2010年1月13日水曜日

Windows Vista + Fedora12のインストール(その2)

Dynabook SS(RX2)は、超低電圧のCore 2 duo(1.4GHz)を積んだラップトップで、DVDドライブも付いているのに、ものすごく軽い。(バッテリを軽いものに換装して、もっと軽くした。)このバージョンのcore2duoはPenrynというタイプになるそうで、そのTDPは10Wしかない!その上、CPUの性能は、PPC-G5(5年程前の、アップルのPowerMacに搭載されたもの。最初の64ビットパソコンの一つで、当時の最高速マシンだった)に匹敵する。PowerMac G5は、一人で持ち上げるのは重くて大変だったのに比べると雲泥の差だ。

x86_64版のLinuxのインストールは、i5-750/i7-860を積んだデスクトップマシンで練習したので、基本的なところは問題ない、と思っていた。そのとき使ったのと同じimgファイルを転送し、DVDに焼いて試すと、驚いた事にjdkのインストールのところでエラーメッセージが出て、止まってしまった。エラーメッセージによると「ディスクが壊れている可能性ある」とのこと。同じイメージを焼き直して再度挑戦したが、やはり同じ所でエラーが出る.転送時に何か問題がおきて、ファイル自体が損傷してしまったのだろうか?Vinelinux5をダウンロードして、インストールしてみたが、こちらはうまくいく。そのまま、Vineでいこうか、と思ったが、Nautilusが不安定で、頻繁にX-windowが落ちてしまうため、Fedora12に戻すことにした。Fedora12のインストールDVDはインストーラーの起動に関しては問題ないので、途中でnetworkインストールにスイッチし、ネットワーク経由でインストールすることにした。自宅のj:comのADSLでやったのだが、これ意外に速く、風呂に入って出て来たら、インストールは終わっていた。しかし、Fedora12のインストールは、実はここからが本番である。物理研究者のノートPCにするには、fortranとpLaTeXを入れねばならないからだ。

まずは、Fortranのインストールである。Gnu g95はx86_64用のバイナリファイルが配布されているので、難なくインストールできる。問題は、Intel Fortran(ifort)である。Intel CPUを積んだマシンでは、このコンパイラがとにかく最速で、g95の2倍の性能を示す事もある。(このノートPCの場合は約1.4倍だった。)ifortの導入にはyumが使えないので、ダウンロードしたファイルに含まれるスクリプトに従って、インストールしなければならない。Linux版はfreeなので(Intel Fortran Compiler for Linux)、物理学者の多くがifortで計算をしていると思う.実は、Vinelinux5をあきらめた理由の一つが、ifortがどうしてもインストールできなかったことだ。ifortは64ビットCPU(Intel 64)を動かすことができるが、なぜか32ビット版のライブラリーを幾つか必要とする。通常のx86_64 Linux distribtutionには含まれていないので、別途インストールが必要なのだが、vinelinuxはライブラリの依存関係が複雑で、最後までなかなか到達できない。一方、Fedoraはyumを使う事ができるので、そのインストールはあっという間だ。詳しいことは、インテルのホームページに書いてある。

次に、pLaTeXのインストールだが、これはVinelinux5の方が簡単である。つまり、日本語化も含めて(それがVineの売りな訳だが)、オリジナルのdistributionの中ですでに完成している。しかし、Fedora12はここが難しい。pLaTeX3のファイルをまずここからダウンロードする。次に、Ring CTAN ftpミラーサイトなどから(例えばここ)、tetex-src-3.0.tar.gzおよびtetex-texmf-3.0po.tar.gzをダウンロードする。3つのtar.gzファイルを同じdirectoryに置いて、ptetex3-xxxx.tar.gzのみを展開し、展開されたdirectoryに入ったら、そこでmakeをかけるのだが、その前にやらねばならない事が3つある。

一つ目が、/usr/include/stdio.hにある、getlineに関連する行を一時的にコメントアウトしてしまうこと。これはpLaTeXのmakeが終わったら、元に戻しておくのを忘れぬように.2つ目が、ptetex3のdirecotryにあるスクリプト,7font-search.shを修正すること。sazamai fontに関連するところが135行目あたりにあるが、この記述を次のように変更する。

...../fonts/sazanami/mincho

...../fonts/sazanami/gothic

古いFedoraとdirectoryの構造が違うのが原因だそうだが、実はこのフォントがx86_64 Fedora12には含まれていない。そこで、3つ目の修正が、このフォントを上の修正で指定した場所に手で入れることである。sazanami fontはここからダウンロードできる。

ここまで、下準備をしてからmakeすると、長い事コンパイルしているが、最後には"conguratulations!"という文が現れて、コンパイルは無事に終了する.(ここまでくるのに、どれほど時間を浪費したことか....)ちなみに、日本語のtex文書はdvipdfmxでコンパイルする。dvipdfだと文字化けする.また、出来上がったpdf文書はevinceで見る事ができる。Adobe acroreadはまだ、x86_64に対応した製品が出ていない。

これで、Dynabookがx86_64マシンとなった訳だが、一つ問題が隠れている。それは、この後リブートしたときにWindows Vistaが起動できない、という問題である。これはいろいろな解決法があるようだが、一番簡単な方法は、grub.confの修正であろう。まずは、Fedora12のインストールが終わった直後に、rebootし、grubでwindowsを選んでみよう。するとBOOTMGR IS MISSINGと出るばかりで、Windowsが起動しなくなっているはずである。こうなるのがわかっている人は、リブート前に、/boot/grub/grub.confを修正しておくと、すぐに問題が解決される。どうも、Fedoraのgrubはwindowsのブートセクターの数字を一つ間違える傾向があるようで、自分の場合、hd0 -> hd1とすることで、windows vistaが起動できるようになった。

答えがわかるまでに、1.5日かかってしまい、答えがわかった後もインストールには4時間かかった。クタクタ也。

STFCのbudget cut

理研にいったとき、共同研究者から一通のメールを見せられた。イギリスからのものだった。

STFCがついに予算カットを断行したので、非難/抗議の手紙を送ってやって欲しい、という英国の科学者からの訴えだった。3年前に、STFCが創設されたときに、すでに予算カットはあったから、合わせると研究費予算は50%近くのダウンになると思う.

