2010年12月31日金曜日

イギリスの部分日食

天体写真を撮ろうと思い、昔のカメラを倉庫の奥から引っ張りだしてきた。もう5年ほど前に使ったのが最後の、フィルム式の一眼レフCanon EOS1000である。最後の一枚はイギリスの自宅で撮った日食だったはずだ。記録を調べると2005年10月3日とある。日食直前までは晴れていたのに、いざ始まってみると、天気が急変して、厚い雲の切れ目から太陽を伺いながらの観測となったのを記憶している。部分食とはいえ、食の最大時間には相当部分が欠けると予想されていたので期待していたのだが、その時間より遥かに前に空は完全に曇ってしまった。

久しぶりに写真屋さんにいって、現像をお願いした。カメラから取り出したフィルムはBoots製(イギリスの薬屋さん)の24枚取りreversal filmであった。現像は1時間でできるという。以前は数日またされたものだが、現像する客など一年に何人もいないのであろう。ど田舎の高速道路を走るようなものだ。それよりなにより、はたして5年以上も放っておいてちゃんとフィルムは生き延びているだろうか?少し心配だった。そして、その結果は、少し早めの30分後にでた。


2005年10月3日の日食(near London, UK)
一枚目の写真を撮った時、空に流れる雲の量は少なかったので、太陽はまだ赤かった。しかし、やがて黒雲が立ちこめてきて、太陽は隠れてしまった。時折雲の間に隙間が現れ、一瞬だけ欠けた太陽が覗いた。そのとき見えた太陽は、雲の量が多いせいか天然のフィルターがかかった様に、色が白かった。まさに、英国の暗い冬の到来を予期させる天気だった。

ちなみに英国の冬時間は10月最後の日曜日から始まる。そういう意味でも、冬の到来が間近に迫る頃の日食であった。



2010年12月26日日曜日

オリオン座大星雲M42の観測

口径8センチの屈折望遠鏡、Vixen POLTA AII A80Mfを信州の空に向ける夜がやってきた。本日晴天なり。澄み渡る夜空に満点の星空が輝きにけり。早速、流れ星が一つ目の前で流れた。はやる気持ちを押さえつつ、最初のターゲットに望遠鏡を向ける。今夜のガリレオ衛星は4つ全て見えた(..o.. =2O2)。そのうち、右側の一つは木星の縁ぎりぎりの所にあった。また、天王星が同じ視野に収まって見えた。口径が10センチを超えた望遠鏡になると、青い円として見えるらしいが、自分の望遠鏡だと「点」に過ぎず、はっきりとはそれが天王星だとは断定できないが、位置からそう判断した。天王星と木星の接近は来年1月6日頃が再近接となるらしい。

次にアンドロメダ星雲。ペガサスは西の空に随分傾いて、望遠鏡で観測しやすい位置にある。前回、双眼鏡で観測したときとほぼ同じ角度。東京であれほど苦労した位置探しが苦もなくできる。ファインダーの中心に合わせてから、接眼レンズで覗くと「おー」であった。とはいえ、双眼鏡で初めて見たときと同じような感じの、淡い「光の雲」であった。もちろん、大きくは見えるし、若干は明るめに見えるものの、くっきり銀河の形が見えたり、寄生する2つの楕円銀河を確認するまでには至らず。ここからは写真の導入が必要となるのであろう。

そして、オリオン座の大星雲。こちらのスポットはまったく問題無し。アンドロメダ星雲よりよく見えるし、ひとまわり大きい。「鳥の羽」の部分と「鳥の頭」の部分のクビレはよくわかる。しかし、色は「白黒」だった。よく写真でみるオリオン大星雲はピンク色をしているが、その色が無いのである。明瞭さもアンドロメダ星雲と同じ程度で、ぼわっと見えるにすぎない。どうも、赤系統の星雲の色は写真じゃないとうまく見えないようだ。ベテルギウスの近くにあるバラ星雲はその典型例らしい。(残念ながら、この日はうまくスポットできなかった。白黒の小さな淡い天体を見つけるのは結構大変。)とはいえ、トラペゾイドを包む星間ガスの広がりには感嘆した。

今回は練習のつもりで、いろいろな天体(昴とか)を次から次へと見ていったので、スケッチをしていない。次はスケッチして記録を残したいと思う。そして、できれば写真撮影をしてみたいと思う。

2010年12月22日水曜日

こぐま座流星群

昨晩の皆既月食は残念だった。天気は、曇り、小雨(このとき月の出)と移り変わり、最後は嵐のような大雨となってしまった。夕方はちょうど首都高4号線を新宿に向けて走っていたので、摩天楼の向こうに昇る月食を見ることができたはずだった。

今宵7時頃、学生たちと天体観測をしていたら、白鳥座のあたりに明るい火球が筋を引いた。大きさのわかる火球で、その明るさに斑があるのもわかった。また、斑はイルミネーションのように時間変化した。こんな流星は初めて見た。

自宅に戻り、夜10時から12時ころまで、月、木星、昴、アンドロメダ星雲などの観測をしていたら、流星が2つ流れた。これもかなり明るい流星で赤っぽい筋を引いて流れたので、とてもきれいだった。一つ目は西に傾いたペガサス座の辺り、もう一つは天頂に近い昴の近くに流れた。

実は「こぐま座流星群」が明日の夕方ころピークを迎えるそうだ。今晩見たのも、きっとこの流星群なんだろう。実のところ、先日の双子座流星群よりよく見えた。今回の流星はタットル彗星が正体なんだそうである。双子座は小惑星だったから、彗星系の流星群の方が派手な色がでるのだろうか?とにかく、今日は楽しめた。

一方、木星は10時頃に見ると随分西に傾いていた。ずっと眺めていたら、西の地平線に沈んでしまった。日の入り、月の入りは見たことあるが、「木星入り」を見たのは初めて。今日のガリレオ衛星はというと、イオが(黄道に対して)木星のすぐ右側にあり、その向こうにガニメデがあった。左には(ガニメデと同じくらい離れた所に)エウロパ、そしてそのちょっと向こうにカリストが見えた。2+2で4つ全部観測することができた。木星の下部に(黄道に対して)星が見えたが、あれは多分天王星だと思う。

月のスケッチというものを初めてやってみた。眩しくて目が眩む。ティコクレーターはよく知っているが、それ以外にコペルニクス、ケプラー、ガウスといったクレーターを確認できた。しかし、月で一番美しいのは光と影の境界付近の風景だ。今日は満月の翌日なので、危難の海辺りの影が実に素晴らしかった。地球の大気の揺らぎもよく見えた。

最後にアンドロメダ星雲探しをやってみたが、どうもうまくいかない。双眼鏡だとすぐにみつかるのだが、望遠鏡のファインダーの像が反転するのと、月明かりで明るいので暗い星が追い難いのとで、レンズに入れることができなかった。残念。

今日は冬至。そして後期の最終日。明日から冬休みだ!

2010年12月15日水曜日

双子座流星群の観測

教授会は3時間超におよび、くたくたになってしまった。その後も講義があったりして、自宅の最寄り駅に戻ってきたときは夜9時になっていた。帰りの列車はぎゅうぎゅうだったが、一つだけガラガラの車両があった。喜んで入ってみると、浮浪者らしき酔っぱらいが寝ていたのであった。床にはなにやら液体らしいものが溢れていてビチャビチャであった。下車する人も数人いた。人間の発する蒸発アルコールとはああも臭いものか?!

駅から家への途中の空き地で空をみあげると、オリオンも双子座もずいぶん高度を高くしていた。立ち止まってしばらく見てみたが、一つも飛ばない。街灯が明るく夜空を照らして、黒い空になってない。これはだめだな、と諦め気味の気持ちになった。加えて、アルコール臭の気持ち悪さと疲労から頭痛がひどくなり、流星群の観測はどうせだめだろう、とあきらめ、10時半頃早々と寝てしまった。

ふと目が覚めて、起きてみると朝の3時半だった。まだ観測には間に合う時間だったので、寝巻きのままベランダに出てみた。空はずいぶん暗くなって、東京にしては星がたくさん輝いていた。星座は随分西に傾いていて、宵頃には白鳥、織り姫、彦星ぐらいしか見えない我が家の窓外の夜空に、オリオンや御者座、そして双子座などたくさんの星座がが現れていた!北の空には北斗七星、東の空には金星が輝いていた。

ベランダに立って一分ほどたったとき、カペラの左下、つまり御者のど真ん中に、連続して2つの光の筋が引いた!さすがに、ピーク時の夜はすごい、と思った。その後、1時間ほど観測を続けたが、微かなものがオリオンの右に続いて2つ、それからアルデバランのそばで一つ流れたのみだった。きっと、空気のきれいなところでは、「微か」な流星がくっきり見えるのであろう。それにしても明るい東京の空でもこれだけ流星が見えるということは珍しいことなんだろうと思う。信州で見た流れ星の美しさには適わないけれど、観測してよかったと思う。

ちなみに、双子座のすぐ近くで飛んだ流星は皆無であった。意外に広範囲に飛ぶもので、視野を広くとっておかないと見つけにくい、ということがわかったのは収穫だった。
ちなみに、今晩も7時頃にかなり飛ぶらしい。大学からみてみようと思う。

2010年12月14日火曜日

アンドロメダ星雲の観測

信州の冬の夜空は素晴らしい。星図に描いてある星がほとんどすべて見える!まずは流星群がじきに見えるはずの双子座を確認。足の部分までちゃんとわかる。東京だと頭の部分にあるカストルとポルックスしか見えない。夜9時をすぎると白鳥座が北の山並みに沈み始める。ペガサスが高度を下げて降りて来ていた。アンドロメダ星雲を観測するのに絶好のチャンスと思い、星図を持ち出して、丁寧に探してみることにした。

いままでの探し方は、カシオペアとペガサスの中間あたりを何となく探しまわるやり方で、なかなか見つからなかった。大学でチャレンジしたときも、ペガサスとカシオペアはわかったのに、アンドロメダ星雲を探し当てることはできなかった。今回は空気がきれいなところで観測したので、細かい星まですべて見えたのが役にたった。ペガサスの前足にあたる小さな三角形から初めて、後ろ足の方向に線を辿っていくと、念願のアンドロメダ星雲が双眼鏡の視界いっぱいに広がった。とにかく大きい!

見つかった場所は、いつも見ている領域からちょっとずれた場所にあった。カシオペアとペガサスの真ん中よりちょっと「上」(白鳥座と反対方向にずれる、という意味)を見る感じだと発見できる。双眼鏡だとコントラストが弱いので、はやくVixenの屈折望遠鏡でその姿をくっきりと見てみたい。

この夜、双子座の流星群を見ようと思ってオリオンの方を見ていたら、シリウスの右上から左下に向けて一つ流れ星が光の筋を引いた。おおよそ、30分で一つ程度の頻度ということになろうか?極大となる今度の火曜(水曜の未明?)が楽しみだ。

2010年12月3日金曜日

iMac G5のHDDサルベージ

ホームセンターでT-6, T-10のドライバーを入手して(これが結構高い)、先の分解工程へと進む。液晶の取り外しに成功し、次いでHDDの取り外しにも成功する。掃除機で埃を吸いながら作業を行う。驚いた事に、iMac G5のHDDはSATAであった。(実は、ここまでの作業ならT-10は必要なかった。)

これをLinuxマシン(core i7-860)につなぎマウントする。このとき、つながったiMac G5のHDDの識別番号の調査は次のように行う.
/sbin/parted
 GNU Parted 1.9.0
 /dev/sda を使用
 GNU Parted へようこそ! コマンド一覧を見るには 'help' と入力してください。


 parted> print devices

 /dev/sda (300GB)
 /dev/sdb (250GB)
 /dev/sdc (1000GB)


 parted>select /dev/sdb
 /dev/sdb を使用
 parted>print

 モデル: ATA WDC WD2500JS-40M (scsi)
 ディスク /dev/sdb: 250GB
 セクタサイズ (論理/物理): 512B/512B
 パーティションテーブル: mac

 番号  開始   終了    サイズ  ファイルシステム  名前   フラグ
  1    512B   32.8kB  32.3kB                    Apple
  3    134MB  250GB   250GB   hfs+

調査が終わったら、そのデバイス(つまり/dev/sdb3)をマウントする。OS Xのファイルシステムはhfplus。つまり、
mount -t hfplus /dev/sdb3  /mnt/mac_osx
以上の手順により、iTunesの音楽データ、そしてiPhotoのデジカメデータを全てサルベージすることができた!これでひと安心....


