2014年4月4日金曜日

琵琶湖にセシウム木屑が不法投棄された事件の続報:裏に東電がいた

2月末にこのブログにも書いた「琵琶湖畔への放射能汚染された木材チップの不法投棄事件」だが、この事件に関連して、とてつもないスクープ記事が東京新聞の今朝の朝刊に掲載されていた(記事へのリンク切れの際はこちら)。

この記事によると、滋賀県高島市の琵琶湖畔に放射性セシウムに汚染された木材チップを2013年10月頃に不法投棄した東京の業者は、東京電力からその「処理」費用として4億円を受け取っていたというのだ!

新聞記事には、「悪事を画策した業者に東電は騙された。東電は賠償金に対するチェック機能が甘い」というニュアンスで書かれていたが、実際のところは「東電は4億円で放射能汚染された木材を処理(一番安い処理方法はもちろん不法投棄!)してくれる業者を探していた」んじゃないだろうか?この疑いは、東京新聞の同日の朝刊の特集コーナー(こちら特報部)でも示唆されている。

この新聞記事を読んで、放射能汚染された木材チップが琵琶湖畔に不法投棄された背景がようやく判った。出発点は、福島県の製材業者のようだ。豊かな山林を有する福島県は林業が盛んだ。製材所で樹木の表面を削って材木に加工する際、大量の削りかす(木屑)が発生する。福島の森林を汚染したセシウムは木々の表面に大量に付着したので、木屑はセシウム汚染のもっともひどい箇所の一つだ(他には落葉や木の実など)。原発事故以前は、木屑は堆肥やセメントの原料、あるいは発電用の燃料などに利用されていたらしいが、放射能に汚染されて以来、引き取り手がなくなった。製材所にうずたかく積み上がった木屑は発酵して発火する(真冬に湯気を立ち上らせて発熱する堆肥を、農業経験のある人なら見たことがあるだろう。この発熱によって、堆肥に含まれる病原菌や害虫は焼かれてしまう)こともあるという。福島で製材業に携わる人々は、火事になる前になんとか放射能汚染された木屑を早く処分したいと思っていた。

もちろん、この問題は原発事故による「被害」だから、東電に賠償請求すれば処理費用が手に入る。しかし、高度に汚染された木屑を適切に処分できる業者などどこにもいない。放射性廃棄物は基本的には隔離して長期間保存する以外に手はないのだ。これを受け持つはずの「放射性廃棄物の最終処分場」は地球上に数えられるほどしかない存在しないし、日本には仮処分場しかない(青森の六ヶ所ですら仮処分場に過ぎない)。

しかも、東電への賠償請求の書類作成は複雑だし、(上に書いたように)そもそも無理な処分計画を書かされることになる。また、申請が受理されてもその処理には時間がかかり、賠償金が手に入るまでには何ヶ月もかかる。製材業を生業とする人々にとってみれば、書類を作るのは彼らの本来の仕事ではないから、ばからしい申請書なぞを書いてること自体が自体が強いストレスとなる(原発事故を起こした張本人が書類を作って、「賠償金はおいくら払ったら良いでしょうか」と福島の人々にお伺いを立てるなら筋が通るが、被害者に書類を書かせて「賠償金を請求させる」のは実におかしな話だと思う)。

そこに「カネの匂い」を嗅ぎ取ったハイエナたちが群がってやって来た、というのが、琵琶湖畔の放射性廃棄物事件の図式のようだ。書類の書き方だけをよーく知っているこの輩は、あたらしい産業を生み出す訳でも、芸術的な創造性を発揮する訳でもない。ただロボットのように、規則にしたがってつまらない書類を作成するだけ。にもかかわらず、製材所で汗水たらして勤労する労働者たちの稼ぎを圧倒的に上回る額の大金(今回は4億円)を儲けている!

そしてその大金をハイエナたちに配給していたのが、東京電力だったということなのだ。どうやら、東京電力で賠償金関連の業務に従事している部署(人間?)が、「うまい話がある」とハイエナ達にすり寄ったらしい。当然、この「美味い話」のリベートは期待していたはずだ。こうやって、福島と、東電に割高な料金を支払っている国民(主に関東の住民)を喰いものにして、ごくごく一部の人間(企業?)だけが億単位で美味い汁を吸っていたのだ。

実は、この木屑は琵琶湖だけではなく、山梨県や千葉県にも投棄されていたことも、東京新聞には書いてあった。なぜ山梨と千葉なのか?これには深い理由があると思われる。

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