2012年11月29日木曜日

「紅白歌合戦」

先日、NHKが紅白歌合戦の出場者のリストを発表していたが、あまり興味もないし、特に注目してなかった。それを英国の主要紙「The Guardian」が取り上げていたので、驚いた。総理大臣が辞任しても、日本の衆院が解散したって、Guardianではまったく記事にならなかったのにだ。(日本に関することがニュースになったのは、原発事故や大震災のものばかりだった。)

今回の記事の趣旨は、韓国のポップグループが日本で大ヒットしているにもかかわらず、紅白に誰も招待されなかった理由は何か?というものだ。紅白のニュースに対し、こういう切り方/見方をするというのは驚いた。やはり日本の中に閉じこもると、こういう感覚はなくなる。「(その年のヒット曲を集めたコンテストのはずなのに)出場者はすべて日本人ばかり」と書かれてしまった。NHKは「政治的な横やりが入った訳ではない」と釈明したようだが、Guardianの記者は信用してないようだ。NHKの「多くの人々の意見をまとめ、かつ今年の活躍を総合的に判断して決めた」という説明を「よくわからない(ambiguous)」と一蹴している。「ここ数年、外国からの招待者を招いていたのに、今年だけ急になくなるのはおかしい。やはり中国、韓国との領土問題が影響しているのでは?」と意見を述べている。

世界は日本、中国、韓国の争いに興味をもっていることを、この記事で初めて知った。

2012年11月24日土曜日

lynxをMac OS Xにインストール

大学のシステムが、Linuxからお古のMac OS X(ppc)に変わってしまった。このせいで、今まで使っていたlynxが使えなくなってしまったので、ローカルインストールしてみることにした。参考にしたのはここ

まず、lynxのホームページはhttp://lynx.isc.org/で、ここからソースファイルをダウンロードする。ファイルを展開してから、configureを走らせる。ローカルな環境にインストールするときは、./configure --prefix=$HOMEなどとしてmakefileを作成する。続いて、make && make installを行う。これでlynxのコマンドが自分のディレクトリにインストールされ、使用できるようになる(pathの設定には注意要だが)。

しかし、このままでは、閲覧はできるが、ファイルの保存ができない。立ち上げてから"O"を押して、.lynxrcの設定する。変更を保存して、全て完了!

再び、lynxが戻って来てくれた。嬉しい限り。
lynxのオープニング画面
ちなみに、w3mもインストールしてみたが、ファイルのダウンロードがうまくいかなかったので消した。

2012年11月18日日曜日

冠雪した八ヶ岳の夕映

このあいだ来たときは、紅葉こそ垣間見えたものの、その上には夏雲がかかっていて、まだ暑くすら感じられた。それがいきなり冠雪したのだから、「あっ!」ってなもんである。

その上、夕映えがかかれば、晩秋の趣この上無し、といったところ。ふと、アルプスの少女ハイジのあるシーンを思い出した。たしか、夕焼けの色がどんどん移ろいでいくのを不思議がった、という記憶がある。たしかに、朱色から紫色へとみるみる色が変わっていった。

とにかく、冬はもうすぐそこまで来てる。
阿弥陀岳周辺の八ヶ岳山麓


2012年11月10日土曜日

茨城のセシウム汚染:鹿嶋はホットスポットか?

鹿島神宮から3キロも東に行けば、もう太平洋に出てしまう。逆に西へ同じだけ行けば、北浦だ(さらに5キロも西進すれば霞ヶ浦)。鹿嶋は水に囲まれた砂州状の地理を持っている。

鹿嶋の海岸には先の大震災では津波が押し寄せ、海岸から1、2キロの場所は波にのまれてしまった。ただし、そのわずか先は高台になっていて、あやうく難を避けたという。幸運にもギリギリのところで津波を免れた民家から、庭の土をもらう事ができたので、ベクミルで測定してみた。

鹿嶋の沿岸部は津波の被害にあっているので、一面、砂質の土壌に現在は覆われている。もちろん、原発事故が起きたのは津波の襲来後だから、鹿嶋にやってきたセシウムのうち、津波を被った場所では砂に「死の灰」は降り掛かったと思われる。セシウムは砂には沈着しにくいので、雨水などによって現在は海の方へ洗い流されてしまった可能性がある。

