2014年10月26日日曜日

巨大黒点現わる。

巨大な黒点が現れたとの報を受け、早速観測してみた。確かに今年のお正月のものよりずっと大きい!フレアも弾けまくっているようだ。

2014年10月5日日曜日

「X線からクォークまで」を読む

エミリオ・セグレ著
みすず書房(1982年)、久保亮五、矢崎裕二訳

反陽子の発見でノーベル賞をとったセグレによる科学史、というか、彼自身、そして彼の友人たちの伝記というべきか?間近で見ていた世界の記述には、やはり迫力がある。セグレ本人が撮った写真には、マリーキュリーや湯川秀樹なども含まれ、「当事者」感がひしひしと伝わってくるだけに、その記述の信憑性はとても高いと思う。安心して読むことができ、没頭できる。

黒体輻射の章はとても勉強になった。電磁場の量子化はプランクが最初かと思っていたが、アインシュタインと言うべきだと思い直した。プランクがやったのは、黒体の壁のエネルギー(壁が多数の共鳴子からできている、というモデルになっている)の量子化。しかも、それは本心から量子化したわけではなく、エントロピーの計算をボルツマンの統計熱力学に従って行うための、数学テクニックとして導入しただけ。最後にはε→0の連続極限を取ろうとしたのだが、物理的な要請からそれをやると理論が破綻するため、仕方なくε=hνとしたのであった。

このエネルギー単位εは共鳴子、つまり壁のもつエネルギーであって、肝心な輻射(つまり電磁場)のエネルギーの量子化ではないことに注意する必要がある。プランクはあくまで、黒体輻射のエネルギー分布関数を導いただけ。壁の成分は、現実には原子であるべきだが、当時は原子構造がわかっていなかったため共鳴子モデルで記述したのだ。単振動する電荷は、時間変化する電磁場、つまり電磁波を発生させる。周波数の異なる共鳴子について、作られる電磁波の強度を計算すれば、黒体輻射の強度スペクトル関数を得ることはできるはず。しかし、多数の共鳴子ひとつひとつについて計算し、それを束ねることは不可能だから、統計熱力学のアプローチを採用してエネルギーの周波数分布を計算した方がやりやすい。とりわけ有用なのは、エントロピーとエネルギーの関係で、エントロピーの統計力学的な計算を共鳴子に適用することで、プランクは分布関数を手に入れた(と思う)。

プランクのエネルギー分布関数が、電磁場の量子化に対応していること(そしてそれはプランクの共鳴子モデルのエネルギー単位と等しいこと)を示したのは、アインシュタインであったと、セグレの本には書いてある。アインシュタインは、このことを証明する具体例として光電効果を選んだだけだった、とも書いてある。

古典論文を直接読むことはなかなかないし(しかもそれがドイツ語だったりフランス語だったりする...)、現代の教科書は、この辺りはかなり省略してしまうか、孫引きで知った内容を適当に(つまり嘘を)書いてしまったりするので、本当の成り行きをなかなか知り得ない。セグレの本を読んだとしても、それは孫引きみたいなものだから、やはり最後は論文を直接読んで確認する他は無い。果たして、できるだろうか?

2014年10月1日水曜日

噴煙を上げる御岳山

噴煙を上げる御岳山の撮影ができた。画像処理すると、山の斜面に火山灰が厚く積もったような感じの所も見受けられる。噴煙は南西の方角にたなびいているものの、局在していて、青空の中、モクモクした形がはっきりとわかる。山肌に噴煙の影が写っている。多分、噴煙は成層圏と思われるところまで立ち上り、そこからは水平に流れている。火山灰が四散している感じは見受けられない。

沢山の人がカメラを向けて撮影していた。


ちなみに、今年の春に撮影した御岳はこちら

視線を東に向けると、富士山もよく見えた。御岳の上空に吹く西風が、富士にも吹き付けているようで、山頂に笠雲が発生していた。これが....噴煙のように見えて一瞬ドキッとした。御岳と富士山って結構近い場所にあるんだなあ、と感心したが、それは実はかなり恐ろしいことなのかもしれないと思い直し、身震いした。

富士山....やっぱり噴くんだろうか?

2014年9月28日日曜日

御岳山噴火す

9月27日(土)のお昼ごろ、御岳山が噴火した。水蒸気爆発と見られるが、火砕流らしき噴煙が斜面を流れ下っているようすも記録されている。気象庁は火砕流は無いと主張しているが、科学者たちは「低温の火砕流が発生した可能性はある」と言っていて、意見が別れている。

2014年9月11日木曜日

東京で「数年に一度の豪雨」

台東区では100ミリ/時間の豪雨が降って、冠水多数。千代田区では下水が噴水し、江戸川区では水没した車多数あり。朝日新聞によれば、JR新小岩駅が浸水したらしい。

2014年9月6日土曜日

エボラ出血熱:イギリスの最初の患者は回復

アフリカに渡り、エボラ患者を救おうと頑張っていたイギリス人の医者が、2週間ほど前にエボラウイルスに感染してしまった。彼は特別機で緊急帰国し、ロンドンの病院に収容された。英国人がエボラウイルスに感染したのはこれが初めてのことだ。英国の医療技術の粋を集めて治療を受けていたが、先日見事に回復したと英紙ガーディアンが報じた。

やはりZMappが効果的だったようだ!

その一方で、WHOは「人類はエボラウイルスに敗北しつつある」とのコメントを発した。死者がついに2000人を越えたという。ZMappはまだ大量生産されていない。今、エボラに冒された命はカネで買うしかない。

デングウイルスは東京に蔓延している可能性

代々木公園だけでなく、明治神宮、新宿中央公園、神宮外苑/外堀公園そして横浜の公園...でもデングウイルスを持った蚊が生息している可能性が濃厚となってきた。

恐れていた事態が現実となりつつある。実際、東京では虫除けスプレーがすでに手に入らない状態となっていて、パニック状態に近づきつつある気配。

横浜の事例では、代々木公園で蚊に刺されてデングウイルスに感染した後に、横浜の公園で蚊に刺されてしまったようだ。体内にウイルスが増殖した後に横浜で刺されてしまったとしたら、これこそ一番起きてもらいたくない事態で、深刻な状況だといえる。このような事例を繰り返しながら、実はあっという間に東京にはデングウイルスは蔓延していくんだと思う。「代々木公園という局地的な問題に過ぎないから、パニックにならないように」と、人々に冷静な対応を呼びかけていた行政も、ここまで蔓延してしまったのを知って、もはやその呼びかけはやめたようだ。

現在、感染者は75人を突破した。100人を越えるのは時間の問題だろう。

東京で、土壌の放射能汚染を研究するときは、代々木公園をはじめとする公共の公園にいって土壌採取することが多い。新宿御苑や皇居北の丸公園など、蚊がうようよしている場所にこれまで何度も足を運び、そして沢山蚊に刺された。幸い発熱などの症状は出ていないし、具合が悪くなったこともないので、デング熱にかかってはいないと思う。また、今年は東京の土壌採取はやっていなかったので、とりあえずはホッとしている。が、このままデング熱が日本に蔓延してしまうと、研究に支障が出てくることが予想される。東京で刺された後、信州など他の地域で土壌採取をやった際に現地の蚊に刺されたら、私が全国にデングウイルスを蔓延させる張本人となってしまう可能性が出てくる。やはり、しばらくは、東京/横浜方面の研究は中止とせざるを得ないだろう。(すくなくとも蚊避スプレーが手に入るまでは。)

2014年8月28日木曜日

まさかの代々木公園(デング熱)

デング熱に感染した埼玉の患者は、実は代々木公園で蚊に刺されていたことが判明。しかも、患者の友人2人も一緒に代々木公園に行って蚊に刺され、デング熱に感染していたとも! 

NHKのニュースでは、ものものしい格好をした人たちが代々木公園の一部を閉鎖し、消毒液をまき散らしている姿が映像で流された。

代々木公園はNHK放送センターの真後ろだけに、NHK職員自身がもっともビビったんじゃないだろうか?(東京在住の人でも、代々木公園にいかない人たちはあまり怖がってないんじゃないだろうか?)もちろん、実は代々木公園は氷山の一角で、東京の広い範囲でデング熱のウイルスは蔓延していた...なんてことが出てくるとパニックになるかもしれないが。そうはならないことを祈るのみ。

西日本はマダニ...

