2011年2月23日水曜日

第二量子化の生成消滅演算子を、ヒルベルト空間の基底と見なせるか?

第二量子化の表現をよく使うが、その演算子表現について、今までちょっと認識が足りなかったことに気づいた。特に二体演算子についての理解に問題があったと思う。

例えば、古典場をφと書くとする。最初に考えるのはこれを正規直交系で展開すること。つまり、φ=aifiとし、展開係数aiは内積を用いてai=<fi| φ>と計算される。

場を量子化するときは、展開係数のaiを量子化する。(この場合、aiは消滅演算子に対応する。)そうすると、あたかも展開係数が入れ替わったようになって、fiが展開係数のように見える。果たして量子化された場は、消滅演算子という「基底」によって線形結合されている、といえるのだろうか?つまり、この場合、量子場は、消滅演算子という基底によって張られたベクトル空間の要素と見なせるのかどうか?

今までナイーブに「見なせる」と考えてきたのだが、最近二体力の対称性を考察するときここが問題になり、困ってしまった。手近にある教科書で、生成消滅演算子からなるベクトル空間を考えたものがあるかどうか調べてみたが、見つからない。神保町の明倫館と書泉で(立ち読みで...)確認してみたものの、やっぱりそういう記述のものはない。そこで、仕方ないので自分で考えてみることにした。(ところで、書泉の物理書のコーナーに、ぶつぶつつぶやきながら立ち読みしている人がいた...自分もときどきやってしまうのだが、端からみるとちょっと怖かった。)

単なるベクトル空間というよりヒルベルト空間であるかチェックするべきなので、内積を定義する必要がある。これは交換関係を利用すれば「直交」の概念をうまくいきそう。実際「展開係数」は、<a+i|φ> := fiと書けて、展開の概念をひっくり返すのに成功した。

陪線形の一体演算子もこれに似たやり方でうまく「ひっくり返せる」。しかし、二体演算子がだめなのだ!

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