次は、埃をよく取った後に再度組み立てて、iMac G5が起動するかどうか


2010年12月1日水曜日

金魚

イギリスでの最後の夏休みに、里帰りして、とある夏祭りに行った。その時すくった金魚が家の池で大きく育っているのを先日見つけた。

その夏休みの間は水槽に入れて飼っていたのだが、イギリスに戻る時仕方なく池に放流したのだった。村を流れる小川から直接水を取り入れるこの池は自然の環境に近く、到底長くは生きられないだろうとその時は思った。それだけに驚いたし、なにより嬉しかった。

この池ではオイカワの稚魚が毎年無数に生まれる。その群れに混じって、見覚えあるオレンジ色の模様をした金魚が悠然と泳ぐのを見て、畏敬の念を禁じ得なかった。

夜祭りを映して泳ぐ朱文金

2010年11月29日月曜日

iMac G5が起動しない

2002年から使っているiMac G5が、ついに壊れた。起動時の「ボーン」という音はするものの、その後のプロセスに入って行かない。放っておくとファンがもの凄い勢いで回りだす、件の症状となる。

少し以前に起動しなくなったときは、メモリに埃が溜っていたのが原因であった。そのときはボーン音すらしなかった。そこでメモリについた埃を拭き取ると回復した。

しかし、今回は別のところに問題がありそうで、やっかいだ。というのは、iMacは分解して中を掃除することが、とても大変なのだ。今日は、とあるホームページを頼りに途中まで分解する。T-6の星形ねじ回し(Torxというらしい)が必要になったところまでやる。(明日この工具を買わねば。)我ながら巧く分解できたと思う.きれいに液晶が外れ、一応基盤を覗く事ができた。

中身は、予想通り埃にまみれていた。これを掃除機できれいに吸い取ったり、布などで拭き取れば、多少は症状が改善するかもしれない。最悪の場合でもHDDを抜き取れそうなので、ファイルのサルベージをすることができるだろう。

実は、イギリスで撮りためた写真の全てがここにあるのだ。自体は深刻である。

次ぎへ続く

木星の衛星観察(その2)

Vixenの屈折式望遠鏡POLTA AII A80Mfを購入して、木星の観測を再度行ってみた。口径80ミリ、集光力131倍のアクロマート対物レンズを持つ望遠鏡で見た木星はさすがに大きい。まずは46倍の接眼レンズで観測。縞模様が見える!観測時のガリレオ衛星はイオとガニメデが、かなり接近していたものの、この望遠鏡ではちゃんと分解できた。残りの2つの衛星は、ほとんど木星に隠れていたが、なんとかその内の1つを確認できた。素晴らしい。

次に、144倍の接眼レンズに交換してみたが、まず視野に入れるのが大変。倍率の低いレンズで位置をある程度定めておく必要があった。せっかく視野に入った木星だが、高倍率だと大気の揺らぎのためピントを合わせるのが難しく、今日のところはあきらめた。大気が安定する、ということの意味を実感した観測であった。

そういえば、12/14(火)の午後8時は双子座流星のピーク、さらにその一週間後は日没直後から皆既月食があるとのこと。(月食のピークは5時頃か?)今月は観測するものがたくさんあって嬉しい。

2010年11月19日金曜日

Oxygenを読む(1)

Oxford University Pressから出ている、Nick Laneの"Oxygen: The Molecule that made the World"を読んでいる。この本はとても素晴らしい本だと思う。とはいえ、まだ読み終わっていないので、内容に関してはまだなにも書けない。単語の勉強も兼ねてここでメモして行きたいと思う。

Chapter 2: In the beginning. (pp.16-21)
  • calamitous: 災難をもたらす、悲惨な: pollution with oxygen must have been calamitous.
  • reclusive:隠遁した、世を捨てた: From dominating the world, they shrank back to a reclusive existence at the margins.
  • at the margins:その余白に;
  • noxious:有毒な:a noxious mixture of hydrogen, methane and ammonia
  • congeal:固まる、凝結する:
  • insurmountable:克服できない: an insurmountable problem
  • incipient:始まりの、初期の: incipient forms of life
  • coalesce: 合体する、一体化する:
  • conflagration:大火災、大火事、災害、戦争
  • exasperate:怒らせる、イライラさせる

演奏会

アマチュアの交響楽団のコンサートに行った。なんといっても入場料無料なのがいい。とはいえ、その腕前はセミプロ級だから、演奏の質においても十分楽しめる。さらに、指揮とピアノ独奏はプロの演奏家だったから、ものすごく「お得」な演奏会であった。場所は蒲田にある大田区民ホール。曲はメンデルスゾーン、ショパン、シベリウスで、個人的にはショパンのピアノ協奏曲第一番が良かった。

昔、池上にアパートを借りていた時はよく自転車で来た蒲田だが、多分10年ぶりの来訪になる。今回はユザワヤやその周辺の商店街にはいかなかったので、どれほど変わったか、変わらないのか、判断はできないが、これを機にもう少し南東京にも足を延ばしてみようと思う。目の前でウナギの蒲焼きを焼いてくれる店があったんだが、まだあるだろうか?本門寺の葛餅も久しぶりに食べてみたい。正月過ぎには梅が咲き出すから、その辺りが良いだろう。

2010年11月18日木曜日

木星の衛星観察

今、木星がよく見える。南の空に高く明るく光っている。月に近いのが珠に傷だが、−3等近いから、肉眼で見る限り問題ない。

双眼鏡でガリレオ衛星(木星の4大衛星、イオ、ガニメデ、エウロパ、カリスト)を観測してみることにした。学生に教えている手前、自分でちゃんと観測しておくべきだと思ったからだ。今晩は、左から、カリスト、ガニメデ、イオ(この3つは黄道面に対して木星の左側)、エウロパは木星の右に見えるはずである。今日は、6時、10時、12時と全部で3回の観測を行った。

6時の観測では、3つしか確認できなかった。左に2つ、右に1つだ。ガニメデとイオはかなり接近していたため、自分のもっている双眼鏡では分解できなかったのかもしれない。また、きちんとピントを合わせないと、微かに光るガリレオ衛星を観測するのは難しかった。

10時の観測では、かろうじて、ガニメデとイオは分離していたように見えた。が、先入観がないと1つに見えたかもしれない。6時に比べ、カリストとエウロパが木星に近づいたため、全体的にコンパクトになり、焦点が合わせにくかった。

12時。再び3つしか見えなかった.たぶん、イオが木星に近づきすぎたため、双眼鏡では分解できなかったのでは?あるいは、月の光が明るすぎて、十分コントラストが取れなかったのかもしれない。

次は、月の無い時に観測したいと思った。4つの衛星を完全な形で見てみたい。とはいえ、月は月でおもしろい。なんといっても、双眼鏡でとても大きく見える。いわゆるウサギ(耳=豊の海、顔=静かの海、胸=晴の海、胴=雨の海、足=嵐の海)がよく見えたし,Tychoクレータは今日もきれいだった。

明け方5時頃、東の水平線上に金星が見えるはずだ。三日月の形をしていると思うので、これも観測すべきなのだが、多分起きられないだろう。

2010年11月13日土曜日

MacBook Airを買う事にした。

結局MacBook Airを購入する事にした。理由は次の通り。
  • プレゼンのみならず、プレゼン自体を作成したり、編集/管理するためには、iPadより、Airの方がはるかに便利。
  • 研究費に余裕がでた。
どうも、iPadに関しては、電子情報(pdf,jpg,movなど)のreader/viwerとしてだけ使用するよう、意図的に機能が限定されているような気がする.私の場合は職業柄、見たものは、見せてやらないといけないので、今のiPadの仕様には不満足だ。

強いて使うなら、個人的に作ったデータベースから情報を読み出す際の確認程度にしか使えないのではないか?と思い始めている.ということは、在庫管理に使ったり,プロジェクトチームのメンバー同士がスケジュールの確認に使ったり,とか、そういうタイプの職業についている人は、重宝するかもしれない。

Steve Jobsはプレゼンが上手だし、Mac OSは画面の操作自体の美しさが素晴らしい訳だから、ぜひとも出力機能を拡大し、操作自体も外部モニターに映し出せるように設計変更してもらいたい。特に要望するのは、iPad+Google Earthが液晶プロジェクターで使えるようになること。今回Airを買う事にしたのは、このためだけ、といってもよいかも。正直、iPadにはちょっとがっかりしている。

2010年11月11日木曜日

Google Earth 5.2をFedora 12にインストールする。

月、火星、そして星座の地図がGoogle Earthで見れるらしい、と聞いた。さっそくPowerMac G5にダウンロードしてみた。素晴らしい!

そこで、Dynabookに入れたFedora 12にもGoogle Earth 5.2をインストールしてみようと思い立った。しかし、これが案外大変な作業であった。

まず、google earthのホームページに行き、GoogleEarthLinux.binという実行ファイルをダウンロードする。これはシェルスクリプトに見えるが、バイナリデータがくっついているので、変則的な実行ファイルだ。その機能を完全に解析することはちょっと難しいと思う。さらに、インストールメモとか添付されてこないので、手探りでインストールするしかない。まずは、このbinファイルを実行してみた。すると、「共有ライブラリがいくつかないから、もうだめだ」というメッセージを出して実行ファイルは止まってしまった。無い、と言われたライブラリはちゃんとインストールしてある。なにかおかしい。

調べてみると、Google Earthは32ビットプログラムなんだそうである。私のFedora12はx86_64だから、動かないはずだ。そこで、次のようにして必要な32ビットの共有ライブラリを付け足す。

yum install gtk2.i686 gtk2-engines.i686 libxml2.i686 libSM.i686 mesa-libGL.i686 PackageKit-gtk-module.i686 libcanberra-gtk2.i686
i686という拡張子を付けるのがポイント。さらに、念のためgoogle関係のファイルをインストールしておく。
yum install google*
 ここまでやると、GoogleEarthLinux.binというインストールプログラムがちゃんと働いてくれて、インストールは完成する。googleearthとタイプすると、Google Earth 5.2が起動する。

....が、文字化けしている。メニュー等の文字化けはqtconfig-qt4というコマンドを実行し、フォントを大きめ(16、18あたり)にすると、一応は日本語が出る。しかし、肝心の地図中の地名などが現れないので、このままでは使い道がない。英語ではちゃんと地名・星座名が出るので、~/.config/Google/GoogleEarthPlus.confというファイルにlocale=en_USという一文を付け足す。これで、一応最低限の機能でGoogle Earthが動いてくれる。

ただ、Wikipediaなどの情報を印字する窓でちゃんとした表示がでないという問題が残る。これを解決した人はいるだろうが、とりあえずはここで止めておく。

星座の位置図が特に素晴らしい。拡大していくと、どんどん星が現れる。目に見えなかった星雲が現れる。アンドロメダを探してみてみた。ちゃんとあるし、その姿も美しい。とりあえず来週の講義は、これを使っていろいろやってみよう。

2010年11月8日月曜日

黒斑へ。

秋も終盤、里の葉も随分色づき始めた。大河原では冬の景色に近づきつつあったので、浅間の方に行ってみる事にした。石尊山あたりがちょうどよさそうだったが、ここは頂上までが長いので、とりあえずは手っ取り早く登れる高峰方面を目指す事にした。水ノ塔を目指すか、黒斑を目指すかは、車坂峠についてから決める事にした。

峠への途中までの道は、唐松の黄葉がすばらしかった。ここも、2000メートルまでいくと、紅葉は終わっている感じがした。


車坂峠からの眺望は素晴らしく、八ヶ岳はもちろん、その手前に広がる佐久平に靄の溜まる様は、秋の終わりの風景にふさわしいものであった。


車坂峠は面白い場所である。実は、信州側の麓(小諸や軽井沢など)に降りると、電気の周波数は関西と同じ60Hzなのだが、同じ小諸に属する高峰温泉は関東と同じ50Hzなのである。もちろん、車坂峠の県境を越えた群馬嬬恋はおそらく50Hzであろう。つまり、ここは関西と関東の電気的な境界なのである。

車坂峠で左右の様子を見渡して、今回は浅間により近い、黒斑山に登る事にした。この山は浅間の外輪山の一つで、軽井沢あたりからは想像もつかないような別の顔を見せてくれる。実は、黒斑からの景色は、私には「地獄の入り口」のように映るため、精神的にちょっと苦手である。居てもたってもいられない、そんな不安を呼び起こす魔界のような風景である。

今回、頂上からは富士山が見えた。さらに、御岳、槍、穂高などの北アルプス、木曽駒の中央アルプスがはっきりと拝め、赤石を含む南アルプスは八ツの向うに微かに見えた。佐久平は相変わらず靄のなかにあって、きっとそこから浅間を見上げる人たちは「今日は、浅間に雲がかかっている」と思うのだろう.本当は、彼らの頭のすぐ上に靄がかかっているだけで、浅間自体は快晴なのである。

秋風の吹く黒斑にて詠める:
浅間嶺の靄の向うは鬼の城

2010年11月7日日曜日

チューナーを使ったアナログテレビの地デジ化

10年ほど前に購入したSONYの小型トリニトロン、もちろんブラウン管である。これを使って今でもテレビ放送を見ている。当然アナログ放送しか見れないが、「地デジ放送用のチューナーを通せば、このテレビでもデジタル放送が見れるはず」と思い、I-O DATAのHVT-TLSD/Rを4000円ほどで購入した。地デジ対応の薄型テレビは32型でも6万円はするから、うまく行けば随分安くあがる。(画面の大きさ、迫力?そんなもん、只のテレビ放送に必要だろうか?)

最初の問題は、アンテナがUHF対応かどうか。私の自宅周辺では昔から民放の多くはUHF割当だったので、問題は無いはずだ。電気屋の話だと、あまり古いUHFアンテナだと、地デジ用のUHF電波の波長を受信しきれないかもしれない、という。まあ、ちょっとした「脅し」みたいなものだと考え、アンテナは購入しない事にした。(買ったところで、屋根に登っての取り付けは、面倒を極める。)

次の問題は、電波の強度。地デジの問題点は、電波強度がちょっとでも足りないと、まったく映らなくなってしまう、ということ。アナログだと雑信号(ノイズ)が入ったり、ゴーストを出しながらも、なんとか映像、音声を届けてくれるが、デジタルはその性質上、Yes/Noのどちらかしかない。中継基地から遠かったり,障害物の裏手に家があると、まったく放送が入らない、という問題は、アナログ打ち切りまで半年ちょっととなった現在でも、日本中で報告されていて、社会問題になっている。東京にもそういう地域はたくさんある。ビルの谷間や、多摩丘陵の陰にある家などは、ケーブルテレビを導入して、しのいでいるところも結構あるはず。

自宅に戻り、早速チューナーにアンテナ線をつなぎ、テレビに出力する。設定画面に入り、受信チャンネルの自動スキャンを開始する。NHK総合, NHK教育の2局は問題なく入った。しかし、民放が一つしか入らない。がっくりである。実は、アナログ放送のときも、ここはブースターがないとよく映らない地域だった。よって、地デジになっても電波強度が弱く民放が映らないのだろう。

しかたないので、とりあえずはデジタルとアナログを両方使えるようにと、アンテナ線をブースターにつなぎ、そこから2つに分線して、チューナーとテレビに繋ぐ事にした。アナログはテレビの受信機で直接見るという訳。ちゃんと映る事を確認。ノイズが多いが、真っ黒になるよりはましだ。これはいずれ何かを手を打たないといけないかな、と思いつつ、デジタル放送も確認。NHKは2つとも映る。民放も1つはOK。この状態で、念のためと、もう一度スキャンした。

すると、驚いた事に、デジタル放送の局が民放も含めて全て受信できるようになっていた!古いアナログ用のブースターは、地デジの電波も増幅してくれたのであった。以上で、我が家のアナログテレビの地デジ化は終了となった。

まとめよう。古いUHFアンテナは再利用可能。アナログ用のブースターも役に立つ。古いアンテナ線もそのまま使えて、そしてなにより、SONYのトリニトロンでも地デジは見れるのであった。

2010年11月6日土曜日

大河原峠、天祥寺原と二子山(の途中)