昨晩のNHKニュースで、マダニが媒介するSFTSウイルスによって、山口を中心とする西日本で死者が出ている、という報道があった。

有効な治療薬がないそうで、自分の免疫がウイルスより強いか弱いかで、罹患者の運命は決まるらしい。「負けた」場合は大変な苦しみを受けた後に死んでしまうが、生き延びるにしても失明したりなど、大きな障害が残ることもあるようだ。

温暖化の影響でまずは気温の高い西日本でoutbreakしたのかと思ったのだが、東北や北海道でもSTFSウイルスを保有したマダニは発見されているとのこと。全国に広がるのは時間の問題かもしれない。都市部でも、ペットを通じての感染があるそうなので、外飼しているネコやイヌには気をつけないといけないのだろう。先週の広島の土砂災害で注目されたような、山を切り開いて開発した近郊住宅地には、イノシシや狸、キツネ、さらには猿、クマなどが出没する。これらの動物が山奥からマダニを都市部周辺に連れてくるそうだから、市街に住んでいるから安心というわけにはいかないようだ。

マダニにデング...これにマラリアが加わったら、おちおち半袖短パンで散歩もできない日がやってくるかも。まいった。(エボラだけは当分来ないとは思うが....)

ちなみに、エボラに関しては、英国人医師が感染して、ロンドンに緊急搬送されたという報道が先日あった。また、ZMappを投与したアフリカ人医師は死亡したとの報告もある。(アメリカのケースでは、回復したらしい。)闘いは続いている。

2014年8月27日水曜日

デング熱への感染、埼玉にて発生。

埼玉でデング熱への感染が発生したとの報。エボラのことにかまけている場合ではなかった...
主に東南アジア諸国で蔓延しているこの伝染病だが、海外旅行にいったときに感染するケースは年に200件ほどはあるのだという。そういう意味では関東の医者たちはデング熱の症状には比較的習熟しているのかもしれない。

しかし、今回デングに感染した人は海外渡航した経験がないという。国内での感染は70年ぶりだとか。地球温暖化や、東京の熱帯化により、デング熱のウィルスが関東でも生き延びてしまう可能性が高くなったということだろうか?マラリアの上陸が長らく噂されているだけに、その前兆とならねばよいのだが。

2014年8月12日火曜日

Ebola outbreak: 今度はヨーロッパ人(スペイン)

リベリアで救済活動に参加していたスペイン人の牧師がエボラ出血熱に感染した。この牧師は治療のため、先週木曜、飛行機でマドリードまで搬送された。ヨーロッパにエボラ出血熱の患者が入ったのはこれが初めてだという。アメリカからZMappが届けられ、このスペイン人に処方されることになっていたが、さきほど死亡したという。ただ、ZMappを服用したのか、しなかったのかについては確認がとれていない、と英紙Guardianは伝えている。

カトリック教会が派遣し、アフリカで活動していた牧師の内、エボラに感染したのは3人。残りの2人はアフリカ出身者だという(ガーナとコンゴ)。この二人はアフリカに留まって治療を受けていたが、今日までに死亡したことが確認された。ZMappを服用することも、投与する予定もなかった。

「白人だけ(欧米人)がZMappを利用できるのか」というアフリカの人々の怒りは最高潮に達しているようで、WHOは、臨床試験薬に過ぎないZMappのアフリカ導入を先ほど決定した。最初にリベリアで試すらしい。果たして、吉とでるか凶とでるか?

もし、ZMappを服用したのにスペイン人牧師が死亡したとすれば、この薬の効能は限定的ということになるから、失望がアフリカに広がるだろうが、一方で彼らの怒りのもとである不公平感は消えるだろう。ほんとうに難しい状況になってきた。

ちなみに、日本からの救援団は感染中心地帯から一時退避することになったと聞いた。エボラの蔓延する地域はこれで見捨てられなければよいのだが...(ゾンビ菌にやられて閉鎖された、未来都市が舞台の映画を思い出してしまった)。

2014年8月11日月曜日

Ebola outbreak: エボラ伝染病の治療薬

西アフリカで、エボラ出血熱という伝染病が手の付けられない状態になった、というWHOの宣言が最近あった。これまでに1000人近くの患者が死んでいる。今回の伝染病の蔓延(outbreak)に関しての死亡率はこれまでのところ50%という。

先日大学からの帰り道に聞いていたAFNで、エボラ出血熱のことばかり取り上げていたので、どうもおかしいと思って耳を澄ますと、救援のためにアフリカに駆けつけたアメリカ人医師がついに感染してしまったという。これまではアフリカに住む現地人の犠牲者ばかりだった。感染者は特別機でアメリカ国内に搬送され治療を受けている、というところまで聞いたが、そのときは「致死率90%近くのこのウイルスに罹患したら、治療もなにもあったもんじゃない。ただ、隔離措置して終わりじゃないだろうか?」と思っていた。

ところが、家に帰ってNYtimesの記事を読んで驚いた。なんとアメリカは密かにエボラ出血熱の治療薬を作成していたのだ!ZMappと呼ばれるこの薬はまだ実験段階で、使用は承認されてないそうだが、「いま使わずにいつ使うのだ?」とばかりに、感染患者に投与され、しかも効果が出ているらしい。研究者たちは「効果があるかどうか結論づけるには、まだ時期尚早」と慎重なコメントを出しているらしいが、もしかするとエボラ出血熱にかかっても、アメリカの現代医学なら、もしかしたら治療してしまうかもしれない。すごい...
(新聞には、感染者は2人とあり、2人ともZMapp投与後、症状は安定しているという。)

ただ、この薬を開発した薬品会社MappBioの従業員はわずか9人、しかもその資金のほとんどが軍からの出資だということで、アメリカ人たちはその胡散臭さに神経を尖らせている。アメリカ人だけ助かって、アフリカ人は見殺しにされるのか?といった論調も出ているようだ。オバマは「まだ承認されていない薬だから、広く適用するわけにはいかない」といっているようだ。また、実験段階にあるため、大量生産の体制ができておらず、数に限りがあると製薬会社は言い訳している。

NYtimesによれば、ZMappの生産方法は次の通り。エボラウィルス蛋白をマウスなどに注射し、これに反応して発生した抗体を回収。回収された抗体は、人間に適合するように遺伝子操作される。この遺伝子は、(植物としての)タバコの葉に埋め込まれる。こうして植物が生産する「人間向けに遺伝子操作されたネズミの抗体」が、葉の成分となって「収穫」され、薬品へと精製される。このタバコ(植物)は厳重に管理された研究室の中のみで栽培されていて、花粉や種のみならず、植物自体が外部の畑に漏れ出さないように注意深く管理されている。実は、このやり方は、以前トウモロコシなどに適用しようとしたらしいが、一般の食品用途のトウモロコシが遺伝子汚染を起こす可能性があるとされ、研究続行が棄却されていたのだ。しかし、それを軍が資金援助することで、密かに研究を続行させていたらしい。タバコという、ちょっと変わった作物に適用することで、遺伝子汚染を最小限に食い止めようとしたのかもしれない。

いずれにせよ、いままで「治療薬もワクチンも存在しない、致死率90%の、死の伝染病」と言われ、恐れられたエボラ出血熱だが、「金持ちには治療薬が用意」されてあると知って、非常に驚くと共に、いささかやり切れない気分になった。しかし、STAP細胞で「もめてる」日本の医薬界のレベルは、アメリカに比べて圧倒的に低い所で這いつくばっている感じもあり、米国の恐ろしさにおののく前に、恥ずかしさも感じた次第なり。

とはいえ、西アフリカに飛んで、エボラと闘う日本人医師もいると聞いた。彼らの勇気と高い能力に敬意を表したい!