一方、津波の被害を免れた場所には粘土質の土が残っている可能性がある。そこにはセシウムが現在でも沈着しているだろう。とはいえ、もともとが砂州であった鹿嶋の地は、土壌の母体が砂だろうから、それほどセシウムは沈着していないと高をくくっていた。実際、秋田の海岸や、神奈川の海岸など砂浜で測った今までのデータには、セシウム汚染の痕跡は見られなかった。とはいえ、神奈川も秋田ももともと汚染の少ない場所だった。砂質だからといって、福島に圧倒的に近い茨城の海岸の放射能汚染が低いとはいいきれないともちょっとは思った。とはいえ、その思いは「ほんのちょっとだけ」だった。

だから、ベクミルで鹿嶋の土のスペクトルを見た時、驚いてしまった。セシウム134, 137のピークが屹立し、その値は5000 Bq/kgを越えていた。これは、福島の周辺地域、あるいは柏、松戸、そして軽井沢といった「ホットスポット」級の高い汚染だ。
鹿嶋の土壌のγ線スペクトル
鹿嶋がホットスポットではないか?という噂や議論はあまり聞いた事がない。そこで、ネットサーチをかけてみたら、一件ヒットした。このページではガイガーカウンタによる線量測定だが、鹿嶋は全体的に0.2μSv/h前後の高い線量レベルにあり、その中に1カ所0.5μSv/hという非常に線量の高い場所があることが報告されている。またお隣の潮来で3.6μSv/hという超高線量を叩き出した場所があることもわかった。

つぎに、文科省の汚染地図を確認してみた。すると鹿嶋にはセシウムが結構降っていることが記録されていた!
文科省の航空機による放射線測定地図
鹿島灘に沿って汚染の濃い地帯が伸びている。そして鹿嶋は点状に濃く汚染された地域、つまり文字通りのホットスポットとして表されているのがわかる。しかし鹿嶋に留まらず、汚染は霞ヶ浦の周辺へと広範囲に渡っていて、牛久の東側に殊更汚染のひどい場所(これが真のホットスポットかも)がある。千葉の印西市から、茨城の稲敷まで高いセシウム汚染地帯があるのもわかる。成田の汚染もひどそうだが、汚染レベルは一つ下らしい。つくば市も成田と同じレベルにあるという。

群馬大学の早川さんのいわゆる「早川マップ」では、関東のホットスポットをつくった放射能プルームの、太平洋側からの侵入口として鹿嶋を捉えているように見える。

稲敷の土も採集できたので、ベクミルで測定してみた。結果は1250 Bq/kgと鹿嶋よりは汚染レベルは一つ下ではあるが、やはり高い汚染水準だった。

また筑波大学、水戸市などの土壌についても測定してみると、それぞれ625 Bq/kg,および665 Bq/kgとなって、稲敷に比べると汚染レベルはさらに一つ下のレベルであることがわかった(神奈川などと比べれば圧倒的に高い汚染ではあるが)。

土壌の放射能地図
全ては、文科省の汚染地図と首尾一貫した結果といえる。

鹿嶋はホットスポットなのか、それともホットスポット周辺の高汚染地帯なのか?これを判断するには、牛久の東に行って土壌サンプルを取り、ベクミルで確認する必要がある。また、印西市などでもサンプル採取して、鹿嶋と同レベルかどうか確認することも大切だろう。予想するに、この辺りのセシウム汚染は、文科省の地図がかなり正確に記述していると思う。が、結論は確認作業が終わってからにしよう。

最後に、ひとつ面白いことがあるので、メモっておこう。
鹿嶋市のホームページでは、市内の小学校の校庭の線量を毎月公表している。最新のものでもよいのだが、分かり易いように、例えば昨年の12月の報告を見てみる。どの小学校も概ね「低い」値なのだが、なぜか「大同東小学校」だけがずば抜けて高い値を示している。実は大同小学校は鹿嶋の北にあり、その位置は高台の森の中だという。google mapで見てみると、海には近いが確かに少し高台になった森の裏手に位置しているように見える。一方、線量の低い、たとえば「平井小学校」は海岸脇にあって、ここは津波に襲われたという。(現在も砂とがれきに覆われているとか。)google mapで確認すると納得である。

鹿嶋市役所が、律儀に線量を毎月測定し公開してくれているのは、ありがたい。しかし、その解釈は載ってないので、住民はこの結果を見てもピンと来てないのではないだろうか?もちろん、これから書くのは一つの説に過ぎないが、それほど外れてはいないだろう:

鹿嶋市が「ホットスポット」かどうか上で議論したわけだが、それとは逆に、鹿嶋市役所の測定では、域内の小学校の校庭の線量はそれほど高くはないようだ。一見矛盾しているように見えるが、これは津波と関係している可能性がある。つまり、線量の低く出た小学校の中には、津波に襲われて砂を被った校庭となっている可能性があり、とすると、セシウムはあまり沈着しないため雨水などで洗い流されて線量が落ちてしまう。一方、津波に襲われず、高台などにあって山土を多く含んだ土壌の校庭には、原発事故直後に降り注いだセシウムなどの死の灰が汚染当初の状況をよく保存したまま残っていて、その結果、線量が高くなっている、というものだ。大同東小学校のグループ(津波被害無し)、平井小学校のグループ(津波被害有り)の2つに分けて、線量がどうなっているか調べた上で、校庭の土質、そして土壌のγスペクトルなどを丁寧に調べることで、情報の意味も変わってくることだろう。鹿島市役所は、ぜひとも丁寧な(科学的な)調査をやるべきだと思う。


2012年11月8日木曜日

紅葉の軽井沢

先週の軽井沢は紅葉の盛りだった。放射能汚染とか関係なく、とにかくきれい。この美しい場所を汚した東電(およびそれを管理できなかった日本政府)を恨む。
軽井沢の紅葉
雲場池の脇を抜けようとして渋滞にはまった。なにも雲場池だけが紅葉がきれいというわけでもあるまいに、なぜかたくさんの人が集まってくる。軽井沢は一面秋色に包まれているのだから、もっとあちこちで紅葉を楽しんだっていいのに。渋滞すると気分が滅入る。

幻想の世界から現実へと一気に引きずり落とされるのは、線量計を見たときもだ。旧軽井沢宿のある中山道沿いには現在も店がたくさんある。そのうちのひとつのイタリアンレストランで、屋内のテーブルにおいたDoseRAE2は0.18μSv/hを示していた。(車で30−40分ほど国道18号を下った佐久平まで行けば、屋内で0.04〜0.06μSv/hのレベルにまで落ちる!)

このレストランでは、ベネチア近くで作られたという今年の「新酒」を飲みつつ、アンチョビーと黒オリーブのパスタを食べた。美味しかった。ただ、ピザを頼むはやめておいた。というのは、薪は群馬のものを使っていると店の人が答えたから。きっと、碓氷峠から横川にかけて、あるいは北軽井沢でとれた薪だろう。セシウムを被った木を燃やして灰にすると、濃縮されて放射能は高くなるはずだ。そんな灰がひらひらと釜の中で俟ってピザについてしまったと想像しただけで、もう食べる気は失せた。薪はせめて伊那とか木曽のものを使ってもらいたい。

いやな感じの韓国の原発:小さな事故が多発している...

韓国の原発...小さな事故が連発して発生している。一番最近のものは、10月29日に発生したタービン関連の故障。この原発は今月11月に寿命を迎えるとされているが、運転年数を延期したいと当局は考えているようで、まずい感じ。

また、ついこの間(11月5日)には、韓国原発で使用されている、ある部品の安全性証明書が偽造されていたものだったことが判明して、関連する原子炉が緊急停止された。

嘘と技術不足...にも関わらず、強引な運用計画。どこかの国とまったく同じで、いやな感じがしてならない。韓国で破裂すると、日本海がやられてしまう...つまり、魚が食べられなくなってしまう。

2012年11月5日月曜日

栃木県のセシウム汚染:日光と那須高原

東日本の主要な別荘地のうち、軽井沢と那須高原がホットスポットになっているのではないか、という噂が福島原発の事故直後から発生していたが、今ではそれは真実だったことが判明している。また、世界遺産である日光と平泉の汚染も、噂ではなく真実であることが現在確認されている。

軽井沢については、自分自身で調査してみて、その汚染の深刻さを実感している。また、平泉も自分自身で確かめた。一方、栃木県にある那須高原と日光については今まで訪れる機会がなく、手をつけていなかった。幸運なことに、八王子市民放射能測定室という団体があって、そこでは測定したデータの公開をしてくれている(スペクトルも!)。また、友人達の持ち寄ってくれたサンプルも幾つか手に入り、ベクミルで測定することができた。これらのデータをまとめ、栃木のセシウム汚染地図を部分的に作成してみた。