大河原峠に登った。クルマの「低温警告」が出た。麓で温度が15度以上あったのに、峠では3度まで落ちた。途中、唐松の黄葉が夕映えしてきれいだった。

大河原ヒュッテの暖炉の煙は「冬の初」の景色なり。日陰になった地面は一面の霜柱。雪が降るまで、あとほんのわずかだけ楽しめる風景。

天祥寺原まで降りてみようと思ったが、日が傾いて蓼科の陰になり寒くなったので途中で止めた。代わりに、二子山の途中まで登って佐久平と浅間の夕暮れを見る事にした。二千メートル辺りはもう紅葉はほとんどなくて、眼下の里に舞台は移っていた。碓井峠のあたりなら、紅葉の盛りが楽しめるかもしれぬ。


蓼科の影が延びる二子山 天祥寺原へ続く笹の道
帰り道Badgerを見た。車の前で立ち止まってこっちを見ていた。イギリス以外で見たのは、これが初めて。少し嬉しい。

2010年11月3日水曜日

ゴジラ対ワンコ

砧周辺を散歩。東宝のスタジオの前で、ゴジラに遭遇。犬おおいに吠える。怖かったのであろう。


スタジオの裏手を流れる仙川の、桜の葉が色づいていた。東京もついに秋の後半なり。

紅葉舞う、砧の川の透ける色。

2010年11月2日火曜日

回転楕円体の表面積

本郷へ久しぶりに行く。昔のように根津駅で下りる。以前は、この地下鉄駅の階段は強い風が吹いていて上るのが一苦労だったが、改修されて階段部分の「穴」が広くなり、風が随分弱くなっていて、ちょっと驚いた。言問通りを上る。ここの歩道は狭いまま。大学関係者や地元のおじいさんおばあさんは結構ゆっくり歩く。逆に学生や会社員は早歩きなので、かならず坂のどこかで詰まり「渋滞」する。今回は、議論に熱中しながら、のろのろ歩く米国人らしき研究者の2人連れに行く手を阻まれる。「同軸ケーブルを伝わる電話信号とDSLのように、互いに干渉せず自由に歩行できる仕組みを、この歩道に組み込んでもらいたいものだ」と思い始めたら、前を歩いていたうちの一人が横によけてくれた。機械やシステムにないもの、それは人間の「思いやり」だろう。

ひょんなことから、学部生の宿題を手伝うことになった。共同研究者の一人が受け持つ輪講で、解けない問題があるので助けてくれ、というのだ。さすがの東大生でも解けない問題があると思うのか、それとも東大生のレベルが落ちてきたと思うべきか、それを見極めるのはちょっとおもしろそうだな、と思ったので喜んで引き受けた。問題とは、液滴の表面エネルギーの計算だった。

この問題は、結局、回転楕円体に変型した液滴の表面積を計算し、それを球からのずれを表すパラメータの2次まで展開すればよいのだが、以外と計算は煩雑で、しかもナイーブに計算すると係数がずれる。表面積を求める公式は調べればすぐ分かるし、微分積分の知識を応用すれば、大学1、2年生なら自分でも導出できるはず(まあ、1、2時間はかかるかもしれないが)。問題は、この公式を回転楕円体に当てはめたときに出てくるarcsineの展開法であった。

これを、単純に一次近似すると、とんでもない結果となる。数値計算して比べてみると、まあ悪くない結果にはなっているが、ずれはかなり大きい。問題はパラメータについての線形項の存在。こいつが誤差を増幅している。ということで、arcsineを3次近似(この関数はx=0周りで奇関数)してやる必要があるんだろう、と普通は考える。実際やってみたら、うまい具合に線形項が相殺して消えた。「やった」と思ったら、次の2次の項の係数が若干教科書の値からずれている。「ははーん、学生の諸君はここで力尽きたな」と直感する。確かにここまでの計算は結構大変で、かなり大きな整数の組み合わせでできた分数の、足し算引き算をするので、それが最後にきれいな数字に約分されるとは、なかなか思えない。

実は、arcsineの5次近似をしないと正解には辿り着けないのである。線形項が再び相殺するのは、キリストの奇跡を見るようである。1859/135とか1300/237などいった、めちゃくちゃな分数の足し算引き算のあと、きれいに相殺して0になるのである。同じようなことが、二次の項でも起きる。最後の最後に、すぱっと約分できて1/3とかきれいにまとまるのである。

今回、学生が問題を解くことができなかったのは、はっきりいって粘りがなかったからだ。ごちゃごちゃした計算のど真ん中であきらめてしまったんだと思う。効率重視の役人やら会社員ならともかく、研究者になるにはこれではいけない。「限界だ、もうだめだ」と感じたところから、本当の勝負が始まることを学んでほしい。この間のコヒーレント状態の問題なんかは良い例だと思う。まあ、これを20歳そこそこの普通の学生に要求するのは酷だとは思うんだが、東大生としてはちょっと物足りない感じがする。彼らも巷の学力低下の例にもれず、並のレベルに落ちたのかな?

2010年11月1日月曜日

葉山での昼食

どんより曇る東京を抜出して、日差し一杯の葉山に行くことにした。(アメダスの雲レーダーで確認したので現地が晴れているのはわかっていた。)

11月に入り、さすがの東京も、日が陰るとさすがに冷んやりしてきた今日この頃。それが、わずか車で1時間足らずのところにある葉山が、あれほど暖かいとは本当に驚きだった。現地の老人に話を聞くと、対岸に見える鎌倉で雪が降っても、葉山には降らないそうな。着ていった上着を脱ぎ、レストランではベランダに座り、海を見ながらの昼食。(しかも、レストランに来ていた客はみなベランダ席を選んでいた!)ここには冬というものがないのかもしれぬ。

皇族が使う別荘の横に葉山公園というのがあって、そこは平日は無料で駐車できる。(この駐車場までの道はとても細く、すれ違いが大変だった。実は、これよりわずか先にある国道沿いの大型駐車場も平日は無料なので、そっちに停めた方がよかったかも。)

この海岸は、実はそれほど広くない。犬を走らせるにはちょっと狭いくらい。特に、海に向かって右側に進むと、すぐに天皇の別荘に行き着いてしまい、警備している警察官たちに睨まれてしまう。逆の方角はというと、崖のある岬に行き当たると、それ以上先にいけなくなる。なにより、この浜辺のきまりに「犬を放さぬこと」とあるので、広かろうと狭かろうと、犬にとってはあまりおもしろい所ではないようだ。


浜辺の散歩もそこそこに、お腹が空いたので昼飯を食べることにした。辺りを見回しても、怪しいタイ料理の店と、トラックの運ちゃんで一杯のラーメン屋があるばかりで、静かにのんびりと「葉山らしい」雰囲気で食べられそうなところがなかなか見つからなかった。しばらく国道を走り、長者ヶ崎という岬を回ったところで(そこからは横須賀市であった)、音羽の森を見つけた。軽井沢にあるのと同じなんだろう、と思い、多少の期待を持ちつつ、海岸段丘の急坂を登った。すると、玄関先に受付の人が立っていて、鍵を渡せという。バレットパーキングであった。ハワイの学会で泊ったホテル以来2度目。「ちょっと値段的にやばいかも」と少々不安もあったが、楽しみも膨らむ。玄関から入ると、目の前はガラス張りになっていて、海の眺望がすばらしかった。大島が見える。富士が見える。江ノ島が見える。そして、なんといっても目の前に滞空する鳶の姿がすばらしかった。ガラス張りの向うは、崖の上にせり出したテラス席で、すでにテーブルは2、3占有されていた。一番端の富士の見える席に座った。

一日15食限定という葉山バーガーと、この季節の特別メニューの小さなカボチャに詰めた海鮮グラタンを頼んだ。海鮮グラタンは絶品。器になっているカボチャは全部食べられる。坊ちゃんカボチャだろうか、ちょうどよい大きさ。葉山バーガーは肉、タマネギ、ピクルスなどを、山盛り状態にしたものを強引にパンで挟んであって、15センチくらいの高さがある。これを丸かじりできる人は日本にはそうはいない、と信じたい。私は顎が開かないタイプの人間なので(つまり木の実などをすりつぶして食べる草食系である)、このハンバーガーは解体して食べることにした。おいしいことはおいしかったのだが、ちょっとハンバーグの量が少なく感じたので、コーヒーとデザートを頼むことにした。お盆の上に並べられたケーキ各種から指差しで選ぶ。ウェイターが「パンプキンクリームケーキですね」と確認する。意図せずして、季節ものとなり苦笑する。コーヒーはかなり強いが、ケーキの甘さとよくあう。値段は寿司を食いにいったのと同じ程度であってほっとする。

バレットパーキングなので、車を玄関まで持ってきてもらったのだが、運転席に犬が寝ていたと驚かれてしまった。この後、鎌倉へ回る。ちょっと迷ったのと、切り通しで渋滞したのとで、だいたい1時間弱程度かかる。ようやく辿り着いた、鶴岡八幡の前の段葛の辺りは観光バスだらけ。散歩する気になれず、そのまま切り通しを越えて街を出て、帰路に着く。帰りは往きよりも順調で、40分ほどで多摩川を渡る。鎌倉は予想以上に近かった。

2010年10月31日日曜日

iPad 16GB WiFiを購入

iPad 16GB WiFiモデルを買った。

実はiPadはOS X 10.5以上でないと動かないのだ。私のマシンはPowerMac G5だから、当然OSは10.4のTigerであり、このままではiPadは無意味な機器だ。「もしかすると動くかも」と思って繋いでみたが、G5のiTuneは「こりゃだめですな」と軟弱なメッセージを戸惑いもせず吐いた。予想通りとはいえ、この「態度」にちょっと「ムカついた」。

しかたなく、Phenom II (x6)マシンに入れておいたWindows 7で動かしてみる事にした。まずは、Windows版のiTuneやSafariをインストールする。幾つかpodcastやApplicationをダウンロードしておく。ちなみに、iPod touchで既に購入したアプリは無料で再度ダウンロードできるようだ。これはいいと思った。 再購入する必要がある。(実は一月後に請求書が来た...がっくり。)さて、iPadをつなぐと早速同期が始まり使用可能となる。

まずは、google mapを動かしてみた。感想は「おー、画面が大きいってやっぱりいいね」であった。昨年アメリカ人の友人とハワイの学会で会った時、「ここに来る前は、『ハワイ、ハワイってみんなはしゃぎ過ぎじゃないか?結局青い空、青い海ってだけだろ』、って言ってたんだが、やっぱり実際自分の目で見ると、『おーハワイだよ!海が青いよ!空が青いよ!』ってなっちゃったね。」と言ってたのを思い出した。まさにiPadの大画面がそれで、iPod touchの小さな画面でマップ検索するよりずっと気持ちがよかった。同様に、podcastや写真も見るのも、iPadなら、より楽しい。

しかし、気に入らない点がたくさんあった。まずは、video podcastの扱い。なぜか、iTune経由でダウンロードしたNASA JPLなどのビデオはiPadにダウンロードできない。ダウンロードするには、iPadから直接操作してダウンロードしなくてはいけない。iTuneに繋がないと動かない設計にしてあるのに、このデザインの悪さはなんだ!このからくりがわかるまで30分無駄にした。

次に、 アプリの多くがiPod touchと共通に使用できるのはよいのだが、それをiPadで使用すると、iPod touchの大きさに画面が切り取られてしまうのだ。あたかも、ハイビジョンテレビで、昔の番組を見ている様に、画面の脇の部分に、黒い帯状の領域が余ってしまうのである.せっかくの「大画面」がこれでは台無しだ。

まだまだ、いろいろ文句はあるが、一番言いたいのは、ビデオ出力の制限。電気屋のすすめでVGAアダプタを購入したので、PCモニターや液晶プロジェクタにVGA出力できるはずなのだが、それができるアプリに制限がある。知っている範囲では、iTuneのビデオと写真だけだ。たとえば、月面地図のアプリを購入しても、これをスクリーンに映してみることはできない。アップルは、iPadを携帯用のプレゼン機器にしたくないようだ。わざとこういう仕様にしているように感じる。つまり、携帯用の情報reader(例えば、iBookでpdfを読むとか)の用途に限ってご使用ください、という訳だ。ちょっと、おせっかいがキツい気がして「ムカつく」。

しかし、まだ買ってから一日である。思いもしないようないいアプリが見つかれば、使い道も広がるかもしれない。とはいえ、iPadはしばらくお休みにして、iPod touchの研鑽にまた戻ろうと思ってしまった。

2010年10月30日土曜日

台風の中、丸の内へ

仕事の関係で、台風の中、丸の内へ出かける。La Boutique de Joel Robuchon(カフェ)でお昼を食べる。アンチョビーのキッシュと、カボチャ入りのカレーパン。なかなかおいしかった。台風の雨降るなか、暗い土曜の丸の内は、人通りも少なく静かで、なかなか居心地がよかった。同じ様に思った人がいたようで、本を読んだり、勉強をしたりと、この店でゆっくりしている人が結構いた。

台風は空振りだったようで、夕方には雨はほとんど止んでいた。しかし、風は結構強いのが時折吹いた。

野分の丸の内にて詠める:
雨だれの響く野分の土曜かな

2010年10月29日金曜日

Fedora 13へのアップグレード、および Intel Fortran Compilerのインストール

Fedora 13のインストールディスクは、今までのインストールディスクと構造が異なっていた。最初にLive CD、つまりOSを動かすのに必要部分だけ(カーネルイメージなど)をCDからメモリに直接ロードして、残りのファイルは必要な分だけを逐次CDから読み出すことでLinuxを動かしてしまうという、いってみれば「お試し版」が最初に起動するようになっている。使ってみて気に入ったらインストール本番が始まる、という訳だ。デスクトップ上の「HDDへのファイルの書き出し」というアイコンをクリックすると、いわゆる「インストール」が始まる。Fedora 12からのアップグレードだったので、ものの数分でインストールは終了。

次に、Intel Fortran Compilerをインストールする。あたらしいFedoraの識別ができないが、それは無視してドンドン先へ進んでしまえば、インストール終了となる。いろいろ前準備としてダウンロードすべきライブラリや、設定ファイルの変更などは必要だが、インストーラーが文句を言ってくれるので、それを解消するように手順を踏めば問題は生じない。