2014年8月10日日曜日

明治時代の古地図をgoogle earthで見る

(独立行政法人)農業環境技術研究所という、農林水産省の管轄の団体が公表している地図データ(kml)。明治期の土地利用図をgoogle earthで閲覧することができる。

「自分の買ったマンションが実は昔の水田の上に立っていた!」とかいうことが起きないように、昔の様子を調べておくのは無駄ではないはず。

ちなみに、駒場周辺の地図を見てみたら次のようになった。

上が現在の詳細な地形図、下が明治中期のころの土地利用図。
赤い×や青色の印が付いている場所は、以前土壌サンプルを採取して放射能汚染を調べた地点。
この頃の駒場には「駒場農学校」というのがあった。現在の東大農学部、および東京農業大学の前身だと思う。現在、東大駒場キャンパスの東端にある(いわゆる)「一二郎池」の脇に校舎が配されていたようだ(その当時の写真はこちらで見ることができる。)一二郎池の湧水を利用した池には魚が養殖され、研究されていたらしい。この辺りは現在の「炊事門」外側で、現在は埋め立てられて住宅地(もしかしたら数理科学の敷地にかかっているかも)となっている。

現在の駒場キャンパスの中心部分がある高台の部分は、この地図が作成されたころは牧草地となっていて、その周辺には広大な農場(畑)が広がっていた。現在の銀杏並木のある真っすぐな道は、この農場を貫く直線路で、それは駒場公園にある旧前田公爵邸まで伸びていた。

現在は野球グランドやテニスコートがある、駒場キャンパスの西端の部分はなぜか一段低くなっていて、在学中にはちょっと不思議に思っていたのだが、それは、ここが明治の頃までは、小川の流れるちょっとした谷間だったからであることが古地図から判った(!)。現在の15号館と16号館の建物の接合部などに大きな亀裂が縦に入っているのは、この場所が谷を埋めた「盛り土」になっているからに違いあるまい。また、テニスコートの先の「坂下門」の横には小学校があって、その脇には今でも湧水があり、そこより流れ出る水は、かつての小川の名残りなのかもしれない。銀杏並木から前田邸に続く道は、この谷を横切って続いていた。現在は「西門」のところでちょっと折れ曲がりつつも、以前の直線道の名残りが確認できる(公園に抜ける道がある)。

この谷の出口となっている場所には井の頭線の踏切があって、その下には現在も水田がある(!)。これは駒場農学校の実験水田の名残りらしい。この水田は現在は近場の学校に通う学生やら、皇室の行事やらで使われていると、たしか駒場野公園入り口の看板に書いてあったのを昔読んだ記憶がある。

目をキャンパスの北側に向けると、山手通りに相当する場所には大きな道は明治期にはなく、「けものみち」か農家の使う小径のような小さな道しかない。そのさらに北側には、東京でも有数の高級住宅地の松濤が現在はあるが、そこは明治の頃はなんと茶畑であった!鍋島公園を囲むこの台地は、江戸時代には徳川家の屋敷があったが、そこを鍋島氏なる九州の士族が明治になって商売を企んで買い上げて茶畑とした、と渋谷区のホームページに説明があった。その茶の商品名が「松濤」だったということ(!)は、今回初めて知った(Chez Matsuoのある場所も茶畑だったのだ、きっと)。茶のよく育つような高台にあるのだから、松濤はきっと地震に強い、地盤のよい場所ではないだろうか?

2014年8月8日金曜日

缶詰の収納箱を作る

缶詰を入れる収納箱を「自作」した。箱といっても、取り出しやすく、またラベルが確認できるように、骨組みだけの簡単なもの。台風のせいで雨降りが続く中、夏休みに入ってこれが最初の「成果」なり。
自作した缶詰「収納箱」
材料費は(ネジも入れて)2000円...これに木材カット代1000円を入れると、トータルで3000円もしてしまった...原因は細い板。杉材で1820x14x14のものが600円もする。今回はとにかく「カネには糸目をつけずに」製作したので、仕上がりはよいのだが、割高になってしまった。

これからは、仕上がりの性能と値段とを天秤にかけて、コストパフォーマンスがよくなるように設計する必要があると感じた。「NASAの研究プロジェクトの計画とか、予算と成果のバランスが大事になるんだろうな」などと思った次第。

製作時間も結構ばかにならない。構想に60分、買い物に60分、そして工作に60分...なんと3時間も使ってしまった。まあ、経験値が低いので、いた仕方ないところ。

2014年8月4日月曜日

「ファインマン物理学II 光、熱、波動」

ファインマン、レイトン、サンズ著(富山小太郎著)
岩波書店(1968年)

富山先生は物理学者であり、確かに格調高い翻訳になっている。読んでいて楽しい。しかし、やはり訳がよくわからないところがあちこちに見受けられる。該当する場所を原著で読んでみると、「なーんだこういうことか!」とすっと頭に入ってくる。

例えば,「1-5 フェルマーの原理のもっと正確ないい表わし方」において、ラジオ波の波長に比べて、隙間の大きさが短いときに回折現象が生じる説明がある。この部分の翻訳を読むとなんのことなのかよくわからない。もちろん、なんとなく何を言いたいのかはわかるのだが、英文を読んだ時の明瞭さといったら、「目から鱗が落ちる」といったら語弊があるが、霧がすーっと晴れてもボンヤリ影のようにしか見えなかった古城とその庭園の花々の姿がさーっと色鮮やかにその姿を眼前に表したときの感激に似ている。

どうも意訳が多いようで、ファインマンの書いた文章の機微を重視するというよりは、物理的な内容の正確さを優先している。その結果、「ファインマンの」というよりも、「富山先生」の講義になってしまっているような感じだ。これもやはり、原著で読むべき作品だと思った次第。

「宇宙の謎:65の発見物語」

ポール・マーディン著(富永 星訳)岩波書店(2012) 4800円

原著と寸分違わぬレイアウト!写真も、ページ数も。随分苦労して翻訳したはずだ。これはすごいことだと思う。

しかし、肝心の訳の内容があまりよくない。これは「短く訳そうとしたせい」だけではないと思われる。細かい点を書くと時間がたりないので、まずはこの間違いだけ指摘しておこう。212ページにアンドロメダ銀河までの距離を「2500万光年」と訳しているが、正しくは250万光年だ。この数字は天文単位(地球と太陽の距離)に匹敵するほど重要だ。というのは、有名なシャプレーとカーティスの「島宇宙論争」で非常に重要な役割を果たしたからだ。できればなるべく早いうちに直しておくべきだろう。(ちなみに原典では正しい数字が書かれている。)

また、天文学者が訳していないので、拡張高いマーディン先生の英語の感じがうまく取り込めていない。その辺の学生が目一杯背伸びして、格好付けて、訳したような感じになっている。アカデミックに勉強したい人は、絶対に原著を手に入れるべし。

2014年8月2日土曜日

"Philosophical Magzine"は物理の専門誌

キルヒホッフの法則を述べた、キルヒホッフ自身の論文はドイツ語で書かれている。これはネットでもダウンロードできるのだが、ドイツ語が読めない人間には無用の長物である。英訳はPhilosophical Magazineにあるというのだが、この雑誌はあまり今まで見たことが無い。ネットで引くと、現在は物性と凝縮体の物理研究の論文を取り扱っているようだ。

この雑誌、かつてBoseの論文をrejectした雑誌だったことが判明。Boseのアイデアをまとめた論文は日の目を見ずに終わる所だったのだが、Bose自身がEinsteinに直訴する形をとったところ、すぐにアインシュタインはその価値を見抜いて、英語からドイツ語に翻訳してZ.Physに投稿し、即座にAcceptされたという逸話がある。これがBose-Einstein condensateの最初の論文となったわけだ。

2014年7月19日土曜日

"The Lost World" by Sir A. C. Doyle

I bought this book in a Tower Records, and placed it in my bookshelf for long, long time... and started to read since last April for no particular reason (maybe, the weather was pretty bad although I was in the mood for fossil hunting somewhere...) The book was published from Penguin books as a series of Puffin Books (the first and original publication was at 1912), which are for children.

The Lost World is the famous "world first science fiction" written by Sir Arthur Conan Doyle, the author of Sherlock Holmes. (Later, this novel inspired Michael Crichton to write a story of the same name, which is a sequel to the Jurassic Park.)

In the introduction page, there is an brief explanation of the book to young readers. There, it says that the description of Professor Challenger are quite similar to the description of Professor E. Rutherford, a 1908 nobel laureate for his investigations of atomic nuclei and radioactivity. According to the introduction, Doyle attended a lecture given by Rutherford at the University of Edinburgh!

I am reading now around the page 100, which depicts the entrance to the amazing world where the Jurassic and Cretaceous monsters are living secretly to the humans. The description of the scene is so beautiful, especially about the river water reflecting the forest green covering the world. Soon after this part, something fearful seems to be expected to happen... I am already very excited at and curious about what happens next.

