2012年4月22日日曜日

東京西部のセシウム汚染:ひとつの仮説(現象論的)

川崎と皇居北の丸の汚染レベルはほぼ同じ500ベクレル/キロ。二つの地点はおよそ20キロも離れている。このことから、この2地点の間にある東京西半分は、てっきりこのレベルに一様に汚染されていると思っていた。よって、この「一様な汚染」がどの辺りから減衰するかを調べるのが大切だと感じていた。

ところが、世田谷、川崎、町田と西に移動すると汚染が高くなるという不思議な結果が得られた。この理由は明らかではない。しかし、その変化の傾向を現象論的に押さえておくのは、研究の初期としては大事だろう。

まず、北の丸と川崎の中間地点に有る場所を探す。そこが汚染中心(とはいえ汚染が最小になる地点だから、通常と逆の意味での「中心」になる)になるだろう、という予想モデルである。その場所は、世田谷区役所のある辺りになった。つまり、そこが一番汚染が低いとみなし、そこから東西南北に離れれば離れるほど、汚染は強くなっていくと予想するのだ。この予想を確かめるべく、いままでに得られた実測値をまとめて結果をグラフにすると次のようになった。

世田谷区役所からの距離と、
土壌の放射能の現象論的関係(予想)。

東京西部の採集地点の結果は、なぜかうまい具合に直線に乗る。大雑把に補間してみると、だいたい西方に1 km進む度に40 Bq/kgの割合で放射能強度が上昇する。線形近似では、汚染が最低だと予想される世田谷区役所周辺の汚染は130ベクレル/キロとなった。本当だろうか?この仮説を確認するには、よりたくさんの地点で測定する必要がある!

それにしても、どうして汚染は西に行くと悪化するのだろうか?福島から離れるほど汚染がひどくなるというのは直感的に理解できない。東京周辺のホットスポットである柏や松戸から離れていくことにもなっているわけなのに、とても不思議な結果となった。もしかすると、高尾山や丹沢、陣場山あたり、あるいは箱根や熱海などに知られざるホットスポットがあるというのだろうか?川崎のミカンはこういった山間部で栽培されているわけで、それがセシウム汚染されていたということは、もしかすると「知られざるホットスポット」が関東西部の山地帯に存在することを暗示しているのだろうか?


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