さて、最後はいよいよCPUのベンチマーク (Phenom II x6 1090T)だ。

AMD Phenom II x6 1090T の数値計算ベンチマーク

これでようやく、数値計算ベンチマークの一つであるfMarkを走らせて、AMD Phenom II x6 1090T (Black Edition)がどの程度速いのか測定することができる。コンパイラはもちろんIntel Fortran Compiler (IFC)を使用する。ただし、今回は1コアだけにプログラムを走らせて測定することにする。

ちなみに、Phenom II x6 1090T (Black Edition)は、AMDのPC用CPUラインアップの最高峰にあるモデルで、動作周波数3.2GHz、TDP125Wで、CPUの動作倍率が変更可能な設計になっている。

参考までに、Core i7-870のfmark測定値は60弱だった。IFCのコンパイルオプションは-xSSE4.2 -fastとした。またCore 2 duoのfmark測定値は20強だった。(つまり、i7-870の1/3のスピードということである。)これほど遅い主な理由は、後者のCPUはSSE4.1までの命令しか使えないからであろう。

さて、注目の6-core Phenom IIだが、そのfmark値は30弱であった。i7-870の半分しか行かないとは!正直がっかりした。実は、Phenom IIは、core 2 duoと同じで、SSE4.1までの命令しか使えない。「CPUを設計した本人が、その機能を最大限に生かせるコンパイラをも作ってしまうんだから、AMDがIntelに勝つのはかなり難しいな」というのがこの結果の感想。

それにしても、SSE4.1とSSE4.2の差が2倍以上もあるというのは驚きだ。おそらく、その差はベクトル化関連の命令でついていると思われる。というのは、結果を見ると、行列演算などで大きな差が出たからだ。一方、同じSSE4.1で走らせたCore 2 duoとPhenom IIを比べると、後者の方が1.5倍速い結果となった。2年前なら、この結果をみて「AMDに即時移行」ということになったのであろうが、今となっては「遅かりし」である。

つぎに、Crosshair IV formulaの自動OverClockボタンを押し、BIOSで「Extreme OC」を選択して、再度Phenom IIの測定を行った。若干の改善があったものの、その結果はfmark値にして35弱であった。手動でOCすると多少は改善するかもしれないが、60という値には到底届かないだろう。再度がっかり、というより、がっくり。このマシンでOCをやる気が完全に失せた。

冷静に考え直すと、SSEの差に加え、AMDではあまりTurbo倍率が大きくないというのも問題になっているような気がしてきた。i7/i5 (Lynnfield)のTBTはかなり挑戦的な倍率だったのに比べると、非常に残念な設定だ。この比率をいじれるBIOSやマザーボードがあればまだやる気が湧くんだが。

せっかく6 coreもあるのに、この性能ではなかなか買う気にならない。4 coreだとしても、i7-870を2つ買った方が、はるかに高速なシステムを、それなりに安価な価格で構築できるような気がする。

次の目標としては、並列計算をやらせてどういう結果になるか見てみたいとは思うのだが、Phenom II (x6)に関してはもうやる気がかなり削がれてしまったので、実際やるのはちょっと先のことになるだろう。AMDが、数値計算用途でIntelに勝つためには、Phenom II対応の自前コンパイラを開発する必要があろう。それまでは、Intel core i7/i5とIFCのコンビネーションは数値計算においては最強であり、しばらくはAMDの付け入る余地はほとんどないだろう。

2010年10月28日木曜日

kernelの再構築

Crosshair IV formulaのNIC(Marvel Yukon 88E8059)が、Fedora12のオリジナルカーネルでは認識できないことが判明し、なんとか手を打たなければ成らなくなったが、その対策として3つの方法を考えた。


その(1)である「カーネルのアップグレード」をまず試みた。kernelは2.6.36(安定版の最新版)を選択。このページを参考にして、makeをいくつか繰り返す。コンパイルは成功。grubの設定をして、リブートしてみる。結果は起動失敗。(mkinitrdというimgファイルを作成するコマンドがFedora 12のデフォルトに含まれてないので、外からもってきたのだが、それでもうまくいかなかった。)


他の環境でコンパイルしたものをもってきたり、いろいろ試したが結局すべて失敗。ここまでで、一週間も使ってしまた。そこで(2)の方法に移ろう、と思ったのだが今週は忙しくて新宿/秋葉原にいく時間がない。しかたないので、(3)Fedora13へのアップデートを試みる事にした。

2010年10月23日土曜日

新しいMacBook Airを買うか、買わざるか?

同僚と、iPadをどうやって講義で使うかについて議論していたとき、MacBook Airの新型が発売された、というニュースが飛び込んできた。一見したところものすごく薄くて、「ようやく、真の軽量MacBookが出たか!」と期待した。さっそく、重さをチェックしたら...

1.06 kgであった。微妙な所、というべきだろうか。スペックを見てみる。HDDがない。SSDに完全に置き換えてしまった。軽い訳だ。HDDと比べると少なめの64GB。うーむ。
ちなみに、Dynabook SS RX2/T7J(2009年型)は、デフォルトで1.09kg,軽量バッテリーパックで0.97kgである。HDDを積んでいるにも関わらずである。ちなみに容量は250GB、とAirの4倍。また、この年に出た、同じDynabook SS RX2ファミリーの中にあるSSDモデルは978g/858g(デフォルト/軽量バッテリーパック)となっていて、Airより軽い。またSSDの容量も128GBと、Airの2倍である。ただし、値段が両者ともかなり張るが....
Appleの説明ビデオをみると、SSDにしてスペースを節約できた分をバッテリーに回し、従来のAirより長時間駆動を可能にしたそうである。それはいいことなんだが、他のマシンと比べると半分程度しかなく、かなり見劣りする。やはり筐体が薄すぎるため、バッテリーの絶対体積がかなり小さいということだろう。また、バッテリーを増やすと重くなってしまうから、駆動時間を犠牲にしてしまった感が多少ある。
ちなみに、Airは5時間駆動、Dynabook SS RX2/T7Jは12時間/6時間(デフォルト/軽量パック)。AirはSSDでなかったら使い物にならなかったということか?
そして、DVD/CDドライブが付いてない。無線で他のマシンのものを拝借するか、外付けの別売りを買うんだそう。これは大きなマイナスになりうる。(もちろん使い方にもよるが。)
ちなみに、Dynabook SS RX2/T7JはDVD/スーパーマルチドライブがついている!極薄さは世界最小とのこと。実際、これで昨年はDynabookを買うことに決めたのであった。
しめて、9万円弱。この値段はすばらしいと思う。
ちなみに、Dynabook SS RX2/T7Jは22万円....ちょっと高くて、すぐに買う気にはなれなかった。性能がいいんだから、と自分に言い聞かせる必要があった。それからSSDモデルは27万円。いくら軽いとはいえ、これではちょっと手が出しにくい。まあ、2010年モデルでは随分改良されているとは思うが。しかし、SONYの今年のVAIOはもっと軽くて、もっと薄くて、値段も安い(Atom, SSD, 14万)。見た瞬間、驚いた。
買うのか、それとも、買わないか?
とりあえずは、年末までに9万円余っていたら再考することとしよう。それまでは優先度は下げておいても、問題ない感じ。しかし、OS X 10.4(=PowerPC)を使い続けるのが日に日に厳しくなってきているので、少なくとも1台はなんとかしないといけないだろう。MacProがi7にシフトするタイミングか、それともiMacにしてしまうか、それとも大きめのPowerBookでいくか、悩ましいところである。実は、Mac Miniという手もあるな、と思っている。(OS X_86を密かに考えている、というのも事実。)

2010年10月22日金曜日

OKI C310dn プリンタ届く。

沖電気の、A4両面印刷カラーレーザープリンタ、OKI C310dnが届いた。設定はとても簡単。ネットワーク経由の印刷とした。これで、研究室にカラーレーザーと、モノクロのEPSON LP-5300Nの二台が整った。至極満足。

実は、最初OKIプリンタを無線LANの子機を使って、ネットワークにつなぐ予定だったのだが、うまくいかず断念(AOSSランプが点滅しなかった)。代わりに、計算マシンに子機をつないで使う事にした。作りかけのマシンは、テーブルの上においたまま作動検査をしたりするので、無線でつながると、LANケーブルがクリスマスツリーのデコレーション状態にならなくて便利.ちなみに、子機はBuffalo WLI-TX4-AG300N. AOSSで親機に接続する.子機につないだマシンのIPはマシンの環境中で決めればよく、とても観簡単。子機に対しては、AOSS接続の場合は、特に設定する必要がない。Gatewayは親機とする。

ここで一つの問題に気づく。末端のマシンから、ネットワーク上位のマシンにはアクセスできるのだが、上位のマシンから末端へのアクセスが、今のままではできないのだ。どうすればいいんだろうか?

2010年10月20日水曜日

首都高をいく

都心のキャンパスで昨日講義をしたのだが、講義終了後に同僚との議論が白熱し、うっかり講義室のカギを返却せずに自宅へ持ち帰ってしまった。そのおかげで、今日、主キャンパスでの講義の合間に都心にいくはめになった。

高速で多摩川を渡って首都高へ入る。霞ヶ関まで20分足らず。まれにみる優秀な成績で到着できた。中央環状は事故も渋滞もなし。午後のお茶の時間は狙い目なのだろうか?予定以上の快走で、我ながら驚く。

次の障害は、都心で安い駐車場を探すこと。これが、とても大変なのだが、先日いいのを発見しておいたので、さっそくそこに向かう。「空きあり」と表示あり。安いのにガラガラ状態。夢でもみているのだろうか?ともかく、ほっとしつつ、そこに停める。

駐車場から、ちょっと長めの散歩をして大学へ。靖国通りの歩道、やたらと女学生多し。近くに女子校が複数あるようだ。元気な学生の間の混雑をかいくぐり、ようやく大学に到着。無事にカギを返すものの、事務の人に「学内便でもよかったんですよ」といわれてしまう。ちょと脱力する。

「帰りも快適、というより、むしろ少し早めのペースで多摩川を越える。夕方の講義には滑り込みセーフであった。さて、いつもこういう調子なら、昼飯を食べるためだけに、丸善や松本楼にいくのも可能かな、と思ってしまった。

慣れない事をすると疲れる。今日は研究時間ほとんど取れずに終わる。

2010年10月19日火曜日

Phenom II (x6)をCrosshair IV formulaで組む (その二)

ちょっと前に、Crosshair IV formulaのBIOSに不具合があるかも、と書いた。いろいろいじっている内に、問題の原因が判明した。BIOSが原因ではなく、マザーボードについているボタンの問題であった。

Crosshair IV forumlaの基盤には丸いボタンが4つ付いている。オーバークロック(OC)をするときは、ふつうスケルトン状態で行うので、マザーボードに直接色々なスイッチがあるほうが便利だろう、というベンダーの気遣いだろう。4つの内、2つは電源関係(Power switchとリセット)。両方とも、リセットボタンと同じ構造をしていて、押し込んでも離すと元の状態に戻る。

今回、問題になったのは、残りの2つのボタンで、ひとつは自動OC装置の起動ボタン、もうひとつが隠しコアのunlockerである。最初、unlockerってなんだろう?と思ったが、Athlonの場合を思い出して、すぐに理解した。その昔、AthlonとDuronなどのように、高機能版と廉価版の2種のCPUを同時に売り出すとき、高機能版CPUの回路の一部分にブロックをかけて機能を制限し、廉価版として売り出す、ということをAMDはやっていた。おそらく、Phenom IIも、4コアとか6コアのCPUに制限をかけて、2コアモデルとして安く売出しているのではないだろうか?そういうタイプのCPUを安く買ってきて、core lockを破って高機能CPUとして復活させよう、というのがcore unlockerだと思われる.

この2つのボタンを、リセットボタンのように、指を離したら元に戻ると思い込んでいたのが、問題の原因であった。今日、ボタンを押してみたら、この2つは、オンとオフの2状態を保持する、two-way buttonであることが判明。どうやら今までずっと、自動OC機能と自動core unlock機能をオンにしたままマシンを起動していたようだ。これが原因で、マシンは起動条件を自動的にいろいろ変えて起動し、そのためBIOSの設定がそのつど無視され、書き換えられてしまっていたのであった。

この2つのボタンをオフにしたら、問題はすぐに解決された。解決直後に、Fedora 12 (x86_64)のインストールが問題なく終わり,windows 7とlinuxのdual boot machineが完成したように思われたが、大きな落とし穴が待っていた.ネットワークカード(NIC)がカーネルに認識されていなかったのである。調べると、Crosshair IV formulaはNICを内蔵しているが、それはMarvel Yukon 88E8059というタイプで、これがFedora 12のデフォルトのカーネルでは認識できない、とのことであった。

これを解決するには3種類の方法がある。(1)カーネルの再構築。どうもこの会社のNICはいつもサポートが遅れるようで、以前より話題になっているようだ。このホームページこのホームページを参考にすれば、解決できそう。(2)内蔵NICをあきらめて、ちょっと古めのNICを買ってくる。たぶん、これが一番簡単。でも、また新宿や秋葉原にいかないといけないのが、多少面倒。(3)Fedoraの最新版(Fedora 13)に入れ替える。これは、パッケージをダウンロードしてDVDに焼き、再インストールということになるので、ちょっと時間がかかる。また、Fedora13はIntel Fortran Compiler(IFC)のサポート対象にまだなっていないらしく、インストールが難しいと噂に聞く。

さて、どうしようか?(1)を試しつつもあまりにも面倒臭い場合は、即(2)の線を検討ということになろう。IFCの無い環境は無意味だから、(3)の線は当面ないであろう。

つづく。

2010年10月18日月曜日

ヴィラデストの後、上田城へゆく

秋晴れの良日に、遠出を楽しむ。今回は、信州上田とその周りにて遊ぶ。

昼食はVilla d'estで。奮発してコース料理を食す。キノコ味のムース。サラダとグリルした茄子に大根の煮物をのせた前菜、そして鶏肉と季節野菜のスープ。最後に、巨峰のティラミス、カボチャのアイス、そしてメレンゲベースのモンブランのコンビネーションデザート。すべて絶品なり。庭園は、秋色濃く、枯れた向日葵の花もドライフラワーのようで趣あり。一番は、紫と赤色の花を咲かせていた、大きめの丈のハーブのボーダー。見事。霞の向う、眼下に塩田平広がる風景も「秋深し」の旅情あり。


塩田平の遠景 Border in Villa d'Est

つぎに、山を下りて上田城へ。上田の人は鷹揚で、いい人が多いと思う.上田城内は犬の散歩を許可していて、犬があちこちにいる。城門においてすら、犬の小便OK! なんと懐の深い...と感心する。真田は犬好きだったか?