検索してみると、以前の同僚たちが、The Times Higher EducationやらTVなどで、非難のコメントをしていた。3年前、「この研究計画がみとめらなければ、我々に未来はない」とまでいって、認めさせた研究計画が今回はcutの対象になってしまったのだから、無理もなかろう。

沈む船から逃げ出したネズミの気分になった。

2010年1月11日月曜日

Windows Vista + Fedora 12 のインストール

去年の夏に買ったDynabook SS (RX2)を、もう少し使いやすくしようと思い、連休を利用して改良することにした。狙いは、LinuxとWindowsのdual bootマシンを構築すること。これが2日がかりの大仕事となってしまうとは、金曜の夜には知る由もなく、軽い気持ちでいた。

きっかけは、プレインストールされていたWindows Vistaの「重さ」である。特に、DVDなど画像処理をやらせると、一時代前のマシンのような動きになる。余計な機能を切ったりして、メモリ関係から来るオーバーヘッドなどもできる限り減らしたつもりだが、効果はなし。デフラグも、スパイウェア除去も、「重さ」に変化はなく、何をしても無駄であった。確かに、インターネットで検索したり、パワーポイントで発表する分には問題ないのだが、講義で見せる動画の再生に問題があるようでは、わざわざ新型のマシンを購入した意味がない。

附属品をよく見ると、インストールディスクが2セットあった。XPとVistaだった。プレインストールは後者だったが、気に入らなければ、前者に変えてよい、ということであろう。つまり、Vistaに不満をもち、XPに戻そうという巷の需要は案外多いのではないかと思われる。しかし、一度はXPをインストールしてみたものの、そのパフォーマンスを試しているうちに、やはりもう一度Vistaにかけてみよう、と気持ちが変わった。

講義で見せるDVDは一回の講義につきだいたい2、3種類ある。すべてiso9660イメージにリップして、それをDaemon Liteというソフトでマウントして、再生するようにしている。講義中は手がチョークまみれになるので、DVDをなるべく触りたくないのだ。とはいえ、バックアップのために、一応はDVDメディアに書き込んでおいた方が安心だ。ところが、手持ちのXP用のライティングソフトでは、イメージファイルからの書き込みができないことが判明。一方、Vistaに付録でついてきたソフトはイメージファイルからの書き込みがOKだった。今まで、Mac OS Xを使ってきた関係上、やはりイメージファイルが基本にないとちょっと頭に来る。Vistaに再度賭けた理由は、こんなことであった。

面白い事に、再インストールしたVistaは動きが非常に快適になった。しかし、この「平和」がいつまで続くのか、それは誰もわからないだろう。 Windowsはいつもこういう心配が尽きないから、嫌いだ。(つづく)

2010年1月2日土曜日

正月、スキー場にて

雪の少ないスキー場に行ってみた。山道にはほとんど積雪はなかったが、日陰は凍っていた。せっかくの新車もスリップしたら、一瞬でお陀仏。かなり緊張したが、なんとか山腹の駐車場まで来ることができた。

前日から雪は断続的に降っているが、降っては日が照って溶けてしまい、なかなか積もらない。このスキー場も例外ではないようで、人工雪を作っては見たが途中であきらめたようだ。客は無く、リフトは停止していた。スピーカーから大音量で古いポップスが流れていた。この状況で、強引に営業してる気配...さらに驚いた事に、アナウンスで「迷子のお子さんのお知らせ」が流れる。こんなガラガラのスキー場でどうやったら迷子になれるんだ?と思ったが、多分北斜面のゲレンデには雪も客も一杯あるのかもしれないな、と想像してはみたが、周りの山の様子を見ると、それはちょっと苦しい想像であった。



「新雪」とはいえ人間には案外結構きつい傾斜で、滑ってぶざまに尻餅をついたりしているところを、一緒に連れてきた犬は、何の苦もなく、喜びカケズリまわっていた。「4WD」はさすがに雪道に強いね、などと感心しても、さすがに真似する訳にもいかず、四苦八苦しながら先に進む。



このスキー場のある山は安山岩が母岩のようで、風化した安山岩の露頭が顔を覗かせていた。この近くには鉄平石が産出するところもある。こちらは、板状節理した安山岩で、高級な庭石(敷石など)となる。この露頭も節理構造は見えたが、残念ながら庭石にするほどのきれいなものではなかった。いずれにせよ、この辺りは溶岩が冷えて固まってできた地域ということである。



山を下り、里へ下りた。実は、この麓の村はこの犬の里である。かつての主に正月の挨拶にいったら、見事なくらい、きれいさっぱり、我々のことを忘れていた。脱力す。そこから望んだ浅間山はきれいだった。いつものごとく煙を出す白い浅間は、やっぱり冬本番の象徴なり。