2018年11月24日土曜日

「捨てるな、うまいタネNEO」を読む

「捨てるな、うまいタネ NEO」
藤田雅矢著(WAVE出版、2010年)

2003年に出版された書籍の文庫版。著者は農学者(植物学者?)だった人で、現在は執筆業など幅広い活動を行なっている。

八百屋や果物屋で買ってきた野菜や果物の種を蒔いて育ててみよう、という趣旨の本。とても面白い。

実際にやってみたのは、アボカドとビワ。アボカドの種には爪楊枝を3本、百二十度の間隔で突き刺し、コップの縁に引っ掛けるようにする。種の下半分だけが水に浸るようにする。一週間もすると種が2つにぱかっと割れた。根が最初に出て来ると思ったら、なかなか何も出てこない。春になって、ようやく出て来たのは芽の方。この状態で鉢植えにして、戸外に置きっ放しにする。今年は梅雨が記録的な短さで、猛暑が襲ってきたが、直射日光を浴びて葉が焼けてしまい、「丸坊主」になってしまった(茎だけの状態)。しかし、秋になって涼しくなって来ると新しい葉が出始めた。枝分かれなども起きて、ひと夏終わったところで、葉が8枚程度出ている状態まで回復。最低気温が一桁の日もある現在は、家の中に取り込んで管理しているが、室温に満足したらしく、次から次への葉の芽が出て来て盛んに成長している。観葉植物としてはまずまずの樹形で、満足だ。

ビワは、外皮を剥いてから水に浸す、というテクニックを本書から教えてもらった。皿にティッシュペーパーを敷き、それを水で浸した状態にする。そこへタネを置く。水切れしないように、毎日ちょっとずつ水を継ぎ足して、発根したら鉢植えに移行する...はずであったが真夏の暑い時季に水切れを何度かやらかしてしまい、試した3つのタネは全て発芽したものの、 そのうち生き残ったのは1つだけだった。しかし、この「困難」を切り抜けたタネは強く、現在葉が6枚にまで増えて、成長中だ。こちらは、鉢植えから戸外でずっと管理している。

実は、この本を買う動機となったのは、この本を見つける直前に発見した、冷蔵庫に入れ忘れていた人参だ。 久しぶりに野菜入れの奥を整理して見ると、もやしのような芽を伸ばし、半分腐りかけた人参が出て来た....捨てるのは癪だったので、庭に植えて置いたら、美しい白いレースのような花を咲かせるまでに育ったので、とても感激した。知らない人に見せたら、「軽井沢や霧ヶ峰の高山でよく見かけるシシウドかしら」などと感心してくれるかもしれないが、これはもととも冷蔵庫の中で半分腐りかけた◯×スーパーの人参なのであった。もしかして、スーパーの野菜って育ててみたら美しい植物に変身するのかもなどと思っている時に見つけた本が本書だった。

そんなおり、昨年堆肥置き場に捨てたカボチャとトマトの種が、夏の終わりに突然巨大化し、そのままほって置いたら、みごとに結実したのだ。カボチャは人の頭ほどあるのが、2つも採れたし(多分、ニュージーランド産のカボチャ)、トマトも大粒のもの(たぶん、宮崎か熊本のトマト)が10個は採れた。

スーパーで買ったアメリカ産のポップコーンの種も蒔いてみたら、意外に大きく育って、実がなった。しかし、受粉があまりうまくいかなかったようで、皮を剥いてみたら、歯欠け状態。まあ、来年用の種が30粒ほど手に入ったと思えば、それなりに成功したといえるのかもしれない。

本書には、面白い結果をもたらしてくれる、つまらない野菜(普通の野菜/くだもの)がたくさん紹介されているので、ちょっとずつ試してみようと思っている。

この本は、まだ読みかけなのだが、ところどころに面白いことが書いてあって、勉強になった。2つほど上げておこう。まずは、キウイフルーツについて。ニュージーランド原産の果物かと思ったら、実はサルナシを品種改良して、商品化したものなのだという。1920-30年に、ニュージランドが、自国の主要産業としてなにか作物を開発しようと画策し、いろいろ研究した結果、中国原産のサルナシの一種を元にキウイフルーツを作り出したのだという。そういえば、サルナシの実を2つに切ると、異様にキウイフルーツに似ているのを以前から不思議に思っていたのだが、同じものであったのだ!

もう一つが、F1品種の話。こちらは、実に深い話なので、別の機会に取り上げてみたいと思う。
 



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