The story is told by a newspaper correspondent in the form of a letter from the jungle, which was delivered occasionally by an injured member of the exploration party, or someone similar. This style reminds me of Frankenstein by Mary Shelly, which is also recognised as one of the first sci-fi.

2014年7月10日木曜日

世界が滅びるとき、消えゆく人類が残すべき最期の言葉

最近、日本中の人々が「こんなのは初めての経験だ」と口々にいう。短時間の大雨、土砂崩れ、竜巻、干ばつ、そして大雪...21世紀に入ってからの異常気象を数えたら、枚挙にいとまが無い。地球温暖化はついにPNR(Point of No Return)を越えてしまったと感じている。もう私たちはもとの世界には戻れないのだろう。

人間の世界が滅びるとき、地球上から消え行く知的生命体として、人類が残すべき最後の言葉には何を選んだらよいだろう?

「愛は世界を救う」とか「信じること」とか、そういう言葉は選ばれないだろう。なぜなら、滅び行く「負け犬」にはそれを証明することができなかったから。やはり最期になっても少しは知的生命体としての誇り(見栄、負け惜しみ?)を、次の地球の主に見せつけてやりたい、と個人的には思う。

ファインマンは「全ての物質は原子からできている」を選ぶそうだ(ファインマン物理学の力学の巻より)。なぜなら、この短い文には、無数の情報が圧縮されて詰め込まれているからだそうだ。知性あるものがこの短い文を読めば、様々なことを効率よく引き出すことができるだろう、と彼の教科書には書いてある。

苦笑いしたのは私だけだろうか?

7月に発生した台風の中では最大と言われいる「台風8号」の中心は、静岡付近までやってきたが、まだ東京には深い傷跡を残してはいない。雨も先刻は瞬間的に激しく降ったものの、今は止んで静かな夜に戻ってしまった。明け方にやってきて、南木曽のような災害をもたらすのだろうか?

2014年6月21日土曜日

霧ヶ峰のレンゲツツジ:2014

2年ぶりに霧ヶ峰のレンゲツツジを見に行った。日本に帰国した年にも訪れたが、その日と同じ日となった。レンゲツツジが一番綺麗な季節に来ることができて本当に嬉しい。車山から八島湿原にかけ、緑色を背景に、橙色の群落が広がっている様を見たのは本当に久しぶり。鹿対策が5年かけて、ようやくうまくいったことの現れなのだろう。



八島湿原に周り込んで見渡すと、レンゲツツジの群落のオレンジが丘の斜面に確認できる。森を挟んで丘の下には、昔泊まったキャンプ場も見える。もうかなり前のある真夏の早朝、朝霧の中に横たわる湿原を、色とりどりの高山植物が飾り立てる様を歩いて見て回った記憶は、ついぞ昨日のことのように鮮明なのに、廃れたキャンプ場の施設は厳しい冬に手入れもされずに曝されて、もうボロボロになっていた。日本でもっとも綺麗なところにあったと思ったこのキャンプ場は、営業不振で2007年に閉鎖になってしまった。いまだに信じられない。
八島湿原。遠景に蓼科の頂が、手前の丘にはレンゲツツジの群落が見える。
鎌が池キャンプ場に行く途中の森。

2014年6月20日金曜日

梅雨の森:小梨の開花

先週は蕾だった小梨が開花していた。満開をちょっと通り過ぎた感じ。
小梨の花(ズミが正式な名称らしい)
やっぱり白い花。赤い色はどこにも見当たらないのが不思議。川沿いには満開の木も残っていて、梅雨空の雲の下、柔らかい白色が森の緑に映った。

空気はひんやりしていて、ここにいるだけで気持ちいい。

コバイケイソウが1、2輪ほど蕾を付けていた。咲き出したら、「梅雨の森」は、「夏の高原」に姿を変えるはず。あともう少しなのだろうか、それともまだまだなのだろうか?

2014年6月6日金曜日

梅雨の森:小梨の花蕾

今年の梅雨入りは、いつもより1週間ほど早いらしい。そのうえ、「梅雨明けは遅れる模様」とも。その原因は「エルニーニョ」だそうで、気象予報士たちは口裏を合わせたかのように、あっちでもこっちでも、このことばかり話している。たまには、その「エルニーニョ」がどうして今年は発生したのか説明してもらいたいものだ。

先週、蛍を見た。稲の背丈はまだ低いので、水田の水面で蛍の光がよく反射する。その色があまりにすゞやかで、ついつい見とれてしまった。...が、LEDに換えたばかりの街灯がやたらと眩しくて、興醒この上ない。CdSだけじゃなくて、手動スイッチもつけるよう要望書でも出そうか?

梅雨の最中、高原の森へ散歩に出かけた。梅雨空のどんよりとした灰色は、落葉松のまだ柔らかい新緑をよく映す。が、ちょっと視線をそらしたとき、予想外の色が暗い緑色の背景に浮かんだ。薄い赤色の点々。よくみると、それは小梨の花の蕾だった。

ここは標高1800メートルなので、花暦からすると、今が「春」まっさかりのタイミングだ。先週などは山桜がまだ咲いていたし、スミレも山の土手に満開に咲き乱れている。小梨の花もひと月程前に麓で見た。真っ白な花が無数に咲いて、それは綺麗だった。あの真っ白な小梨の花が、その蕾は林檎の赤色のような色をしていたことは、今回初めて知った。調べてみると、開花すると、蕾の赤色は消え落ちて、花びらには白色だけが残るらしい。不思議なものだ。

小梨の花の蕾。林檎の花そっくり!ハナカイドウにもよく似ている。
また秋に来て、今度は小梨の実を観察してみたい。小さな、サクランボのような果実が無数になる様子には、なぜか心魅かれるものがある。それは、冬の訪れ直前の、最後の「色合い」だからかもしれない。

2014年5月31日土曜日

セシウム汚染の限界はどこにあるのか:甲府盆地と野辺山高原

2週間程前に、南八にある屏風山のセシウム汚染のことを書いた。八ヶ岳の南麓にも、わずかではあるが、福島原発事故に由来するセシウムの痕跡は残っていた。この放射能汚染をもたらしたプルームが甲府からきたのか、それとも信州側から来たのか目星をつけるため、今回は、野辺山のキャベツ畑土と、甲府双葉ICの林の土を採集し、ガンマ線スペクトルを測定してみた。
赤線が屏風山、青線が甲府双葉、緑が野辺山。
測定時間は全て18時間。データのガタツキを抑えるため、
該当エネルギーの前後2チャネルを使った平均値を用いた表示にしてある。
野辺山は以前より線量は測定してきたが、土壌汚染に関しては今回が初めてとなる。甲府方面に関しては線量もあまり測定していなかった。どちらも、現在の測定では、0.04-0.06 μSv/h程度と非常に低い値となっている。

しかし、上のスペクトルをみるとわかるように、甲府にしても野辺山にしても、Cs-137のピークがはっきりと検出できる。また、Cs-134のピークに関しては、E=606keVの方はBi-214の寄与と重なってしまって不明瞭だが、E=796keVのピークがなんとか見えるような気がする(屏風山と野辺山の場合は比較的はっきりしていると思う)。算出された放射能レベルは、甲府盆地で56.5 Bq/kg, 野辺山で65.3 Bq/kgと出た。(ちなみに屏風山は34.7 Bq/kg。)

つまり、野辺山高原と甲府盆地の両方に、放射性プルームは到達していたという結論だ。放射能汚染は、関東平野から甲府盆地にかけて広がっていると思われるので、中央道を上りながら測定することで、汚染レベルが上昇していることを確認する必要がある。

静岡、そして甲府のセシウム汚染が確認された以上、富士山周辺の汚染はほぼ確実となった。はたして、その汚染レベルがどのくらいなのか?おそらく50〜100 Bq/kg程度ではないかと思われるが、ホットスポットという難敵がいるので、予断は禁物である。

それにしても、原発事故から放出される揮発性の放射性物質というのは、「ほんとうに遠くの方まで拡散するんだなあ」と改めて思い知らされた。大飯原発の再稼働禁止の判決を出した裁判所も、ようやくこういう事実に気づき始めているのだと思いたい。一方で、産業界は極めて原発の危険性に対して鈍感だ。原子力規制委員会から、島崎先生を追い出そうとしているようだが、ひどい話しだ。反対するものを徹底的に省き、粛正するやり方に見える...太平洋戦争の失敗に対する反省が、今の経済界には無い。

