2011年12月25日日曜日

「天体の回転について」を読む

コペルニクス著、矢島祐利訳
「天体の回転について」岩波文庫(1953)

を読んだ。最初の所は、こじつけ論理も多々見られ、解読するのが大変な場所もある。思いの外読み進むのに時間がかかり、ちょっと辟易した。が、面白かったのは、惑星の配置を議論する章。ユークリッドの光学理論から、等速で動く物体も観測者からの距離に応じ、見かけの運動が遅くなることを適用して、惑星の順番を決めていく。

これに従うと、土星、木星、火星の順番に地球に近づくこと、月は地球に一番近いことについては、まったく問題なく決まる。これは実は、天動説でも同じ。問題は、なぜ金星と水星が太陽からあまり離れないのか?という点。ローマの古典には、「この事実は、水星と金星のみは太陽の周りを回ることを示唆する」と述べられているのを引き、この文章は最大限に尊重すべしと主張する。そして、太陽を全ての惑星の中心に据えれば、惑星の逆行や、火星の光度の変化などが自然に説明できると強調している。見事だと思った。

また次の章では、地軸の傾きのために、四季が生じることを説明している。この説明って、コペルニクスが最初だったのだろうか?だとしたら驚きだ。

ちなみに、岩波文庫のこの訳本は、コペルニクスの第一巻しか訳してない。本当は、全6巻だから、相当な大著のはず。1953年の訳は、日本語がぎこちなく、古くさい言い回しばかりで、それだけでも読み難い。現代語に訳しなおす必要あり!さらに、全巻やってほしい。英文訳なら手に入るかも。

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