東虎口櫓門 東虎口門の裏手から。

お堀の水に、秋の色づきが微かに映る様、心安らぐ。上田の秋は良き哉。

本丸堀に映る秋

2010年10月15日金曜日

秋の買い物(2)

買い物第一弾終了。久しぶりに新宿へいってきた。新宿駅の構造を完全に把握していたのは、20年以上前のこと。イギリスに行っている間に、南口が改装されたり、地下部分が大きく変わったりして、すっかり訳のわからない所になってしまった。今日も、地下でうろうろした上,通行人にぶつかってしまった(互いに顔を見合わせたが、無言のまま通り過ぎた...まさに新宿だ)。

まず、iPad Wi-Fi 16GBを購入。OS X 10.5以上じゃないと動かせない、と聞いてがっくり。(実は、この間から自作しているPhenomII (x6)マシンに、昨日Windows 7をインストールしたので、全く使えないというわけではないのだが。)ついに、PowerMac G5を引退させるときが来たか? それにしても、「ポイントはつきませんが、よいでしょうか?」「壊れても当店は責任持ちませんがよいでしょうか?」「返品はいっさい受け付けませんがよろしいでしょうか?」と、高飛車な態度が目立った。たぶん、アップルからいろいろと圧力がかかっているのであろう。確かに,「こんなことなら、わざわざ新宿くんだりまで来ずに、通信販売でアップルから直接買っておけばよかったよ」、と思ってしまった。アップルの思惑通りである。

つぎに、プリンターコーナーへ。狙っていたEPSON LP-S5000を見せてもらった。デカイ...かなり量(かさ)が張っていて、研究室に置く気には到底なれない。そこで、「A4でいいので同じようなプリンターありませんか?」と尋ねてみた。すると、沖電気のC310dnを紹介してくれた。Windows/Macに対応していて、カラーレーザーで、両面印刷可能、そして5年間無料保証。そしてなにより、値段が5万円を切っている。ちょっと大きめだが、許せる範囲内だ。まさにこんなのが欲しかった、という感じで即購入決断す。
(実は全く同じスペックでPS printerに成っているモデルもあるそうなのだが、値段が2万円ほど高くなってしまう。今回は、Mac OS X 10.3.9以上ならドライバがある、というので、当面の損得を考え安い方にきめた。)

これで、「秋の買い物」の前半戦の山場は越えたかな。

「国語の近代史」を読む

中公新書より出ている、安田俊朗著「国語の近代史」を読んだ。

駅の本屋で立ち読みしていて見つけた一冊。最近の本。筆者は一橋大所属の若手准教授。でも、その分析は丁寧で、独創的。面白い本を見つける事ができたので、嬉しい。

この本は「国語」と「日本語」の違いをはっきり説明してくれる。当用漢字だの、常用漢字だの、どうして煩いことを政府は押し付けてくるんだろうか?、と子供の頃から不思議に思っていた。その答えがこの本には書いてある。

そういえば、英国では、英語の授業を「英語(つまりEnglish)」という。「国語(National Language?)」なぞとは決して言わなかった.この本に書いてあることが正しいのであれば、多分、日本の学校で教わる「国語」の内容と、英国の小中学生が習う「英語」の授業内容は、随分違うんだろう、と想像する。

自国民の(有効)人数が減少して、英国のように移民を受け入れざるを得ない状況になったとき、果たして「国語」は存在し続けることはできるのだろうか?(多分無理。)例えば,坂本龍馬は偉い、と大多数の日本人が考えるのは、いうなれば「国語」の成果なんだろう。

2010年10月14日木曜日

秋の買い物

彼岸花は散り、桜の葉もとうとう色づき始めた。ようようと、秋深くなりにけり。

秋は買い物のシーズン、つまり研究予算を消化する季節だ。「この秋の目玉!」というものは特にないが、まずは、安くなったcore i7-870を購入して、i7-860と入れ替えようと思う.それから、iPadに手を出してみようか、とも思っている.ヨドバシカメラの在庫情報を見ると、どの支店にもWi-Fi版の在庫はたんまりあるようで、やっと落ち着いて買えそう。最後に、両面印刷でWi-Fi通信付きのカラーレーザープリンタEPSON LP-S5000を狙っている。(A3対応なので、ちょっと大きすぎるのが問題なのだが...)

今日は、春に購入した機器の申請書を作って事務に提出。講義2コマ。Phenom II (x6)にSATA機器接続(DVD-RW, HDD, SSD)を組み込んでの動作確認、会議一つなど。雑事や仕事に追われ、研究時間がほとんど持てなかった。ただ、とある出版社から依頼が来た教科書の執筆を少しずつ始めた。結構時間を取られる作業と気づく。要注意だが、今のところは楽しいので良しとする。

唯一の研究らしいことといえば、Fock spaceについての簡単なメモをまとめたこと。粒子数でラベルしたものだけじゃなくて、一粒子状態の直積なら、とりあえずFock spaceの基底にして良い、ということに気づいたので、それをメモる。Fermion, Bosonということさえ、頭に入れておけば、当然粒子数表示の方が断然便利に決まってるのは確か。(でも、そうきめつけてしまうのは危険だ、というのは最近の教訓より学んだ。)

2010年10月13日水曜日

フェルミオンのコヒーレント状態

コヒーレント状態がフェルミオンでも定義できることを最近知った.使い道ないんじゃないか?と思ったが、それは間抜けな奴の頭のレベルだと思い知った。とある論文で、このフェルミオンのコヒーレント状態が、ものすごく巧く使われているのを知って、鳥肌がたったのだ。

役に立つ、立たないは、それを見た人間のレベルで決まる。ひどい負け犬気分を味わってしまった。創造においては、「常識」ってやつは本当に邪魔になる。でも常識がないと次ぎへジャンプできない。常識を知った後にそれを全て捨てる、これができないと新しい理論なんてつくれないんだろう。なんかピカソに似てるかも。

コヒーレント状態は、当然ながら消滅演算子の固有状態なのである。しかし、フェルミオンの場合、その固有値がグラスマン数なのである。この性質を使うと、生成消滅演算子の複雑で面倒くさい演算子交換計算が、グラスマン数の積分計算に変わるのだ!しかも、グラスマン数は交換関係に従うから、2次式以上が存在しない「楽勝な」線形空間の世界にあり、中学生でも計算できるのだ!なんてこった。

2010年10月6日水曜日

Phenom II (x6)をCrosshair IV formulaで組む。

講義が始まって3週間目。疲れがボディーブローのように効いて来た。朝の目覚めが悪い。去年の経験からすると、このまま無理すると病気になる。計算を始めてわずか2日目ではやくもダウンする訳にはいかない。

今日は、機械をいじることにした。買ったままにしてあった、AMD Phenom II(x6)を使ってマシンを組む。m/bは大枚をはたいて買ったASUSのCrosshair IV formulaだ。今回はPhenomのBlack Editionを買ったので、Clock-upにチャレンジだ!

とりあえず、スケルトンの状態で、メモリとCPU、さらにM/Bの回路のチェック。電源には、買い置きしてあったAntec Truepower 750W (80PLUS製品)を使用。今回、電源スイッチをショートさせる工夫として、クリップを使用した。電源スイッチの2本のピンをクリップで挟んでショートさせる。不必要なところがショートしないように、電源以外のピン周りを紙で絶縁した。電源ボックスのスイッチをいれて、クリップを軽く押えるとマシンのスイッチが入る仕掛けだ。(我ながらうまく考えたもんだ。)

起動は成功。メモリ16GB識別。PhenomII (x6)識別。温度モニターを見るとCPU Temp=38度で、なかなか良い。それにしても、電源、およびCPUのファンが静かで驚いた。

まだ、OSのインストールが済んでいないので、完全には理解していないが、どうもこのマザーボードのBIOSはバグがあるんじゃないか?と思っている。というのは、リブートする度に設定が変わってしまうのだ。とくに、6コアの使用制限が時々5コアになっていたりする。アップデートすべきかどうか...まあ、とりあえずはOSをインストールしてしまおうと思う.

今回はSSDを付けてみた.Linuxのルート部分を載せてみて、どの程度早くなるか興味がある.HDDは2TB。

「その2」へと続く

プリズムの実験

講義で、どうしても太陽のスペクトルの話をする必要がある。といっても、スペクトルを見た事のある学生はほとんどいないので、黒板で説明しても、汚い絵ができあがるばかりで、いつも学生教官双方の苦笑いに満ちた無駄な時間となってしまう。そこで、プリズムを購入して、実際に学生の前で実験してみようと思い立った。

秘書に注文しておいたらと、数千円で買えた。ガラスで出来たきれいな三角柱。これに日光を当てるだけだが,弱い光だとなかなか、きれいな虹色のスペクトルがでない。そこで、屋上に続く階段ーーここは壁が一面ガラス張りになっているーーの踊り場にいって、日光をかざしてみた。光線とプリズムの角度がちょうど良くなる様に回転させる。するときれいな虹色が出た!実は、自分でスペクトル分解したのは初めてなのであった。実験する日は、強い直射日光の陽射しが差し込む日にしよう。

2010年10月5日火曜日

研究開始

5月の連休の後、滞っていた研究を開始する。

午前中に大学に来て、作りっぱなしにしてあったコードのメモつくりから始める。以前書いたメモを読み返してみると、なかなかおもしろく、我ながら感心する。途中、メールの管理、学会開催関係の文書のチェックなど、雑事を片付けている内に1時間ほど消えてしまった。それでも、その後1時間ほど新しいメモを付け足すことができた。

お昼の食堂は混雑するので、早めにいくに限る。今日の献立は、白身魚の甘酢あんかけ、と生ハム、みそ汁。おいしかった!

図書館で、Nature, Science, Scientific Americanをチェック。Natureに、イギリスでBadger猟が解禁さる、とのニュースあり。大事(おおごと)だ。保守党に変わったせいだろうか?Bovine TB(牛の肺炎)を媒介する害獣だ、という認識に基づくらしいが、動物学者のなかにはnonsenseと言う者もいるようだ。個人的には、Badgerはかわいいので殺さないでほしい。(実は奴らは肉食で、Hedge Hogの天敵なんだが...ちなみにBovineはLongmanで調べた。)Scientific AmericanはThe Endの特集。原油の生産ピークは4年後の2014年との予測あり。あと50年も経つと、簡単に掘り出せる石油は地球上から消滅するとの予想。そうかもしれない。あとは、深海底とか、南極とか、掘るのが大変なところだけになるだろう。ただ、無理すると、今年のメキシコ湾のBPの事故のようになる。そろそろ、石油文明から脱却することを本気で考えるべきだろう。(とりあえず、この間hybrid carを買った...)

午後は、会議。来年の講義計画についての概要の打ち合わせ.手際よく1時間ほどで終了。

研究室に戻って来て、メモ作成の続きを1時間。今日は夜の講義があるので、都心のキャンパスにこれから移動しなくてはならない。夕食は天丼にしようか、それとも中華にしようか?

「理系のための研究生活ガイド」を読む

数年前に、恵比寿のアトレで買った、ブルーバックス。慶応大学医学部の先生が、小遣い稼ぎで書いた本に違いあるまい。ほとんど無駄な内容だが、高校生には新鮮に映るかもしれない。なにしろ、大学の研究者の生活というのは、大学院くらいにならないとよくわからないから。

とはいえ、自分にも役に立つ箇所が2、3あった。その一つが、速読と再読の勧め。読み出したら、一気に最後までいかないといけない。メドとしては一週間と書いてあるが、そうなのかもしれぬ。早ければ早いほど良いと思う.この「初読」というやつは、細かいところは気にせず、大筋を捉えるためだけに読むよう心がける.細部に嵌って足止めされるのはよくない。そして、再読で細部をつめるのである。

時間の使い方、計画の重要性なども役に立つ。とりわけ、一週間後に計画の遂行率を反省すべし、との行なかなか感心す。さすがに、慶応大学の教授だと恐れ入った。

この本、2時間くらいで速読できる。

2010年9月26日日曜日

学会で大阪に。

学会で大阪に行った。東京は一気に秋の寒さになったのに対し、大阪はまだ夏の蒸し暑さがあった。




法善寺横町の「やき然」というお好み焼き屋さんにいった。おいしかった!ネギ焼き、モダン焼き....いろいろあったが、厚みがあって、どれもふかふか。サイドメニューの豚キムチ野菜炒めも絶品だった。客層は、日本人のみならず、韓国人やらアメリカ人やらスペイン人やら、いろんな人たちが、わんさと入ってきた。きっと、この店はどこぞのガイドブックに載っているのであろう。今度は、御堂筋(道頓堀橋近く)の「ぼてじゅう」にいってみようとおもう。

学会はというと、一様無限系の理論を、非一様有限系の実験結果に強引に当てはめる発表がまだ多い。まずいとは思うが、ある意味、この状況はチャンスだといえる。最初にちゃんとした計算をすれば勝者になれる。

2010年9月25日土曜日

iPod touchの使い道(2)

iPod touchの新型が出た。今度はカメラがついている。それから、とあるテレビドラマではマイクをつないで音声メモ風にして利用していた。こういった方面の使い方はおもしろそうな感じはするものの、まだ具体的には試していないのでよくわからない。時間ができたら、調べてみることにしよう。

とはいえ、新型が出たからといって、すぐに買い替えるなんてことはしない。そもそも、iPod touchを買ったのは、単に興味があるから、というだけだったし、買ってからしばらくはいいアイデアが湧かず、その使い道に困ったくらいだ。要は、iPod touchは「必需品」じゃなく、まだ玩具に過ぎないから、あわててアップグレードする必要はない。