2014年5月25日日曜日

皐月の末の山桜

皐月も終わりに近づいた。もう梅雨も間近だろう。標高1800mの蓼科高原へいったら、山桜が満開だった。ここは今ようやく春が到来したところと見える。気持ちが巻き戻されるような不思議な感覚。


2014年5月18日日曜日

ドングリのセシウム汚染:軽井沢の場合

先日、猿の親子がドングリを貪り喰っているところに出くわしたことを記事にした。あまりにも大量のドングリなどの木の実が落ちていたので、それを採取し、LB2045でガンマ線測定を行ってみた。(泥は一応軽く洗い落とし、表面の皮を剥いてから測定した。)
猿が食べていた軽井沢のドングリ
測定容器にぎっしりと詰め、18時間測定を行った。その結果を、先日の種蒔き土と比較したのが次のグラフ。

ちなみにこの場所の土壌は3000 Bq/kg(木の根元などは部分的には5000Bq/kg)程度の強い放射能汚染を被っていることが以前の測定で確定している。そのような山林で育ったドングリ(やその他の木の実)が、どの程度のセシウムを含むのかという問題は、生態系全体の放射能汚染、それから放射能物質の生態系における循環の観点から、非常に重要な問題だと思う。

今回の測定では、約70 Bq/kgという汚染があることが判明した。(土壌の汚染からのドングリへの「移行係数」を単純な比で表せば、70/3000 〜約1/40程度となった。)実はこれは政府の食品基準値に照らし合わせれば「食べてよい」汚染レベルである!つまり、猿達が日本国民だと仮定したら、このドングリを食べることはもちろん、「さるスーパー」で販売したっていいのだ。

ということは、こういう食品を10年、20年と食べ続けていったときに、どんな疾患が発生するか観察しておけば、人間の健康に何が起きるか想像がつくというものだ。つまり、猿達は新薬などの「モニター」(被験者)に相当するというわけだ。

チェルノブイリ事故の経験から、放射性セシウムは心臓疾患、白内障、膀胱癌などを起因する可能性があるといわれている。日本人にこれが適用できるかどうかはまだわからないが、その前に体の小さな軽井沢の猿達がそれを見せてくれるはずである。

生物学者たちは、きっとこの点にすでに気付いていると思う。頑張っていただきたい!学術的にみても、猿の病気の変遷、奇形の変遷をこれから50年近くに渡って記録するのは非常に重要な研究だと思う。

軽井沢の森には、他にも鹿、カモシカ、クマ、イノシシ、リス、兎などが住む。彼らの体に変な病気や奇形が起こらないことを、今は神に祈るのみである。(福島では昆虫の奇形が多数報告されているようなので、かなり不安はあるが....)

2014年5月16日金曜日

セシウム汚染の限界はどこにあるのか:八ヶ岳南麓

清里周辺の汚染調査は線量だけで済ませていた。それほどひどい汚染があるとは思わないが、ガンマ線スペクトロメータを用いた土壌測定を行い、より正確に放射能汚染の有無を確認しておく必要はある。

まずは、八ヶ岳の裾野部分にある屏風山の山頂(1649m)で採取した土壌のガンマ線スペクトルを調べてみた。場所は小淵沢(現在は北杜市というべきだろうか)、つまり山梨県にある。
屏風山は八ヶ岳の南麓に位置する。編笠山への入り口にあたる。
(国土地理院の提供する地図サービスを利用。)
標高も高いし、セシウム汚染の噂もあまり聞かないし、これは「安全地帯」の確認に終わるだけだろうと高をくくっていたら、出鼻をくじかれた。

放射能レベル自体は35 Bq/kg(18時間測定)と低かったのだが、セシウム137のピークが綺麗に浮かび上がったのだ。もちろん、汚染レベルはかなり弱いので、このピークは非常に低い微妙なものだ。(先日の鹿沼土の測定では35 Bq/kgと出たが、そのほとんどがBi-214のピークからの寄与だから、屏風山の場合の放射性セシウムの寄与は35-35、つまり、せいぜい1ベクレル程度以下であろう。)しかし、スペクトルを使って鹿沼土(汚染無しと判定)と比較すると、放射能汚染があることがはっきりと確認できる。

赤いグラフが屏風山のもの、緑のグラフがプロトリーフ社の
種蒔き土のもの。
汚染が軽微であることから、Cs-134のピークはもっと目立たない。福島原発の汚染ではなく、1960年代の核実験の名残りなのかもしれないが、Cs-134の796keVピークがあるはずの付近に、緩やかな盛り上がりがあるように見えるので、2011年の原発事故が原因である可能性が高いと思う。

どうやら放射性プルームは甲州にも到達していたようだ。果たして甲府や大月はどうなのだろうか?プルームの拡散分布は連続的になるはずだから、山梨県の汚染地図をつくれば、屏風山周辺の汚染が福島原発事故によるものなのか、それとも核実験やチェルノブイリ事故の名残りなのか、はっきりするだろう。

2014年5月15日木曜日

鹿沼土、赤玉土のセシウム汚染はあるか?:プロトリーフ社の場合

農林水産省の通達を見ると、農業/園芸用の堆肥/培養土は放射性セシウムに汚染されてもよい、というようなことが書いてある。ただし、汚染の許容限度はさすがに設定してあって、400 Bq/kgまでだそうだ。

とはいえ、ホームセンターで売られている堆肥や培養土が400Bq/kg相当の放射能をもっていると想像しただけで、農業や園芸をやる気をなくした人は相当数いるのではないだろうか。ひどい放射能汚染を免れた地域、あるいは放射能汚染がまったくなかった西日本などの人からみれば、自分の畑や花壇に400Bq/kgのセシウム肥料を撒くなんてとてもできないだろう。

私の印象では、今までに放射能汚染が報告されたのは腐葉土だったと思う(例えば沖縄の場合はここ)。たしかに、木の葉や枝を材料にするわけだから、放射能汚染された森で生産された腐葉土はセシウムをたくさん含んでしまうはずだ。

一方で、鹿沼土や赤玉土といった、軽石や火山灰を原料とする土はどうなのだろうか?汚染されたとか、されてないとかという話し自体をあまり聞かない(個人的に測定してみたというブログはあった。このブログの筆者はLB2045が算定した放射能値をそのまま判断材料にしているが、ガンマ線スペクトルがよく見えないので私としては判断付け難い)。風評被害を恐れた関連自治体が情報の封じ込めでもやっているのだろうか?鹿沼土は挿し木や種蒔きのときに、どうしても使いたい土なので、その安全性が確認されるならば、ぜひとも利用したいとずっと思って来た。そこで意を決して、LB2045を使った18時間測定にかけ、詳細なガンマ線スペクトルを出してみることにした。

今回手に入れたのは、鹿沼土と赤玉土を主原料とする「挿し芽・種蒔きの土」(プロトリーフ)。プロトリーフの直営園芸店は二子玉川の高島屋に出店しているので、利用している人は世田谷や川崎には多いことだろう。この店には、NHK教育テレビの「趣味の園芸」の講師に選ばれている人も勤めているらしく、園芸業界でも認められた立派なお店なんだろうと思う。

さて、測定結果は次のようになった。まずは放射能レベルだが、35.08 Bq/kgとかなり低い値が算出された。とはいえ、0ではない。これがセシウムによる放射能なのか、それとも天然核種による寄与なのかはスペクトルをみないと判断できない。ガンマ線スペクトルは次のようになった。
赤いグラフが35Bq/kgを示したプロトリーフ社の種蒔き土、
緑のグラフは70Bq/kg余りの値を示した八幡山(静岡市)の土壌。
参考のために、弱いセシウム汚染が確認された静岡市の八幡山のデータ(70 Bq/kg余り)と比較することにした(上図の緑線グラフ)。プロトリーフ社の種蒔き土は、赤線で描かれたスペクトルに相当する。

