2012年8月18日土曜日

がれき処理によるアスベスト被害

今日の毎日新聞に「神戸の大地震のとき、瓦礫の処理をおこなった男性がアスベストを吸い込んで悪性の中皮腫を発病。公務災害認定を申請。」という記事があった。
発がん性の高いアスベスト(石綿)を吸い込むと、胸膜(肺の周辺の膜)に腫瘍が発生する確率が高まる。悪性の場合、手術をしても回復する見込みは少なく、ほとんどの人は数年以内に死亡してしまうという。

アスベストは「時限爆弾」と呼ばれているように、吸い込んでから発症するまでに数十年の歳月がかかる。この男性も20代だったころに神戸の瓦礫処理に参加し、40代になった今、ついに発症した。そして、彼の人生はもうあと少しで幕を閉じることになるのだろう。

神戸の地震があった1995年はバブル直後の頃だ。社会党と自民党が嘘のような連立政権を組み、社会党の村山氏が短命の総理大臣になった時分だ。社会党はこの致命的な判断ミスによって、崩壊してしまった。かつては野党第一党の勢力を誇ったにもかかわらず、その系譜を次ぐ社民党は、もはや「風前の灯火」状態となってしまった。致命的なミスは大きな代償を伴う、といういい例だろう。村山氏の後、総理大臣になった橋本氏や小渕氏はバブルの後始末に失敗したまま、もう他界してしまった。また、村山氏ももうじき90歳だ。つまり、この当時に政権を運営していた人々は(政治家のみならず、官僚も)もうとっくに引退、あるいはあの世へいってしまった。瓦礫処理のせいで命を縮められた「若者」は、単に捨石になってしまったように見える。

今回の大地震の瓦礫にも当然アスベストは入っている。津波に洗われた瓦礫には、神戸にはない重金属や化学薬品もふくまれているだろう。そして、なにより東電の福島第一原子力発電所から飛び散った「死の灰」が含まれている。神戸の場合ですら、瓦礫処理で「犠牲者」が20年後に出ているのだから、今回の瓦礫処理はもっと恐ろしい事になりそうな気がする。

現代の日本人は失敗から学べないから、捨石となって切り捨てられる、不幸な「正直者」が、苦しみ後悔する日が数十年後にきっとやってくるだろう。(とはいえ、国民の最近の意識の高まりは希望の灯だ。もしかしたら、わたしたち国民自身の手で、誤ったやり方を是正し撤回し、正しい未来が築かれる可能性もあるだろう。そうなることを切に願う。)

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