昨年買ったまま積んだままにしておいた"A Spring without Bees"を半分読んだ。この本は、科学者ではなく、(たぶん)ジャーナリストか環境啓蒙活動家によって書かれたものなのだろう。というのは、主題である蜜蜂の「蜂巣社会崩壊異常」(Colony Collapse Disorder)に関しては、その原因よりも、その対策がなぜ出遅れているかについて、より紙面が割かれているからだ。つまり、社会に窮状を訴えるタイプの「暴露本」のような本なので、CCDの原因に興味があるものにとっては、前半だけ読めば十分である。
本文は、様々な要因を列挙し、その一つ一つを消去していく形で話が進む。そして、すべての要因を否定した後に、フランスで1990年代に起きた一連の事件についての解説が提示される。それは、農薬会社と養蜂家の間の闘いの解説で、IMDおよびFipronilと呼ばれる殺虫剤がCCDの原因であるかどうかを巡るものである。
蜜蜂は、群れるのみならず、共同体を作り、社会的に役割を分担して、生活を営んでいる。働き蜂、女王蜂、掃除蜂、餌取り蜂などである。これは、一匹一匹の生命力が弱いのを補っているからである、と説明される(ゴキブリと違って)。DNAレベルでみても、ウイルスやカビなどの病原体感染に対して蜂の免疫系は弱い、という研究結果があるそうである。では、蜂はどうやって病気から身を守るかというと、病気に成った蜂は、すぐに働き蜂によって巣から追放されるか、あるいは自分から出て行くことによって汚染を最小限に抑えるのだという。つまり、巣全体が「生命体」であって、蜂の個体はあたかもその「細胞」や「組織」の一部のように振る舞う、という訳である。ウイルスを食べて死んだ白血球が、膿みとして体外に捨てられるようなものであろう。
1 件のコメント:
I have read another book similar to "A Spring without Bees". The title of the book is "Fruitless Fall" by Rowan Jacobsen (Bloomsbury, 2008). The title resembles the famous classic book in the environmental science, "Silent Spring" by Rachel Carson. Carson's book is quite elegant even as a literature, but it contains definitely Science in it. Unfortunately, "Fruitless Fall" is just a book written by a journalist and does not contain Science. Worthless for reading if you a scientist, especially after you finished reading "A Spring without Bees". Just the same information is repeated in these books.
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