2012年2月12日日曜日

事故の力学法則(3):R.P.ファインマン

ここからはファインマンの著作"What do you care what other people think?"からの抜粋メモ。他人の目を気にせず、自分の意思を堂々と主張し続けたファインマンの人生を象徴するタイトルだ。

事故の数日後、カリフォルニア工科大学の教授だったファインマンに、NASAの長官から一本の電話がかかってきた。電話の主に「かつての教え子だ」と言われても、なかなか思い出せなかったファインマンは、電話を切ってから卒業名簿を確認してみることにした。すると、ちゃんと長官の名前があったそうだ。まあ、悪くも良くもない平均的な学生で、印象に残らなかったのだろう。(正直、こういうことは時々ある。むかし、英国で引っ越し屋に行った時、「先生の物理の講義に出ていたMikeですよ!久しぶりですね!」と担当者に声をかけられた。「おー!マイクか!(マイクってどのマイクだっけ?)ところで、その段ボールいくら?(心臓、冷や汗)」となんとか切り抜けることに成功したが、正直彼のことは思い出せずじまいだった...申し訳ない、マイク。また、日本に帰国した直後に役所に住民変更に行ったら、担当者が「おー、kuzzilaじゃないか!久しぶりだなー!英国から戻ってきたそうじゃないか。元気だったか?」と話しかけてきた。必死で頭の中をスキャンして、高校の先輩だったその人の苗字まではなんとか思い出すことができたのだが、下の名前がどうしても思い出せない...「鈴木先輩、久しぶりです!」というのが精一杯。「住民票、一枚いくらでしたっけ?」と同じ作戦でそのときもなんとか切り抜けることができたが、またもや冷や汗ものであった...)

教え子の頼みとはいえ、政府の仕事に関わるのを避けていたファインマンは、断る方向で考えていたが、同僚や家族に説得される。特に、彼の奥さんの一言が凄い。入試の時期でもあるから、前文英訳やってみよう。(入学試験といえでも、こういう役に立つ文章を試験問題にすべきだと思う。)
My last chance was to convince my wife. "Look," I said. "Anybody could do it. They can get somebody else." "No," said Gweneth. "If you don't do it, there will be twelve people, all in a group, going around from place to place together. But if you join the commision, there will be eleven people --- all in a group, going around from place to place together -- while the twelfth one runs around all over the place, checking all kinds of unusual things. There probably won't be anything, but if there is, you'll find it." She said, "There isn't anyone else who can do that like you can."
(調査委員に加わって欲しいという同僚や友人からの説得をなんとかかわしていたファインマンだが)最後の難関は妻の説得だった。「誰がやったって、きっと同じさ。誰か別の適任者がみつかるよ」と私(ファインマン)はいった。グウェネス(ファインマンの奥さん)は「いいえ、それは違うわ」ときっぱり言った。「もしあなたがやらなかったら、選ばれた12人の委員は、みんな同じ仲良しグループになってしまって、どこへいくにもいつも一緒、なんて状況になるのは確実よ。でも、あなたがもし調査委員会に入れば、仲良しグループに入るのは11人。彼らはどこにいくにも、いつも一緒という状況になるとは思うけど、12番目の委員だけはあちこち一人で走り回って、おかしなことがないかと、ありとあらゆることを調べ出すはずよ。結局、たいしたものは何も無かった、なんてことになればいいけれど、万が一「何か」があるとすれば、それを見つけるのは「あなた」でしょうね。あなた以外で、こんなことができる人なんていないのよ」と私の妻は言ったのだった。
こうして、ファインマンは首都ワシントンDCへと飛ぶことになった
(日本でも事故調査の委員会には益川さんとか野依さんとかを入れるべきだ!)

1 件のコメント:

なーや さんのコメント...

軽井沢の隣の御代田というところにに住んでおります、先生のブログ本当に感謝しております。こちらにいらしたら是非お蕎麦をご馳走させてください