グラフを見ると、Cs-134の低エネルギーのピーク(606keV)に相当する付近に、はっきりしたピークはあるももの、796keVにあるべきCs-134のピークは見られない。つまり、このピークはBi-214のピーク(609keV)と解釈すべきだろう。福島原発の影響を被っていないと結論した名古屋城のデータをみても、Bi-214の寄与はだいたい60 Bq/kg程度はある。なによりも明らかなのは、Cs-137の660keVのピークが見られない点だ。以上の考察より、算出された「35Bq/kg」という値は、セシウム汚染によるものではなく、天然核種の寄与だと思われる(上で紹介したブログの結果も、おそらくBi-214によるものであろう)。

ということで、プロトリーフのこの土は、安心して園芸に利用してよいことがわかった!これは朗報だ。また一般に鹿沼土や赤玉土は汚染されてない可能性が高いこともわかった。火山灰や軽石にはセシウムは沈着しにくいという仮説を立てることにし、これから少しずつ検証してくこととする。

そういえば、友人が昨年浅間山に登山したとき、群馬側の山頂付近で土壌を採取したといっていた。高峰の汚染調査から、群馬側の汚染は結構強いのではないかと疑っているが、浅間の土は火山灰が主成分だろうから汚染が弱くなっている可能性がある。ぜひとも確認したいものだ。

[追記]2015年のプロトリーフ「バラの土」の測定結果はこちら。
[追記2]2016年のプロトリーフ「クリスマスローズの土」の測定結果はこちら。

2014年5月7日水曜日

Mac OS X Mavericks でCanon CP510をつかう:Gutenprintありがとう

Mavericksになって色々と不満がある。今回はキャノンのCP510というフォトプリンタが使えなくなったこと。

キャノンは以前からMac OS Xへの踏み込みが悪く、レーザープリンタのドライバがないとか、いろいろ苦しめられて来た。最近は、OS XやLinuxに積極的に参加しているエプソンのプリンタばかりを購入しているが、最後に残ったのが、むかーしむかしに購入したSelphy CP510。久しぶりに写真でも印刷しようと思い、先日の御岳の風景をiPhotoから印刷しようと試みた。「ドライバがありません」...と言われてしまう。

キャノンのホームページを見ると、どうもCP510のドライバどころか、結構最近の機種でもMavericksへの対応をあきらめてしまっているようだ。がっくり。ネットのdiscussionを見ると、アメリカのユーザーを中心に盛んに議論がされていて、キャノンの対応の悪さに文句もたくさん書かれていた。キャノンの悪い評判は世界中のマックユーザーに広まっていると感じた。

そんな中、Gutenprintという単語が目についた。調べてみると、Gimp printから派生した自作プリンタドライバらしい。対応プリンタのリストを見ると、なんとCP510にも対応している!さっそくインストールして、ドライバの設定をし、印刷をしてみると...うまくできた!
Danke schoen, Gutenprint!

2014年5月5日月曜日

連休の霧ヶ峰

富士見台に車を止めて周りを見渡した。八ヶ岳、南北そして中央アルプスが一望できた。白富士も雲の上に見えた。御岳が特に綺麗だった。その後、車山肩から車山に登山した。今度は浅間連山が見えた!
霧ヶ峰は山焼きの直後で、ガボッチョや池の平の方面にいくと、草原は一面真っ黒だった。昨年は茅野市長が点火して大火事になっただけに、今年は相当ためらいがあったようだが、結局は伝統を重視して実行したようだ。無事で何より。

2014年5月4日日曜日

連休の野鳥観察:(5)コムクドリ

今度はコムクドリの雄と雌がつがいでやってきた。雌は初めて見たので、最初は2種の違う鳥かと思った。嘴が黒いこと、目が丸いこと、同じように葉に着いた虫をついばんでいたことなどから、よく調べてみたら雌雄の違いであることに気付いた。仲が良い鳥で、始終一緒に行動していた。飛び去るときも一緒だった。




2014年5月2日金曜日

中部横断道自動車道の亀裂の原因(2)

前の記事からの続き:


実はこの強引さは、すでに開通している区間でも見え隠れしている。例えば、佐久北IC周辺の区間は最終処分場(旧第二御影最終処分場)の上に立っているのだが、本来、最終処分場の廃止は『処分場の閉鎖から数年間(たぶん2年以上)、地下水などを通じた汚染物質漏れがないことが確認できて初めて可能』となることが法律で決まっている。ところが、政府は、この処分場の稼働中にゴミごと土地を買収し、処分場の廃止をせぬまま間髪入れずにその上に高速道路を建設してしまったのだ(これは「極めて異例」と報道された)。
「最終処分場」の状態のまま、高速道路が建設された地点。
佐久北IC出口の看板が見える。
この最終処分場にはありとあらゆる産業廃棄物が埋め立てられていて、その汚染たるや目も当てられないレベルだ。そのうえ、どうやら汚染物質が地下水に溶け込んで周辺の河川に流れ込んでいるらしいのだ。この状態が続く限り、高速が建っているこの場所は、法律に基づけばまだ「処分場」のままなのだ(高速道路の構造物は廃棄物扱い?)。

さらに恐ろしい事態になっていることが、現地にいくと確認できる。廃棄物が埋めてあるだけの土地に、重たい高速道路を建設したため、地盤沈下が起きているのだ。そのため、高速道路の構造物は歪んでしまい、あちこちに亀裂が入っている。ひどいところは、コンクリート壁がはげ落ちそうになっているのを、薄い鉄板で継ぎ合わせるように応急処置がしてある。(あたかもバンドエイドで、ずれ落ちそうなカツラを止めてあるような、そんな感じだ。)

高速道路の基礎の部分。
亀裂が縦に入り、バンドエイドのような鉄板で補強しようしてしている。
重り(白い丸いもの)がつり下げてあって、壁の傾き程度を定期的に測定しているらしい。
測定なぞしなくても、写真の右方向に、かなり傾いているのがわかる。

上の写真の拡大:高速を管轄する国土交通省の命令なのか、
コンクリの傾きを測定するための重り(右下の白いもの)が吊り下げてある。
コンクリートにはひび割れが確認できる。
写真に撮った構造物部分は、てっきり高速道路として作られたものかと思っていたが、実は最終処分場の囲いに過ぎないらしい。つまり作ったのは国や高速道路会社でなく、地元の廃棄物処理業者(民間業者)で、その上に道路が置かれているだけの構造のようだ。高速道路の基礎という、構造上非常に大切な部分にもかかわらず、国やNexcoがこんな木に竹を継いだような幼稚な補修をしているのはおかしい、と思ったのだが、建設技術に疎い、一民間廃棄物処理業者が補修を担当していると知れば、合点が行く。

別の場所で見つけたコンクリート壁面のひび割れ。
どうやら高速を管理する人たちは、ここに割れ目が
あってだんだん広がって来ていることを知っているようだ。
No.3とあるので、これ以外にもひび割れ箇所はあるということだろう。
この処分場の亀裂が意味するのは2つ。(1)高速道路が壊れかけている(2)処分場から毒物/廃棄物が漏れ出している。どちらも非常に深刻な事態だ。

さらに驚いたのは、この廃棄物処理業者とはイーステージ、つまり現在のフジ・コーポレーションだったことだ。以前の記事で書いたが、フジ・コーポレーションとは、福島原発の事故により放射性セシウムなどで強く汚染された関東地方から、8000Bq/kgまでの放射能汚染された焼却灰を、大量に佐久平にもってきて埋めた会社だ。

アミガサタケ

八ヶ岳にこれと同じ名前の山があるが...

春を代表するキノコ。毎年、松の木の下に居たのだが、今年から欅の木の下に移って来た。よくみたら2つもあった。

桜や林檎ではなく、これをみて春を感じる人がいたら、相当な玄人かも。


ちなみにフランスでは高級食材。ヨーロッパと日本だけに分布。東京でも、公園なんかでよく見かける。

上の状態から2日後。水をかけて萎びないようにしたら、茎が見えて来た。

2014年5月1日木曜日

信州は林檎の花の季節

梅、桜と来て、信州ではいま桃と林檎の花が満開になっている(軽井沢はワンテンポ遅れているけれど)。長年鉢植えにしてある小林檎の花が咲いた。

地方ニュースで林檎の花摘みの様子が報道されていて、子供達が真ん中の花だけ残して、まわりの林檎の花を全て摘み取る様子がテレビに映った。農家の人は、「こうしないと大きな林檎が収穫できないんですよ」と教えていた。

とてもじゃないけど、こんな綺麗な花を摘み取るなんてできない、と思った。

真ん中だけ残して、周りは摘み取るのだという... 無理!