というような状況の下、最近のiPod touchの利用法について再度まとめてみた。

まず、値段はちょっと高めではあったが、Longmanの英和辞典を購入してみた。これが本当にすばらしい。この間バージョンアップして簡単な和英検索も追加された。これで、私のiPod touchは電子辞書となった!ソニーが電子辞書ビジネスから撤退して以来、電子辞書のサイズが一回り大きくなってしまい、不満が募っていた。カシオやキャノンのものなど、2つほど購入してみたが、大きすぎて邪魔だったり、辞書がバカだったり、熟語の検索が困難極まりない設定であったりと、イライラが溜まった。また、不要な機能を付加したり、既存の機能も無理に高機能化させたせいで、値段が2万円などという、紙媒体なら分厚い超高級辞書に相当するようなレベルに跳ね上がってしまった。たとえ、ものぐさな高校生が背に腹は代えられぬ、と受験のためにこの値段をいやいや受け入れるのだとしても、そういう風に長いものに巻かれてしまうのは「恥」である。私が欲しいのは、ソニーの電子辞書のような、数千円のオーダーで買える、コンパクトで、かつ、良い英和辞書なのだ。そういう意味では、2400円でダウンロードすれば、コンパクトなiPod touchが電子辞書になってくれる、このLongmanのアプリは素晴らしい。「我の望み今ここに叶えられし」と叫ぶ勇者の気分である。

もうひとつ。これはまったくessentialなアイテムではないが、Weather Newsの天気予報アプリ(ウェザーニュースタッチ)が面白い。特に,全国に散らばる会員からの、リアルタイムのレポートはおもしろい。台風や雷雨などといった災害の生々しい記述には迫真さがある。また、各地に分散するお天気カメラもおもしろい。例えば、今、「姫路」を選択すると、修理中の姫路城が鉄骨の籠に日毎に包まれて行く様子を見ることができる。(実は、この映像を見ながら、完全に包まれてしまえば修理終了の5年先まで姿を見せない天守閣を、その姿が隠れる前になんとか一目見ておきたいと焦る気持ち抑えきれなくなり、先日ついに姫路まで行ってしまった....)
「籠」の中の姫路城

iPod touchを電子辞書にすることができたのだから、今度は関数電卓にしてみたい、という衝動は、科学者ならばきっともつであろう。電卓アプリは無料のものが多いのだが、関数電卓アプリは有料のものが多く、ちょっとがっかりした。なんとか我慢できるのがCalqum Liteで、必要最低限の機能が無料で提供される。関数電卓アプリは、自分で開発したほうがよいかもしれない。

最後に。宇多田ヒカルのFirst Albumをライブラリに追加してみた。Van HalenのBestの方がよかったかもしれぬ。

2010年7月23日金曜日

iPod touchの使い道

iPod touchを今年の春に購入したまま、これといった使い道無く、半年ほどが過ぎてしまった.

最初に思いついたのが、NASAのpod cast, what's up for .....シリーズを、講義で使う事。最初はうまくいったのだが、次第にビデオ出力がうまく出ない教室があることが判明して、公平性の観点から止めてしまった。同様に,iPhotoで管理している写真のいくつかを講義で使う事も、次第にやりにくくなって止めた。その後iCalでスケジュール管理をしてみたが、TO DO listingが同期できないことが判明して、がっくり。やる気を無くす.(とはいえ、他に使い道がないので、妥協しつつ使い続けているが。)

その次は、iPod applications。いくつかアプリを試してみたが、残念なことに、実用に耐えうるものほとんどない。「結局、最後はWikipediaに丸投げですか」ってなものがほとんどで、ネットワークがつながらないところでは無用なアプリばかり。

さて、そうこうしているうちに、iPadが発売され、電子書籍が巷の話題をさらうようになった。これでpdf文書が読めたら論文の持ち運びがとても便利になるな、と薄々思っていた。そこで、前期が終わって時間がとれるようになったのを契機に、PDF文書のreaderのインストールを試みる事にする。ところが、OSが古すぎるとか、なんだかんだで、なかなかうまくダウンロードできず、再々度落胆する。しばらくやるき失せ,そのまま放っておいた。そもそも自分の研究室で利用可能な無線LANがなく、今から考えると、この状況ではiPod touchは「宝の持ち腐れ」でしかなかった。

最近、試験監督のため、都心にあるもう一つのキャンパスへいくことがあった。なんとか監督中の暇を有効に活用できないかと、考えているうちに、壁に張り付いている機械に気づく。アンテナが2本立ち、LEDが点滅するその白い小さなケースはどうみても、無線LANのアクセスポイント。試しにiPod touchをつないでみると、これが案外面白い.そこで、自分の研究室にも無線LANルータを導入すべく、試験終了後、さっそく秋葉原へ足を伸ばすことにした。

翌日、苦しみながらも、無線ルータの設定やOSのアップデート、諸々のアプリのダウンロードを行う。自分の部屋でiPod touchをネットワークにつなげることが、こんなにも楽しいなんて、つい数日前までは予想できなかった。楽しいこと限り無し。

いじり回しているうちに、iBooksなる電子書籍のリーダーアプリを見つけたのだが、実はこれで自作のPDFファイルを読む事も可能だということが判明する。これはすなわち、論文の持ち運び、管理、利用が劇的に改善される可能性が出てきたということである.まさか、自分の論文をiTunesで管理することになるとは夢にも思わなかった。

早速帰りの電車のなかで、論文を読んでみる。これは便利!

次の目標は、keynote文書やPDF文書を使って、プレゼンまでできるようにすること。

2010年7月16日金曜日

前期終了

前期の講義がもうすぐ終了する。試験の採点があるが、今年は採点しやすいよう工夫したので、あまり手間取らないだろう。イギリスの大学と違って、授業の進み具合を見ながら問題が作れるから、良い問題が無理無く作れる。これは日本のやりかたの長所だといってよいだろう。

そういえば、講義ノートを教科書にしないか、と出版社から誘いがあった。「仕事」である。やるからには全力を尽くそう。

これで、梅雨明けすると、もっと嬉しい。災害に巻き込まれることなく、静かに終わってほしい。梅雨が明ければ、花火大会が待っている.大学のオフィスからの眺めが、実は、絶景なのである。

Green関数の勉強

ボーズ凝縮のセミナーをしたときに基本の事柄をまとめたのだが、そのとき久しぶりにFetter-Waleckaを読んだ。この本はGreen関数法を使って物理を解説しているので、この手法の復習をすることにした。まずはフェルミオン系の場合をやることにして、希薄気体展開のところまで読む事にした。

まずは、昔のノートを読み返してみた。なかなかよいことが書いてあって、我ながら感心してしまう。これで、かなりの部分を飛ばすことができる。昔のノートで弱かったのが、物理量との関連部分。確かにここは公式だと思ってそのまま受け入れた方が時間の節約になる。が、今回は余裕があるので、ここも丁寧に読み込む事にした。

グリーン関数法の面白い点は、期待値を「厳密解」で挟む点である。つまり、建前は固有値を計算するのと同じことになっているのである。これはものすごい長所だ。とはいえ、もちろん厳密解はわからない訳で、例えば、通常の対角化法ではこれを基底によって展開し、その展開係数を計算によって求めるのだが、グリーン関数法では別のやり方でこの問題を切り抜ける。そこで利用するのが「断熱点灯法」という摂動風の考えだ。これを用いると、厳密解が求まる状態(H0の固有状態 |φ0>、自由状態と呼ぶことにしよう)からの時間変化をユニタリー演算子を用いて表すことになり、状態を厳密解になるまで「引っ張って行く」という風に捉える。つまり、

|ψ> = U(0,-∞)|φ0>

とする訳である。こうすると、期待値は自由状態に対してとることになり、計算が簡単になる。(自由状態は可解である、というのが条件だから、近似は不必要。)そのかわり、摂動近似はUに対して行う、というのがGreen関数のポイントである。自由状態に対する物理量の期待値は、自由状態に対するグリーン関数と摂動部分(相互作用に対応)の積和の積分で表現できる。これが、ファインマン図に相当するということになる。つまり、自由状態のグリーン関数が細い線、相互作用が波線、となる。この二つのアイテムがつながる、というのが積の演算で、アイテムのことなる組み合わせの足し合わせが「和」になる。

2010年7月8日木曜日

梅雨の最中の霧ヶ峰

霧ヶ峰へいってみた。

昨年は梅雨の直前のよく晴れた日に行ったのであった。今年は、少し行くのが遅れてしまい、梅雨の最中となってしまった。「今年のレンゲツツジはもう終わり」と聞き、慌てていくことにしたのだが、そこはやはり梅雨の最中である。いっても、土砂降りでは、花を楽しむどころではなかろう。そこで、長門牧場で昼飯を食べるだけでもよいではないか、と自分に言い聞かせ、久しぶりに高原に登ってみることにした。

登ってみると、ちょうど長門牧場の標高のところに雲がやってきていた。ついたときは、少し晴れていたのだが、やがて霧がさーっと立ちこめて、あっと言う間に本降りになってしまった。軒先のテラスで食べていた客は、皆レストランの中に退散した。私は犬連れなので、雨飛沫のかかる丸太のテーブルに独り残ることにした。

ここはピザがうまいのである。レストランの中心には、ピザの釜があり、そこで焼いたばかりのものを供してくれる。薄めのクラストはイタリア風である。マルガリータと、ソーセージオリーブがいつもの注文なのだが、この日はソーセージではなく、なぜかジャコオリーブであった。が、これもおいしかった。本来ここは牧場なので,ピザの材料のチーズ、ソーセージなどは牧場で生産した地産品を用いており、それもおいしさの理由なのだと思う。「なぜかジャコ」というのは、そういう意味である。

食事が終わっても,霧が晴れない。大雨の中、白樺湖まで登ってみる事にした。すると、驚いた事に、車山の東斜面は晴れているではないか!おまけに、眼下の茅野市街には陽射しが差し込んでいる様子まで見える。八ヶ岳も見えた。驚きの、山の天気である。ところが、車山を回り込んでみると、再び大雨となる。レンゲツツジは無理かと思われた。さすがにここは「霧ヶ峰」である。


しばらく、駐車場で待つ事15分ほど。うれしいことに、霧が流れ始める。雨は激しくなったり、小やみになったり、揺れ動いたものの、最後はついに晴れ間が広がった。



散策路を駆け下り、車山湿原に降りた。レンゲツツジの最後の盛り上がりになんとか間に合った。














季節は、ニッコウキスゲへと移ろいつつある。梅雨明け直後はきっと黄色い絨毯であろう。

2010年7月7日水曜日

七夕:新しい論文を書き始める

4月に学会で発表し,5月に結論の出るた手法について、そろそろ論文にまとめようと思い、筆をとることにした。まずは、イントロに基礎的な部分をまとめて書く事にした。果たして7月一杯でメドがつくかどうか? 頑張らねば。

今日は七夕だが、どうも曇り空のまま夜になりそうな気配。そもそも東京では天の川が見えないから、無用の心配といえばそれまで。東北のように、旧暦に対応する8月7日に祝うのが一番良いとずっと思っている。

芭蕉の
 荒海や 佐渡に横たふ あまのがわ
は、8月7日によく合うかもしれない。

Bose-Einstein凝縮の基礎

東大でセミナーをやった。大学院生の人にも分かりやすい様に、という要望に応えるため、BECの基礎をおさらいしておくことにした。実は、時間をかけてGP方程式までの基礎をきちんとまとめたのは初めて。いろいろ勉強になった。Leggettの論文がまったくのオリジナルではなく、いわゆるLadder近似という摂動論を踏まえてのものだということがわかった。HFB近似が、希薄気体展開の一次近似に対応している、というのは、それにしても魔法のような感じがする。

せっかくFetter-Walleckaをもっているのだから、Ladder近似を勉強してみようと思う.まずはそのまえに、グリーン関数を用いた摂動論の復習をしなくてはなるまい。2週間ほどで片付けるつもり。

2010年6月14日月曜日

"A Spring without Bees"を読む

昨年買ったまま積んだままにしておいた"A Spring without Bees"を半分読んだ。この本は、科学者ではなく、(たぶん)ジャーナリストか環境啓蒙活動家によって書かれたものなのだろう。というのは、主題である蜜蜂の「蜂巣社会崩壊異常」(Colony Collapse Disorder)に関しては、その原因よりも、その対策がなぜ出遅れているかについて、より紙面が割かれているからだ。つまり、社会に窮状を訴えるタイプの「暴露本」のような本なので、CCDの原因に興味があるものにとっては、前半だけ読めば十分である。

本文は、様々な要因を列挙し、その一つ一つを消去していく形で話が進む。そして、すべての要因を否定した後に、フランスで1990年代に起きた一連の事件についての解説が提示される。それは、農薬会社と養蜂家の間の闘いの解説で、IMDおよびFipronilと呼ばれる殺虫剤がCCDの原因であるかどうかを巡るものである。

蜜蜂は、群れるのみならず、共同体を作り、社会的に役割を分担して、生活を営んでいる。働き蜂、女王蜂、掃除蜂、餌取り蜂などである。これは、一匹一匹の生命力が弱いのを補っているからである、と説明される(ゴキブリと違って)。DNAレベルでみても、ウイルスやカビなどの病原体感染に対して蜂の免疫系は弱い、という研究結果があるそうである。では、蜂はどうやって病気から身を守るかというと、病気に成った蜂は、すぐに働き蜂によって巣から追放されるか、あるいは自分から出て行くことによって汚染を最小限に抑えるのだという。つまり、巣全体が「生命体」であって、蜂の個体はあたかもその「細胞」や「組織」の一部のように振る舞う、という訳である。ウイルスを食べて死んだ白血球が、膿みとして体外に捨てられるようなものであろう。

2010年6月5日土曜日

「可変思考」を読む

広中平祐の随筆を読んでみた。書泉のレジ横になぜか積み上げてあったので、思わず買ってしまった。よくみると、初出は1987年である。(ちょっとだまされた...) 確かにかなり古い内容も多く含まれていた。

高校のとき、彼の別の著作「生きること、学ぶ事」という題の、似たような内容の本を読んだ。確か母に買ってもらったんだと思う。この後、本人が講演に来たので高校の授業をずる休みして聞きに行ったこともある。東京の予備校の寮に住んでいたころも、近くの古本屋でいくつか彼の書いた数学の啓蒙書を買ったりもした。しばらく「広中平祐」にはまった、ということなんだろう。いまでも、覚えているのがフィボナッチ数列を例に、花びらの枚数やカタツムリの殻の巻き方、など自然界に現れる数(数列)を解説した話だ。最初に読んだときは、本当に衝撃的だった。

