Royal Societyの研究費は、旅行費のみであった。ポスドクを雇ったり、学生を取るには、もういっちょ研究費申請をしなくてはならない。と、いったらよく聞こえるが、実は申請するように学部長に指示された。大学も収入が必要なのである。つまり、イギリスでは、獲得した研究費の25%程度は大学や学部にピンハネされてしまうのだ。
今回の提出先は、悪名高きSTFC(Science and Technology Facilities Council)である。ここは、昨年から今年にかけて、全部門の予算の1/4を一律カットして有名になった。これにより、素粒子の人はLHCの次期計画などから撤退したし、天文の人はハワイの天文台で観測ができなくなった。原子核も予算は大幅カットとなって、最近まで大騒ぎであった。
11月に小規模研究向けのgrant募集があることが、最近アナウンスされた。これは事実上、昨年のRolling grantで落ちた連中、余り予算が取れなかった連中が、大挙して群がってくる「敗者復活ラウンド」だ。激戦が予想される。直接的な利害が被るのはマンチェスターの理論部であろう。彼らは、高エネルギー物理にシフトしていて、実験家の評判はあまりよくないので、チャンスといえばチャンスだ。がしかし、STFCは実験家よりのカウンシルなので、理論の採択0なんてことも十分ありそうだ。而要注意である。
今回は、すぐに成功しそうな、固い内容の研究を提出せよ、とのことで、あまり難しいのはだめそうだ。ということで、超重核の寿命と回転の関係についてやる、ということにした。中性子過剰核は、超新星爆発の元素合成とかに応用できて、とても人気の高い分野だが、研究者の数も多くて競争が大変だ。超重核の理論はあまりないし、既存の理論では難しいこともありそうで、みな二の足を踏んでいる状態。簡単な模型でも、おもしろいことができるかもしれない。ただ、パリティを自発的に破んないといけないのはちょっと頭が痛い。これさえクリアーすれば、結構いい線いけるかも。
0 件のコメント:
コメントを投稿