栃木県(とその周辺)のセシウム汚染地図
(矢板は1735, さくらは1408 Bq/kgに訂正)
まず目につくのが、世界遺産の日光だ。日光東照宮の土壌サンプルは3120 Bq/kgを示した。華厳の滝も、中禅寺湖の周辺も、高いレベルの放射能汚染が土壌に見られる。

また、那須塩原の駅前で採取した土壌サンプルも2973 Bq/kgを記録している。軽井沢と並び、避暑の別荘地として名高い那須高原も、死の灰を被ってしまった。きっと、探しまわれば、森泉山のようなホットスポットが那須にもあるだろう。
那須塩原駅前の土壌のセシウム汚染
測定は初夏に行ったのでCs-134の崩壊が
まだあまり目立たない。
この2地点の間にある、矢板周辺も2000Bq/kg程度の高い汚染を示している。宇都宮を含む、この大きな盆地の汚染はNHKも早くから指摘していた(NHKスペシャル「広がる放射能汚染」)。この盆地は福島の中通りからの南への延長であり、またベント当日の2011. 3. 15に雨が強く降った地域らしい。そのため、放射能プルームの成分が地表に降下して、土壌の放射能汚染をもたらしたと分析されている。

左:矢板の駅前花壇、右:さくら(栃木)の民家の庭、
における土壌のセシウム汚染
地図の汚染分布をみると、プルームは盆地の中心を南下しながら、日光の方へ分岐したように見える。もしかすると、別のベントが原因なのかもしれないが。日光を越えると、新潟になってしまう。しかも米所の魚沼が近い...新潟のコシヒカリが汚染されたという話はまだ聞かないが、まだ油断はできない。

おもしろいことに、栃木の高汚染地域の周辺に、500-800 Bq/kg程度に汚染された地域が広がっている。水戸の670 Bq/kg(筑波大学のキャンパスは625 Bq/kg)、桐生の704 Bq/kg(群馬県が除染を実施したという黒保根は668 Bq/kg)、そして沼田の790 Bq/kgなどだ。さらに興味深いのは、福島県南部の山間部では550 Bq/kgと意外に低く出た点だ。放射能プルームはかなり大きな塊だと思われるが、その濃度にはばらつきがあって、風向きや降雨の有無によってずいぶん汚染の様子が変わってしまうようだ。予想するのは本当に難しい。

そういえば、矢板は8000 Bq/kgを越える高濃度放射能廃棄物の最終埋め立て処分場の候補地となり、その計画を推進したい政府と白紙撤回を求める地域住民との間の対立が起きている。矢板周辺は2000Bq/kgの汚染がすでにあって、それはすでにかなり高いレベルの汚染ではあるけれど、8000 Bq/kgの「死の灰」と比べれば、1/4でしかない。汚泥を焼却したり濃縮したりして、廃棄物の量を減らそうとした「浅はか」な解決法の末路が、超高濃度の放射性廃棄物の誕生の原因となっている。人のいない広大な場所が確保されていない限り、放射能で汚染された物質は決して焼却したり、濃縮してはならないのだ。出て来た悪魔を封印する場所が無いとなれば、この世は地獄と化してしまう。(「エクソシスト3」の悪魔にがんじがらめにされた神父のシーンが思い浮かんでしまった...)


2012年11月4日日曜日

富士山麓のセシウム汚染:キノコの汚染

毎日新聞のOct.27,2012のweb記事より
富士山麓のキノコがセシウムで汚染されているとの報道がしばらく前にあった。 山梨県側に位置する富士吉田、河口湖 などでは、ある種の野生キノコが、キロ当たり数百ベクレル(100-300 Bq/kg)の放射能を帯びているという。放射能プルームはどうも丹沢を突破して富士五湖の広がる樹海まで到達した可能性が高くなった。

富士山周辺の地形図(山梨側)
「死の灰」(セシウム134,137)による小田原、箱根、丹沢周辺の土壌汚染の実態を知りたくなってきた。このあたりは現在、紅葉の観光シーズンなので、ちかぢか行く予定の人は多いだろう。彼らにサンプル採集を願えば、意外に早く結果がわかるかもしれない。

前から疑っていたとはいえ、富士の裾野の静岡側の汚染も可能性が濃くなってきた。御殿場周辺や富士宮などは果たしてどうなのだろうか?汚染が存在するなら、おそらくこのあたりが関東西部の汚染のフロンティアのはずだ。