連休の野鳥観測:(4)モズ

モズもたくさん見かける。が、今日のは餌を食べているところだった。春先になって昆虫がたくさん出て来たからだろうか?たくさん食べてもらいたい。ヨーロッパには、この鳥は住んでいないらしい。東アジアとシベリアだけに住む。

連休の野鳥観測:(3)シジュウカラ

シジュウカラ(tit)は、それほど珍しい鳥ではないけれど、撮影するのが難しい。動きを停めてくれないので、ピントが合わせられないのだ。今回も頑張ってみたが、ぶれていたり、ピントが甘かったり...惨敗なり。

「ちょこちょこ動きやがって!ちったー落ち着いたらどうだ!」
などという雷親父の喝が必要かも。

連休の野鳥観測(2):エナガ

白黒模様が、どこぞのイヌにそっくり。尾が長いけれど、オナガよりはかなり小振り。背中には明るい茶色が入っていて、でも雀とは全然ちがう感じ。初めて見た!

エナガ(正面)

エナガ(横)


連休の野鳥観測:(1)カワラヒワ

今年の連休の初めは雨降りから始まった。窓からのぞいていると野鳥が次から次へとやってきて、楽しませてくれた。最初は3羽でやってきたカワラヒワ。拡大したので一羽しか写っていないののが残念。でもピントもまあまああっていて、よく撮れたと思う。


2014年4月30日水曜日

雨の軽井沢

軽井沢は桜がいま満開。ロータリーの辺り(川上庵の前)にある大木2本は特に見事。

でもここの本番はヤマツツジであり、レンゲツツジであり、サクラソウ。山に入ると、ダンコウバイは終わりとなって、スミレが咲いたところ。「春」まではまだ時間がある。

山に住む動物たちは、しかし、春を感じて動き始めたよう。猿の親子がやってきて、ドングリを食べていた。雨の軽井沢は、しかし、概して静かである。
まずは小猿現る。

三人家族であった。このあと、兄弟喧嘩が始まる。
後ろの兄猿が、母親に追われて逃げていった。


gnuplot: データ値をN倍してプロットする方法

...は、こちらにて


N=10.0
plot "input.dat"  using   1:($2*N)

2014年4月29日火曜日

アメリカ大統領が銀座の寿司を半分食べ残した件

オバマが阿部総理と一緒に行った銀座の寿司屋で「コースの半分程しか食べず、途中で箸を置いた」という報道を遅まきながら見かけた。真剣な交渉をしたかったとか、いろいろな説明がされているようだが、日本の後に訪れた韓国での夕食会では全ての韓国料理を平らげたとの報道を聞けば、これはもう思いつくことは一つ。太平洋や東京湾で獲れる魚の放射能汚染だ(太平洋のマグロの汚染は世界的にも知られている)。

福島第一原発からいまだに大量の汚染水が海へ流れ込んでいる以上、日本近海の魚にはストロンチウム90が生物濃縮している可能性は否定できない。また、東京などの都市部に降った大量の放射能物質はコンクリートの上を流れて東京湾に流れ込んでいるのは確かだ(京都大学のシミュレーションでは汚染が最悪となるのはこの春からだ!)。

こちらの方も、オバマは日本の海鮮食材の放射能汚染を気にしたのではないか?と想像しているようだが、これはある程度あたっているんじゃないかと私も思う。

おそらく、大統領は寿司が好きなのは確かなんだろう。汚染は気になるが銀座の寿司は楽しみたい。そこで、アメリカの科学者たちのアドバイスを集めて、だいたいこのくらいなら問題無いという線を教えてもらったのではないか?また、家族を日本につれて来なかったのは、科学者たちから成長期の子供ほど放射能の影響が大きいと言われていたからかもしれない。もちろん、家族は韓国にも行かないことになるので、そこは学校があるとか別の理由も用意しないといけないが。

気になるのは、銀座の寿司屋で出された江戸前の穴子を食べたかどうか?東京湾の魚の放射能汚染を気にするなら、オバマは江戸前の穴子やウナギは絶対に口にしていないだろう。南太平洋やインド洋のマグロなら2個くらいは食べたかもしれない。残りはカッパ巻きとタマゴ巻、そしてカリフォルニアロールだったのかも。

私も私の周りの物理学者の多くも、原発事故が起きてまず避けたのが太平洋沿岸(千葉、茨城、東京、福島、宮城、岩手など)のネタを使った寿司。汚染水問題が発生してしまった以上、もう死ぬまでこの海域の魚を食べることはないだろう。非常に残念だ。

2014年4月26日土曜日

中部横断自動車道の亀裂の原因(1)

中部横断道(長野県、山梨県、そして静岡県を結ぶ高速道路)の建設計画が発表された。

現在のところ、長野県側では佐久小諸JCTから佐久南ICまで、山梨県側では南アルプス市から甲府市にかけての区間が開通している。静岡県にはまだ到達していない。身延から静岡の太平洋にかけての急峻な山間地と、野辺山から清里にかけての八ヶ岳東斜面の高原地帯では、いままでまだ開通のメドはたっていなかったのだが、数日前の報道で、2017年までに佐久側の(八千穂まで)開通区間を延ばす計画が発表されたのを知った。

おかしいなと思ったのは、この数日前の報道では、佐久南ICよりも南の区間では高速予定地の地権者との交渉がうまく進んでおらず、強制収用を検討しているとの報道が流れていたことだ。道路建設に関して、なにか「焦り」のようなものを感じる。

また、もともと清里の区間では、八ヶ岳の高原風景が破壊されることを恐れた住民が、高速道路建設に強く反対していることも知られている。南北両側から清里を挟み込むように工事を進めることで、反対住民に圧力を掛けようとしているのも地元では有名な話しだ(そもそも、この挟み込みの方法は国土交通省の「得意技」だ、と池上彰がどこかで解説したのを記憶している。「もうここまで作ってしまったら、真ん中だけポッカリ開けとく訳にはいきませんよね」という具合に)。

極めつけは、この路線は赤字路線になること(実は既になっている)が判明していて、経済的にもこの高速道路を建設するのは割に合わないと(「専門家」に)指摘されている。とにかく、中部自動車道の建設に関して、開発の進め方がかくも強引、政府はなりふり構わずやっているように見える。(つづく

2014年4月25日金曜日

信濃の桜

信濃にも桜の春が来たる。梅と桜が共に咲くなり。

大部散りつつあるも、本日も綺麗に桜は咲いている。
軽井沢の山桜(天然)を庭に植え替えたもの。4/17撮影

佐久平のとある村にて。4/19撮影

2014年4月22日火曜日

CSS文法メモ

ブログ風「日々の記録」システムが一応完成した。見栄えはこんな感じ。
個人用なので、当面はローカルな環境で使うだけにしておくつもり。cgiには、巷で流行の言語は使わず、bash(メインの部分)とC++(日本語処理部分)を利用...bashは奥が深いと思う。まだまだ使いこなせてない感あり。sedとawkにも世話になった。sedの置換定義ファイルは昔作ったものを再利用。プログラミングの鉄則「持てる資産は再利用する」を実感する。やはり色々な経験/知識は大事。どこで役立つか判らない。

CSSの設定でも、色々戸惑ったのでメモっておく。
  • 画面上でも印刷でも同じような体裁にしたいとき:
<link media="all" type="text/css">
とする(head内で)。画面だけにCSSを適用したい時はmedia="screen"、一方印刷だけに適用したいときはmedia="print"とする。
  • 画面の区切りが、A4印刷に合うようにするには、height=1162pxに設定したBoxで文章を囲む。
  • ページの強制移動:<meta http-equiv="refresh" content='1;URL=http://www.xxx.yy/index.html'>

2014年4月18日金曜日

utf-8の漢字表現は3バイト

むかーし書いた日本語を扱うcgiプログラムを再利用して、ブログに似たシステムを構築しようと思いたった。5年程前には完璧に動いていたのに、なぜか文字化けしてしまって修復できない。おかしい、おかしい、と一日潰してしまいそうになった。

そこで、プログラムを新たに書いて、漢字の取り扱いの分析を始めたら、すぐに原因がわかった:UTF-8では日本語は3バイトで表現するようになっていたのだ....