さて、20年ぶりに「広中」本を読んでみたのだが、もう既に彼の言わんとしていることは吸い取ったな、という感じである。たとえば、『アメリカの学生はwhatの質問が多いが、日本の学生はwhyが多い」という彼の指摘は、常に頭の中に入っている。大学に合格して以来,この言葉を参考に質問を組み立てるよう努力してきた。しかし、アメリカに1年留学したり、イギリスで10年近く教えたりしたが、学生たちがwhatの質問しかしなかったか、というと、そういう訳でもなかったと思う。whyの質問も結構受けた。アメリカでの経験は「遠き昔になりにけり」なので比較できないが、最近のイギリスと日本の学生の違いを簡単に挙げてみると、それは、ジョークに反応するか、および居眠りするかどうか、あたりで顕著だ。英国の学生は(yes,no)となるが、日本はその反対の(no,yes)である。とはいえ、今教えている日本の学生たちは、だんだんイギリスの学生のようなレスポンスを返すようになってきたので、二国間の違いといっても、それは教える方のスタイルに責任がありそうである。

つまり、広中先生の言っている事はだいたい正しいとは思うが,自分なりの解釈もできるようになった、という意味では、「広中平祐」は卒業できたんじゃないか、と思う。

私みたいなのよりも、この本は、むしろ高校生や、大学生にお勧めしたい。あの時と私と同じ様に、ガツンと感じ取れるものがかならずあるはずだ。それから、「可変思考」ということなので、頭の固くなりたくない人ならまあ誰でも楽しめるかもしれない。ただ、時代設定がかなり古い感じがするので、そこは受け入れられないかも。例えば,日本の学生たちは、もう丸暗記でなんでも突破しようなんて思ってないような気がする。とはいえ、数学者ならではの独特の思考の仕方は感心する。問題が解けないときは、次元を上げて考えよ、というアドバイスは、まさに「広中理論」だと思う。これは誰でも肝に銘ずべき言葉だろう。

PC雑誌まとめ読み

忙しくて、買ったまま積んであったPC雑誌をまとめ読みした。といっても、今年の春の号までしか到達できなかった。すこし、まとめてみよう。

CPUに関しては、core i5/i7のうち、Lynnfield(LGA1156)が、予想外の大成功を収めた、とある。i7-870, 860, i5-750は自分でも購入して、いろいろ試してみたが、確かに安くて速い!(あれから、i7-860をもう一つ購入した。)i7-870,860は64ビットカーネルのFedora12を入れて、計算マシンにした。それから、i5-750は、windows xpを入れて、CUDAマシンにしたのだが、まだ使い切ってない状態。(はやく勉強を進めなければ....)

CUDAといえば、nVIDIAのGPU対応演算プログラムなのだが、某PC雑誌によれば、ゲーマーはAMDのGPU(つまりRadeon)を選んでいるそうである。そういえば、この間買ったマザーボードもcrossfire対応だが、SLIはだめだった。この辺はこれから研究していくべきと感じる。RadeonでGPU計算ってできるんだろうか?(少なくとも、CALっていうアセンブラがあるようだが。)

SSDも結構流行ってきてるらしい。自分では使う気がしなかったが、保存データ(しかも結構サイズの大きい奴)の管理用にいいかもしれない。つまり、一度計算して、論文作成用に保存しておき、何箇月後、あるいは何年後かにぼちぼち必要になるようなタイプのデータである。(論文のねつ造の有無のチェックにも使えるかも.....) 昔だったら、CDとかDVDに焼いたんだろうが、この「焼く」という作業が面倒で時間がかかる。それに、焼いたディスクの管理も大変だし、その寿命も最近は話題なっているようで、気になるところだ。SSDにその任を与えるのは一案だろう。SSDはsequential dataで管理するようなので、まとまったデータの取り出しや、読み書きの少ないデータの読み込みなどには最適かもしれぬ。また、低電力、低発熱だから、物理的に壊れにくいんだと思う。講義用のファイルの管理なんかにも向いているかも。

サーバー用のCPUは、発熱が小さいのがいい。とすると、core2 duoが依然として優秀な性能を示すようだ。その他、Athlon II x2もなかなかだが、core2 duoより遅いようである。(去年Dynabook ssを買ったら、core2 duoだった。結構速くて、計算なんかもたまにはやらせているくらいだ。実はこのラップトップ、PowerMac G5 Quadより速くなってしまっている!)

2009はAMD Phenom x4 (Socket AM3)の衝撃で幕開きしたようだが、終わってみればLynnfieldのi7/i5であった。2010に入って、six coreのPhenomが出たようだが,この辺の情報は、もっと新しい号の雑誌に目を通さねばなるまい....なるべくはやく読まないと、また置いてかれてしまう。

2010年6月4日金曜日

Leggettとの議論

横浜ではLeggettと議論することができた。時間が限られていたので、それほど深いレベルまでは話をすることができなかったが、いろいろとアドバイスをもらったりすることができた。大収穫だった。そういえば、Leggettの講演でもPfaffianが登場していた。やっぱり、対相関の関わる物理にはかならずこれがでてくるんだ、と感じた。

ポスターセッションでは時間がなかったが、「メールでコンタクトしてくれ」、とLeggettは言ってくれた。そこで、早速メールを送ってみた。自己紹介や自分の論文を添付したりして、CVまがいのメールになってしまったので、これはちょっと厚かましかったかも、とちょっと反省してはみたものの、チャンスを生かすにはこれしかないんだ、と自分に言い聞かせ、メール送信のボタンを押した。案の定、ひと月ほど、なしのつぶてだったので、やっぱりまずかったかな、とあきらめかけていた頃、突然返信メールがやってきた。そして、Leggettはちゃんと論文を読んでくれた!さらに、我々の方針に"Sympathetic"、つまり同調する、と書いてくれたのであった。どれだけ多くの人に見下されても、ノーベル賞を取った人に認められたら自身がつく。嬉しい限りだ。

2010年3月12日金曜日

横浜の国際会議

横浜にて国際会議があった。ポスター発表が許可されたので、共同研究者と共に参加することになった。この会議の目玉は、なんといってもノーベル物理学賞を受賞したL教授の参加である。彼の講演は量子計算に関するもので、それ自体にはあまり興味がなかったが、彼が数年前に書いた論文にとても興味があり、その内容について直接議論できないかチャンスを窺うというのが、今回の最大の目標となった。

2010年3月5日金曜日

学会参加:十日町にて

小布施、中野、飯山、野沢温泉、栄村は、千曲川沿いの町村で、飯山以北は豪雪地帯に属す(はず)。生まれて初めて、川沿いに新潟へ抜けてみた。その主な目的は、新潟大学主催の、とある学会への参加である。

峠のない、だらだらと下るだけの県境を越えてみると、驚いた事に十日町は信濃川沿いの町であった。この辺りの道路(国道117)の脇には、たしかに雪が厚く積もっている。2メートルから3メートルはあろうか。ただし、気温が高いため、路面が凍り付くような状態にはなく、雪かきすれば溶けてなくなるようであった。実際新潟大学の人の話によると、水で溶かして除雪している箇所もあるとか。

滞在中の天気は決して良いとは言えないけれど、時折陽が射すこともあった。しかし、すぐに雲行きが変わって、雪が舞ったり、雨が降ってくる。実は降雪のレベルを除けば、英国の気候を思い起こさせた。でも、雪の降る夕闇に、オレンジ色の街灯が反射する風景も、そんなに悪くない。ましてや、温泉がある雪国はほっとさせてくれる何かがある。泊まった宿の温泉は単純アルカリ温泉だということで、黒いというか茶色いというか、そういう色であった。

犬と泊まるということで、特別にログハウスを一件貸してもらい宿泊することができた。が、犬にとっては、新しい家はあまり好ましい環境ではないようで、最初はしきりに吠えたり暴れたりしたので、しかたなく寝る時は箱に入ってもらうことにした。

2010年2月26日金曜日

入試英語

この時期になると気になるのが試験問題である。ある大学の英語の問題を見たが、なんとも不自然な英語の文章で、受験している学生たちがちょっと気の毒になった。3年間も英語の勉強してきて、これを最後に読まなきゃいけないなんて、まったく時間の無駄に思える。じゃあ、その正反対の、いわゆる難関校はどうなんだろう、と思って、京都大学の2009年の問題を見てみた.これも、ある意味ひどい英語である。少なくとも、高校生がこんな英語読めていったい何の役にたつと言うのだろう?京都大学の英文学以外の先生たちがこれを完璧に訳せるとは到底思えないだけに、これまた、受験生たちが気の毒である。京大英語は癖があると言われているようだが、ちょっと癖が強すぎるのではないか?逆に、感心したのが東北大学の問題。研究者になってから一般的な論文で使うレベルの英語が出題されていた。これが高校生で読めるなら、あとは専門の科学分野をマスターするだけだ。そうしたらすぐにでも論文発表できるだろう。

京都大学の問題はちなみに「爪楊枝の文明論」についてであった。(文化人類学というべきか?)太字のところを訳せ、ということだが、その周辺の英文は果たしてヒントとなりうるのだろうか?


Many of the most common things that we encounter in everyday life are also among the most elegant solutions in fitting form to function.Thus the familiar paper clip has long been widely admired by architects and designers for being a graceful loop-within-a-loop spring that silently does its job.The sewing needle, with its sharp, elongated point balanced by its soft oval eye, is a classic example of opposites united in a manufactured product. But such things, being made of steel, are many times removed from the raw materials from which they begin. These are not things easily made from scratch by a single person. Small things made of wood are more organic, closer to nature and formable by an individual with little more than a sharp knife and a patient hand.



日常生活の中にありふれている道具の多くは、目的の用途にただ単に適うだけでなく、もっともエレガントな方法で機能するように設計されている。その意味で、よく使われる「紙止めクリップ」は多くの設計者やデザイナーから、長いこと尊敬を集めてきた:その二重に丸め込まれた美しいバネ構造が、粛々と、そして確実にその機能を果たす事にに対して。また、縫い針は、長く延びた尖端がゆるやかな楕円型の孔とうまい具合に調和していて、正反対のもの同士がうまく組み合わされた手工業品の中でも、もっとも優れた古典的な例の一つである。しかし、このような鉄でできた製品は、元となる原材料から繰り返し切り出されなくてはならない。一人の人間が、何も無いところから、このようなものを作るというのは、そう簡単なことではない。木でできた小さめの道具なら、有機的で自然にやさしく、よく研がれたナイフ一本と根気さえあれば、個人であっても製作することは可能だ。


太字のところが問題文だが、ここでは"loop-within-a-loop"というのが(高校生には)難しいかもしれない。そもそも、日本の高校生はあまりクリップを使って紙を束ねないから、paper clipがどんなものか知らないと、これを訳すのは大変じゃないかと思う。この問題を出した先生は、欧米への留学経験が長い人かな、という想像がつく。確かに、イギリスではpaper clipの方がホチキスより人気があった。イギリスのホチキスは品質が悪く、1cmほどの紙の束を留めようとすると、貧弱にも針が折れ曲がってしまって、なんど悪態をついたことか。(問題分にsilently does its jobとあったが、確かにクリップなら誰もわめいたり、悪態をついたりはしない。)ちなみに、悪態をついてから半年後に一時帰国した時、まず麻布十番の文房具屋で買ったのは日本製のホチキスと大量の替針であった。(ちなみに英語ではホチキスはstaplerという。)

問題文からは外れるが、その次に難しいのがfrom scratchと、縫い針の行りの"a classic example of opposites united"か?
from scratchに関して言うと、これを最初に見たのは、よくプログラムをスクラッチから書き出す、という使いかただった。何も無いところから、最初のひと掻きから、ということだろう。最初にこの言葉を会話で使った時"from the scratch"といってしまい、大笑いされた。ブルースリーの強敵「鉄の爪」でも想像してしまったのであろうか?theはつけてはいけないのである(theというのはイメージを固定するのだ....、とこの時、体感した)。

2010年2月25日木曜日

CUDAことはじめ

CUDAに興味がある.ということで、いろいろやってみた。最初にFedora12にcuda関連のキットをいれてみた。見事に動かない。色々調べると、nVidiaはOSのバージョンアップに対するフォローが「とても」遅いことが判明。Fedora10くらいまで落としてからチャレンジするべきらしい。それは面倒くさい、ということであきらめる。

さらに追い打ちをかけてきたのは、購入したGT240のドライバをサポートしているのはWindowsだけ、ということ。しかたないので、Windows XPを入れた。そしたら、今度はVisual Studio Expressをインストールしないと開発できない、とかいう。仕方なくインストール。
などとやっているうちに、日が暮れて、結局CUDAまで辿り着けず。無念。(実は、当初XPがm/b内蔵のEther chipを認識しなくて困ってしまった。が、m/bのユーティリティーディスクがあったことを思い出し、ドライバをいれてみた。普段はLinuxしかいれないため、こういう作業をしばらくやってなくて忘れてしまったのだ。すろと、あっさり、というか当然ちゃんと認識して動きだしてくれた。ただ、コツがあって、一括インストールはあまりうまくいかず、いろんなドライパーを一つ一つ丁寧にインストールしてやらないとうまく動いてくれなかった。しかもリブートを何回かしないといけなかったので、ものすごい時間がかかってしまって、かなりイラツイてしまった。)

ここまでやってきて、ふとGPUがちゃんと認識されているか心配になった。GPU-Zというソフトでチェックしてみると、.....案の定XPを入れただけでは認識できてない!Video cardの箱を引っ張りだしてきて、ドライバーが入ったCDを探しインストールする。GPU-Zを再度走らすと、「おー、ちゃんと2枚認識されてる」と一安心。(何を隠そう、このcudaマシンはGT240 1GBの2枚差しなのである。ちゃんと使いこなせるのだろうか???)最近のVideo cardって温度センサーやDDR3なんかも入っていて、ほんとにすごい。

散乱長

散乱長についてやっと理解できたと思う.学部の時、J.J.Sakuraiで習って以来だから、15年近くもかかってしまった....理解できたきっかけを与えてくれたのは、例のLeggettの論文である。ボーズ凝縮における原子間の相互作用についての議論があって、これも理解に随分苦しんだが、E->0とか、r>>a (a:scattering length)とかいう表現があちこちに出てくるので、よくよく考えてみたら、これって遠くから解像度のわるい望遠鏡で見たときの物理ってことじゃないか、と閃いた。多体系の有効相互作用というのは、詳細がよくわからない分、どこまでならわかったといえるのか、どこから先は知らなくても正しい事が導けるのか、といった観点や感性が必要になる、ということがようやくわかった。電子物性の「クーロンはクーロンだから」(つまり「よーく」わかっていて曖昧さが0ということ)という立場とは随分違う。分からないものを分からないまま「分かろう」とする方法論、といえるかもしれない。この考え方がわかったのは、自分としてはかなり大きな進歩だと思う。

