるときのこと。たしかに、直角三角形の性質を使えば、土星の公転半径が(天文単位で)決定できる。すばらしい!

内惑星も同じようにして、その軌道半径を測定できる。ただし、矩の代わりに「最大離角」を用いる。今、金星が夕方の空に輝いているが、夕方の場合は東方最大離角となる。最大離隔の日に、太陽とその惑星の角度を測ると、やはり直角三角形の性質を使って惑星の公転半径を計算することができる。ちなみに金星の東方最大離角は去る3月27日...学会で神戸に行っていたときだったようだ。残念。あのとき、日没時の太陽と金星の角度を測っていれば...記録を見ると4月1日の写真はあったが、太陽の位置が記録されてない...残念。次のチャンスは、金星が明け方に回ってから。つまり西方最大離角を使う事になる。8月15日の日の出直後(直前)がそのタイミングとなろう。

また、今年の金星の内合は6月6日に起きる。しかもそれは「日面通過」という劇的な天体現象として観測できる。これを逃すと100年以上先の2117年まで見る事ができない。金環食より劇的かも。

ちなみに、明日は土星が衝となる。この日は土星が太陽と180度の角度を成していることになるから、日没と共に土星が地平線から昇ってくるはずだ。(実は、正確な衝の時間は、明日の早朝3:45頃になるので、夕方になると角度が180度からちょっとずれてしまう。天体ソフトによると先に土星が地平線から出てくるようだ。)また、衝の土星は地球に最も接近しているので、土星の輪を観測するなら明日に限る。

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