2014年2月20日木曜日

東御市(旧東部町)と上田市の調査

小諸の高峰、長野市の城山公園(善光寺近く)の2点を結ぶ地域に興味が出て来たわけだが、現在手持ちにあるサンプルは東御市の金原ダム手前の林の土壌と、上田城から北へ少し行った18号バイパスのちょっと下辺りの土壌の2つ。

この地域は高峰の「影」のような場所にあたる。まずは東御の結果から。
東御市(金原ダムへ行く途中の林)
モニターのスペクトルでみる限り、セシウムの目立ったピークは見えない。一応55Bq/kgと出ているが、このスペクトルの精度では「汚染はほぼ無し」と結論してよいだろう。

ではデータの詳細を分析したらどうだろうか?LB2045が出力するスペクトルの数値データを出力すると次のようになった。
Cs-137のピークは、なんとなく在るようにも見えるが、LB2045の場合Cs-137の660keVのピークの測定効率はσ=25keVなので結構な幅のガウス分布になっているはずだ。比較の為にその幅をもったガウス関数を重ねて見ると次図のようになる。
東御の測定値に、LB2045の精度に相当する
ガウス関数を重ねて見た(σ=25keV)。
青線で表したのが、もしセシウム137が検知されたなら、LB2045が示すはずのピーク形である。この比較からすると、実測結果はセシウム137のピークとは思えない。今回の測定精度(測定時間は20分)ではセシウム汚染は無いと結論してよかろう。加えて、Cs-134の796keVのピークはまったく見えないので、それも「汚染無し」の結論を強くサポートしていると思う。ただ、測定時間をもっと長くして、統計量を増やし精度を上げれば「ガウシアンピーク」に成長する可能性もある。東御の測定は引き続き行っていこう。(追記:この後で長時間測定を行った。その結果と分析はこちら。)

次は上田市(上田城から北へ登った国道18号バイパスの手前の神社付近の土)の測定だが、こちらはまだ分析が終わってない。が、見た感じセシウムピークはまったく見えなかった。測定値もおそらく20〜30Bq/kgではないだろうか?上田もどうやらセシウムによる汚染はかなり軽微のようだ。(追記:詳細な分析を後で行った。)

NHKで公表されたシミュレーションでは、軽井沢の碓氷峠あたりから侵入し、千曲川の谷に沿って信州のセシウム汚染は広がったという推論だったが、善光寺平と佐久平を結ぶ地点の汚染が弱いという結果(まだ暫定だが)と辻褄があわないような感じがする。もちろんまだ測定ポイントは少ないので結論を出す訳に行かない。面白いのは、標高2000m近くの高峰(小諸)にははっきりした汚染(200Bq/kgレベル)が見えるのに、その先の東御、上田の市街地近郊にはほとんど汚染が見られない点だ。これは千曲川の右岸に放射性プルームが這ったというよりは、菅平の方に抜けていったことを意味するのではないだろうか?そして松代へ回る形で善光寺平へ流れ込んだのではないだろうか?

この仮説を調べるには、菅平(旧真田町?)や松代といういわゆる「真田の裏街道」沿いの調査が必要だろう。さらには、塩田平を調べれば、千曲川の左岸をプルームが這っていったかどうかが確認できるはずだ。だとすると、小諸の布引き、そして御牧原辺りの状況が重要となるだろう。

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