2012年4月14日土曜日

世田谷区(砧公園周辺)のセシウム汚染

世田谷区の大蔵公園(これは砧公園に隣接する公園で、温水プールやテニスコート、武道館などがある)には見事な梅園がある。土壌採集に出かけたこの日は、丁度梅が満開だった。3月の下旬にやっと梅が咲くなんて、東京としては記録的に寒い春だという証だろう。
大蔵公園の梅園
この梅園の向こうは土手になっていて、いわゆる崖(はけ)とよばれる多摩川の河岸段丘が広がっている。大岡昇平の小説「武蔵野夫人」にも登場する地形だ。大震災以降は、この崖の上にある成城や瀬田などの高級住宅街は、地盤がしっかりしているからという理由で、引っ越してくる人が増えたという。特に、有明や豊洲といった湾岸沿いの超高層マンションから越してくる人が多いらしい。今回採集した土は、この崖に相当する部分だ。

世田谷といえば、馬事公苑近くや、千歳台のスーパーなどで、高い線量が住民によって発見される事件があって大騒ぎになった。高所得層が多く、また意識の高い人が多く住むところだけあって、高価な計測器を持って付近を測ってくれる人がいるということだろう。脱原発を掲げた社民党の保坂氏を世田谷区町に選ぶあたりも、さすがに世田谷区民と思わせた。しかし、この世田谷区にもセシウム汚染は広がっている。

まずは、LB2045の結果を見てみよう。
大蔵公園(世田谷)の土壌のγ線スペクトル
小さいながらも、しっかりと「セシウム三兄弟」のピーク構造が確認できる。だいたい500Bq/kgの放射能があるという参考値が表示されている。

この数字はあまりあてにならないので、他の地域とスペクトルの高さを比較することで、相対放射能を見積もってみる事にしよう。どの地域も、LB2045によって500Bq/kg前後の値が算出された地域である。これも関西のスペクトルを引いた、差分スペクトルにしてある。

500Bq/kg前後と判定された場所のスペクトルの比較。
比較するのは、船橋(千葉)、川崎(神奈川)、北の丸、神保町(千代田区)、そして大蔵公園(世田谷)の5地点。最初の4地点のスペクトルは、ほぼぴったり重なる。それに比べて、大蔵公園のピークは低めに出ている。仮に、最初の4地点が500ベクレル/キロ程度だとすると、大蔵公園は200−300ベクレル/キロ程度に相当するだろう。汚染は弱めではあるが、しかし確実に存在している。これは、名古屋や信州佐久の「汚染は軽微かも」というのとは、まったく異なる意味での「弱い汚染」だ。

大蔵公園が汚染されているということは、そのすぐ南にある砧公園や馬事公苑も、きっと同様に汚染されているはずだ。これらの公園には小さな子供もたくさん遊びに来るし、多くの小学生がサッカーや野球をやって楽しんでいる。この公園で遊ぶ子供達は砂埃をなるべく吸わないように注意した方がいいだろう。


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