2014年5月18日日曜日

ドングリのセシウム汚染:軽井沢の場合

先日、猿の親子がドングリを貪り喰っているところに出くわしたことを記事にした。あまりにも大量のドングリなどの木の実が落ちていたので、それを採取し、LB2045でガンマ線測定を行ってみた。(泥は一応軽く洗い落とし、表面の皮を剥いてから測定した。)
猿が食べていた軽井沢のドングリ
測定容器にぎっしりと詰め、18時間測定を行った。その結果を、先日の種蒔き土と比較したのが次のグラフ。

ちなみにこの場所の土壌は3000 Bq/kg(木の根元などは部分的には5000Bq/kg)程度の強い放射能汚染を被っていることが以前の測定で確定している。そのような山林で育ったドングリ(やその他の木の実)が、どの程度のセシウムを含むのかという問題は、生態系全体の放射能汚染、それから放射能物質の生態系における循環の観点から、非常に重要な問題だと思う。

今回の測定では、約70 Bq/kgという汚染があることが判明した。(土壌の汚染からのドングリへの「移行係数」を単純な比で表せば、70/3000 〜約1/40程度となった。)実はこれは政府の食品基準値に照らし合わせれば「食べてよい」汚染レベルである!つまり、猿達が日本国民だと仮定したら、このドングリを食べることはもちろん、「さるスーパー」で販売したっていいのだ。

ということは、こういう食品を10年、20年と食べ続けていったときに、どんな疾患が発生するか観察しておけば、人間の健康に何が起きるか想像がつくというものだ。つまり、猿達は新薬などの「モニター」(被験者)に相当するというわけだ。

チェルノブイリ事故の経験から、放射性セシウムは心臓疾患、白内障、膀胱癌などを起因する可能性があるといわれている。日本人にこれが適用できるかどうかはまだわからないが、その前に体の小さな軽井沢の猿達がそれを見せてくれるはずである。

生物学者たちは、きっとこの点にすでに気付いていると思う。頑張っていただきたい!学術的にみても、猿の病気の変遷、奇形の変遷をこれから50年近くに渡って記録するのは非常に重要な研究だと思う。

軽井沢の森には、他にも鹿、カモシカ、クマ、イノシシ、リス、兎などが住む。彼らの体に変な病気や奇形が起こらないことを、今は神に祈るのみである。(福島では昆虫の奇形が多数報告されているようなので、かなり不安はあるが....)

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