ボーズ凝縮のセミナーをしたときに基本の事柄をまとめたのだが、そのとき久しぶりにFetter-Waleckaを読んだ。この本はGreen関数法を使って物理を解説しているので、この手法の復習をすることにした。まずはフェルミオン系の場合をやることにして、希薄気体展開のところまで読む事にした。
まずは、昔のノートを読み返してみた。なかなかよいことが書いてあって、我ながら感心してしまう。これで、かなりの部分を飛ばすことができる。昔のノートで弱かったのが、物理量との関連部分。確かにここは公式だと思ってそのまま受け入れた方が時間の節約になる。が、今回は余裕があるので、ここも丁寧に読み込む事にした。
グリーン関数法の面白い点は、期待値を「厳密解」で挟む点である。つまり、建前は固有値を計算するのと同じことになっているのである。これはものすごい長所だ。とはいえ、もちろん厳密解はわからない訳で、例えば、通常の対角化法ではこれを基底によって展開し、その展開係数を計算によって求めるのだが、グリーン関数法では別のやり方でこの問題を切り抜ける。そこで利用するのが「断熱点灯法」という摂動風の考えだ。これを用いると、厳密解が求まる状態(H0の固有状態 |φ0>、自由状態と呼ぶことにしよう)からの時間変化をユニタリー演算子を用いて表すことになり、状態を厳密解になるまで「引っ張って行く」という風に捉える。つまり、
|ψ> = U(0,-∞)|φ0>
とする訳である。こうすると、期待値は自由状態に対してとることになり、計算が簡単になる。(自由状態は可解である、というのが条件だから、近似は不必要。)そのかわり、摂動近似はUに対して行う、というのがGreen関数のポイントである。自由状態に対する物理量の期待値は、自由状態に対するグリーン関数と摂動部分(相互作用に対応)の積和の積分で表現できる。これが、ファインマン図に相当するということになる。つまり、自由状態のグリーン関数が細い線、相互作用が波線、となる。この二つのアイテムがつながる、というのが積の演算で、アイテムのことなる組み合わせの足し合わせが「和」になる。
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