次は土星の輪の観測。
前回の土星の輪の撮影の試みは、単に「輪っからしきもの」が惑星についている程度のレベルだった。撮影法はコリメート撮影だった。土星のコリメート撮影はとても難しい。理由は2つ。まず暗い天体だということ。さすがに、肉眼で見える最遠の天体だけのことはあって、金星とは比較にならないくらい暗い。また、木星と比べてもずっと暗くなってしまうため、木星のような縞模様を写すことすら非常に大変(もちろん、それは機材にもよる。私の機材はVixen A80Mfという初心者レベルの望遠鏡なので、これを念頭に置いている。)もう一つの理由は視半径が小さいということ。これも、遠い所にあるということと同義だ。暗くて小さい天体を、倍率の高い接眼レンズを使ってコリメート撮影するのはとても大変だ。一言でいうと、レンズをカメラで覗き込んだ時天体を見つけにくいのだ。その上、イメージは暗くなってしまうので、シャッタースピードを速くすると写りにくく、ピントも合わせ難い。(シャッタースピードを上げるのは、手ブレを防ぐため。)
また、直焦点撮影すると、小さなイメージがさらに小さくなってしまって、輪っかの構造がわかりにくくなってしまう。
そこで、今回は拡大撮影を試みることにした。拡大撮影はピントをあわせにくい、という問題がある。今回はこれをなんとか解決し、土星の輪をなんとか写す事ができた。望遠鏡には赤道儀を付けてないので、感度はiso12800と最高値に設定し、シャッタースピードの早さを補うことにした。さらに、視野に入れ難い倍率の高いレンズをつかったため、天体を視野に入れるのがとても難しかった。コツを掴むまで10分ほど苦しんだが、なんとかマスターすることができた。
以上のセットアップでは、土星の縞模様は表現できないし、輪の模様も見えない(カッシーニの間隙も当然×)。しかし、輪っかと土星の間の隙間はちゃんと写す事ができた。以前より確かに、円盤面は傾いて来ているのがわかる。
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土星とその輪 |
少なくともこの写真品質の精度をキープしたまま毎年観測を続けていけば、輪っかが波打つ様子を調べることができるだろう。
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