2013年11月11日月曜日

アルビレオの二重星:再挑戦

二年前にチャレンジして失敗した「はくちょう座のアルビレオ」の観測に再挑戦してみた。

木枯らし1号が吹いた後、急激に気温が下がり、日が沈む頃になると冬の寒さとなった。手袋をしないと手がかじかんでしまう。「秋はこれにておしまい」とばかりに冬の星座が東の空に昇ってきた。それでも、夏の大三角は北から西の空にかけて、いい角度で傾き、観測に絶好の位置につけている。アルビレオを狙うのは今年は今が最後となろう。海王星や天王星の観測に後ろ髪を引かれもしたが、半月のあまりの明るさに、うお座もやぎ座も肉眼には映らなかったので、そちらの観測は今宵はあきらめた。

A80Mfを使用する。先日購入した「新兵器」の、Celestron zoom eyepiece 1.25"を利用することにした。

この接眼レンズは拡大率を連続的に変えることができる。つまり、倍率が低い状態で天体を探して視野に収めてから、天体像を拡大できる。通常は倍率の異なる接眼レンズを付け替えなくてはならないが、その度に望遠鏡の位置がずれて天体が視野から外れたり、焦点の設定が大幅に狂ったりして天体を見失ったりと、その観測は困難だ。また、接眼レンズのネジの口径が、Canonの一眼レフカメラに合致しているため、接眼レンズを直接取り付けることができるのも便利な点だ。

肉眼でアルビレオの位置を確認し、ファインダーで望遠鏡の視野に収める。この辺りは、天の川の中となるので、ファインダーに無数の星が見えてしまう。おかげで、なかなかアルビレオを同定できない。寒さの中、辛抱しながら、少し赤い感じの星を探す。意外に高度は低い感じだ。そして、ついにこの二重星をうまく撮影することができた!

ついに捉えたアルビレオの二重星。430光年。
アルビレオは宮沢賢治の「銀河鉄道」の夜に登場する。そこで描写されているように、実際に観測しても、2つの恒星の青と赤の色の対比が素晴らしい!しかし、Wikipediaには「これは真の二重星かどうかは未だに不明」とある。賢治は「真の二重星」つまり互いの周りを周回する2つの星と考えていたが、是非それが本当であって欲しいと願う。なんとかして結論を出して欲しいものだ。

今日の成功は、実は月の存在が大きい。今宵は月齢7.6日の半月だが、ピントを月に合わせてからアルビレオを撮影したのだ。実は、今晩使った接眼レンズを通してみたカメラのファインダーにはアルビレオは写らなかったのだ。そこで、望遠鏡のファインダーを使っておおよその位置を掴み、月面のピントのままバシャリとシャッターを切る。写真で星の位置を確認しながら微調整し、拡大率を上げる。ピントがずれるので、何度か撮影像を用いながら手探りでピントを合わせていく。こんな具合にして、アルビレオの撮影に成功したのだった。もし月がなければ、ピント合わせに時間がかかり、あまりの寒さにやる気が失せてしまった可能性もあったと思う。

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