物理法則は一度マスターしたら永久に使えるが、プログラムの決まりはせいぜい5年ぐらいしか寿命がないのか...と恐れ入った次第。

とにかくhtmlのformからcgiで受け取った日本語文字列がちゃんと変換できるようになったのでほっと一息。

2014年4月17日木曜日

セシウム汚染の限界はどこにあるのか:静岡市の詳細な土壌測定

1年ちょっと前に「静岡市のセシウム汚染」というタイトルでブログ記事を書いた。(千葉県柏市の民間測定所のベクミルにて)駿府城の土壌を測定した結果、ガンマ線スペクトルには放射性セシウムのピークがクッキリと浮かび上がり、放射能レベルは93 Bq/kg程度という結果が出た。

また、箱根がセシウムで放射能汚染されていることも書いた。つまり、セシウム汚染の限界は、箱根を越えて静岡にまで及んでいるということがはっきりしたといえる。(これは富士山とその周辺が放射能で汚染されている可能性を示唆する。)

静岡放射能汚染測定室の発行する最新号の会報でも発表されているように、静岡市はその全域で放射性セシウムによって薄く汚染されており、雨風によって拡散している場所がある反面、逆に集積してしまっている場所もあるという。特に山間地ではお茶の栽培が盛んだろうから、セシウムを取り込みやすい茶の汚染は、場所によっては無視できない程度はあるかもしれない(実際、理研/東工大の牧野さんはTC300でも検知できたようだ)。

以前の私の記事では、静岡市で測定した他のポイントについては触れなかったが、実は静岡市南東部にある八幡山頂上付近、および登呂遺跡付近でも土壌を採取、保存していた。それをBelthold社のLB2045ガンマ線スペクトロメータで長時間測定するべく、倉庫から取り出して検出器にかけた。また、駿府城の土も長時間測定にかけて再度測定してみた。

採取地点と結果をまとめた地図は次の通り。

測定時間は、駿府城は結果がすでにわかっているので60分に抑え、一方で登呂遺跡は120分、八幡山は18時間の精密測定を行った。また、DoseRAE2による線量測定は、登呂遺跡、八幡山ともに0.05μSv/h程度と低い値だった。

放射能レベルはだいたいどこも100 Bq/kg以下程度なので、60分も測定すれば、放射能レベルの値自体はだいたい収束することは、今までの経験から判っている。ただ、綺麗なスペクトルをとるには18時間測定が必要となる(今週は忙しかったし....)。

ガンマ線スペクトルを見ると、すべての地点でセシウムのピーク構造が確認できた。(登呂遺跡のデータは30 Bq/kg以下だったので、120分測定だとかなり「心の目」でみる必要はあるが....)八幡山と駿府城のデータを重ねてみると次の図のようになる。

駿府城のスペクトルは、八幡山のデータに比べ、データにばらつき(ギザギザ)が目立つ。これは前者は60分の測定なのに対し、後者は18時間もかけているからで、統計誤差に違いがあるからだ。当然八幡山の方が綺麗なスペクトルデータとなっている。しかし、このデータから放射能レベルを算出する際はスペクトルの平滑化をやっているはずなので、測定時間がある程度あれば(この程度の放射能レベルであれば60分程度以上)、値は収束しているので、時間をかけてもあまり違わなくなる。

どちらのスペクトルにもCs-137の660keVピークがはっきりと確認できる。また、796keVにあるCs−134ピークも確認できる(とりわけ駿府城の方は)。一方、606keVにあるはずのCs-134のピークは604keVにでる天然核種であるBi-214と混ざってしまっているはずなので、その解釈には注意が必要。とはいえ、796keVのCs-134ピークが見えていることから、静岡市の広い範囲が、福島原発事故によって放射能汚染されていることは事実だ(かなり弱いけれど)。

八幡山。住宅街に突如現れる小高い丘。
一つ忘れてはならないのは、Cs-137のピークの高さだが、もしかすると太平洋におけるかつての核実験の名残りや、チェルノブイリ原発の事故の残りも寄与している可能性があることだ。

もう一つ注意すべきは、登呂遺跡のデータだが、ここは遺跡公園になっており、その周辺は弥生時代の水田が再現されている。もしかすると、工事が入って土壌がかき混ぜられている可能性もある。他の2つの地点に比べて低い値が出ているが、そのまま受け入れてよいかどうかは注意が必要だと思う。実はこれは駿府城の方にも適用できることだが、なるべく影響の少なそうな場所を選んで採取したので、オリジナルの汚染をかなりの程度で再現していると(私個人は)考えている。
登呂遺跡。稲作の痕跡が日本で初めて発見された
弥生時代の集落跡。写真左側に水田が再現されている。

八幡山の方は森の土を採取したので、かなりの確度でオリジナルの汚染度合いをよく表していると思う。

八幡山の風景は南と北で随分異なる。
左は南側斜面。よく整備されていて登りやすい。
右は北側斜面。道はあるがかなりの急斜面。
まだ測定地点が少ないため、静岡の汚染分布がどのようになっているかは結論が出せない。今のところ、手持ちのデータから推測すると山際の方をプルームが流れていったようにみえる。上の地図中のA,B,C,Dとラベルした場所を調査して、もう少し詳細に分析してみたい。Aは標高差で汚染がどのように異なるかを知るためのよい調査場所となるだろうし、Dは久能山/日本平の方角なので、石垣イチゴへの影響を考える上で重要な地点となるだろう。
八幡山からの遠景。(左)日本平方面、地図上のD地点に対応。
(右)地図上のB地点に対応する北側の眺め。

2014年4月12日土曜日

春の訪れ:梅

春の訪れが信州にもやってきた。長野市や松本ではすでに桜が開花したと1、2日前に報道があった。上田も咲いたようだ。軽井沢や佐久地方ではまだまだ氷点下の朝が続いているが、梅がようやく満開となった。


梅の花びらの数は5枚、つまり正五角形の形をしている。中学生(もしかしたら高校も?)の数学の試験問題で使えそうなネタがありそう。その他に、有名なのは広中平祐の「フィボナッチ数仮説」ではないだろうか?花びらの枚数は何故か、フィボナッチ数になっているという仮説だ。つまり1,2,3,5,8...のどれかというわけだ。花びらが6枚や4枚の花があったら是非、広中教授に連絡したいと思う。生物学ではこの仮説を説明できるのだろうか?

2014年4月11日金曜日

車山に登る

随分暖かくなったので、車山に登ってみた。とはいっても、いつもと違うコース、しかもこの時期しか通れないルートで。この辺りのスキー場は3月31日で営業を終える。スキー客のいなくなったスキー場にはまだまだ雪がたくさん残っている。もちろん新雪ではないから、足がずぼっと埋まることはない。誰もいない広々とした白いゲレンデを快適に散歩することができるのだ。そして、登山道から見るいつもの景色とは違う景色を味わうことができるのも特典だ。

その上、今日は月が蓼科から昇って来たばかりのところに出くわすことができた。

蓼科と月
加えて、八ヶ岳も、南アルプスも、そして富士山も拝むことができた!
富士が編笠岳の裾野から顔をのぞかせた。

2014年4月10日木曜日

長野/群馬の県境の汚染:高峰高原の場合

高峰高原のセシウム汚染についての簡単な報告は以前に書いた。

実は今までに4地点ほどで土壌採取を行い、放射能測定を実施した。その結果を地図にまとめたので、ここにメモっておこう。

詳細は後日とするが、群馬側の方が汚染が高いような感じがする。以前の分析では、高峰(小諸)と善光寺(長野市)の汚染レベルが似ていることから、菅平、松代とプルームが流れたのではと予想したが、それを裏付ける結果となっている(少なくとも今の所は)。群馬側の調査地点をもっと増やして、この予想が正しいかどうか確認したいと思う。



2014年4月5日土曜日

春の里山:ダンコウバイと浅間山

春になった。
里山に登ってみた。

ダンコウバイが後少しで咲くところ。今年は大雪のせいで、すこし遅れている感じ(そうでもなかったかも)。
蓼科や軽井沢でも、ようやく茶色の山に黄色のスポットが目立ち始めてきた。


里山に登り切ると、浅間連峰の景色が広がっていた。北アルプスの山並み、荒船なんかもみえた。

春風や
雲影駆ける
佐玖平