2010年2月23日火曜日

論文受理

実験家の人たちと共同研究して書いた論文が受理された。最初のレフェリーレポートでは、随分理論解析のところを攻撃されたので、ヒヤヒヤしたのだが、結果オーライとなって本当に嬉しい.日本に帰ってきて最初の論文ということになる。苦労しただけに、どんどん引用してもらって、よい論文になってもらいたい。来週の国際会議(新潟)では、このネタで発表する予定。

ところで、今年の5月に英国で開かれる国際会議で、招待講演することになった。大学の補助を受けるための、申請締め切りが今日までだったので、慌てて書いた。結構時間を取られてしまい、計算する時間がなくなってしまった。あした頑張ろう。(会議があるけど。)

2010年2月6日土曜日

iRobotのRoomba

自宅用にiRobotのroombaを購入してみた。ちょっとうるさいし、吸い込みは松下の(手動)掃除機には叶わないが、何日も掃除機をかけないよりは圧倒的にいい!20分ほど走らせただけで、随分部屋のゴミが取れた。毎日こいつを動かしつつ、時々(週末とか?)手動で掃除機かければベストだ。ウチは特に犬がいるため大量の毛が床を舞うような状態なので、毎日ロボットにやってもらえると大助かりだ。問題は、犬がroombaにじゃれる、というか、敵視(?)して吠えること。慣れてもらわないと困る.21世紀の犬は学ぶべき事がたくさんあって大変だとおもった。

買い物帰りに、代々木公園のドッグランに犬を連れて行った.土日限定だが、かなり広いスペースを使わせてくれるのが嬉しい。走りすぎて、さすがのsheep-dogも家に帰るなり寝ていた(roomba起動の直前まで)。寒かったが、晴れていて気持ちよかった。ただ、人間に小便をかけるブルドッグがいたのには困った。ちなみに、参宮橋のところの駐車場は日曜/祝日だけが無料。(今日は土曜だったので駐車できない上、一方通行の道となっていたので、方向転換できず大変な目にあった。)

2010年2月5日金曜日

Core i7-860/i5-750を買ってみた

今年の研究費で、i7-860, i5-750(双方ともLynnfield)を買ってみた。m/bはGA-P55-UD3R。メモリは4GBx2x2の16GB。このマシンはifortと組み合わせると、本当に速い!

やはり、i5-750より、i7-860の方がちょっと速かった(7%程度).実はi7-870も買ってみたのだが、値段の割(5万円弱)にはそれほど速くないことが判明し、興味が失せてしまった。(i7-870は、i7-860に比べて4%程度速いだけなのに、値段は200%近くにもなる!)

また面白い事に、i7-860およびi5-750は、i7-920よりも速く動く(当然i7-870も)。例えば、i5-750はi7-920よりも15%近くも速く計算してくれる。これはturbo boostの設定に関して、Lynnfieldの方が、Broomfieldよりも、aggressiveに設定されているからだという。(ちなみに、大抵の数値計算では、HyperThreadingは全然役にたたない、というより邪魔な存在だ。計算するならHTは切っておくべきだと思う。)しかし、TBが効きにくい状態(例えばHTを切った状態で4jobを流してやる)にしても、Lynnfieldの方が性能は上だった。TBは単純じゃないらしく、案外複雑な性能向上の具合を見せる.おもしろいといえば、おもしろい。

個人的には、i7-860がBest buyだと思う.

さて、余ったi5は何に使おうか?

2010年1月13日水曜日

Windows Vista + Fedora12のインストール(その2)

Dynabook SS(RX2)は、超低電圧のCore 2 duo(1.4GHz)を積んだラップトップで、DVDドライブも付いているのに、ものすごく軽い。(バッテリを軽いものに換装して、もっと軽くした。)このバージョンのcore2duoはPenrynというタイプになるそうで、そのTDPは10Wしかない!その上、CPUの性能は、PPC-G5(5年程前の、アップルのPowerMacに搭載されたもの。最初の64ビットパソコンの一つで、当時の最高速マシンだった)に匹敵する。PowerMac G5は、一人で持ち上げるのは重くて大変だったのに比べると雲泥の差だ。

x86_64版のLinuxのインストールは、i5-750/i7-860を積んだデスクトップマシンで練習したので、基本的なところは問題ない、と思っていた。そのとき使ったのと同じimgファイルを転送し、DVDに焼いて試すと、驚いた事にjdkのインストールのところでエラーメッセージが出て、止まってしまった。エラーメッセージによると「ディスクが壊れている可能性ある」とのこと。同じイメージを焼き直して再度挑戦したが、やはり同じ所でエラーが出る.転送時に何か問題がおきて、ファイル自体が損傷してしまったのだろうか?Vinelinux5をダウンロードして、インストールしてみたが、こちらはうまくいく。そのまま、Vineでいこうか、と思ったが、Nautilusが不安定で、頻繁にX-windowが落ちてしまうため、Fedora12に戻すことにした。Fedora12のインストールDVDはインストーラーの起動に関しては問題ないので、途中でnetworkインストールにスイッチし、ネットワーク経由でインストールすることにした。自宅のj:comのADSLでやったのだが、これ意外に速く、風呂に入って出て来たら、インストールは終わっていた。しかし、Fedora12のインストールは、実はここからが本番である。物理研究者のノートPCにするには、fortranとpLaTeXを入れねばならないからだ。

まずは、Fortranのインストールである。Gnu g95はx86_64用のバイナリファイルが配布されているので、難なくインストールできる。問題は、Intel Fortran(ifort)である。Intel CPUを積んだマシンでは、このコンパイラがとにかく最速で、g95の2倍の性能を示す事もある。(このノートPCの場合は約1.4倍だった。)ifortの導入にはyumが使えないので、ダウンロードしたファイルに含まれるスクリプトに従って、インストールしなければならない。Linux版はfreeなので(Intel Fortran Compiler for Linux)、物理学者の多くがifortで計算をしていると思う.実は、Vinelinux5をあきらめた理由の一つが、ifortがどうしてもインストールできなかったことだ。ifortは64ビットCPU(Intel 64)を動かすことができるが、なぜか32ビット版のライブラリーを幾つか必要とする。通常のx86_64 Linux distribtutionには含まれていないので、別途インストールが必要なのだが、vinelinuxはライブラリの依存関係が複雑で、最後までなかなか到達できない。一方、Fedoraはyumを使う事ができるので、そのインストールはあっという間だ。詳しいことは、インテルのホームページに書いてある。

次に、pLaTeXのインストールだが、これはVinelinux5の方が簡単である。つまり、日本語化も含めて(それがVineの売りな訳だが)、オリジナルのdistributionの中ですでに完成している。しかし、Fedora12はここが難しい。pLaTeX3のファイルをまずここからダウンロードする。次に、Ring CTAN ftpミラーサイトなどから(例えばここ)、tetex-src-3.0.tar.gzおよびtetex-texmf-3.0po.tar.gzをダウンロードする。3つのtar.gzファイルを同じdirectoryに置いて、ptetex3-xxxx.tar.gzのみを展開し、展開されたdirectoryに入ったら、そこでmakeをかけるのだが、その前にやらねばならない事が3つある。

一つ目が、/usr/include/stdio.hにある、getlineに関連する行を一時的にコメントアウトしてしまうこと。これはpLaTeXのmakeが終わったら、元に戻しておくのを忘れぬように.2つ目が、ptetex3のdirecotryにあるスクリプト,7font-search.shを修正すること。sazamai fontに関連するところが135行目あたりにあるが、この記述を次のように変更する。

...../fonts/sazanami/mincho

...../fonts/sazanami/gothic

古いFedoraとdirectoryの構造が違うのが原因だそうだが、実はこのフォントがx86_64 Fedora12には含まれていない。そこで、3つ目の修正が、このフォントを上の修正で指定した場所に手で入れることである。sazanami fontはここからダウンロードできる。

ここまで、下準備をしてからmakeすると、長い事コンパイルしているが、最後には"conguratulations!"という文が現れて、コンパイルは無事に終了する.(ここまでくるのに、どれほど時間を浪費したことか....)ちなみに、日本語のtex文書はdvipdfmxでコンパイルする。dvipdfだと文字化けする.また、出来上がったpdf文書はevinceで見る事ができる。Adobe acroreadはまだ、x86_64に対応した製品が出ていない。

これで、Dynabookがx86_64マシンとなった訳だが、一つ問題が隠れている。それは、この後リブートしたときにWindows Vistaが起動できない、という問題である。これはいろいろな解決法があるようだが、一番簡単な方法は、grub.confの修正であろう。まずは、Fedora12のインストールが終わった直後に、rebootし、grubでwindowsを選んでみよう。するとBOOTMGR IS MISSINGと出るばかりで、Windowsが起動しなくなっているはずである。こうなるのがわかっている人は、リブート前に、/boot/grub/grub.confを修正しておくと、すぐに問題が解決される。どうも、Fedoraのgrubはwindowsのブートセクターの数字を一つ間違える傾向があるようで、自分の場合、hd0 -> hd1とすることで、windows vistaが起動できるようになった。

答えがわかるまでに、1.5日かかってしまい、答えがわかった後もインストールには4時間かかった。クタクタ也。

STFCのbudget cut

理研にいったとき、共同研究者から一通のメールを見せられた。イギリスからのものだった。

STFCがついに予算カットを断行したので、非難/抗議の手紙を送ってやって欲しい、という英国の科学者からの訴えだった。3年前に、STFCが創設されたときに、すでに予算カットはあったから、合わせると研究費予算は50%近くのダウンになると思う.

検索してみると、以前の同僚たちが、The Times Higher EducationやらTVなどで、非難のコメントをしていた。3年前、「この研究計画がみとめらなければ、我々に未来はない」とまでいって、認めさせた研究計画が今回はcutの対象になってしまったのだから、無理もなかろう。

沈む船から逃げ出したネズミの気分になった。

2010年1月11日月曜日

Windows Vista + Fedora 12 のインストール

去年の夏に買ったDynabook SS (RX2)を、もう少し使いやすくしようと思い、連休を利用して改良することにした。狙いは、LinuxとWindowsのdual bootマシンを構築すること。これが2日がかりの大仕事となってしまうとは、金曜の夜には知る由もなく、軽い気持ちでいた。

きっかけは、プレインストールされていたWindows Vistaの「重さ」である。特に、DVDなど画像処理をやらせると、一時代前のマシンのような動きになる。余計な機能を切ったりして、メモリ関係から来るオーバーヘッドなどもできる限り減らしたつもりだが、効果はなし。デフラグも、スパイウェア除去も、「重さ」に変化はなく、何をしても無駄であった。確かに、インターネットで検索したり、パワーポイントで発表する分には問題ないのだが、講義で見せる動画の再生に問題があるようでは、わざわざ新型のマシンを購入した意味がない。

附属品をよく見ると、インストールディスクが2セットあった。XPとVistaだった。プレインストールは後者だったが、気に入らなければ、前者に変えてよい、ということであろう。つまり、Vistaに不満をもち、XPに戻そうという巷の需要は案外多いのではないかと思われる。しかし、一度はXPをインストールしてみたものの、そのパフォーマンスを試しているうちに、やはりもう一度Vistaにかけてみよう、と気持ちが変わった。

講義で見せるDVDは一回の講義につきだいたい2、3種類ある。すべてiso9660イメージにリップして、それをDaemon Liteというソフトでマウントして、再生するようにしている。講義中は手がチョークまみれになるので、DVDをなるべく触りたくないのだ。とはいえ、バックアップのために、一応はDVDメディアに書き込んでおいた方が安心だ。ところが、手持ちのXP用のライティングソフトでは、イメージファイルからの書き込みができないことが判明。一方、Vistaに付録でついてきたソフトはイメージファイルからの書き込みがOKだった。今まで、Mac OS Xを使ってきた関係上、やはりイメージファイルが基本にないとちょっと頭に来る。Vistaに再度賭けた理由は、こんなことであった。

面白い事に、再インストールしたVistaは動きが非常に快適になった。しかし、この「平和」がいつまで続くのか、それは誰もわからないだろう。 Windowsはいつもこういう心配が尽きないから、嫌いだ。(つづく)

2010年1月2日土曜日

正月、スキー場にて

雪の少ないスキー場に行ってみた。山道にはほとんど積雪はなかったが、日陰は凍っていた。せっかくの新車もスリップしたら、一瞬でお陀仏。かなり緊張したが、なんとか山腹の駐車場まで来ることができた。

前日から雪は断続的に降っているが、降っては日が照って溶けてしまい、なかなか積もらない。このスキー場も例外ではないようで、人工雪を作っては見たが途中であきらめたようだ。客は無く、リフトは停止していた。スピーカーから大音量で古いポップスが流れていた。この状況で、強引に営業してる気配...さらに驚いた事に、アナウンスで「迷子のお子さんのお知らせ」が流れる。こんなガラガラのスキー場でどうやったら迷子になれるんだ?と思ったが、多分北斜面のゲレンデには雪も客も一杯あるのかもしれないな、と想像してはみたが、周りの山の様子を見ると、それはちょっと苦しい想像であった。



「新雪」とはいえ人間には案外結構きつい傾斜で、滑ってぶざまに尻餅をついたりしているところを、一緒に連れてきた犬は、何の苦もなく、喜びカケズリまわっていた。「4WD」はさすがに雪道に強いね、などと感心しても、さすがに真似する訳にもいかず、四苦八苦しながら先に進む。



このスキー場のある山は安山岩が母岩のようで、風化した安山岩の露頭が顔を覗かせていた。この近くには鉄平石が産出するところもある。こちらは、板状節理した安山岩で、高級な庭石(敷石など)となる。この露頭も節理構造は見えたが、残念ながら庭石にするほどのきれいなものではなかった。いずれにせよ、この辺りは溶岩が冷えて固まってできた地域ということである。



山を下り、里へ下りた。実は、この麓の村はこの犬の里である。かつての主に正月の挨拶にいったら、見事なくらい、きれいさっぱり、我々のことを忘れていた。脱力す。そこから望んだ浅間山はきれいだった。いつものごとく煙を出す白い浅間は、やっぱり冬本番の象徴なり。